超対称性による解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 07:36 UTC 版)
ヒッグス場と結合するそれぞれの粒子は湯川結合定数λfを持つ。ヒッグス場とフェルミオンとの結合は相互作用項 L Y u k a w a = − λ f ψ ¯ H ψ {\displaystyle {\mathcal {L}}_{\rm {Yukawa}}=-\lambda _{f}{\bar {\psi }}H\psi } を与える。ψはディラック場、Hはヒッグス場である。同様に、フェルミオンの質量はその湯川結合定数に比例し、それはヒッグスボソンが最も重い粒子とも結合する事を意味する。つまり、ヒッグス粒子の二乗質量に対する最も大きな補正は、最も重い粒子、トップクォークから来るものである。ファインマンルールを適用すると、ヒッグス粒子の二乗質量に対するフェルミオンからの量子補正は以下で与えられる。 Δ m H 2 = − | λ f | 2 8 π 2 [ Λ U V 2 + ⋯ ] . {\displaystyle \Delta m_{H}^{2}=-{\frac {\left|\lambda _{f}\right|^{2}}{8\pi ^{2}}}[\Lambda _{UV}^{2}+\cdots ].} Λ U V {\displaystyle \Lambda _{UV}} は紫外カットオフと呼ばれ、標準模型が有効となるスケールの上限である。このスケールをプランクスケールまで持って行くなら、ラグランジアンは Λ U V {\displaystyle \Lambda _{UV}} の二次で増大してしまう。しかし、仮に結合定数について λ S = | λ f | 2 {\displaystyle \lambda _{S}=|\lambda _{f}|^{2}} の関係を満たす二つの複素スカラーが存在するとすると、ファインマンルールにより、二つのスカラー場からの補正は Δ m H 2 = 2 × λ S 16 π 2 [ Λ U V 2 + ⋯ ] {\displaystyle \Delta m_{H}^{2}=2\times {\frac {\lambda _{S}}{16\pi ^{2}}}[\Lambda _{UV}^{2}+\cdots ]} となる(量子補正は正である。何故ならスピン統計定理により、フェルミオンは負、ボソンは正の寄与をするからである。これは複素スカラーを導入した功績である)。これにより、もしフェルミオンとボソン両方の寄与を入れるなら、ヒッグス粒子の二乗質量に対する量子補正の寄与の総和はゼロとなる。超対称性はこの拡張で、全ての標準模型の粒子に'超対称パートナー'を導入するものである。
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