間欠泉
間欠泉の仕組み
間欠泉の仕組みには「空洞説」「垂直管説」などがある。以下で、各説の詳細を記す。
空洞説
空洞説は、地下にある空洞に溜まった地下水が地熱により温められる。水蒸気となって地表に噴出するという説である。空洞説を最初に提唱したのは、1811年でアイスランドで研究と調査を行ったJ・マッケンシーである。日本では、本多光太郎、寺田寅彦らによって研究された。本多、寺田は、熱海温泉にあった大湯間欠泉をモデルとして理論構築を行った。
空洞説概要図より空洞説を説明する。図の通り、地下に空洞Aが存在し、噴出管aを通じて地上と繋がっている。空洞内の水が地熱により加熱され、空洞A内の水蒸気圧が上昇すると、噴出管aに溜まった水を押し出す。ある程度の量が噴出されると、噴出管a内の水蒸気圧が低下し、噴出が停止する。導管cから地下水が供給され、再び空洞Aの水蒸気圧が上昇すると、噴出が再び起こる。何度か噴出・休止を繰り返すうちに、導管bおよび導管cから空洞Aに低温の地下水が供給されて空洞Aの水蒸気圧が大幅に低下して、長期の休止期間に入るというものである。
空洞説は、大量の温泉を長時間噴出する大規模な間欠泉は説明できる。しかし、地下空洞の認められない小規模な間欠泉の原理を説明することは難しかった。
垂直管説
垂直管説は、ドイツ人のロベルト・ブンゼンにより1847年に提唱された[1]。
地面に対して比較的垂直に噴出管aがあり、噴出管a内に地下水が溜まる。溜まった地下水は、地熱により加熱され、下層部が沸点に達する。下層部が沸騰を始めると、生じる水蒸気の泡が噴出管a内を上昇し始め、それに押し出される形で緩やかな湧出が地表で開始する。噴出管a内の泡が増すにつれ、管内の水圧が低下する結果、下層部の沸点が下がり、一気に沸騰(突沸)を始め、激しい噴出が始まる。
しばらく噴出が続くと管内の熱水が無くなって噴出は終了し、休止期間に入る。噴出管aにつながっている導管bから新しい地下水が流入し、次の沸騰開始まで加熱される。
日本の野口喜三雄は、間欠泉内の塩化物イオンなどの変化量から、垂直管説を支持した論文を1939年に発表している。
一般に、1回の噴出量が少なく、噴出周期が数分から数十分の間欠泉の説明に適していると言われている。また温泉探査ボーリング等によって発生する間欠泉のメカニズムを完全に説明できる(大分県柴石温泉の龍巻地獄)。1997年、島根県津和野町で行われた試掘によって多量の二酸化炭素を含む温水(低温)間欠泉の噴出が始まったが、同じ 垂直管内の突沸(正確にはキャビテーション)のメカニズムで説明することができる。島根県木部谷温泉や山形県湯ノ沢温泉の炭酸間欠泉も同種例である。
日本の間欠泉
世界の主な間欠泉
アメリカ
- イエローストーン(アメリカ合衆国)
- 大小200以上の間欠泉が存在する。その中でも最大のジャイアント間欠泉は、7日から12日の周期を持つ。また1回の噴出時間は1時間以上、高さは最大で75 mに達する。
- フライガイザー(アメリカ合衆国:ネバダ州)[3]
ヨーロッパ
- ゲイシール(アイスランド)- 英語で間欠泉を意味する単語の「geyser(ガイザー)」の語源である。なお同じ綴りでも「ギーザー」と発音するとイギリス英語で「湯沸かし器」の意味になるので注意。
- ストロックール間欠泉(アイスランド)
オセアニア
- ポルツ・ガイザー(ニュージーランド)
- ロトルア間欠泉(ニュージーランド)
- ワイマング間欠泉(ニュージーランド)
- 噴出した高さが450 mに達した記録を持つ。
アジア
脚注
- ^ http://beppumuseum.jp/yusa/yu002.html
- ^ a b c d “【続報】諏訪湖の間欠泉、修理しても噴出しない可能性 諏訪市、センターの民間活用や廃止も視野にあり方検討へ”. 信濃毎日新聞. 2022年12月6日閲覧。
- ^ “フライガイザー、ネバダ州”. ナショナル ジオグラフィック日本版. 2018年7月8日閲覧。
参考文献
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関連項目
外部リンク
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