レプリカ
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レプリカ(英語: Replica、フランス語: Réplique)とは複製品のこと。 本来は「オリジナルの製作者自身によって作られたコピー(複製品)」を指していたが、現在では製作者が同じかどうかは問わないことが多い。オリジナルの製作者が公式に安価に大量生産した物はレプリカではなく「マルティプル」(マルチプル ,multiples)とさらに区別する場合がある[1]。
ローマ帝国では、ハドリアヌス帝の時代には職業的な複製業が成立し、ギリシア時代のほとんどの作品のレプリカが作られた[2]。原作が失われてしまった場合は、レプリカが学術的・芸術的に重要な価値を持つ[3]。
概要
レプリカは、彫刻や金属製品の場合には、シリコーン樹脂を用いて細部の凹凸に至るまで正確に型を取り、原資料に忠実な彩色を施して製作される。古文書や絵画資料の場合は、連続階調で精緻な複製が可能なコロタイプなどの印刷が用いられるほか、絵画などでは模写も行われる。レプリカで再現する資料の状態は使用目的によって異なり、後補の汚れや彩色、破損や欠損状態なども忠実に再現されることもあるが、場合によっては、それらを補って製作当初の姿が再現されることもある。
用途
博物館における展示
レプリカは、しばしば博物館の展示用などの歴史学的な目的のために製作される。時には、オリジナルが存在しない場合もある。一例をあげると、19世紀にバベッジによって設計された階差機関2号は実機が製作されなかったが、1980年代に計算機史研究者のアラン・ジョージ・ブロムリーによって設計図を元に復元され、現在はロンドンのサイエンス・ミュージアムで展示されている。
博物館展示においては、文化財などの展示物は、温度・湿度や照明、空気質、振動など資料に与える影響を考慮し展示環境を整え、木製品や金属製品などは合成樹脂などを用いた保存処理を施した上で展示が行われるが、資料の遺存状態が悪く、博物館施設への移動が状態に悪影響を及ぼす懸念がある場合や、博物館施設への借用が困難な場合などには、レプリカを製作して代用展示を行う。
研究用
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古生物を研究する場合、標本(化石)は貴重なため、レプリカを作成してから研究することがある。採集が困難な場合も、レプリカを作成すれば、持ち帰って詳しく調べることができる。
コレクション用
現代では商品として生産されるレプリカも人気がある。上述のような美術品・工芸品や、プロサッカーやプロ野球などプロフェッショナルスポーツ選手のレプリカユニフォーム、映画の小道具を模したプロップレプリカなどである。 前述の通り公式でも安価に大量複製される作品は『マルチプル』とされ、レプリカとは区別される。明和電機は一般販売される美術品をマルチプルと呼んでいる[4]。
レース仕様のバイクの要素を公道仕様に落とし込んだレーサーレプリカバイク、戦闘機の外観を模したレプリカ機、競輪仕様のバイクを公道仕様にしたトラックレーサーレプリカなどは、公道を走行するうえで、法規制の関係で保安部品の取り付けが必須となり、欠けている場合は“違法改造”扱いになることや、コストの関係で仕様を変えることもあり、全てが本物と同じであるとは限らない。第二次世界大戦中の戦闘機の縮小レプリカを専門とするウォー・エアクラフト・レプリカズ・インターナショナルのような愛好家向けの会社も存在する。
美術やヒストリック・カーの分野では、レプリカはオリジナルではない再製作品(リプロダクション)をさす。この場合には、レプリカであることが明らかにされていないこともある。
一方で公式にライセンス生産されたレプリカは、実物と全く同じ工程で生産された本物に忠実なものもある(スポーツユニフォームの場合の違いは背番号や登録名の有無のみ)。スポーツ選手が着用しているものと同等品である場合、一般的なレプリカと区別するためオーセンティックまたはプロコレクションと呼ばれる[5][6]。
違法行為
一方で、レプリカは違法な偽造、模倣をさして用いられることも多い。特に紙幣や硬貨の偽造について使われるが、ブランド物の衣類、高級バッグ、アクセサリー、そして、高級腕時計といった商品の模倣に対しても使われる。これらは、海賊版や偽ブランド品などと呼ばれて然るべきである。
脚注
- ^ 現代美術用語辞典1.0
- ^ 複製 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 コトバンク
- ^ 複製 日本大百科全書 コトバンク
- ^ GM魚器販売のお知らせ
- ^ 春川正明 (2009年3月1日). “JAPAN”. 読売テレビ解説委員室. 讀賣テレビ放送. 2015年5月20日閲覧。
- ^ ビバ (2012年4月6日). “祝!プロ野球開幕。阪神タイガースグッズを探しに野球用品売り場に潜入”. ミズノ発見隊. ミズノ. 2015年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月20日閲覧。
参考文献
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。 |
- 佐藤喜男、利光誠一「地質標本館のレプリカ標本の作製」(PDF)『地質ニュース』第431号、実業公報社、1990年7月、77-80頁、ISSN 0009-4854。
- 武村政春『レプリカ 文化と進化の複製博物館』工作舎、2012年11月26日。ISBN 978-4-87502-448-4。
関連項目
外部リンク
- Enigma-Replica - ウェイバックマシン(2019年1月15日アーカイブ分)
複製品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/06 14:45 UTC 版)
2007年9月17日午前4時30分、銀に金めっきを施した複製品が展示されていた王立イェリン博物館から盗まれたが、2007年9月19日2号の複製は回収された。また、1993年にはモースゴー先史博物館 (en:Moesgaard_Museum) に収蔵されていた別の複製品(真鍮に金めっきを施したもの)が盗まれたが、こちらは間もなくハセルエーヤ(Hasselager)近くの森の水路に遺棄されているのが発見された。
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複製品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 14:21 UTC 版)
同一仕様他社製品を指すが、オリジナル製品の開発・製造会社側と正式な契約を結ばず、無断で作られたコピーというニュアンスが強い。
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複製品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/13 06:41 UTC 版)
「A-2フライトジャケット」の記事における「複製品」の解説
家内産業が第二次大戦中のA-2ジャケットの需要を満たすべく登場したように、現在もそういったメーカーは未だに存在する。A-2はそのスタイルから全く逸脱しなかったため、生産は終わる事は全く無かった。長期に渡り、それは原型である戦時のデザインと比較して、スタイルと正確さにおいて異なっていた。しかし、その外観は1950年代から1960年代の、著名な映画とテレビ番組のままだった。1970年代中期、いくつかの小さな会社では、オリジナル主義者も満足するような、可能な限り原型の、戦時のA-2に近づいた、非常に本物らしい複製品をデザインして製作する事を開始した。戦時型の複製にあたり、しばしばオリジナルの解剖から「リバース・エンジニアリング」を通じて知識を得て、正しく選ばれた革、全てが綿糸、本物の第二次大戦時の在庫である古いタロンジッパーを使用し、彼らは価値あるオリジナルを痛める危険性なしに、毎日着られる戦時のジャケットを効果的に再現した。いくつかの生産会社は、特定の第二次大戦型A-2の生産が縮小されると、細部の詳細さのためならば遠方でも訪ねた。このような詳細さに対する対価は安くはなく、これらのジャケットは800ドル以上の価値がある。こうした最高品質の製品の製造会社には以下のようなものである。 Eastman Leather Clothing (デボン、イギリス) Aero Leather Clothing (スコットランド) Buzz Rickson's (東京、日本) The Real McCoy's (日本) Good Wear Leather Coat Company (シアトル、ワシントン、アメリカ) 再現されたA-2は日本において最も人気があり、再現されたアメリカ物のビンテージ衣類のコレクター市場が存在する。それらの多くは限定版であり、西側諸国で受け入れられず、価格は最高で他国でのハイエンドな複製品の二倍はする。吊りあげられた値段と限定品の有効性が日本のコレクターにはプレステージ性を増幅させている。 通常の値段がつけられた(約200ドル以下)A-2ジャケットは、今日ではただ本物のスタイルに近いというだけのもので、下にゆったりした服を着用することを意図し、オーバーサイズの肩幅と袖をつけ、機能のない袖口とペンポケット、そして羊革のように柔らかい素材が使われている。今日アメリカ空軍で契約している、クーパー社のような製造会社が作るA-2は、より若者向けにウエストシェイプにカッティングされた型紙を使用し、一部の元操縦士たちは、もはや旧来のA-2が彼らの体型に合わないことを発見した。ギブソン&バーンズ社は、戦時オリジナルよりも、気前良く大きさを設定するという誠実な(正確でないものの)複製品で知られる。 L・L・ビーン市場では、一種のジャケットを「フライング・タイガー・ジャケット」と呼んでいるが、これはA-2の原型のデザインに近似させたもので、しかしサイズはもっと太った体型の男性に合わせており、同じく痩せた男性にも合わせられる。これらのジャケットは、クーパー社や、他の普通の大きさのA-2が、サイズに合わず見つけられない人々は重宝している。もしクーパーA社のA-2が、あまりに肩幅が大きく、あまりにウエストがきつければ、フライング・タイガーのジャケットはよく合うかもしれない。これはヤギ革でできており、裏身頃にはアセテートレーヨンのサテン織布地が使用されている。 これは編んだ袖口と腰帯びがつけられ、防風用に革の比翼がジッパー部分を隠している。パッチポケットの上部にスナップボタンのフラップがついている。更に、手の温められるポケットが追加されている。またフリース製裏身頃の、断熱されたバージョン(レーヨン製裏身頃のものと同様に)も購入できる。これらのジャケットはヤギ革で作られ、耐水性も有する。 アヴィレックスはA-2ジャケットの復刻版を製造するため1975年に設立された。ニール・クーパーUSA(近年、オハイオに拠点を置くU.Sウイングスに買収された)は、第二次大戦時にあったクーパー・スポーツウェアー社と同じ会社ではない。ただ、ニール・クーパーの祖父は初期の会社を率いていた。また二つの会社はそれぞれ、当時、アメリカ軍にA-2ジャケットを供給するという契約を結んでいた。 1990年代に活動していたウィリス&ガイガー・アウトフィッターズは現在消滅しているが、オリジナルの1930-31 A-2を供給したという売り文句にクレームがついた。これは陸軍航空隊軍とこの会社で契約が結ばれた事実が発見できず、またこの会社はオリジナルのA-2を持っていなかったことによる。ただしウィリス&ガイガー社は、第二次世界大戦当時、海軍にかなりの量の飛行用ジャケットを供給している。 初心者のコレクターは、第二次世界大戦時にオリジナルのA-2を供給したというような、企業が歪めて宣伝するジャケットを買わないよう、情報に注意する必要がある。いくつかのハイエンドな複製品は驚くほど出来がよく、人工に加えられた若干の経年劣化、または時代を示す標章などに対し、コレクターは自分が潜在的に買っているものを確かめるように注意しなければならない。
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