2018 FIFAワールドカップ・決勝
2018 FIFAワールドカップ・決勝は、2018年7月15日 (現地時間)にロシア・モスクワのルジニキ・スタジアムで行われた第21回目のFIFAワールドカップ (W杯)の決勝戦である。
表彰式でワールドカップを掲げるサッカーフランス代表チーム。 | |||||||
大会名 | 2018 FIFAワールドカップ | ||||||
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開催日 | 2018年7月15日 | ||||||
会場 | ルジニキ・スタジアム(モスクワ) | ||||||
最優秀選手 | アントワーヌ・グリーズマン[1] | ||||||
主審 | ネストル・ピタナ[1] | ||||||
観客数 | 78,011人[1] | ||||||
← 2014 2022 → |
ファイナリスト
編集決勝に駒を進めたのは、フランスとクロアチアの2チームであった。ベスト4はフランスとクロアチアの他、ベルギーとイングランドと欧州サッカー連盟 (UEFA) 加盟の4カ国で独占しており、この時点でヨーロッパ勢が4大会連続[注 1] で制することが決まっていた[2]。
フランスは2006年ドイツ大会以来3大会ぶり3回目の決勝進出で、1998年の自国開催大会以来20年ぶり2回目の優勝を目指す[3]。代表監督を務めるディディエ・デシャンは1998年大会の優勝チームのキャプテンであり、優勝すればマリオ・ザガロ(ブラジル)[注 2] とフランツ・ベッケンバウアー(西ドイツ)[注 3] に次いで3人目となる「選手・監督の両方でW杯優勝を経験した人物」となる[4]。
一方、クロアチアはフランスの優勝した1998年大会での3位がこれまでの最高成績で、初の決勝進出となり初優勝を目指すことになる[5]。このときのクロアチアのFIFAランキングは20位で、1993年のランキング導入以降では最も低い順位の国による決勝進出であった[4]。
両チームの対戦はこれまで5回あるが、対戦成績はフランスの3勝2分でクロアチアはこれまでフランスに勝ったことが無かった[6]。両チームの初対戦は1998年7月8日に行われた1998 FIFAワールドカップ・準決勝で、フランスが2-1で勝利している(両国がFIFAワールドカップで対戦したのはこれまでこの1回だけだった。)。他には2004年6月17日にポルトガルで行われたUEFA EURO 2004 1次リーグで対戦があり、このときは2-2の引き分けであった。
決勝までの道のり
編集UEFA EURO 2016で準優勝した若いメンバー中心に望んだフランスは、欧州予選グループAを7勝2分1敗の1位で突破し、本戦出場を果たした。本大会ではグループCに入り、オーストラリアとペルーに連勝して決勝トーナメント進出を決める。(第3戦のデンマークには引き分け。)。決勝トーナメント1回戦では19歳のFWキリアン・エムバペの2ゴールでリオネル・メッシらを擁するアルゼンチンを相手に突き放して4-3で逆転勝利を収め、さらに準々決勝ではFWエディンソン・カバーニを怪我で欠いたウルグアイを2-0で下し、準決勝では今大会最多得点を誇るベルギーと対戦、DFサミュエル・ユムティティのゴールを守り切って1-0で勝利し決勝進出を決めた。
一方、UEFA EURO 2016でベスト16入りを果たし第二の「黄金世代」とも呼ばれるメンバーで望んだクロアチアは、欧州予選グループIで6勝2分2敗とアイスランドに次ぐ2位でプレーオフに進み、ギリシャを2戦合計4-1で下して本戦進出を決めた。本大会では欧州予選を戦ったアイスランドと共にグループDに入り、ナイジェリア、アルゼンチン、アイスランドに3連勝して決勝トーナメント進出を決めた。決勝トーナメントでは1回戦のデンマーク、準々決勝のロシアの両相手に延長の末PK戦で下して勝ち上がり、準決勝では得点ランキングトップのハリー・ケインらを擁するイングランドを相手に3試合連続の延長戦にもつれ込むも、延長後半にFWマリオ・マンジュキッチのゴールで逆転勝利を収め、前評判を覆して初の決勝進出を決めた。なお、決勝トーナメントで3試合連続で延長戦を戦って決勝進出を決めたチームは初めてである[4]。
フランス | ラウンド | クロアチア | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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対戦国 | 結果 | グループステージ | 対戦国 | 結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
オーストラリア | 2–1 | 第1戦 | ナイジェリア | 2–0 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ペルー | 1–0 | 第2戦 | アルゼンチン | 3–0 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
デンマーク | 0–0 | 第3戦 | アイスランド | 2–1 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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最終結果 |
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対戦国 | 結果 | 決勝トーナメント | 対戦国 | 結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アルゼンチン | 4–3 | ラウンド16 | デンマーク | 1–1 (延長) (3–2 p) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ウルグアイ | 2–0 | 準々決勝 | ロシア | 2–2 (延長) (4–3 p) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ベルギー | 1–0 | 準決勝 | イングランド | 2–1 (延長) |
試合
編集両チームとも、ベストメンバーをそろえた一戦で序盤から攻勢に出たのは決勝トーナメントでフランスよりも1試合分(90分 = 延長戦30分×3)長く戦っており、しかも準決勝からの日程もフランスより1日短く、コンディション面で不利と目されていた[7] クロアチアだったが、フランスの体を張った守備の前に決定機に持ち込むことは出来なかった[8]。すると前半18分、フランスが右サイドでフリーキックを得ると、FWアントワーヌ・グリーズマンがゴール前に放ったクロスボールに対しクリアを試みたクロアチアのFWマンジュキッチの頭に触れたボールはそのままゴールに吸い込まれてしまい、それまでシュート0本だったフランスがオウンゴールという形で先制に成功する[9]。その11分後、クロアチアのMFルカ・モドリッチのフリーキックは前線右サイドに駆け上がったDFシメ・ヴルサリコが頭でゴール前に折り返し混戦となるが、ゴール正面でクロアチアのDFドマゴイ・ヴィダが後ろ向きに落としたボールにFWイヴァン・ペリシッチが左に持ち出して左足で強烈なミドルシュート。これがゴールに突き刺さり、クロアチアが同点に追いついた[8]。
前半35分、フランスのFWグリーズマンの右コーナーキックをクロアチアのFWペリシッチがクリアしたが、すぐそばにいたフランスのMFブレーズ・マテュイディがペリシッチのハンドをアピールする。今大会から導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー (VAR) で確認した結果、主審のネストル・ピタナはペリシッチのハンドを認定した。ペナルティーキックの判定となり、これをフランスのFWグリーズマンがきっちり決めて勝ち越しに成功する。フランスが2-1とリードして前半を折り返した[8]。
後半に入り、48分(後半3分)にはクロアチアがMFイヴァン・ラキティッチのスルーパスに反応したFWアンテ・レビッチがシュートを放つも、フランスのGKウーゴ・ロリスのファインセーブに阻まれ、逆に52分(後半7分)にはフランスがMFポール・ポグバのスルーパスから右サイドを駆け上がったFWエムバペがペナルティエリア内に持ち込んでシュートを放つも、クロアチアのGKダニエル・スバシッチが距離を詰めてセーブするなど立ち上がりは一進一退の攻防を見せた。しかし、59分(後半14分)にフランスのFWグリーズマンが落としたボールをMFポグバがペナルティエリアの外からミドルシュートを決め、さらに65分(後半20分)にはフランスのDFリュカ・エルナンデスのパスを受けたFWエムバペがペナルティエリア外からミドルシュートを決め、一気にフランスがクロアチアを突き放していった[8]。69分(後半24分)には、フランスのDFユムティティからのバックパスを処理しようとしたGKロリスのトラップしたボールをゴール前に詰めていたクロアチアのFWマンジュキッチが押し込んで1点を返す[8] も、クロアチアの反撃は結局ここまでで、フランスが4-2で勝利し5大会ぶり2度目のワールドカップ制覇を成し遂げた。
結果
編集フランス[10]
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クロアチア[10]
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Man of the Match:
副審:[1]
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試合ルール[11]
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2018 FIFAワールドカップ優勝国 |
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フランス 5大会ぶり2回目 |
エピソード
編集- この試合の52分(後半7分)、ロシアの反体制パンクバンド「プッシー・ライオット」のメンバー4人が警察官の衣装を着てピッチに乱入し、フランスのFWエムバペにハイタッチしたりするなどもして、試合を一時中断させた。のち4人は警備員に取り押さえられ、場外へ出された[12][13]。
テレビ放送
編集日本では日本放送協会 (NHK) が生中継を担当し、総合テレビで2018年7月15日23:45 - 翌2:52に放送。深夜帯の放送にもかかわらず、関東地区で15.5%の視聴率を獲得した[14]。解説は山本昌邦と藤田俊哉、実況は曽根優アナ。
また、TBSテレビは試合日翌朝の2018年7月16日9:55 - 12:30に録画中継を実施。解説は福田正博と戸田和幸、実況は土井敏之。
脚注
編集注記
編集- ^ 直近3大会の優勝チームは2006年ドイツ大会がイタリア、2010年南アフリカ大会がスペイン、2014年ブラジル大会がドイツ。
- ^ 選手として1958年スウェーデン大会と1962年チリ大会で連覇、監督として1970年メキシコ大会で優勝。
- ^ 選手として1974西ドイツ大会で優勝、監督として1990イタリア大会で優勝。
出典
編集- ^ a b c d e f g “Match report – Final – France v Croatia” (PDF). FIFA (15 July 2018). 2018年7月16日閲覧。
- ^ “ロシアW杯 4強は欧州勢が独占 南米勢が敗退”. 毎日新聞. (2018年7月8日) 2018年7月13日閲覧。
- ^ “【サッカーW杯】フランス、決勝進出 ベルギーを1-0で下す”. BBCニュース日本語版. (2018年7月11日) 2018年7月12日閲覧。
- ^ a b c “ロシアW杯 3度目決勝フランスか、初づくしクロアチアか”. 毎日新聞. (2018年7月12日) 2018年7月16日閲覧。
- ^ “ロシアW杯 クロアチアが延長で逆転勝ち 史上初の決勝へ”. 毎日新聞. (2018年7月12日) 2018年7月12日閲覧。
- ^ “Statistical Kit for the FIFA World Cup” (PDF). FIFA.com. 国際サッカー連盟. p. 13 (2018年7月12日). 2018年7月13日閲覧。
- ^ “『-1日』の休息 『+1試合』の疲労…クロアチアを襲うW杯史上最大の消耗戦”. ゲキサカ (講談社). (2018年7月12日) 2018年7月16日閲覧。
- ^ a b c d e 折戸岳彦 (2018年7月16日). “フランス、4発快勝で20年ぶり2度目の世界一!! クロアチアの粘り届かず…”. ゲキサカ. 講談社. 2018年7月16日閲覧。
- ^ 折戸岳彦 (2018年7月16日). “シュートゼロで1点…フランスが奪った“省エネ”先制点”. ゲキサカ. 講談社. 2018年7月16日閲覧。
- ^ a b “Tactical Line-up – Final – France v Croatia” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (15 July 2018). 2018年7月16日閲覧。
- ^ “Regulations – 2018 FIFA World Cup Russia”. FIFA.com. 2017年12月5日閲覧。
- ^ “ワールドカップ決勝に乱入したプッシー・ライオット、「3年間、スポーツ会場の出入り禁止」に” (日本語). HuffPost Japan. (2018年7月17日) 2018年7月17日閲覧。
- ^ “決勝戦に男女4人がピッチ乱入 初の警備の失態 - 海外サッカー : 日刊スポーツ” (日本語). nikkansports.com 2018年7月17日閲覧。
- ^ “ロシアW杯 決勝の視聴率は15.5%”. 毎日新聞. (2018年7月17日) 2018年7月20日閲覧。
外部リンク
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