青の光 制作の背景

青の光

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 05:20 UTC 版)

制作の背景

1993年のドキュメンタリー映画『レニ』(ドイツ語: Die Macht der Bilder: Leni Riefenstahl英語: The Wonderful, Horrible Life of Leni Riefenstahl)のなかで、リーフェンシュタールはアグフアが R-Stock と称される新しいフィルムを提供した事について述べている。(昼間に)赤いフィルターをかけて撮影すると、空が真っ黒に写るようになっていた。その映画は、ほとんどロケーション撮影によって作られた映画としては最も早い時期に制作されたトーキー映画である。

リーフェンシュタールを女優として起用し、監督として山岳映画 (Bergfilm) を何本も撮ったアーノルト・ファンクは、最初の段階でこの映画の編集に関わったが、リーフェンシュタールはその出来に満足せず、フィルムを完全に再編集した。

反響

この作品は商業的にも、批評的にも、そこそこの成功を収めた。ヨーロッパ各地やイギリスでは好評だったが、ドイツでは評価が分かれた。左翼系の新聞は嘲笑を浴びせたが、一方で右翼系の新聞は賞賛を送った。山岳映画が新しかったロンドンパリでは、商業的にも、批評的にも相当の成功を収めた[1]。さらにこの作品は、ヴェネツィア国際映画祭では銀メダルを獲得した[2][3]

ニューヨーク・サン』紙は、この作品について「今年の映画の中で最も絵のように美しかった作品のひとつ。作家、監督、スターを兼ねるレニ・リーフェンシュタールは、賢い女性であり、登攀の達人だ。」と記した。

『ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン』紙は、「素晴らしく絵のような美しさ」と賞賛し、「主演し、脚本を書き、監督をしてこの作品を完成させるとは、何と非の打ち所のない女性なのだろう」とリーフェンシュタールを賞賛した。

ニューヨーク・タイムズ』紙は、この作品について「あらすじを要約しても、この映画のアクションの美しさや驚異的なカメラワークを、特に光の効果を、充分に伝える事はできない。」と記した[1]

この映画の美学は、特にその自然の描写において、アドルフ・ヒトラーの関心を呼んだと言われており、おそらくは、その後リーフェンシュタールにプロパガンダ映画の制作を委嘱するひとつの契機になったのかもしれない[4]

再編集版

ナチ党の権力掌握後の1937年には、マイヤー、バラージュ、ソーカルらユダヤ人の名を取り除いた再編集版が再発表された。

1951年イタリアの企業が出資し、この映画の再編集版が発表された。リーフェンシュタールは86分だった作品を、73分まで圧縮し、サンタマリアの村に現代的な都会人が到着する場面などが除去された。この再編集版は、「レニ・リーフェンシュタールによる山の伝説」と宣伝文句がつけられた。1951年11月、新たな編集、音楽、サウンドトラックによる版がローマで公開され、その特別興業の上映の際の華やかさは、リーフェンシュタールが「目もくらむばかり」と表現するほどだった。この再編集版は『サンタマリアの魔女 (Die Hexe von Santa Maria)』と題されてドイツにも配給され、オーストリアでも限定的に公開された[1]


  1. ^ a b c Bach, Steven (2006). Leni- The Life and Work of Leni Riefenstahl. Abacus 
  2. ^ Leni Riefenstahl (obituary) The Times. 10 September 2003
  3. ^ Leni Riefenstahl (obituary) The Independent. 10 September 2003
  4. ^ Susan Tegel, “Nazi Film Aesthetics”, Historical Journal of Film, Radio and Television (2006), Vol. 26, Issue 3






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