経営破綻、フィアットが完全子会社化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 04:58 UTC 版)
「クライスラー」の記事における「経営破綻、フィアットが完全子会社化」の解説
クライスラー経営陣、全米自動車労働組合(UAW)、フィアット、債権者団などの間で、有担保債務(工場や不動産等)69億ドルの圧縮、医療保険基金への支払い義務の106億ドル削減などの交渉が続けられたが、債権者団のうち少数の中堅ヘッジファンドなどが最後まで条件を受け入れなかったため、交渉は時間切れとなった。その中で、クライスラーとフィアットの提携交渉はまとまった。 アメリカ時間 2009年4月30日、クライスラーは連邦倒産法(破産法)第11章の適用をニューヨーク市のニューヨーク州南部地区連邦倒産裁判所に申請した。 破産法手続により、大株主サーベラスが保有する株式は事実上失効し、新たな持ち株比率は、全米自動車労働組合(UAW)が55%、フィアットが20%、アメリカ政府が8%、カナダ政府が2%となった。フィアットは将来的に持ち株比率を35%まで引き上げることが可能で、さらに、アメリカ政府から受けた公的資金を完済すれば、発行済み株式の最大51%を取得して子会社化できる条項も盛り込まれた。 クライスラーのナルデリ最高経営責任者(CEO)は1か月〜2か月後の法的手続き終了時に辞任し、新たに、政府とUAWから6人、フィアットから3人の総勢9人で構成される取締役会が新生クライスラーの経営を指揮する。新生クライスラーは、アメリカとカナダ両政府から総額100億ドル(約1兆円)あまりの公的資金と、フィアットから小型車開発などの技術支援と経営・開発面での人材支援を得て、経営再建を目指す。また、5月4日までにアメリカ国内22カ所すべての工場で当面操業を停止すると発表。 6月9日、アメリカ連邦最高裁判所が、一部債権者によるクライスラー資産売却の差し止め請求を却下。この決定により、翌10日には新会社への資産売却が完了し再建手続きが終了した。新生クライスラーのCEOにはフィアットCEOのセルジオ・マルキオンネが、会長には、ボーデン・ケミカルズ会長、デュラセル・インターナショナル会長などを歴任し、現モルガン・スタンレー社外取締役であるロバート・キダーが就任した。 フィアットが、株式保有率を58.5%にまで引き上げていたが、2014年1月、フィアットは全米自動車労働組合(UAW)の医療保険基金が持っていた残りのクライスラーの株、41.5%を買い取り、クライスラーを完全子会社化すると発表した。その後、同年10月12日に合併しフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が誕生、翌13日にニューヨーク証券取引所での取引を開始した。
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