脳MRI
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 10:24 UTC 版)
髄膜病変 軟膜病変の好発部位は脳底部、後頭蓋窩、視交叉であり、同部位にびまん性または結節性のGd増強効果を認める。軟膜病変がGd造影剤を使用しないと認識できないことが多い。Gd造影剤はT1短縮効果を持つため、造影後の画像評価は一般的にはT1WIで行われるが、造影後のFLAIR画像は軟膜の異常造影効果をT1WIより明確に描出することができる。またGd-T1WIでは脳表の静脈が高信号を示すがFLAIR画像ではこの信号が抑制されるため髄膜炎所見がよりわかりやすい。病変は豊富な肉芽腫を反映しT2WIでは低信号になることが多いとされている。また髄膜病変は拡散制限は乏しく、悪性リンパ腫や髄膜腫との鑑別に有用である。硬膜に腫瘤を形成することもある。硬膜の腫瘤は豊富な線維成分を反映し、T2WIでは低信号を呈し、比較的均一なGd増強効果を認める。 下垂体病変 下垂体と視床下部は脳底部に位置しており神経サルコイドーシスの好発部位の一つである。下垂体柄の肥厚とGd増強効果や下垂体後葉T1WI高信号の消失などが知られる。下垂体後葉T1WI高信号の消失は尿崩症に対応する。 水頭症 サルコイドーシスはしばしば水頭症をきたすことがある。交通性水頭症と非交通性水頭の両者ともありえる。SSFP(3D-stedy-state free precession)を撮影することで狭窄部位が同定できることがある。交通性水頭症は軟膜病変により脳脊髄液の吸収が阻害されることで生じる。 血管病変 サルコイドーシスの血管病変は稀とされているが剖検例ではしばしば肉芽腫の血管浸潤が認められる。病理学的にはサルコイド肉芽腫は軟膜から穿通動脈のVirchow-Robin腔に沿って脳実質に浸潤することが知られている。血管周囲腔の肉芽腫は好中球などの炎症細胞とともに血管壁に浸潤しフィブリノイド壊死を起こす。これにより血管壁の内弾性板が破壊され血管の閉塞や破綻が生じ脳梗塞に至る。また心サルコイドーシスも心筋症の結果心原性脳塞栓症を起こす。 脳神経病変 しばしばGd増強効果が認められる。
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