白河の関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/02 07:11 UTC 版)
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白河検問所
現代においては、福島県警察の白河警察署が西白河郡西郷村大字小田倉字稗返103(北緯37度06分39.3秒 東経140度08分44.7秒 / 北緯37.110917度 東経140.145750度)の国道4号沿いに、常設の検問所『白河検問所』を設置している。
関東地方から東北地方への犯罪流入を防ぐことを目的とし、「現代の白河関」と称されている。
1975年(昭和50年)に設置された後、東北自動車道の開通に伴い交通量が減ったため1984年(昭和59年)から実質休止していたが、2004年(平成16年)5月27日より復活した。
高校野球における引用
「白河の関越え」の悲願
高校野球の甲子園大会(春の選抜高等学校野球大会、夏の全国高等学校野球選手権大会)の歴史において、東北6県(青森県・秋田県・岩手県・山形県・宮城県・福島県)の学校は100年間以上にわたり、一度も優勝を経験したことがなかった[2]。
1915年の第1回大会[注釈 3]で秋田中学校が決勝戦で京都第二中学校に敗れ、惜しくも優勝を逃して以降、2021年の第103回 夏の甲子園、2022年の第94回 春の甲子園に至るまで、東北勢は決勝戦進出こそ12回(夏に9回、春に3回)経験したものの、12回とも敗れて準優勝に終わっていた[6]。
そのため同大会では「優勝旗(大深紅旗)は白河の関を越えていない」と称され[7]、東北勢の優勝は「白河の関越え」と称されて長年の悲願となっていた[2]。
1997年以降、白河の関跡近くに建つ白川神社は、白河の関越えを祈願して東北6県の出場校に「通行手形」を贈呈するようになった[8]。
東北勢が優勝できない要因として、「東北のような雪国ではグラウンドが毎年数ヶ月は雪に閉ざされるため、練習機会に恵まれず不利である」とも評されていた[7]。
北海道へ優勝旗が渡る
2004年の第86回 夏の甲子園では、東北よりもさらに北に位置する北海道地方の駒澤大学付属苫小牧高校が初優勝し、優勝旗が北海道へと初めて運ばれた[7]。
そのため「優勝旗はすでに白河の関を越えた」とも評されたが、飛行機での空輸だったことから「陸路で白河の関を越えてはいない」との評も根強く、「東北6県に優勝旗をもたらす」という悲願は継続していた[7]。
黒獅子旗は白河の関を越える
また、社会人野球の最高峰である都市対抗野球大会においても、1927年の第1回大会から2005年の第76回大会に至るまで東北地方のチームには優勝経験がなかったが(北海道勢は1974年の第45回大会で大昭和製紙北海道が初優勝)、2006年の第77回大会において秋田県にかほ市のTDKが優勝し、東北初の社会人野球日本一に輝いた。
これにより「黒獅子旗は白河の関を越えた」と称された(黒獅子旗は同大会の優勝旗)[9]。
「白河の関越え」の達成
2022年の第104回全国高校野球選手権大会において、福島県代表・聖光学院高校と宮城県代表・仙台育英学園高校の2校が準決勝へ進出した。また、先立った準々決勝では、この年の春の選抜高校野球ですでに優勝し3度目の春夏連覇を狙った強豪・大阪桐蔭高校[注釈 4]が山口県の新鋭・下関国際高校に敗れたこともあり、かつてない程に東北初の甲子園制覇への期待が高まった。
準決勝では仙台育英と聖光学院の直接対決が組まれ、仙台育英が決勝戦へ勝ち上がった。これを受け、白河関跡では白河市によって決勝戦のパブリックビューイングが開催された(史上2度目。前回は2018年の金足農業高校 - 大阪桐蔭高校の決勝戦)[2][10]。
そして、8月22日の決勝戦で仙台育英は下関国際を8-1で下し、東北初の甲子園制覇を決めた[2]。これにより「優勝旗が白河の関を越えた」と歓喜された[11]。白河関跡でも優勝の瞬間を地元住民ら約80人が観戦し、喜びを分かち合った[2][10]。
翌8月23日、仙台育英の選手団は優勝旗と共に新幹線(東海道新幹線・東北新幹線)で宮城県に帰還した[12]。これにより、陸路での白河の関越えを果たすと同時に優勝旗が初めて東北地方入りした[13]。同日14時台に白河市を通過した際は選手らがスマートフォンの位置情報サービスなどで乗車している列車が東北入りしたのを確認した上で記念撮影を行った[12][14]。
優勝翌日の8月23日以降、白河神社には多くの参拝客が訪れ、「仙台育英高校優勝記念」と記した朱印が人気となった[8]。8月25日、宮司の西田重和は「(人手は)通常の10倍」、「優勝を機に有名になればうれしい。『高校野球で東北は弱い』というイメージも払拭したい」と話した[8]。
- ^ a b c d e f g h i j k l 小沢一成 (2022年8月26日). “今さらですが「白河の関」とは? 仙台育英の快挙で注目ワードに 1000年の扉を開けてみました”. 河北新報 2022年8月27日閲覧。
- ^ a b c d e f “「生きているうちに見られて最高」 東北勢初優勝、白河関跡でも歓喜”. 朝日新聞. (2022年8月22日) 2022年8月22日閲覧。
- ^ 「白河関跡」『日本歴史地名大系7 福島県の地名』平凡社、1993年。
- ^ 「福島県の歴史」『県史シリーズ7』小林清治、山田舜共著 山川出版社、1970年。
- ^ a b c “なぜ東北人は仙台育英V「白河越え」に熱くなるのか? 戊辰戦争からの鬱屈が・・・!?”. TBC東北放送. (2022年8月26日) 2022年8月27日閲覧。
- ^ “東北勢の決勝は12戦12敗 「白河の関越え」挑戦の歴史を振り返る”. 河北新報. (2022年8月22日) 2022年8月23日閲覧。
- ^ a b c d “今さら人に聞けない…高校野球の「白河の関越え」って?太田幸司や吉田輝星…東北球児たちの闘いは:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2022年8月22日閲覧。
- ^ a b c “福島「白河の関」にぎわう 甲子園優勝祝う御朱印人気”. 産経新聞. (2022年8月26日) 2022年8月27日閲覧。
- ^ 土江洋範 (2021年12月3日). “都市対抗野球・七つのトリビア 黒獅子旗は「白河の関」越えた? 東北球児の壁、社会人では…”. 毎日新聞 2022年8月23日閲覧。
- ^ a b “「白河の関」で決勝戦PV 「ついにこの日が訪れた」”. 河北新報 (2022年8月22日). 2022年8月24日閲覧。
- ^ “【速報】「優勝旗が白河の関を超えた」仙台育英が下関国際を下し優勝 東北勢初“日本一” 夏の甲子園”. TBS NEWS DIG. 2022年8月22日閲覧。
- ^ a b “ついに優勝旗が白河の関を越えた! 仙台育英ナインが乗車した新幹線が通過!”. スポーツニッポン (2022年8月23日). 2022年8月24日閲覧。
- ^ “白河の関を陸路で越え、深紅の優勝旗が初の東北到着…仙台育英が凱旋”. 読売新聞 (2022年8月23日). 2022年8月24日閲覧。
- ^ “優勝旗が白河越えた!甲子園V仙台育英ナインを乗せた東北新幹線が午後2時19分に新白河駅通過”. 日刊スポーツ (2022年8月23日). 2022年8月24日閲覧。
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