し‐しゅう〔‐シフ〕【詩集】
ししゅう〔シシフ〕【詩集】
詩
(詩集 から転送)
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詩(し、うた、英: poetry, poem; 仏: poésie, poème; 独: Gedicht)は、言語の表面的な意味だけではなく美学的・喚起的な性質を用いて表現される文学の一形式である。多くの地域で非常に古い起源を持つ。多くは韻文で一定の形式とリズムを持つが、例外もある。一定の形式に凝縮して言葉を収め、また効果的に感動・叙情・ビジョンなどを表すための表現上の工夫(修辞技法)が多く見られる。詩は独立したものとして書かれる場合も、詩劇・聖歌・歌詞・散文詩などに見られるように他の芸術表現と結び付いた形で書かれる場合もある。
注釈
- ^ 今日ではデジタルメディアの特性を取り込んだ詩 (en:Digital poetry) も行われ、また小説投稿サイトなど投稿形式でインターネットに詩を載せる営みもある。
- ^ 逆に日本の読者の場合、適当に行分けされた断片的な書き物を想像するかもしれないが、(優れたものであれば)そうした詩にも隠れたリズムや音調があるものである。萩原朔太郎『詩の原理』1928年 。2009年12月30日閲覧。"すべての詩は、必ずしも規約された形式韻文ではないけれども、しかもすべての詩は――自由詩でも定律詩でも――本質上に於て音律を重要視し、それに表現の生命的意義を置いている。"。
- ^ これらの出典から明らかなように、(少なくとも優れた詩人の作品においては)対比やサプライズのような詩的ではない効果を得たり不規則なリズムを詩的に用いたりといった詩的な理由があるものである。
- ^ 多くの学者、とりわけホメロスの流儀やバルカン諸国の口承叙事詩の研究者たちは、初期の文書が大きな詩のユニットを構築するためのブロックとして繰り返し句を用いるなどのより古い詩の伝統の跡をはっきりと示しているのではないかと示唆している。記憶の補助として筆記が利用できるようになる前にはリズミカルで繰り返しのある形式が長い物語を記憶し再び語るのを容易にしたのであろう。
- ^ 例えば、16世紀のアラブ世界では外交の多くは詩的な形式を通じて行われた。See Natalie Zemon Davis. Trickster's Travels. Hill & Wang, (2006), ISBN 0809094355.
- ^ 政治的毒舌の例としてはリベル(中傷文)や、マルティアリスとカトゥルスの古典的エピグラムなどがある。
- ^ 古代ギリシアでは、医学や学問的な作品はしばしば韻文形式で書かれた。1500年後のイブン・スィーナーの医学的テクストの多くも韻文であった。
- ^ イブン・ルシュドはアリストテレスの『詩学』の、原典の例文をアラビアの詩人たちのものに置き換えた注釈を著した。 See, for example, W. F. Bogges. 'Hermannus Alemannus' Latin Anthology of Arabic Poetry,' Journal of the American Oriental Society, 1968, Volume 88, 657-70, and Charles Burnett, 'Learned Knowledge of Arabic Poetry, Rhymed Prose, and Didactic Verse from Petrus Alfonsi to Petrarch', in Poetry and Philosophy in the Middle Ages: A Festschrift for Peter Dronke. Brill Academic Publishers, (2001), ISBN 90-04-11964-7.
- ^ 例えば、イマヌエル・カント『判断力批判』(J.H.バーナード訳、p.131)では詩の自意識的な抽象と美しい形式という性質は言葉による芸術の中で最高位へと詩を引き上げ、より論理的・物語的な散文はその下に来るものとされていた。
- ^ Negative Capabilityに適切な訳語を当てるのは極めて困難である。藤本周一 (3 2005). “John Keats: “Negative Capability”の「訳語」をめぐる概念の検証” (pdf). 大阪経大論集 55 (6): 5 - 27. ISSN 04747909 2009年12月2日閲覧。.
- ^ "A poem should not mean / But be" 『詩論』という題名はホラティウスの同名の評論への言及である。この詩は詩がどのようなものでなければならないかの宣言を列挙し、この著名な2行で結んでいる。[1]
- ^ 『失楽園』の2つの版がプロジェクト・グーテンベルクで利用できる。Project Gutenberg text version 1 and Project Gutenberg text version 2.
- ^ ロシア語原典[2]と、チャールズ・ジョンストンによる英訳[3]が利用可能。英語版ウィキペディアのEugene OneginとNotes on Prosodyの項目およびその注釈にある、翻訳上の問題点や、ロシア語と英語の弱強四歩格の違いに関する議論も参照。
- ^ 脚韻、頭韻、類韻、子音韻はまた反復する音声のパターンからは分離された意味をも持ちうる。例えば、ジェフリー・チョーサーは古英語の詩を嘲笑し、人物を時代遅れに見せるために過度の頭韻を使用したし、クリストファー・マーロウは"th", "f", "s"による頭韻と子音韻の組み合わせを用いて、女々しく描写したい人物に舌足らずに喋らせた。一例として、マーロウ『タンバレイン大帝』の冒頭のスピーチを見よ(Project Gutenberg)。
- ^ 日本語はほぼ全てのモーラが開音節で、全てで100種類強しかないので単調になり押韻には適さなかった(金田一春彦『日本語の特質』NHKブックス、1991年)。「日本語の音韻」も参照。
- ^ 日本語でも藤原公任の和歌「たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほきこえけれ」や島崎藤村『千曲川旅情の歌』「こもろなる こじょうのほとり」のようにモーラ単位の頭韻法が散見される。
- ^ フランス詩法では、place/masseのように末尾が無音のeで終わる韻を女性韻、pleur/fleurのようにそれ以外で終わる韻を男性韻と呼ぶ。両者を交互に配する交韻を正則とし、他に「a-a-b-b」と配する平韻、「a-b-b-a」と配する抱擁韻がある(fr:rime参照)。英詩では最後の音節にアクセントがあれば男性韻、なければ女性韻(この場合2音節以上の押韻を求められる)となる。
- ^ 実際に、ウマル・ハイヤームの『ルバイヤート』の翻訳にあたって、エドワード・フィッツジェラルドは原詩の押韻構成を保持しようと試みた。この翻訳はプロジェクト・グーテンベルクで利用できる[4]。
- ^ ウィキソースに原典、英訳あり。
- ^ モダニズム以前のカリグラムの好例として、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』での、鼠の話が長い尻尾の形になっている詩がある。ウィキソースの原文参照。
- ^ 詩での象徴主義と隠喩の用例として良く知られたものにサミュエル・テイラー・コールリッジ『老水夫行』がある。水夫に殺される信天翁は伝統的に幸運の象徴であり、その死には象徴的な含意がある。
- ^ 『イソップ寓話』は紀元前500年頃に最初の記録が現れて後、何度となく韻文と散文の双方で翻訳されてきた。時代を超えた単体のアレゴリー詩の情報源として恐らく最も豊かなものであろう。その他の主要な例として、13世紀フランスの詩『薔薇物語』、ウィリアム・ラングランドの『農夫ピアズの夢』、17世紀フランスのジャン・ド・ラ・フォンテーヌ『寓話集』[5](イソップに影響されている)なども参照。
- ^ ジョン・ドライデンによるホラティウスの頌歌の翻訳が、英語圏でのこの形式の成立に特に影響を持った。ただしドライデンはホラティウスが行わなかった押韻を訳詩で用いている。
- ^ 福永武彦らマチネ・ポエティクの詩人たちによるソネットなどの押韻定型詩の試みも存在した。
- ^ シェイクスピアは『ハムレット』においてそのような分析を戯画化し、ジャンルが「悲劇詩、喜劇詩、歴史詩、田園詩、田園喜劇詩、歴史田園詩、悲劇歴史詩、悲劇喜劇歴史田園詩…」から成っていると書いた。
出典
- ^ 「(創造のうち)音楽と韻律に関わる物のみがポイエーシスと呼ばれ、この意味でのポイエーシスを有する者のみがポイエーテースと呼ばれるのです。」(プラトン『饗宴』)
- ^ "詩者、志之所之也。在心為志、發言為詩。" 「詩とは志の赴くところである。それが心の中にあるのが『志』、言葉として発したものが『詩』である。」(『詩経』序)
- ^ 外山正一、井上哲次郎、谷田部良吉『新体詩抄』1882年8月 。2023年2月26日閲覧。"均シク是レ志ヲ言フナリ、而シテ支那ニテハ之ヲ詩ト云ヒ、本邦ニテハ之ヲ歌ト云ヒ、未ダ歌ト詩トヲ総称スルノ名アルヲ聞カズ、此書ニ載スル所ハ、詩ニアラス、歌ニアラス、而シテ之ヲ詩ト云フハ、泰西ノ「ポエトリー」ト云フ語即チ歌ト詩トヲ総称スルノ名ニ当ツルノミ、古ヨリイハユル詩ニアラザルナリ"。
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- ^ See, e.g., Grandmaster Flash and the Furious Five. "The Message (song)," Sugar Hill, (1982).
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- ^ Heath (ed), Aristotle's Poetics, 1997.
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- ^ See, for example, T. S. Eliot's "The Waste Land, in T. S. Eliot. The Waste Land and Other Poems. London, England: Faber & Faber, (1940)."
- ^ ロラン・バルトの評論「作者の死」(日本語訳は『物語の構造分析』ISBN 4-622-00481-X 所収)を参照。
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- ^ フランス語原文、および英訳:
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- ^ See Robert Pinsky's discussion of the difficulties of replicating terza rima in English in Robert Pinsky (trans). The Inferno of Dante: A New Verse Translation. (1994).
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- ^ 財団法人新村出記念財団 編『広辞苑』(第5版)岩波書店、1998年11月。ISBN 4-00-080111-2。"広義には新体詩を含み、狭義には文語自由詩以後を指す。"。
- ^ ジャンル理論に関する総合的な議論については、Daniel Chandler's [Introduction to Genre Theory[7]も参照。
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- ^ ウィキソース原文
詩集(象徴詩・純粋詩)
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『砂金』自費出版、1919年。(復刻:日本図書センター、2004年) 『見知らぬ愛人』、1922年。 『美しき喪失』、1929年。 『一握の玻璃』、1947年。
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詩集(その他)
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『空の羊』 『少女純情詩集』国書刊行会で復刻、1984年。 『水色の夢』 『西條八十詩集』角川春樹事務所、ハルキ文庫で再刊、2004年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:linear-gradient(transparent,transparent),url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:linear-gradient(transparent,transparent),url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:linear-gradient(transparent,transparent),url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:linear-gradient(transparent,transparent),url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4758430942。
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