微分作用素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/16 13:52 UTC 版)
座標に依存しない記述
微分幾何学や代数幾何学において、二つのベクトル束の間の微分作用素の座標に非依存な記述をすることが便利なことがある。E および F は可微分多様体 M 上のベクトル束とする。切断の空間上の R-線型写像 P: Γ(E) → Γ(F) がk-階の線型微分作用素であるとは、ジェット束 Jk(E) を通して分解するときに言う。即ち、ベクトル束の間の線型写像
が存在して、
が成り立つ。ここに jk: Γ(E) → Γ(Jk(E)) は、E の任意の切断にそのk-次のジェットを対応付ける延長 (prolongation) 写像である。
これはちょうど、与えられた E の切断 s に対し、点 x ∈ M における P(s) の値は x における s の k-階の無限小の振る舞いにより完全に決定されることを意味する。特にこのことから、P(s)(x) は s の芽により決定されることが従い、またこれは微分作用素が局所的であるということで表される。基本的結果は、このステートメントの逆である任意の(線型)局所作用素は微分作用素であるというペートルの定理(Peetre theorem)である。
可換環論との関係
同じことではあるが、線型微分作用素の純代数的な記述は、次のようになる。R-線型写像 P は、任意の k + 1 個の滑らかな函数 に対して
が成り立つときに、k-次線型微分作用素である。ここに、括弧積 は、交換子
として定義される。この線型微分作用素の特徴付けは、線型微分作用素が可換代数上の加群の間の特別な写像であり、この概念を可換環論の一部と見なせることを示している。
- ^ Weisstein, Eric W. "Theta Operator". mathworld.wolfram.com (英語).
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