育児のための所定労働時間の短縮措置等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 09:51 UTC 版)
「育児休業」の記事における「育児のための所定労働時間の短縮措置等」の解説
育児休業のほかに、子を養育する労働者の取扱いなどについて、次の規定がある。なお、介護休業と共通する、法所定の事業主が講ずべき措置については、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律#事業主が講ずべき処置を参照のこと。 子の看護休暇 小学校就学前の子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、1年につき5労働日(子が2人以上の場合は10日間)を上限とする子の看護休暇を取得することができる(第16条の2)。年次有給休暇と違い、使用者は申し出た取得日を変更拒否することは出来ない(経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても労働者の適法な子の看護休暇の申出を拒むことはできない。また、育児休業や介護休業とは異なり、事業主には子の看護休暇を取得する日を変更する権限は認められていない。第16条の3、指針)。期間を定めて雇用される者であっても、労働契約の残期間の長短にかかわらず、5(10)労働日の子の看護休暇を取得することが可能である。平成29年1月の改正法施行により、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者以外の者は、子の看護休暇を半日単位で所得することができる(規則第33条)。 労使協定に定めることにより、以下の労働者については、子の看護休暇を認めないことができる(第16条の3)。労使協定の締結をする場合であっても、事業所の雇用管理に伴う負担との調和を勘案し、当該事業主に引き続き雇用された期間が短い労働者であっても、一定の日数については、子の看護休暇の取得ができるようにすることが望ましい(指針)。当該事業主に引き続き雇用された期間が6ヶ月に満たない労働者 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、1日未満の単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者 時間外労働の制限 小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合には、一定の要件に該当するときを除き、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはならない(第17条1項)。 深夜業の制限 小学校就学前の子を養育する労働者は、深夜労働の制限を、事業主に請求することが出来る(第19条)。 所定外労働の制限 事業主は、3歳未満の子を養育する労働者であって育児休業をしていないものに関して、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置(所定労働時間の短縮措置)を講じなければならない。ただし(第23条1項)。また、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者については、育児休業の制度又は勤務時間の短縮などに準じた措置を講ずるよう努めなければならない(第24条1項)。 事業主は、労働者又はその配偶者が妊娠・出産した場合、家族を介護していることを知った場合に、当該労働者に対して、個別に育児休業・介護休業に関する定めの周知に努めることとされる。また事業主に対し、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、育児に関する目的で利用できる休暇制度の措置を設けることに努めることを義務づける(平成29年10月の改正法施行による)。育児休業の取得を希望しながら、育児休業を取得しにくい職場の雰囲気を理由に、取得を断念することがないよう、事業主が、対象者に育児休業取得の周知・勧奨するための規定を整備する。特に男性の育児参加を促進するため、就学前までの子を有する労働者が育児にも使える休暇を新設する。 労働基準法第67条に規定する育児時間は、1歳未満の子を育てている女性労働者が請求した場合、授乳に要する時間を通常の休憩時間とは別に確保すること等のために設けられたものであり、育児時間と本項に規定する所定労働時間の短縮措置は、その趣旨及び目的が異なることから、それぞれ別に措置すべきものであること(平成28年8月2日職発0802第1号)。つまり、所定労働時間の短縮措置と育児時間の取得は併用可能である。
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