エーゲ海 名称

エーゲ海

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/26 20:03 UTC 版)

名称

エーゲ海は以下の名称でも呼ばれる。

エーゲは古代ギリシャ語で波を意味した。エーゲ海は、ギリシャ語でアルキペラゴス(アルヒペラゴス、Αρχιπέλαγος / Arkhipélagos)とも呼ばれた。この言葉は「主要な海」( ἄρχι- / arkhi-「主要な」 と πέλαγος / pelagos「海」)を意味する。この語はのちに一般名詞化し「多島海」や「諸島・群島」を意味する「アーキペラゴ」(: archipelago)の由来となった。英語で語頭を大文字とし定冠詞を付した the Archipelago は、エーゲ海のことを指す。 the Archipelago に対して日本語で「多島海」という訳が宛てられることがあるが、上述の通りもともとの Αρχιπέλαγος 自体には「島が多い」という意味は含まれない。

神話によれば、テーセウスが生贄の一人としてクレータ島へ向かう際に無事脱出した場合には船に白い帆を掲げて帰還すると父王アイゲウスに約束していた。しかし約束を忘れて出航時の黒い帆のまま帰還したため、アイゲウスはテーセウスが死んだものと勘違いして絶望のあまり海へ身を投げて死んだ。この故事より彼の名に因んで「エーゲ海」(エポニムという)となったとされる。

地理

範囲

エーゲ海(表示はフランス語)

国際水路機関(IHO)は、地中海の下位に8つの海域を定義しており、エーゲ海はそのひとつである。国際水路機関の定義によれば、その境界は以下の各地点を結んだものである[3]

以下の各地点を結んだ線
ダーダネルス海峡
アナトリア半島の Kum Kale から、ガリポリ半島ヘレス岬英語版に至る線

エーゲ海の南ではその他の地中海(国際水路機関は名称を定義していない)と、ダーダネルス海峡ではマルマラ海と接する。

定義によっては、南西にイオニア海と、南東にレバント海と接するとされることもある。

下位の海域

エーゲ海の一部を、以下のような「海」の名で呼ぶことがある。

  • クレタ海 - エーゲ海の南部、キクラデス諸島とクレタ島の間の海
  • ミルトア海英語版(ミルトー海) - キクラデス諸島のとペロポネソス半島の間の海
  • イカリア海 - キクラデス諸島とアナトリア半島の間の海
  • トラキア海英語版(トラーキ海) - エーゲ海北東部

このほか、以下のような湾がある。

エーゲ海は大小合わせておよそ 2,500 の島々が浮かぶ多島海である。大半はギリシャに属しているが、ボズジャアダ(ボズジャ島、Bozcaada)とギョクチェアダ(ギョクチェ島、Gökçeada)についてはトルコ領となっている。

エーゲ海の島々はいくつかの諸島に分類される。北エーゲ諸島エヴィア島スポラデス諸島キクラデス諸島サロニカ諸島ドデカネス諸島それにクレタ島である。

エーゲ海沿岸はリアス式海岸が多く、天然の良港になっている。しかし、古代・中世にはエーゲ海の航海は決して安全なものではなかった。

歴史

周辺はエーゲ文明の発祥地。

古代には、クレタ島ミノス文明ペロポネソス半島ミケーネ文明が誕生した。さらに時代を下ると、アテナイスパルタに代表される多くの都市国家により形成された古代ギリシャ文明が生じた。他にもペルシャローマ帝国東ローマ帝国ヴェネツィア共和国ヴェネツィア領クレタおよびナクソス公国を参照)、そしてオスマン帝国がエーゲ海周辺に国家を形成した。ヨーロッパアジアを結ぶ中継地として中世以降も繁栄した。


  1. ^ Aegean Sea | Mediterranean Sea”. Encyclopedia Britannica. 2023年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月14日閲覧。
  2. ^ The Greco -Turkish dispute over the Aegean Sea”. Indian Council of World Affairs (Government of India). 2024年2月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月14日閲覧。
  3. ^ "Limits of Oceans and Seas, 3rd edition" (PDF) (英語). International Hydrographic Organization. 1953. p. 18. 2011年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ (PDF)。2021年10月20日閲覧(h) Aegean Sea (The Archipelago).


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