バレエ用語の一覧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/03 14:28 UTC 版)
た
タイツ
ほとんどのバレエダンサーは、練習の際、または本番でも一部のコンテンポラリーやキャラクター・ダンス、あるいはヴァリアシオンを演じる場合を除いて、タイツを着用する。
ターンアウト
Turn out。脚を付け根から外旋させ、両脚の膝と足が互いに反対側を向いた状態。フランス語ではこれもアン・ドゥオールという。
タンジュ、タンデュ
Tendu(フランス語発音: [tɑ̃dy]、「伸ばされた」の意)。バットマン・タンジュの略語。動脚を徐々に前、横または後ろに伸ばしながら、足を足底が床に着いた状態からドゥミ・ポワントを経て爪先だけが床に着いている状態にする(タンジュ・ア・テール)か、爪先だけが床から浮いた状態にする(タンジュ・アン・レール)動作。
ダンスーズ
Danseuse(フランス語発音: [dɑ̃søz])。女性バレエダンサー。
ダンスール
Danseur(フランス語発音: [dɑ̃sœʁ])。男性バレエダンサー。
ダンスール・ノーブル
Danseur noble(フランス語発音: [dɑ̃sœʁ nɔbl])クラシック・バレエにおける王子などの高貴な身分の役柄の表現に優れた男性バレエダンサー。
タン・リエ
Temps lié(フランス語発音: [tɑ̃ lje]、「繋がった拍」の意)。滑る動きを伴わずに、ポジションを移しながら重心を一方の脚から他方の脚に滑らかに移す動作をいう。たとえば、やわらかいドゥミ・プリエで足を5番から4番または2番ポジションを通りながら前後左右に重心の移動を行う一連の動作を指す。
タン・ルヴェ
Temps levé(フランス語発音: [tɑ̃ l(ə)ve]、「時間の経過」の意)。チェケッティ・メソッドの用語で、片足で跳び、もう一方の足が任意の位置に上がっていることを指す。足の甲が地面を離れるときに完全にアーチ型になるように、爪先の力とドゥミ・プリエから伸ばす脚のバネで跳ばなければならない。
チェケッティ・メソッドでは、5番ポジションで片方の足を上げてスュル・ル・ク・ドゥ・ピエにしたところから跳ねる動きを指す。ロシアやフランスでは、同じ動きをシソンヌ・サンプル(sissonne simple)という。
タン・ルヴェ・ソテ
Temps levé sauté(フランス語発音: [tɑ̃ l(ə)ve sote]、「拍を置いたジャンプ」の意)。ロシアのバレエ学校での用語で、あるポジションからドゥミ・プリエして両足で跳び上がり、同じポジションに降りる動作をいう。同じポジションに降りなければ単なるソテである。片足で行うとタン・ルヴェになる。
チュチュ
何枚か重ねたチュール布またはターラタンで作ったスカート。通常はウェストまたはヒップのラインで平らに作られる(クラシック・チュチュ)。平らにせず、自由に流したものはロマンティック・チュチュという。
ディヴェルティスマン
Divertissement(フランス語発音: [divεrtismɑ̃]、「余興、気晴らし」の意)。ディベルティスマンとも。ストーリーの流れとは直接関係のない、多彩な小品が連続して踊られる場面のこと。しばしば技巧的な振付でダンサーの見せ場となることもある。
デヴェロッペ
Développé(フランス語発音: [devlɔpe])。デヴロッペとも。タン・デヴェロッペ(temps développé)の略語。脚を持ち上げてク・ドゥ・ピエまたはルティレにした後、完全に外側に伸ばしてアティチュードを経て下ろす動作。動かす向きは前(ドゥヴァン)、横(ア・ラ・スゴンド)または後ろ(デリエール)のいずれかが指定される。
デガジェ
Dégagé(フランス語発音: [deɡaʒe]、「解放された」の意)。バットマン・デガジェ(battement dégagé)の略語。動脚の足をタンジュを経て45度またはそれ以下の角度に鋭く擦り出す動作。デガジェは、ジュテ、アッサンブレ、ブリゼ、グリッサードなどのジャンプの開始動作にあたる。
これは主にチェケッティ・メソッドやRADにおける用語で、ロシアではバットマン・タンジュ・ジュテ(battement tendu jeté)、フランスではバットマン・グリッセ(battement glissé)という。
デブーレ
Déboulé(フランス語発音: [debule]、「急いで」の意)。シェネ(レ・トゥール・シェネ・デブーレ、les tours chaînés déboulés)と同じ動きを指す別の用語。両脚をほぼ閉じたまま、アン・ポワントまたはドゥミ・ポワントで片足を踏んで半回転、続いてもう一方の足を踏んでもう半回転することで素早く1回転する動作。
デリエール
Derrière(フランス語発音: [dɛʁjɛːʁ]、「後ろ」の意)。後ろで、または後ろに動かすことを言う。たとえば、バットマン・タンジュ・デリエールといえば、身体の後ろでバットマン・タンジュを行う。
ドゥヴァン
Devant(フランス語発音: [dəvɑ̃]、「前」の意)。タンジュ・ドゥヴァン、またはアティチュード・ドゥヴァンのように、前を向く、あるいは前方に動くことを指す。
ドゥオール
Dehors(「外向き」の意)。アン・ドゥオール(en dehors、フランス語発音: [ɑ̃ dəɔʁ])で 「外向きに」となる。外側への動き。
- 脚を前または横から振り出して、後ろに向かって動かす円運動を指す。動脚が右脚の場合は時計回り、左脚の場合は反時計回りとなる。ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・ドゥオールの場合、1番ポジションで始まって脚を前にタンジュ、そこから横にタンジュ、後ろにタンジュして前に戻して1番ポジションに降りる。
- 動脚の方向への回転運動を指す。ピルエット・アン・ドゥオールというと、左脚を上げているダンサーは左に回る(動脚が左なので左がアン・ドゥオールの方向)。アン・ドゥダンの反対の動き。
ドゥダン
Dedans(「内向き」の意)。アン・ドゥダン(en dedans、フランス語発音: [ɑ̃ dədɑ̃])で 「内向きに」となる。内側への動き。
- 脚を後ろまたは横から振り出して、前に向かって動かす円運動を指す。動脚が右脚の場合は反時計回り、左脚の場合は時計回りとなる。ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・ドゥダンの場合、1番ポジションで始まって脚を後ろにタンジュ、そこから横にタンジュ、前にタンジュして後ろに戻して1番ポジションに降りる。
- 軸脚の方向への回転運動を指す。ピルエット・アン・ドゥダンというと、左脚を上げているダンサーは右に回る(動脚が左なので軸脚は右、従って右がアン・ドゥダンの方向)。アン・ドゥオールの反対の動き。
ドゥッシュ
Dessus(フランス語発音: [dəsy]、「上」の意)。ステップ中に後脚をもう一方の脚の前に着けて降りなければならないことを表す。たとえばアッサンブレやパ・ド・ブーレ、グリッサードの際に指示される。
ドゥッスゥ
Dessous(フランス語発音: [dəsu]、「下」の意)。ステップ中に前脚をもう一方の脚の後ろに着けて降りなければならないことを表す。たとえばアッサンブレやパ・ド・ブーレ、グリッサードの際に指示される。
ドゥブル、ダブル
Double(フランス語発音: [dubl]、「ダブル」の意)。ある動作を2回行うことを示す。ドゥブル・ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・レールといった場合、ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・レールを2回行う。
ドゥミ、デミ
Demi(フランス語発音: [dəmi]、「半分」、「少し」の意味)。プリエ、ポワントなどの動作やポジションに付加して、「小さく」「少し」を示すのに用いる。
ドゥミ・デトゥルネ
Demi-détourné(フランス語発音: [dəmi detuʁne])。両足で行う半回転の動作。たとえば、右足を前にした5番ポジションから始める場合、ドゥミ・ポワントで立ってドゥミ・プリエからルルヴェして内側(アン・ドゥダン、この場合は後ろ脚となる左脚が軸脚なので左周り)に半回転する。このとき足のポジションが変わり、左足が前の5番ポジションとなる。
ドゥミ・ポワント
Demi-pointe(フランス語発音: [dəmi pwɛ̃t])。踵を床から浮かせ、一方または両方の足の母指球で体重を支えて立つこと。
トゥール・アン・レール
Tours en l'air(フランス語発音: [tuʁz ɑ̃ l ɛːʁ]、「空中で回る」の意)。空中で回転するジャンプで、通常は男性が行う。着地は両足、あるいは片足でもう一方の足を伸ばしたアティチュードまたはアラベスクで降りる。ヴァリアシオンの締めのように、片膝を床に着いてもよい。シングルは360度、ダブルは720度の回転となる。ヴァーツラフ・ニジンスキーはトリプルのトゥール・アン・レールを行ったことで有名である。
トンベ
Tombé(フランス語発音: [tɔ̃be]、「落ちた」の意)。降りる動き。例えばパ・ド・ブーレなど移動ステップへの導入動作として用いられる。トンベ・アン・ナヴァンは前方にクペして4番ポジションのドゥヴァンにデガジェして始まり、伸ばした脚を床に下ろして脚をプリエし、重心を前脚に移しながら後ろ脚を床から持ち上げてデガジェ(4番のデリエール)する。2番へのチンベは前脚を2番にデガジェして始め、前足を床に下ろして脚をプリエ、後ろ脚は床から持ち上げて逆側の2番にデガジェする。トンベ・アン・ナヴァンはクペの代わりに足を小さく擦り上げて始めてもよい。
ワガノワ・メソッドではシソンヌ・ウーヴェルト・トンベの略でトンベという。
- ^ Warren, Gretchen Ward. Classical Ballet Technique, University of South Florida Press, 1989, p. 15.
- ^ Grant, Gail. Technical Manual and Dictionary of Classical Ballet, Third Edition, Dover Publications, 1982, p. 62.
- ^ “Definition of GARGOUILLADE” (英語). www.merriam-webster.com. 2021年1月13日閲覧。
- ^ Barker/Kostrovitskaya: 101 Lessons in Classical Ballet - 1977
- ^ Grant, Gail. Technical Manual and Dictionary of Classical Ballet, Third Revised Edition, Dover Publications, Inc., 1982, p. 113.
- ^ “Balletomane”. merriam-webster.com (2011年). 2011年12月23日閲覧。
- ^ Jennings, Luke (2011年11月10日). “MoveTube: Anthony Dowell dances the Prince's solo from Swan Lake Act I”. Guardian (London, UK) 2012年6月12日閲覧。
- ^ Ballet glossary - Royal Opera House at the Wayback Machine (archived October 16, 2011)
- ^ Grant, Gail. Technical Manual and Dictionary of Classical Ballet, Third Revised Edition, Dover Publications, Inc., 1982, p. 101.
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