非有界作用素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 14:35 UTC 版)
数学の、特に関数解析や作用素論の分野における非有界作用素(ひゆうかいさようそ、英語: unbounded operator)は、位相線型空間のあいだの線型写像で不連続であること・全体では定義されていないことを許したようなものである。幾何学における微分作用素や量子力学における非有界オブザーバブルなどを扱うための抽象的な基礎付けをあたえるのに用いられる。
- ^ von Neumann, J. (1929–1930), “Allgemeine Eigenwerttheorie Hermitescher Functionaloperatoren”, Math. Ann. 102: 49–131, doi:10.1007/BF01782338
- ^ Stone, M. (1932), “Linear transformations in Hilbert spaces and their applications to analysis”, Amer. Math. Soc. Colloq. Publ. (New York) 15
- ^ von Neumann (1936), “Über Adjungierte Funktionaloperatoren”, Ann. Math. (2) 33 (2): 294–310, doi:10.2307/1968331, JSTOR 1968331
- ^ a b c Pedersen 1989, 5.1.1
- ^ a b c d Pedersen 1989, 5.1.4
- ^ Berezansky, Sheftel & Us 1996, page 5
- ^ fj を T の定義域上の列で g ∈ B1 へと収束するものとする。T はその定義域上で一様連続であるため、Tfj は B2 内のコーシー列である。したがって (fj, Tfj) もコーシー列であり、T のグラフが閉であることから、これはある (f, Tf) へと収束する。したがって f = g であり T の定義域は閉である。
- ^ a b c d Pedersen 1989, 5.1.12
- ^ 測度の台が[0, 1] 全体なのでC1級や連続な関数はL2[0, 1]の部分空間と見なせる。
- ^ Berezansky, Sheftel & Us 1996, Example 3.2 on page 16
- ^ Reed & Simon 1980, page 252
- ^ Berezansky, Sheftel & Us 1996, Example 3.1 on page 15
- ^ 証明: 閉であるため、至る所定義されている T∗ は有界である。これはT を含む T∗∗ の有界性を導く。至る所定義されている T の場合として、(Pedersen 1989, 2.3.11) を参照されたい
- ^ a b c d e Pedersen 1989, 5.1.5
- ^ 証明: であるため、もし が有界であるなら、その共役 も有界である。
- ^ Berezansky, Sheftel & Us 1996, page 12
- ^ 証明: もし T が稠密に定義された閉作用素であるなら、T∗ は稠密に定義されている。したがって、T∗∗ が存在する。T のグラフは T∗∗ のグラフにおいて稠密であるため、T = T∗∗ が成立する。逆を考える。T∗∗ の存在は T∗ の存在を意味し、これは T が稠密に定義されていることを意味する。T∗∗ は閉であるため、T は稠密に定義された閉作用素である。
- ^ Brezis, pp. 28.
- ^ Yoshida, pp. 200.
- ^ Yoshida, pp. 195.
- ^ Pedersen 1989, 5.1.11
- ^ Yoshida, pp. 193.
- ^ Yoshida, pp. 196.
- ^ a b c d e f Pedersen 1989, 5.1.3
- ^ a b Reed & Simon 1980, page 256
- ^ a b Pedersen 1989, 5.1.16
- ^ a b c Reed & Simon 1980, Example on pages 257-259
- ^ (Pedersen 1989, 5.1.5)および共役作用素の定義から従う。
- ^ Pedersen 1989, 5.2.5
- ^ Berezansky, Sheftel & Us 1996, page 25
- ^ Pedersen 1989, 5.1.9
- ^ Pedersen 1989, 5.3.8
- ^ Berezansky, Sheftel & Us 1996, page 89
- ^ Pedersen 1989, 5.3.19
- ^ Reed & Simon 1980, Example 5 on page 254
- ^ Pedersen 1989, 5.2.12
- ^ Reed & Simon 1980, page 84
- ^ a b c Reed & Simon 1980, page 250
- ^ Berezansky, Sheftel & Us 1996, pages 6,7
- ^ Berezansky, Sheftel & Us 1996, page 7
- ^ Reed & Simon 1980, page 253
- ^ a b Pedersen 1989, 5.1.6
- ^ Pedersen 1989, 5.1.2
- ^ Pedersen 1989, 5.2.6
- ^ Reed & Simon 1980, page 257
- ^ Reed & Simon 1980, pages 255, 256
非有界作用素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 01:23 UTC 版)
ヒルベルト空間においては非有界作用素もある程度きれいに扱うことができ、量子力学にも重要な応用を持つ。ヒルベルト空間 H 上の非有界作用素 T は、その定義域 D(T) が H の線型部分空間であるような線型作用素であるものとして定義される。定義域が H の稠密な部分集合となることもよくあり、そのような作用素 T は密定義作用素と呼ばれる。 密定義非有界作用素の随伴は、本質的に有界作用素の場合と同じ方法で定義される。自己随伴非有界作用素は量子力学の数学的基礎において可観測量の役割を持つ。ヒルベルト空間 H = L2(R) 上の自己随伴非有界作用素の例としては、 微分作用素の適当な拡張 ( A f ) ( x ) = i d d x f ( x ) , {\displaystyle (Af)(x)=i{\frac {d}{dx}}f(x),} ただし、i は虚数単位、f は台がコンパクトな可微分関数。 x による掛け算作用素 ( B f ) ( x ) = x f ( x ) . {\displaystyle (Bf)(x)=xf(x).} などが挙げられる。これらはそれぞれ、運動量と位置の可観測量に対応する。この A も B も H の全域で定義されてはいないことに注意すべきである。A の場合は微分が存在しないものがあること、B の場合は x が掛けられた関数が自乗可積分とは限らないことがその理由である。何れの場合にも、引数にとり得る関数全体の成す集合は H の稠密な部分集合になる。
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