軟体動物 分類群

軟体動物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/08 04:50 UTC 版)

分類群

綱名 綱名(英語) 概説 日本産の種数
腹足綱 Gastropoda 「巻貝類を含む軟体動物最大のグループ」[1]。通常は螺旋状に巻いた貝殻と蓋を持つ[2]カサガイサザエ、クロアワビ、オキナエビス有肺類(カタツムリナメクジなど)、後鰓類ウミウシなど)を含む[2]。ただし後鰓類が分子系統解析の観点から解体されるなど、腹足綱内部の系統関係は見直しが進みつつある[1] 7548
単板綱 Monoplacophora 殻は腹足綱のカサガイに酷似[1]。貝殻筋、鰓、腎臓を複数持つ[1]。現生種はネオピリナなど数十種[2]。化石種は多数知られる[2] 00
頭足綱 Cephalopoda 体が前後に伸び、外套膜は内蔵塊包み胴部を形成。口の周囲に触手ないし腕がある。外套腔は前方に開き、腹側に筒状の漏斗を備える(水を吐いて移動したり、墨をはいたりするのに利用)[2]。貝殻はオウムガイ以外では通常体内にあるか完全に退化[2]。外套腔に鰓[2]。精巧な眼を持つ[2]オウムガイ類タコ類イカ類、絶滅したアンモナイト類など[2] 0203
掘足綱 Scaphopoda ツノガイの仲間[2]。象牙状に尖った殻を持つ[1] 064
二枚貝綱 Bivalvia 左右に外套膜が張り出し、そこから分泌される2枚の貝殻が体の左右を覆っている[2]ムラサキイガイアコヤガイマガキ、オカメブンブクヤドリガイ、オオシャコガイ、フナクイムシなど[2] 1618
尾腔綱 Caudofoveata 蠕虫状で貝殻を持たず[2]、石灰質の棘で覆われる[1]。体長2mm~140mm程度[2]。ケハダウミヒモ類 02
溝腹綱 Solenogastres 尾腔綱と同じく蠕虫状で貝殻を持たないため、両者を合わせて無板綱と以前は呼ばれていた[2]が、違いは腹側に足溝がある事[1]。サンゴノフトヒモ、カセミミズなど[2] 09
多板綱 Polyplacophora ヒザラガイ、オオバンヒザラガイなど[2]。8枚の殻板を持つ[1] 0199

日本産の種数は肥後・後藤 1993[4]より。

系統樹

軟体動物の分類は系統解析により一部修正が施され2018年現在は体全体を覆う大きな殻がある有殻類と石灰質の棘を持つ有棘類に大きく分かれるという仮説が有力視されており[1]、軟体動物の綱これら2つには以下のように分類される[5]

軟体動物
有殻類(Conchifera)

腹足綱単板綱頭足類掘足綱二枚貝綱

有棘類(Aculifera)

尾腔綱、溝腹綱多板綱

有殻類は綱レベルの単系統性は多くの場合保証されているが[1]、綱レベルの系統関係は2018年現在一致を見ていない[1]。 有棘類は20世紀後半には側系統だとみなされていたが[1]、2018年現在は単系統として復活している[1]。また多板綱と単板綱に共通性を認めるSerialia仮説があったが分子系統解析の観点から2018年現在は支持されていない[1]

絶滅種

カンブリア紀の軟体動物の関連グループの例[注釈 1][6]

カンブリア紀の祖先

以下の7群が軟体動物の祖先ないしそれに近縁と考えられている。これらを軟体動物に含めるかどうか、含めるとしてどう位置づけるかについては議論がある。

その他

ヘルシオネラ類 Helcionelloida
絶滅群。
吻殻綱 Rostroconchia
絶滅群[1]。二枚貝に似るが[1]、殻の背側は二枚貝のように分離していない[1]

注釈

  1. ^ a: オルスロザンクルス Orthrozanclus elongata
    b: ハルキエリア Halkieria evangelista
    c: ウィワクシア Wiwaxia corrugata
    d: オルスロザンクルス(模式図)
    e: ハルキエリア(模式図)
    f: Dailyatia bacata Camenellanの一種、模式図)
    g: ウィワクシア(模式図)

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah 佐々木猛智 (2018), pp. 68–69
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 藤田敏彦 (2010), pp. 136–137
  3. ^ 石川昌 (1957), 頭足類  in 久米又三、團勝磨『無脊椎動物発生学』培風館、1957年9月30日、376-384頁。 
  4. ^ 佐々木猛智 著「軟体動物の分類と系統関係」、大場秀章 編『Systema Naturae: 標本は語る東京大学総合研究博物館、2004年。 オリジナルの2007年9月1日時点におけるアーカイブhttp://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2004SystemaNaturae/h_22_01.html2010年4月19日閲覧 
    佐々木猛智 (2004年). 大場秀章: “軟体動物の分類と系統関係”. 東京大学総合研究博物館. 2007年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年4月19日閲覧。
  5. ^ 系統樹は佐々木猛智 (2018), pp. 68–69より。解説は、標柱にある通り、藤田敏彦 (2010)より。
  6. ^ Zhao, Fangchen; Smith, Martin R.; Yin, Zongjun; Zeng, Han; Li, Guoxiang; Zhu, Maoyan (2017-11-24). “Orthrozanclus elongata n. sp. and the significance of sclerite-covered taxa for early trochozoan evolution”. Scientific Reports 7: 16232. doi:10.1038/s41598-017-16304-6. ISSN 2045-2322. PMC 5701144. PMID 29176685. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5701144/. 


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