第14族元素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 07:41 UTC 版)
性質
第14族元素は価電子にs2p2の4電子を持つ電子構造を有する。
炭素 6C |
ケイ素 14Si |
ゲルマニウム 32Ge |
スズ 50Sn |
鉛 82Pb | |
---|---|---|---|---|---|
電子配置 | [He]2s22p2 | [Ne]3s23p2 | [Ar]3d104s24p2 | [Kr]4d105s25p2 | [Xe]4f145d106s26p2 |
第1イオン化エネルギー (kJ mol-1) |
1086.5 | 786.5 | 762 | 708.6 | 715.6 |
第2イオン化エネルギー (kJ mol-1) |
2352.6 | 1577.1 | 1537.5 | 1411.8 | 1450.5 |
第3イオン化エネルギー (kJ mol-1) |
4620.5 | 3231.6 | 3302.1 | 2943.0 | 3081.5 |
第4イオン化エネルギー (kJ mol-1) |
6222.7 | 4355.5 | 4411 | 3930.3 | 4083 |
電子付加エンタルピー (kJ mol-1) |
- | - | 115.78 | 115.78 | 35.12 |
電子親和力 (kJ mol-1) |
121.85 | 133.63 | - | - | - |
電気陰性度 (Allred-Rochow) |
2.50 | 1.74 | 2.02 | 1.72 | 1.55 |
イオン半径 (pm; M2+) |
- | - | 87(6配位) | - | 133(6配位) 143(8配位) 163(12配位) |
イオン半径 (pm; M4+) |
6(3配位) 29(4配位) |
40(4配位) 54(6配位) |
53(4配位) 67(6配位) |
69(4配位) 83(6配位) |
79(4配位) 92(6配位) 108(8配位) |
共有結合半径 (pm) |
77 | 111 | 122 | 141 | 147 |
van der Waals半径 (pm) |
170 | 210 | - | 217 | 202 |
融点 (K) |
3773 | 1687 | 1211.4 | 505.08 | 600.61 |
沸点 (K) |
5100 | 3173 | 3093 | 2875 | 2022 |
還元電位 E0 (V) | - | 0.102 (Si(s)/SiH4) | 0.00 (Ge+2/Ge(s)) | +0.01(Sn4+/Sn(s)) -0.136(Sn2+/Sn(s)) |
-0.126(Pb2+/Pb(s)) |
第14族元素は共有結合性最多価の炭素と金属である鉛の間の元素は両者の性質を兼ね備えつつ周期が大きくなるにつれて金属的な性質が増大してゆく。そして、ケイ素、ゲルマニウム、スズは電気伝導性からは半導体に分類され、特にケイ素とゲルマニウムとは真性半導体としてエレクトロニクスの基盤となる素材でもある。
共有結合化合物の炭素とケイ素では、炭素は単体が鎖構造として長く連なるカテネーション性を示すのに対して、ケイ素では単体も示すもののむしろ酸化物の方が強くカテネーション性を示す。それゆえ、この炭素の性質は、4価の共有結合を持つことと共に、多様な炭素骨格を形成し、膨大な有機化合物を形成する要因のひとつとなっている。一方の酸化ケイ素のカテネーション性は多彩な岩石(ケイ酸化合物)の特性となって現れ、工業的にはケイ素樹脂として利用されている。
また、スズや鉛は精錬しやすい鉱石として産出するので先史時代(文字で歴史が記録されるより前の時代)より金属資源として人類に活用されてきた。一方、ゲルマニウムは地殻に広く分布し、有用な鉱石もないことから利用されるようになったのは20世紀に入ってからである。実際、ゲルマニウムとスズは半金属であり、特にβスズは金属結合性を示すのに対し、αスズは共有結合性を示すなど、状況に応じて二面性を示すことが特徴的である。鉛および鉛化合物は共有結合的性質をほとんど示さない。
スズや鉛は2価の陽イオンが酸化的に安定なのに対して、ゲルマニウム2価は不安定で不均化により4価のイオンを生成しやすい。スズおよび2価のスズ化合物は温和な還元剤として利用されるが、4価の鉛化合物は酸化力が強く酸化剤として利用される。
第14族元素の一部は炎色反応を示す。
スズ | 鉛 |
---|---|
淡青色 | 淡青色 |
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