セト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/02 16:19 UTC 版)
概要
大地の神ゲブを父に、天空の女神ヌトを母に持つ。二柱の間に生まれた四柱の神々の三男であり、冥界の神オシリスを兄に、豊穣の女神イシスを姉、葬祭の女神ネフティスを妹に持つ。配偶神は妹でもあるネフティス、彼女との間にアヌビス、ネイトとの間にセベクを成した。[1]
オシリスとイシスの伝説において、兄オシリスを殺害し「兄殺し」の汚名を受け、オシリスとイシスとの間に出来た息子ホルスと王位を巡って争い敗れたためにセトは嫌われ者の神となり、悪神として捉えられた。セトの象徴となっている動物たちはみな、古代エジプトにおいて、人々に有害なものとされてきた存在であり、ファラオが直接狩りを行う風習が生まれるなどその嫌われようがうかがえる。しかしながら、セトは英雄的な一面も併せ持ち、太陽神ラーの航海では邪悪な大蛇アポピスからラーを守ることが出来る唯一の神とされ、讃えられた。
外見
セトはジャッカル(エジプトジャッカル=オオカミ)の頭をした神であると思われているが、壁画などで表現されているセトの頭はツチブタのものである[要出典]。一般的に四角い両耳、先の分かれた尾(パピルスの花)そして曲がって大きく突き出した鼻を持ち、犬、ツチブタ、ジャッカルのほか、シマウマ、ロバ、ワニ、ブタ、そしてカバなどとも結びつけられている。このため、想像上の動物(合成獣)をわざわざ作ってセトに充てたとする説も存在する。この正体不明な動物を英語では「セト・アニマル」と呼ぶ。このように様々な動物を合体させて想像上の動物を作り神に充てる例は多く、他にトエリスが挙げられる。
セトの図像が手にしているのは、生命を意味する「アンク(Ankh)」と権力と支配(統治)、権威と繁栄を意味する「ウアス(Ouas/ウス/ウァズ)」と呼ばれる杖である。ウアス杖は、王権の守護神や王が持つとされヒエログリフにもなっている。ウアス杖の頭は、セトやアヌビスの頭とされる。ウアス杖の先端は二股になっており、古くからある蛇避けの杖の名残であるとされる。
名称
セトはセトゥ(Seth)、セテカー(Setekh)、セティ(Seti)、ステカー(Sutekh)、テューポーン(Typhon)など他の呼び名も持つ。
- ^ “Gods of Ancient Egypt: Sobek”. www.ancientegyptonline.co.uk. 2022年5月24日閲覧。
セトと同じ種類の言葉
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