鎖状高分子のガラス転移現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/09 09:28 UTC 版)
「ガラス転移点」の記事における「鎖状高分子のガラス転移現象」の解説
合成高分子(または単に高分子)、合成樹脂、プラスチックなどと総称される一連の化合物、具体的にはポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、などは、ひもや鎖のように長くて柔軟に折れ曲がる鎖状高分子から成る。高温の液体状態では通常の低分子液体と同様に分子同士の位置が自由に変化でき流動性があるが、鎖状分子同士の絡み合いによる粘性があり、低分子液体とは異なる挙動も示す。鎖状分子の長軸に垂直な方向への運動は、絡み合った鎖状分子同士が互いに邪魔をするため妨げられ、長軸に沿った運動(レプテーション)のみが許される。 温度を下げて融点以下にしたときも結晶化速度が遅いため一部分しか結晶とならないことが多い。結晶とならない部分では、ある温度以下では上記のレプテーションも妨げられ、絡み合い点で鎖状分子同士が結合して架橋点となった網目構造となりゴム弾性(エントロピー弾性)を持つようになる。これをゴム状態と呼び、架橋点では分子同士が結合されているが架橋点間の鎖状部分は自由に運動できる。この架橋は加硫ゴムにおけるような化学結合による架橋(化学架橋)とは区別して物理架橋と呼ばれる。 さらに温度を下げてガラス転移点に達すると、鎖状部分の運動も非常に遅くなり、全ての部分がその位置で熱振動を行うだけのガラス状態となる。なおガラス転移点以下にも、α転移点、β転移点と呼ばれる物性変化が急激となる温度が存在する高分子も多々ある。
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