福島第一原子力発電所2号機の建設とは? わかりやすく解説

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福島第一原子力発電所2号機の建設

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/08 05:35 UTC 版)

福島第一原子力発電所2号機の建設(ふくしまだいいちげんしりょくはつでんしょにごうきのけんせつ)では、東京電力福島第一原子力発電所で建設された原子力発電プラントの内、2号機の建設史について述べる。2号機の形式はゼネラル・エレクトリック(GE)社の開発した沸騰水型原子炉に分類されるBWR-4、原子炉格納容器はMarkIである。


注釈

  1. ^ アブレビはLOI。発注内示書。基本合意書ないし関心表明書とも。特定のプロジェクトに対し、検討を実施することを約表明する契約書を指す。
  2. ^ 当時、米原子力メーカーの受注残は4,400万kWに達し「製造能力の限度に近い」と言われていたという。(経済企画庁総合計画局 1968, p. 32)
  3. ^ 当時日本で制作困難な原子炉本体はGEに依存する物として交渉したが、GEの工程には余裕が無く、早期契約を行う必要に迫られたという。(経済企画庁総合計画局 1968, p. 32)
  4. ^ GEが東京電力向けの受注活動にてターンキーを回避することとした直接の理由は「全ての分野で指導の手が届かなくなったため」とされている。
    「福島原子力発電所2号炉の土木工事 わが国業者に直接発注」『日刊工業新聞』1968年3月28日11面
  5. ^ なお『読売新聞』によると、GEから輸入する総経費は1億9280万ドルで、この内借款の対象となるのが6878万ドルと報じている。
    「米輸銀、東電に六千万ドル借款 原子力発電機の輸入で」『読売新聞』1968年12月31日朝刊5面
  6. ^ なお、本機着手と前後する時期国産化率の上昇が予想される同型の3号機の受注に備え、日立、東芝の両社は1967年秋にGEと結んだ原子炉一次系の技術提携に加え、同社と二次系機器(タービン、発電機、建屋等)の技術提携交渉を開始した
    「原子力発電機器完全国産化体制へ GEと技術提携交渉 日立、東芝 二次系機器で」『日刊工業新聞』1968年10月23日4面
  7. ^ なお、鹿島は1号機の建設においてGE、EBASCOより現地指導を受けた他、米国EBASCO社に技術者を8名ほど派遣して原子力発電所の設計・施工についての技術修得を行い、1969年に入る頃には自信をつけてきていた。また、その成果を同型の他発電所でも活用している。
    「土木設計・施工を自社技術で 中国電力の原子力一号炉 鹿島建設 年内に着工態勢」『日刊工業新聞』1969年1月29日10面
  8. ^ 井上はこの数値を78.4万kW級のものとして引用
  9. ^ なお日本側文献では常に「GE」と組織・法人名のみで言及されることの多いGE社であるが、2号機が運開を目前に控えた1973年末、GEの極東本部長はモリス・D・ルート、取締役営業部長はコス・スフィカスであった。
    「エネ危機の"救世主"原発 電力界発展の一翼担うGE 着々と未来への布石」『電気新聞』1973年12月13日10面
  10. ^ 当時燃料ペレットの焼きしまり(稠密化)が問題となっており、アメリカ原子力委員会は1973年8月24日、GE製BWRに5-25%の出力削減を命じていた。この処置に倣い、1号機も40万kWに出力を引き下げて運転していたが日本の当局者(科学技術庁など)は9月に出力制限の必要性はないとの見解を出している。
    「原電・敦賀、東電・福島1 出力抑制する根拠はない 科技庁「BWR燃料ペレット稠密化」で結論 調査団報告から判断」『電気新聞』1973年9月18日2面
    「福島原発、出力アップ 東電 緊急戦力化で検討」『日刊工業新聞』1973年12月12日1面

出典

  1. ^ 2-4号機の1965、1966年時点の施設計画での計画出力は井上力[他] 1966, p. 9
  2. ^ 井上力[他] 1966, p. 7.
  3. ^ 井上力[他] 1966, p. 9-10.
  4. ^ a b c 井上和雄 1968, p. 46
  5. ^ 「米GE、WH社発電炉受注体制固める 出力規模を標準化 五十、七十、百万KWの三種に」『原子力産業新聞』1967年1月15日3面
  6. ^ 「原子力開発も広域運営で "精神"生かされず 中電協の計画にケチ 通産省」『電気産業新聞』1967年2月13日1面
  7. ^ 小林健三郎「福島原子力発電所の計画に関する一考察」『土木施工』第12巻第7号、山海堂、1971年7月、 118-128頁。
  8. ^ メーカーと通産省が1967年4月17日の会談で国産化推進に前向きな姿勢を見せていた件については下記
    「原子力発電機器 70万kWまで国産化 近く関係者で研究会 東電、関電二号機から」『日刊工業新聞』1967年4月18日1面
  9. ^ a b c 「東電の原子力発電2号炉めぐり 国産か輸入か議論わく 信頼度からんで微妙 40万kWなら東芝に発注」『日刊工業新聞』1967年5月19日4面
  10. ^ 「九社の原子力開発計画を修正 615万kWに規模拡大 発電炉の国産化も推進 通産省の50年想定」『電気産業新聞』1967年5月22日1面
  11. ^ a b 「東電2号炉、GEにきまる 圧力容器・関連機器は国内メーカーへ」『原子力通信』第1546号 1967年6月5日 原子力通信社 P1-2
  12. ^ 「東電、2号炉もGEから輸入 福島原子力発電所 最大出力は78万kW 来年12月から着工」『日刊工業新聞』1967年5月30日1面
  13. ^ a b c 上之門典郎 1997, p. 27.
  14. ^ 2号機の電気出力決定理由については大熊町史編纂委員会 編. 1985, p. 841
  15. ^ 「福島原子力780MW発電機設置計画」『電気計算』1967年8月P57
  16. ^ 「発電用原子炉の国産化推進 通産省の方針 輸入は認めない 東電の2号炉を最後に」『日刊工業新聞』1967年7月24日4面
  17. ^ 経済企画庁総合計画局 1968, p. 22.
  18. ^ a b 経済企画庁総合計画局 1968, p. 29.
  19. ^ 「主契約者に東芝 福島原子力発電所二号炉 東電 月末までに発注契約」『日刊工業新聞』1968年3月8日4面
  20. ^ 2号機の発注方式については大熊町史編纂委員会 編. 1985, p. 841
  21. ^ 松永長男 1995b, pp. 10.
  22. ^ 「東電、GEと調印 2号炉の主要機器輸入」『日刊工業新聞』1968年3月31日2面
  23. ^ 「米輸銀から借款 原子炉建設費 東電が六八七八万ドル」『日刊工業新聞』1968年12月6日5面
  24. ^ 「七日に米輸銀と調印 東電原子炉購入資金借入れ」『日刊工業新聞』1969年3月3日5面
  25. ^ 「GEが異議、契約延期 東電の原子力発電機器輸入」『朝日新聞』1968年3月30日朝刊7面
  26. ^ 「東電とGE、契約に調印」『朝日新聞』1968年3月31日朝刊7面
  27. ^ 「東芝、日立と共同研究 東電の福島原子力二号炉 圧力容器など国産化部分」『日刊工業新聞』1968年7月29日4面
  28. ^ 「福島原子力発電所2号炉の土木工事 わが国業者に直接発注」『日刊工業新聞』1968年3月28日11面
  29. ^ 「東電きょうGEと調印 福島二号炉のプラント発注 東芝とは五月ごろ」『日刊工業新聞』1968年3月29日4面
  30. ^ 「二号炉も鹿島建設か 東電の福島原子力発電所 近く土木施工業者決定」『日刊工業新聞』1968年7月14日3面
    同記事では競合他社として清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店の名が挙げられている。
  31. ^ 「東電から正式受注 福島原子力2号炉の土木施工 鹿島建設」『日刊工業新聞』1969年3月5日10面
  32. ^ 「東電、福島3号機の国産化へ 東芝と日立と折衝中」『原子力通信』1969年4月30日 1729号P2
    上記記事自体は3号機について議論しているが2号機の事例が引用されている。
  33. ^ 「原子炉バルブ 米規格で製造許可 岡野バルブ 東電福島に一号機」『日刊工業新聞』1970年8月27日3面
  34. ^ 企業分析 1987a, pp. 49–50.
  35. ^ 「東電、福島3号機の国産化へ東芝と日立が折衝中」『原子力通信』第1729号 1969年4月30日 原子力通信社 P1-2
  36. ^ 「東電、米輸銀から借款 福島2号機輸入機器で」『原子力通信』第1698号 1968年12月11日 原子力通信社 P2
  37. ^ 「近く国産原子燃料の全面使用を要望 通産省、東電、中部電に対し」『原子力通信』第1612号 1968年2月7日 原子力通信社 P2-3
  38. ^ 稲葉栄治 1969, p. 23.
  39. ^ 2号機圧力容器のSTUBE TUBE設計の顛末については中村良市 1995a, pp. 45–46
  40. ^ 中村良市 1995a, pp. 61.
  41. ^ 「東芝、米国エバスコ社から技術導入-福島2号機のシビルエンジニアリングで-」『原子力通信』1970年12月9日 1876号P1
  42. ^ PCV据付の実際については井上和雄 1995, pp. 99–100
  43. ^ 「三月の試運転にそなえ核燃料を装荷 東電福島原発の二号機」『日刊工業新聞』1973年1月26日14面
  44. ^ 「東電福島2号機営業運転九月に 蒸気逃し弁の交換で」『日刊工業新聞』1973年2月7日14面
  45. ^ 「契約違反に発展か 東電福島原発プラント GEの納入遅れ問題」『日刊工業新聞』1973年2月13日14面
  46. ^ 「東電が来夏ピーク対策 約百二十万キロワット抑制 緊急調整など三段構えで」『日刊工業新聞』1973年10月31日7面
  47. ^ 「二号機が試運転開始」『電気新聞』1973年11月16日2面
  48. ^ 「電力供給、原発で増強 東電検討 福島1・2号フル活用」『朝日新聞』1973年12月12日朝刊7面
  49. ^ 「福島原発、出力アップ 東電 緊急戦力化で検討」『日刊工業新聞』1973年12月12日1面


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