紙幣識別機
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紙幣識別機(しへいしきべつき)は、主に自動販売機に内蔵されて、料金として差し込まれる紙幣の金種の分類と簡易な真贋判定を行う装置である。同種の機械に「紙幣鑑別機」(しへいかんべつき)と呼ばれるものがあり、銀行などでより精度の高い真贋判定を行う用途に用いられる[1]。本項目では両方扱う。
- ^ a b c d e 村岡伸久著、『偽札百科』、国書刊行会、2010年9月10日初版第1刷発行、ISBN 9784336052261
- ^ 自動販売機内で金銭を扱うユニットのうち、硬貨を扱うものは「コインメック」と呼ばれ、紙幣を扱うものは「ビルバリデータ」と呼ばれる。
- ^ 2001年の夏に日本の関西と関東で大量の偽札が自動販売機から見つかった事件が起きた。これらはいずれも白黒コピー印刷で磁気データを真似て、市販の安価なインクジェットプリンターで画像を印刷しただけのものであったが、この偽札がちょうど真正の紙幣が3-4年ほど流通して汚損などを受けた状態での紙幣識別機が検知するデータと似ていたことで機械が騙されたのだと判明した。日本は世界的にも自動販売機の台数が多い国でもあり、この事件を受けて紙幣識別機の真贋判定の許容範囲を狭くすると紙幣の汚れで自動販売機の紙幣識別機が認識しないといった不便を招きかねないという事態に対して、日本銀行は2001年10月から緊急に古い紙幣を回収し新たに印刷した紙幣を流通させるようにした。この処置はその後も続いており、他国よりよほど高頻度で紙幣の回収と新たな紙幣の流通に努めている。
- ^ 日本の通常の紙幣は天地方向の長さが76mmと一定であり、千円、五千円、一万円の紙幣のそれぞれが150mm、155mm、160mmという金種ごとに左右方向の長さが異なっているので、日本国内の紙幣識別機メーカーは各々の判別を紙幣の長さ、つまり、搬送時の遮蔽物の通過時間の差で判別していたが、2000年に二千円紙幣が154mmという五千円紙幣と1mmしか違わない大きさで登場すると、金種判別の手段を大きさだけでなく、他のセンサーからのデータも含めて判断する必要に迫られ、対応に苦労するメーカーが多かった。日本銀行は2004年に長さ156mmという新たな五千円紙幣(E券)を発行して二千円紙幣との差を2mmへ広げると同時に、赤外線に反応する特殊なインクで新たな3種類の紙幣の中央額面印刷を塗り分けることで、一万円は「壱万円」、五千円は「千円」、千円は「円」だけが赤外線に反応して見えるようにした。これによって赤外線センサーだけで金種の判別がほとんど確実に行えるようになった。
- ^ 過去には、本物の紙幣に紙製のテープを貼り付けて投入し真贋判定での合格後に強引に引き戻すという手口の犯罪が起きたため、今ではベルト機構の投入口側にはツメが出るようになっていて、紙幣に何かがつながっていればそれを検知して真贋判定以前に不合格として戻される。
- ^ 日本では紙幣は両面同時に印刷しているので表面と裏面のズレは極めて微小であるが、米国のように片面ずつ印刷している国の紙幣は両面のズレが目に見えて大きいため、透過型では誤差が大きくなって不都合である。
- ^ 紙幣は真正なものであっても、使用され古くなるに従って汚れや折り目が付くために、紙幣鑑別機であっても正しい鑑別を行うのは難しいものがある。また、人の目には本物の肖像や図柄など描かれていなくとも、紙質の近い紙に磁気テープを貼り付けたり、濃淡だけを塗り分けたり記番号を書き入れたりしただけで、紙幣鑑別機が騙されることも確認されている。
- 1 紙幣識別機とは
- 2 紙幣識別機の概要
- 3 関連項目
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