アンペア【ampere】
読み方:あんぺあ
国際単位系(SI)の基本単位の一で、電流の強さの単位。1アンペアは、1秒間に電気素量の1/(1.602176634×10−19)倍の電荷が流れることに相当する電流として定義される。名称は物理学者アンペールにちなむ。記号A
[補説] 1アンペアは、かつて真空中に1メートルの間隔で平行に置いた、無限に長い2本の導線に等しい電流を流したとき、導線1メートルごとに2×10−7ニュートンの力が働くときの電流の強さとして定義されたが、2019年5月20日以降は、物理定数の電気素量を用いた新定義が適用された。
エー【A/a】
アンペア
フランスの物理学者A.M.アンペール(1775~1836年)の名にちなむ電流の単位。MKSA単位系、国際単位系(SI)の電気に関する基本単位で、記号ではAと記す。1Aは毎秒1クーロンの電気量が流れるときの電流の強さに相当する。自動車にはなんらかの理由で過大な電流が流れた場合、機器の破損や火災の発生を防ぐためヒューズが設置されている。それらのヒューズが切れた場合には、必ず定格電流表示(例えば3Aとか20A)のものと交換することが肝要である。
アンペア
アンペア 仏 ampère 英 ampere | |
---|---|
記号 | A |
系 | 国際単位系 |
量 | 電流 |
組立 | SI基本単位 |
定義 | 電気素量を1.602176634×10−19 Cとすることによって定まる電流 |
派生単位 | 無し |
由来 | 真空中に1mの間隔で平行に配置された無限に小さい円形断面積を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれを流れ, これらの導体の長さ1mにつき2×10−7Nの力を及ぼし合う一定の電流 |
語源 | アンドレ=マリ・アンペール |
アンペア(英: ampere [ˈæmpɛər]、記号 : A)は、電流の計量単位であり、ある瞬間に流れる電気の大小を表す[1]。量記号は I または i [2]でありIntensityに由来とされる。
国際単位系(SI)における7つのSI基本単位の一つである。アンペアという名称は、電流と磁場との関係を示した「アンペールの法則」に名を残すフランスの物理学者、アンドレ=マリ・アンペール(André-Marie Ampère)に因む[3]。
SI で定められた単位記号は" A "であるが、英語圏では amp と略記されることがある[4]。
なお、起磁力(量記号: F , Fm )や磁位差(量記号: Um )の単位も同じ「アンペア」という名称であるが、これは電流の単位アンペアから組み立てられた組立単位であり、定義が異なる。
定義
現在の「アンペア」は、以下のように定義されている。(第26回国際度量衡総会の決定。2019年5月20日施行)
∆νCs は 133Cs (セシウム)の超微細構造遷移周波数である。
以上の定義から、1アンペアとは、1秒間に電気素量の 1/(1.602176634×10−19) 倍の電荷(=電子又は陽子6.24150907446×1018個分に相当)が流れる電流強度である[6]。
計量法における定義
日本の法令上は、計量法第3条の規定に基づく計量単位令(平成4年政令第357号)が、計量単位令の一部を改正する政令(令和元年5月17日政令第6号)により改正され、2019年5月20日に施行することにより次のように変更された。国際単位系における定義と同一である。
なお、2019年以前の計量単位令では、直流電流と交流電流に分けてアンペアを定義していたが、2019年の新定義では、この区別は廃止された[7][8]。
- 旧定義(2019年まで)
真空中に一メートルの間隔で平行に配置された無限に小さい円形の断面を有する無限に長い二本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の長さ一メートルにつき千万分の二ニュートンの力を及ぼし合う直流の電流又はこれで定義したアンペアで表した瞬時値の二乗の一周期平均の平方根が一である交流の電流
- 新定義(2019年以降)
電気素量を十の十九乗分の一・六〇二一七六六三四クーロンとすることによって定まる電流
クーロンとの関係
2018年11月16日の第26回国際度量衡総会 (CGPM) にて行われたアンペアの定義の改正では、電気素量が正確に1.602176634×10−19 A s[9][10]と定義された。そこからアンペアの定義が、毎秒1クーロンの電荷を流すような電流が1アンペアである、と定義しなおされ、従前の定義とは依存関係が逆転することになった。
アンペアをクーロン(アンペア秒)やアンペア時と混同してはならない。アンペアは電流の単位であり、クーロン(アンペア秒)やアンペア時は電荷(電気量)の単位である。国際単位系においては、定電流・瞬時電流・平均電流はアンペアで表されるのに対して、ある体積内に蓄えられた電荷や、一定時間内にある面を通過した電荷の量はクーロンで表される。クーロンとアンペア(クーロン毎秒)の関係は、ジュールとワット(ジュール毎秒)、メートルとメートル毎秒の関係と同様である。
歴史
電磁気学が発展した当時用いられていたのはCGS単位系であり、その電流の単位は、「真空中に1センチメートルの間隔で同じ大きさの電流が流れているとき、両者の間に働く力が1センチメートルにつき2ダインであるときの電流」[11]と定義されていた。この単位は「電磁単位」(emu)と呼ばれ、今日ではアブアンペアとも呼ばれる。元々のアンペアは、電磁単位の10分の1の大きさとして定義された。このアンペアが、MKSA単位系において基本単位として選ばれた。
1948年以前は、銀の電解析出率に基づく国際アンペア (international ampere) と呼ばれる定義が用いられていた。国際アンペアは1893年の国際電気会議で発表された後、1908年の万国電気単位会議によって追認された国際電気単位の一つで[12]、硝酸銀水溶液中を通過する電気が 1 秒間当たり0.001118000 gの銀を析出させる電流として定義されていた[3][13]。現在の定義によるアンペアは国際アンペアと対比する際には絶対アンペアと呼ばれ、これら 2 つのアンペアの値は 1 国際アンペア = 0.99985 絶対アンペアとなる[3]。
2019年までの定義
アンペールの力の法則[14][15]によれば、電流が流れている2本の平行した針金の間には、電流の向きに応じて引き付けあうまたは反発する力が働く。この力が2019年5月までのアンペアの定義に用いられていた。このアンペアの定義は以下の通りである。
この定義は、1954年の第10回 CGPM で電流の基本単位として正式に決定された[18]。この定義では、結果的に真空の透磁率
名称 | 記号 | 次元 | 組立 | 物理量 |
---|---|---|---|---|
アンペア(SI基本単位) | A | I | A | 電流 |
クーロン | C | T I | A·s | 電荷(電気量) |
ボルト | V | L2 T−3 M I−1 | J/C = kg·m2·s−3·A−1 | 電圧・電位 |
オーム | Ω | L2 T−3 M I−2 | V/A = kg·m2·s−3·A−2 | 電気抵抗・インピーダンス・リアクタンス |
オーム・メートル | Ω·m | L3 T−3 M I−2 | kg·m3·s−3·A−2 | 電気抵抗率 |
ワット | W | L2 T−3 M | V·A = kg·m2·s−3 | 電力・放射束 |
ファラド | F | L−2 T4 M−1 I2 | C/V = kg−1·m−2·A2·s4 | 静電容量 |
ファラド毎メートル | F/m | L−3 T4 I2 M−1 | kg−1·m−3·A2·s4 | 誘電率 |
毎ファラド(ダラフ) | F−1 | L2 T−4 M I−2 | V/C = kg1·m2·A−2·s−4 | エラスタンス |
ボルト毎メートル | V/m | L T−3 M I−1 | kg·m·s−3·A−1 | 電場(電界)の強さ |
クーロン毎平方メートル | C/m2 | L−2 T I | C/m2= m−2·A·s | 電束密度 |
ジーメンス | S | L−2 T3 M−1 I2 | Ω−1 = kg−1·m−2·s3·A2 | コンダクタンス・アドミタンス・サセプタンス |
ジーメンス毎メートル | S/m | L−3 T3 M−1 I2 | kg−1·m−3·s3·A2 | 電気伝導率(電気伝導度・導電率) |
ウェーバ | Wb | L2 T−2 M I−1 | V·s = J/A = kg·m2·s−2·A−1 | 磁束 |
テスラ | T | T−2 M I−1 | Wb/m2 = kg·s−2·A−1 | 磁束密度 |
アンペア回数 | A | I | A | 起磁力 |
アンペア毎メートル | A/m | L−1 I | m−1·A | 磁場(磁界)の強さ |
アンペア毎ウェーバ | A/Wb | L−2 T2 M−1 I2 | kg−1·m−2·s2·A2 | 磁気抵抗(リラクタンス、英: reluctance) |
ヘンリー | H | L2 T−2 M I−2 | Wb/A = V·s/A = kg·m2·s−2·A−2 | インダクタンス・パーミアンス |
ヘンリー毎メートル | H/m | L T−2 M I−2 | kg·m·s−2·A−2 | 透磁率 |