だっしゅつ‐そくど【脱出速度】
読み方:だっしゅつそくど
⇒宇宙速度
脱出速度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/20 08:51 UTC 版)
宇宙力学 |
---|
脱出速度(だっしゅつそくど Escape velocity)とは、力学(特に軌道力学)において、推進力を持たない自由な物体が、大きな質量を持つ別の物体(ここでは重力点と呼ぶ)の重力から脱出する、つまり無限遠まで移動するのに必要な最低速度。重力点の質量とその中心からの距離の関数である。
噴射によって常に加速されているロケットは、いかなる距離においても脱出速度に達する必要がない。燃料の噴射により運動エネルギーが補給されるからである。脱出するために物体を加速する力を確保するための、適切な推進モードと、十分な推進剤があれば、いかなる速度でも脱出が可能である。
とくに多用される地球及び太陽に関しては、地球表面の脱出速度が第二宇宙速度、地球上における太陽からの脱出速度が第三宇宙速度とも呼ばれる。脱出速度は、移動物体の運動エネルギーと重力ポテンシャル(位置エネルギー)が等しくなる速度である。脱出速度に達した物体は、表面にとどまることも、衛星軌道にとどまることもない。重力点の地表面から離れる方向への脱出速度を持つ物体は、速度を落としながらもいつまでも離れていき、速度がゼロになることはない。脱出速度に達した物体は、脱出の動きを続けるのに追加の推進力を必要としない。別の云い方をすれば、脱出速度を得た物体は、距離が無限大に近づくにつれ速度がゼロに限りなく近づいていき、決して戻って来ることがない。脱出速度より大きな速度を持つ物体の場合は、無限遠において正の速度を持つ。
天体などの球形の重量物質を重力点とし、空気抵抗等を考慮しないとした場合、脱出速度Veは以下の式で表される。
- 一覧
- カテゴリ
脱出速度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/18 03:33 UTC 版)
脱出速度の公式は、以下のように簡単に導くことができる。全ての宇宙船の単位質量当たりのエネルギーは、単位質量当たりの位置エネルギーと単位質量当たりの運動エネルギーという2つの成分から成り立っている。単位質量当たりの位置エネルギーは、惑星の質量Mと関係があり、次の式で与えられる。 − G M r {\displaystyle -{\frac {GM}{r}}\,} 一方、単位質量当たりの運動エネルギーは、次の式で与えられる。 v 2 2 {\displaystyle {\frac {v^{2}}{2}}\,} エネルギー保存の法則から、単位質量当たりの合計の軌道エネルギー v 2 2 − G M r {\displaystyle {\frac {v^{2}}{2}}-{\frac {GM}{r}}\,} は、中心の天体から宇宙船までの距離 r {\displaystyle r} には依存しない。これより、天体は、この値が負ではない時に無限大 r {\displaystyle r} に達し、これは、以下を意味する。 v ≥ 2 G M r {\displaystyle v\geq {\sqrt {\frac {2GM}{r}}}} 地球表面からの脱出速度は、約11km/sであるが、太陽の重力があるため、物体を無限の距離まで送るにはこの速度では不十分である。地球から太陽までの距離で地球の近傍以外の場所から太陽系の外への脱出速度は、約42km/sであるが、地球から打ち上げられる宇宙船は、方向が同じであれば地球の公転速度も利用することができる。
※この「脱出速度」の解説は、「軌道力学」の解説の一部です。
「脱出速度」を含む「軌道力学」の記事については、「軌道力学」の概要を参照ください。
「脱出速度」の例文・使い方・用例・文例
- 脱出速度のページへのリンク