殺陣
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殺陣とアクションの歩み
戦前の邦画アクションは時代劇の殺陣が中心で、現代活劇のアクションには技斗という名称もまだなく傍流の位置づけであった[7]。『子連れ殺人拳』や『激殺! 邪道拳』では、千葉真一と戦闘相手のジャパンアクションクラブの演者は実際に殴打技・蹴り技を打撃し合い、これらをノーマルスピードからハイスピードへ切り替わりながらワンカットで撮影された[17]。当時はCGがなかったためにこの技法が採用され、信憑性と凄みのある映像となっている[17]。ほかにも五社英雄は斬られた時の効果音の開発や、鉄身を使って刃引きはしてあるものの重量は真剣と同じものを使用し、夏八木勲を主演に据えた『牙狼之介』と『牙狼之介 地獄斬り』では[18]、様式美的な殺陣とは対極的なリアル感を表現していた[19]。夏八木は「東映京都撮影所では竹光を使うが、五社さんの場合は鉄身だから刀と刀がぶつかると『パシャーン』といい音がして、火花が散ることもあった。五社さんは『刀は本当に当てろ。当てないと噓になるからな』と指示してくるのに対して、東映では腹すれすれで斬ったように見せる流儀があった」と様々な手法があることを語っている[19]。
殺陣の類似例としては、西洋劇のステージ・コンバット(stage combat)があり、これは本当に攻撃や防御を行っているように効果的かつ安全に戦闘シーンを見せる技術をいう[20]。
高瀬将嗣は『基礎から始めるアクション』で、1920年代から30年代のサイレント映画の俳優はスタントマンさながらの演技を行っていた[1]。1923年の『要人無用』で主演を務めたハロルド・ロイドは、別の映画作品の撮影中に指を欠損する事故を負いながらも、時計台にぶら下がるアクションシーンを演じた[21]。サイレント映画にはセリフがなく俳優の体当たりのアクションが演技の原点となっていた[7]。その後、西部劇が登場したが、西部劇の格闘シーンはベア・ナックル・ファイトと呼ばれ、日本の現代活劇の殺陣にも影響を与えた[22]。さらに、1970年代のブルース・リーの『燃えよドラゴン』(1973年)などの格闘シーンは、その後のアクション・スタイルを一変させた[12]。以上を紹介している[1][7][21][22]。
CG、特撮技術の進歩で役者と殺陣のあり方が変化している昨今だが、役者自身が鍛錬、研鑽を重ね、一途に殺陣を極める姿勢も伝統芸能として大切であると考える。
- ^ a b c d 高瀬將嗣著『基礎から始めるアクション』雷鳥社 p.12 2013年
- ^ なにわ人物伝 -光彩を放つ-沢田正二郎 ―さわだ しょうじろう―
- ^ 小川順子『殺陣という文化-チャンバラ時代劇映画を探る』世界思想社、2007年、15-16、31-32頁
- ^ 殺陣 語源由来辞典
- ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)「殺陣」
- ^ 東映1964年の大殺陣は「だいさつじん」(岡田茂 (東映)#「うちで当てたやつのタイトル、ほとんどつけた」)。なお同作に出演している大友柳太朗や河原崎長一郎が属する新国劇では「さつじん」と言う模様(チャンバラ#概要)。
- ^ a b c d e 高瀬將嗣著『基礎から始めるアクション』雷鳥社 p.13 2013年
- ^ a b c d e f g h 小川順子「チャンバラ時代劇映画における「殺陣」の変遷」『日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要』第24巻、国際日本文化研究センター、37-54頁、doi:10.15055/00000685。
- ^ “インタビュー <日曜のヒーロー> 第355回 千葉真一”. 日刊スポーツ (nikkansports.com). (2003年3月30日). オリジナルの2011年12月24日時点におけるアーカイブ。 2009年6月26日閲覧。
- ^ 黒田邦雄「ザ・インタビュー 千葉真一」『KINEJUN キネマ旬報』第1655巻第841号、キネマ旬報社、1982年8月1日、130 - 133頁。
- ^ 橋本与志夫「出演者陣の“酔いどれ講釈”」(パンフレット)『第IV回JACミュージカル 酔いどれ公爵』、新宿コマ・スタジアム、1985年4月1日、32頁。
- ^ a b c d e 高瀬將嗣著『基礎から始めるアクション』雷鳥社 p.15 2013年
- ^ a b c 坂本浩一 1996, pp. 161–163, 日本のアクション監督.
- ^ a b 坂本浩一 1996, pp. 163–169, アメリカのアクション監督.
- ^ セカンドユニットは主演俳優の映らないシーンを撮影し、スタントシーンも担当するため[14]
- ^ 殺陣師・アクションスーパーバイザー 13歳のハローワーク
- ^ a b 中村カタブツ『極真外伝 〜極真空手もう一つの闘い〜』ぴいぷる社、1999年、172 - 186頁。ISBN 4893741373。
- ^ あの人に会いたい File No.369 夏八木勲(なつやぎ いさお)1939~2013 - ウェイバックマシン(2013年10月12日アーカイブ分)NHKアーカイブス
- ^ a b 春日太一「夏八木勲さん 五社監督と「刀を当てる」殺陣の流儀を貫いた」『週刊ポスト』2013年4月26日号、NEWSポストセブン、2013年5月13日、 オリジナルの2013年7月14日時点におけるアーカイブ、2013年7月14日閲覧。
- ^ ステージ・コンバット デラルテ舎、2019年1月6日閲覧。
- ^ a b 高瀬將嗣著『基礎から始めるアクション』雷鳥社 pp.12-13 2013年
- ^ a b 高瀬將嗣著『基礎から始めるアクション』雷鳥社 p.14 2013年
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