ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン (セックス・ピストルズの曲)
(God Save the Queen (Sex Pistols song) から転送)
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「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」 | ||||||||
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セックス・ピストルズ の シングル | ||||||||
初出アルバム『勝手にしやがれ!!』 | ||||||||
B面 | 分かってたまるか(A&M盤) ディド・ユー・ノー・ロング(ヴァージン盤) | |||||||
リリース | ||||||||
規格 | 7インチ・シングル | |||||||
録音 | ロンドン ウェセックス・スタジオ | |||||||
ジャンル | パンク・ロック | |||||||
レーベル | A&Mレコード(発売中止) ヴァージン・レコード | |||||||
作詞・作曲 | ジョニー・ロットン、スティーヴ・ジョーンズ、グレン・マトロック、ポール・クック | |||||||
プロデュース | クリス・トーマス | |||||||
チャート最高順位 | ||||||||
セックス・ピストルズ シングル 年表 | ||||||||
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「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」(God Save the Queen)は、イギリスのパンク・ロック・バンド、セックス・ピストルズが1977年5月27日に発表した楽曲[1]。バンドにとって2作目のシングルで、グレン・マトロック脱退後としては初のリリースとなった。また、後にリリースされたアルバム『勝手にしやがれ!!』にも収録された。
背景
作曲当時のイギリス国歌と同名異曲であるが、グレン・マトロックによれば、この曲が1976年に作られた当時は「ノー・フューチャー」と呼ばれていたという[6]。そして、1977年1月にデイヴ・グッドマンのプロデュースにより「ノー・フューチャー」というタイトルでレコーディングされ、この時のヴァージョンは海賊版・アルバムの『スパンク』(後に正規発売される)に収録された[7]。しかし翌月にはグレン・マトロックがバンドを脱退[7]。その後、クリス・トーマスのプロデュースでレコーディングを行い、3月9日に「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」のリミックスが行われて、バンドは同日にA&Mレコードとの契約を得た[8]。
リリース
当初はA&Mレコードから、「分かってたまるか (No Feelings)」をB面に収録してリリースされる予定だった[9][10]。しかし、契約から1週間後の3月16日に、バンドはA&Mとの契約を破棄されてしまう[11]。最終的にはヴァージン・レコードと新たに契約を得て、「ディド・ユー・ノー・ロング」(『勝手にしやがれ!!』には未収録)をB面に収録した形でリリースされた[12]。
なお、イギリスの雑誌『Record Collector Magazine』が2012年に行った、世界で最高額のレア・コレクター盤の調査によると、A&Mの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」のアセテート盤が3位(1万ポンド)、A&M盤シングル「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」が4位(8千ポンド)であった[10]。また、2012年に発売された『勝手にしやがれ!!』35周年記念ボックス・セットには、シングル「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」のA&Mヴァージョンの複製が付属している[13]。
反響
「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」は、BBCによって日中は放送禁止の措置を取られるが[14]、1977年6月4日付の全英シングルチャートで初登場11位となり[15]、翌週には2位を記録する[16]。ただし、本作がヒットしていた当時のイギリスはエリザベス2世の即位25周年に湧いており、この曲はそうしたムードにふさわしくなかったため、全英シングルチャートには空欄で掲載されたほか[17]、本作の1位獲得は計画的に阻止されたという説がある[18][19]。なお、『NME』誌のチャートでは本作が1位を獲得した[18]。
また、この曲はイギリス国外でも大ヒットしている。スウェーデンのアルバム・チャートでは2週連続で2位となり[3]、ノルウェーのアルバム・チャートでは15週連続でトップ10入りして、最高3位に達した[4]。
日本においても、「英国との国際親善を害する」という理由で日本民間放送連盟による要注意歌謡曲指定を受け、制度が失効する1988年まで放送禁止となるAランク適用を受け続けた[20][21]。
その後、2002年にはエリザベス2世の即位50周年にぶつける形で再発シングルが発売され[22]、全英シングルチャートで15位を記録[2]。また、2007年10月13日付の全英シングルチャートでも再登場して42位を記録している[2]。
本作についてジョン・ライドンは、反王政主義ではあるが反人間的ではないと表現している[17]。
評価
『ローリング・ストーン』誌が選出したオールタイム・グレイテスト・ソング500では175位にランク・イン[23]。また、ロックの殿堂公式サイトで選出された「ロックン・ロールを形作った500曲」の中に、この曲も含まれている[24]。
イギリスの雑誌『ニュー・ステイツマン』が2010年に選出した「トップ20ポリティカル・ソングス」では9位となった[25]。
他メディアでの使用例
「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」は、ドキュメンタリー映画『[シェイン] THE POGUES:堕ちた天使の詩』(2001年公開)[26]、ドキュメンタリー映画『マラドーナ』(2008年公開)[27]のサウンドトラックで使用された。
2012年ロンドンオリンピックの開会式では冒頭のショートフィルムで使用された。
2016年11月3日、保守党所属の国会議員であるアンドリュー・ロージンデルが午前の審議において、「イギリスの欧州連合離脱を機会に、公共放送局であるBBC Oneは毎日放送終了時に女王陛下万歳(現在の国王陛下万歳)を流すべきだ」という動議を提出した。11月4日夜、BBC Twoの番組である「BBC Newsnight」の終わりに、アンカーのカースティー・ワーク(Kirsty Wark)はこの動議にこたえるという形で、ピストルズの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」を流した[28][29]。
カヴァー
- アンスラックス - EP『Armed and Dangerous』(1985年)に収録[30]。
- モーターヘッド - アルバム『ウィ・アー・モーターヘッド』(2000年)に収録。
- 池澤春菜 - 声優6人が参加したパンク・ロックのカヴァー・アルバム『パンコレ〜voice actresses' legendary punk songs collection〜』(2009年)に収録[31]。
- ヌーヴェル・ヴァーグ - アルバム『3』(2009年)に収録[32]。
脚注
- ^ a b God Save The Queen 7" | Sex Pistols | Official Website - 2014年1月26日閲覧
- ^ a b c SEX PISTOLS | Artist | Official Charts
- ^ a b swedishcharts.com - God Save The Queen - Sex Pistols
- ^ a b norwegiancharts.com - God Save The Queen - Sex Pistols
- ^ charts.org.nz - God Save The Queen - Sex Pistols
- ^ The Sex Pistol who grew up - Telegraph - by Cole Moreton, 13 May 2012 - 2014年1月26日閲覧
- ^ a b God Save The Sex Pistols - Spunk Album - Written by Phil Singleton - 2014年1月26日閲覧
- ^ CLASSIC TRACKS: 'Anarchy In The UK' - soundonsound.com - 2014年1月26日閲覧
- ^ Sex Pistols - God Save The Queen (Vinyl) at Discogs - A&M盤の情報 - 2014年1月26日閲覧
- ^ a b 「世界で最も高価なレア・コレクターズ盤」2012年版トップ10 – 児島由紀子の「ロンドン通信」(2012/11/14) | ブログ RO69(アールオーロック) - ロッキング・オンの音楽情報サイト - 2014年1月26日閲覧
- ^ God Save The Sex Pistols - Day By Day: 1977 Part One
- ^ Sex Pistols - God Save The Queen (Vinyl) at Discogs - ヴァージン盤の情報 - 2014年1月26日閲覧
- ^ ザ・セックス・ピストルズの『勝手にしやがれ』35周年記念ボックス・セットの全貌が明らかに (2012/7/26) | 洋楽ニュース | RO69(アールオーロック) - ロッキング・オンの音楽情報サイト - 2014年1月26日閲覧
- ^ God Save the Queen - Sex Pistols | AllMusic - Song Review by Steve Huey - 2014年1月26日閲覧
- ^ 1977-06-04 Top Official Single Chart UK Archive | Official Charts
- ^ 1977-06-11 Top Official Single Chart UK Archive | Official Charts
- ^ a b “セックス・ピストルズ、エリザベス女王の戴冠70周年に際して記念硬貨が発売”. NME Japan. (2022年5月31日) 2022年6月1日閲覧。
- ^ a b 1977: the Queen's punk jubilee | Music | The Observer - 2014年1月26日閲覧
- ^ BBC News | Entertainment | Bragg Attacks Pistols' royal views - 2014年1月26日閲覧
- ^ 吉野健三『歌謡曲 流行らせのメカニズム』晩聲社 (ヤゲンブラ選書) 、1978年、120頁、244頁(同書113頁に1978年9月5日時点のものと記載)。
- ^ 森達也『放送禁止歌』光文社知恵の森文庫、2003年 71頁 ISBN 9784334782252
- ^ God Save The Queen by The Sex Pistols Songfacts
- ^ 500 Greatest Songs of All Time: The Sex Pistols, 'God Save the Queen' | Rolling Stone - 2014年1月26日閲覧
- ^ Experience The Music: One Hit Wonders and The Songs That Shaped Rock and Roll | The Rock and Roll Hall of Fame and Museum - 2014年1月26日閲覧
- ^ Top 20 Political Songs - newstatesman.com - 2014年1月26日閲覧
- ^ If I Should Fall from the Grace: The Shane MacGowan Story (2001) - Soundtracks - IMDb
- ^ Maradona by Kusturica (2008) - Soundtracks - IMDb
- ^ Robb, Simon (2016年11月4日). “BBC just trolled a conservative MP brilliantly with God Save the Queen”. Metro 2016年11月4日閲覧。
- ^ BBC Newsnight (2016年11月4日). “God Save The Queen playout - BBC Newsnight”. YouTube. 2022年5月10日閲覧。
- ^ Armed and Dangerous - Anthrax | AllMusic
- ^ ナタリー - 朝比奈みくるがニルヴァーナ!? 声優パンクカバー - 2014年1月26日閲覧
- ^ Nouvelle Vague - 3 (CD, Album) at Discogs - 2014年1月26日閲覧
「God Save the Queen (Sex Pistols song)」の例文・使い方・用例・文例
- 仮定法, 叙想法, 仮定法の動詞 《たとえば God save the Queen! の save》.
- 松井秀喜選手のニックネーム「Godzilla(ゴジラ)」が特別賞を受賞した。
- botherの単純過去系と過去分詞系
- 先行詞がthis,that,these,thoseの場合はwhichを用いるのが普通です。
- ウェストミンスター寺院 《the Abbey ともいう》.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 an admiral of the fleet 海軍元帥.
- ビザンチン教会, 東方正教会 《the Orthodox (Eastern) Church の別称》.
- 【文法】 相関接続詞 《both…and; either…or など》.
- 【文法】 相関語 《either と or, the former と the latter など》.
- 名詞相当語句 《たとえば The rich are not always happier than the poor. における the rich, the poor など》.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the corn exchange 穀物取引所.
- (英国の)運輸省. the Ministry of Education(, Science and Culture) (日本の)文部省.
- 前置詞付きの句, 前置詞句 《in the room, with us など》.
- 相互代名詞 《each other, one another》.
- 世界の屋根 《本来はパミール高原 (the Pamirs); のちにチベット (Tibet) やヒマラヤ山脈 (the Himalayas) もさすようになった》.
- 王立植物園 《the Kew Gardens のこと》.
- 王立オペラ劇場 《the Covent Garden Theatre のこと》.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the Speaker of the House of Commons 下院議長.
- =《主に米国で用いられる》 What time do you have?=Have you got the time? 今何時ですか.
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