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[[File:CarlLewis.jpg|thumb|right|電動計時による平地記録で初めて10秒の壁を破った[[カール・ルイス]]]]
[[File:CarlLewis.jpg|thumb|right|電動計時による平地記録で初めて10秒の壁を破った[[カール・ルイス]]]]
'''10秒の壁'''(じゅうびょうのかべ、英:10-second barrier)は、[[陸上競技]]男子[[100メートル競走]]において達成困難と考えられていた9秒台に対する記録の壁である。その壁を越えた記録は偉大な短距離選手の証明と見なされている。一方、トレーニング方法や外部環境要因の改善によって1990年代以降9秒台の自己記録を持った選手が増加し、その意義は以前ほど特別なものとは見なされなくなりつつある<ref name="mainichi0624">坂巻士朗, 小松やしほ「特集ワイド:ひとはどこまで速く走れるか 750年後、8秒76に!?」『毎日新聞』2008年6月24日東京夕刊、2頁、総合面。</ref><ref>Gardener, Jason(2008-08-09). [http://www.telegraph.co.uk/sport/othersports/olympics/2530774/Jason-Gardener-Im-backing-Tyson-Gay-to-win-one-of-the-greatest-100-metres-finals---Olympics.html Jason Gardener: I'm backing Tyson Gay to win one of the greatest 100 metres finals]. ''[[The Daily Telegraph]]''. 2010年5月12日閲覧。</ref>。
'''10秒の壁'''(じゅうびょうのかべ、{{lang-en-short|10-second barrier}})は、[[陸上競技]]男子[[100メートル競走]]において達成困難と考えられていた9秒台に対する記録の壁である。その壁を越えた記録は偉大な短距離選手の証明と見なされている。一方、トレーニング方法や外部環境要因の改善によって1990年代以降9秒台の自己記録を持った選手が増加し、その意義は以前ほど特別なものとは見なされなくなりつつある<ref name="mainichi0624">坂巻士朗, 小松やしほ「特集ワイド:ひとはどこまで速く走れるか 750年後、8秒76に!?」『毎日新聞』2008年6月24日東京夕刊、2頁、総合面。</ref><ref>Gardener, Jason(2008-08-09). [http://www.telegraph.co.uk/sport/othersports/olympics/2530774/Jason-Gardener-Im-backing-Tyson-Gay-to-win-one-of-the-greatest-100-metres-finals---Olympics.html Jason Gardener: I'm backing Tyson Gay to win one of the greatest 100 metres finals]. ''[[The Daily Telegraph]]''. 2010年5月12日閲覧。</ref>。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
1960年6月に[[西ドイツ]]の[[アルミン・ハリー]]によって10秒0が記録され、これが更新されるまで8年の年月を要した。最初の9秒台は1968年6月20日、ストップウォッチによる手動計時によって記録された。その後、より精密な計測方法の電動計時が採用される過渡期にあった[[1968年]][[10月14日]]、アメリカ合衆国の[[ジム・ハインズ]]によって10秒の壁られた。ハインズは[[1968年メキシコシティーオリンピックの陸上競技|メキシコシティーオリンピック男子100m]]で優勝し、この時世界新記録を樹立する9秒95で走破した。の後1977年8月11日[[シルビオ・レオナルド]]が9秒98を記録するまで2度目の9秒台が記録されるのにおよそ9年を要した。これら2つの成績はいずれも[[100メートル競走#概要|高地記録]](high altitude)として記録された。
1960年6月に[[西ドイツ]]の[[アルミン・ハリー]]の手によって10秒0が記録され、これが更新されるまで8年の年月を要した。最初の9秒台は1968年6月20日、ストップウォッチによる手動計時によって記録された。その後、より精密な計測方法の電動計時が採用される過渡期にあった[[1968年]][[10月14日]]、アメリカの[[ジム・ハインズ]]がこの10秒の壁た。ハインズは[[1968年メキシコシティーオリンピックの陸上競技|メキシコシティーオリンピック男子100m]]で優勝し、この時世界新記録を樹立する9秒95で走破した。ハインズの後1977年8月11日に[[キューバ]]の[[シルビオ・レオナルド]]が9秒98を記録するまで2度目の9秒台が記録されるのにおよそ9年を要した。これら2つの成績はいずれも[[100メートル競走#概要|高地記録]](high altitude)として記録された。


[[1983年]][[5月14日]]9秒97を記録した[[カール・ルイス]]が、平地で9秒台を達成した最初の短距離選手となった。ルイスに続いて[[カルヴィン・スミス]]が1983年7月3日に9秒93の世界新記録を樹立。同年8月にも9秒台を記録し、10秒の壁を2度越えた最初の短距離選手になった。その後1980年代に多くの選手が10秒の壁を破った。そして[[1991年世界陸上競技選手権大会]]男子100m決勝は、6人の選手が9秒台の自己新記録で走破し、優勝したルイスが9秒86に世界記録を縮めるなど、10秒の壁が破られた後の新しい世界の頂点を象徴するものとなった<ref>{{Cite web |url=http://www.sportinglife.com/athletics/worldathletics2005/news/story_get.cgi?STORY_NAME=others/05/07/15/ATHLETICS_World_History.html |accessdate=2010-5-12 |title=World Championships: A History |publisher=Sporting Life |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110605031057/http://www.sportinglife.com/athletics/worldathletics2005/news/story_get.cgi?STORY_NAME=others%2F05%2F07%2F15%2FATHLETICS_World_History.html |archivedate=201106月5日 |deadlinkdate=2017年9月 }}</ref>。2014年9月現在、[[ロブソン・ダ・シルバ]]が10秒00の大陸記録を保持する[[:en:CONSUDATLE<!-- [[:ja:南アメリカ陸上競技連盟]] とリンク -->|南米]]を除いた5つの地域陸連の選手によって、10秒の壁は破られ続けている<ref>[http://www.iaaf.org/statistics/records/inout=o/discType=5/disc=100/detail.html 100 metres records]. [[IAAF]]. 2010年5月12日閲覧。</ref>。
[[1983年]][[5月14日]]9秒97を記録した[[カール・ルイス]]が、平地で9秒台を達成した最初の短距離選手となった。ルイスに続いて[[カルヴィン・スミス]]が1983年7月3日に9秒93の世界新記録を樹立。同年8月にも9秒台を記録し、10秒の壁を2度越えた最初の短距離選手になった。その後1980年代に多くの選手が10秒の壁を破った。そして[[1991年世界陸上競技選手権大会]]男子100m決勝は、6人の選手が9秒台の自己新記録で走破し、優勝したルイスが9秒86に世界記録を縮めるなど、10秒の壁が破られた後の新しい世界の頂点を象徴するものとなった<ref>{{Cite web |url=http://www.sportinglife.com/athletics/worldathletics2005/news/story_get.cgi?STORY_NAME=others/05/07/15/ATHLETICS_World_History.html |accessdate=2010-05-12 |title=World Championships: A History |publisher=Sporting Life |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110605031057/http://www.sportinglife.com/athletics/worldathletics2005/news/story_get.cgi?STORY_NAME=others%2F05%2F07%2F15%2FATHLETICS_World_History.html |archivedate=2011-06-05 |url-status=dead|url-status-date=2017-09 }}</ref>。2014年9月現在、[[ブラジル]]の[[ロブソン・ダ・シルバ]]が10秒00の大陸記録を保持する[[:en:CONSUDATLE<!-- [[:ja:南アメリカ陸上競技連盟]] とリンク -->|南米]]を除いた5つの地域陸連の選手によって、10秒の壁は破られ続けている<ref>[http://www.iaaf.org/statistics/records/inout=o/discType=5/disc=100/detail.html 100 metres records]. [[IAAF]]. 2010年5月12日閲覧。</ref>。


*1960年6月21日 西ドイツの[[アルミン・ハリー]]が10秒0(手動)の世界新記録を樹立し、10秒0に到達する。
*1960年6月21日 西ドイツの[[アルミン・ハリー]]が10秒0(手動)の世界新記録を樹立し、10秒0に到達する。
**この後8年間で9人の選手が10秒0を記録。
**この後8年間で9人の選手が10秒0を記録。
*1968年6月20日 [[アメリカ合衆国]][[ジム・ハインズ]]、[[チャールズ・エドワード・グリーン]]、[[ロニー・レイ・スミス]]が全米選手権準決勝で9秒9(手動)を記録し、10秒の壁を破る9秒9の世界新記録を樹立。電動計時によるハインズの記録は10秒03。
*1968年6月20日 アメリカのジム・ハインズ、[[チャールズ・エドワード・グリーン]]、[[ロニー・レイ・スミス]]が全米選手権準決勝で9秒9(手動)を記録し、10秒の壁を破る9秒9の世界新記録を樹立。電動計時によるハインズの記録は10秒03。
*1968年10月14日 アメリカ合衆国のジム・ハインズが[[1968年メキシコシティーオリンピック|メキシコシティーオリンピック]]100m決勝で9秒95(電動)を記録、10秒の壁を破る。標高2240mで記録された高地記録。初めてオリンピック男子100m決勝進出者全員が黒色人種となる。
*1968年10月14日 アメリカのジム・ハインズが[[1968年メキシコシティーオリンピック|メキシコシティーオリンピック]]100m決勝で9秒95(電動)を記録、10秒の壁を破る。標高2240mで記録された高地記録。初めてオリンピック男子100m決勝進出者全員が黒色人種となる。
**1976年までに8人が9秒9(手動)を記録し、10秒の壁を破る。
**1976年までに8人が9秒9(手動)を記録し、10秒の壁を破る。
**1977年1月 [[国際陸上競技連盟|IAAF]]が記録公認の条件を電動計時に限定。
**1977年1月 [[国際陸上競技連盟|IAAF]]が記録公認の条件を電動計時に限定。
*1983年5月14日 アメリカ合衆国[[カール・ルイス]]が[[カリフォルニア州]][[モデスト (カリフォルニア州)|モデスト]]の競技会で9秒97(電動)を記録、平地ではじめて10秒の壁を破る。
*1983年5月14日 アメリカのカール・ルイスが[[カリフォルニア州]][[モデスト (カリフォルニア州)|モデスト]]の競技会で9秒97(電動)を記録、平地ではじめて10秒の壁を破る。
*2021年8月14日、[[ケニア]]の[[ファーディナンド・オムルワ]]が[[オーストリア]]の大会にて準決勝で9秒96、決勝で9秒86を記録し長距離王国勢として初めて10秒の壁を破った。


10秒の壁が破られた背景には、選手の努力やトレーニング方法の改良とともに用具や環境の変化が大きな影響を及ぼしたと考えられている。
10秒の壁が破られた背景には、選手の努力やトレーニング方法の改良とともに用具や環境の変化が大きな影響を及ぼしたと考えられている。


[[国際陸上競技連盟|IAAF]]は、指定した競技規則に従い[[風速計#超音波式風速計|超音波風速風向計]]により計測された追い風2.0m/秒以下の条件下で、電動計時により計測され{{ref label|Note5|N|5}}、かつ[[ドーピング]]によらない成績だけが公認されるとしている<ref>[http://www.rikuren.or.jp/athlete/rule/pdf/1005.pdf 陸上競技ルールブック2010掲載内容 第3章 ドーピング防止] [[日本陸上競技連盟]]. 2010年5月13日閲覧。</ref>{{ref label|Note3|N|3}}。風速計の不調やルール違反により選手の記録が無効とされることがある<ref name="mainichi0602">野村隆宏「[スポーツここが知りたい]陸上競技の追い風参考記録 大ジャンプ「消えた」例も」『毎日新聞』1995年6月2日東京夕刊、6頁、スポーツ面。</ref><ref name="yomiuri0806">芝田裕一「人間はどこまで速く走れるの? 100メートル男子9秒6も夢じゃない」『讀賣新聞』2005年8月6日東京夕刊、7頁、テクC面。</ref>{{ref label|Note4|N|4}}。[[1964年東京オリンピック]]前後から電子計時、[[1972年ミュンヘンオリンピック]]から[[スリットカメラ]]、[[1991年世界陸上競技選手権大会]]ではスリットビデオがそれぞれ導入され、科学的でより正確な判定が行なわれるようになった<ref name="yomiuri0714">「1000分の1秒にかけた人生 熱いドラマ支えた計時マン 間違えるのは人間だ」『讀賣新聞』1996年7月14日東京朝刊、39頁、社会面。</ref><ref>日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、670-672頁。</ref>。
[[国際陸上競技連盟|IAAF]]は、指定した競技規則に従い[[風速計#超音波式風速計|超音波風速風向計]]により計測された追い風2.0m/秒以下の条件下で、電動計時により計測され{{ref label|Note5|N|5}}、かつ[[ドーピング]]によらない成績だけが公認されるとしている<ref>[http://www.rikuren.or.jp/athlete/rule/pdf/1005.pdf 陸上競技ルールブック2010掲載内容 第3章 ドーピング防止] [[日本陸上競技連盟]]. 2010年5月13日閲覧。</ref>{{ref label|Note3|N|3}}。風速計の不調やルール違反により選手の記録が無効とされることがある<ref name="mainichi0602">野村隆宏「[スポーツここが知りたい]陸上競技の追い風参考記録 大ジャンプ「消えた」例も」『毎日新聞』1995年6月2日東京夕刊、6頁、スポーツ面。</ref><ref name="yomiuri0806">芝田裕一「人間はどこまで速く走れるの? 100メートル男子9秒6も夢じゃない」『讀賣新聞』2005年8月6日東京夕刊、7頁、テクC面。</ref>{{ref label|Note4|N|4}}。[[1964年東京オリンピック]]前後から電子計時、[[1972年ミュンヘンオリンピック]]から[[スリットカメラ]]、[[1991年世界陸上競技選手権大会]]ではスリットビデオがそれぞれ導入され、科学的でより正確な判定が行なわれるようになった<ref name="yomiuri0714">「1000分の1秒にかけた人生 熱いドラマ支えた計時マン 間違えるのは人間だ」『讀賣新聞』1996年7月14日東京朝刊、39頁、社会面。</ref><ref>日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、670-672頁。</ref>。


1991年世界陸上競技選手権大会では50台以上のビデオカメラが使用され、選手のフォーム、スピードの変化、ストライド、が計測された<ref name="yomiuri0806"/>。このような計測結果をもとに科学的な研究が進み、トレーニング方法は改良されてきた。東京大学大学院の[[深代千之]]教授2008年6月24日付毎日新聞で、1991年世界陸上競技選手権を分析した結果、股関節周辺の筋肉の重要性と脚全体をしならせる動きが速く走るために必要な条件であると解説した<ref name="mainichi0624"/>。男子[[110メートルハードル|110mハードル]]の日本記録保持者で筑波大学大学院の[[谷川聡]]講師は2008年6月24日付毎日新聞のウサイン・ボルトの世界記録更新の話題の中で精神面が記録に及ぼす影響に指摘し、記録を求めようとすると逆に全力を発揮できない可能性について言及した<ref name="mainichi0624"/>。
1991年世界陸上競技選手権大会では50台以上のビデオカメラが使用され、選手のフォーム、スピードの変化、ストライド、が計測された<ref name="yomiuri0806"/>。このような計測結果をもとに科学的な研究が進み、トレーニング方法は改良されてきた。東京大学大学院の[[深代千之]]教授2008年6月24日付毎日新聞で、1991年世界陸上競技選手権を分析した結果、股関節周辺の筋肉の重要性と脚全体をしならせる動きが速く走るために必要な条件であると解説した<ref name="mainichi0624"/>。男子[[110メートルハードル|110mハードル]]の日本記録保持者で筑波大学大学院の[[谷川聡]]講師は2008年6月24日付毎日新聞の[[ウサイン・ボルト]]の世界記録更新の話題の中で精神面が記録に及ぼす影響に指摘し、記録を求めようとすると逆に全力を発揮できない可能性について言及した<ref name="mainichi0624"/>。


=== 全天候トラックの導入 ===
=== 全天候トラックの導入 ===
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1960年ごろから選手専用のスパイクシューズが開発されはじめ、記録の更新に貢献した。1960年代後半以降の全天候トラックの普及に伴い、スパイクピンの形状変更など路盤に対応する改良が施され、選手に合った素材・形状の追求が進められた。
1960年ごろから選手専用のスパイクシューズが開発されはじめ、記録の更新に貢献した。1960年代後半以降の全天候トラックの普及に伴い、スパイクピンの形状変更など路盤に対応する改良が施され、選手に合った素材・形状の追求が進められた。


カール・ルイスは[[1987年世界陸上競技選手権大会|世界陸上競技選手権ローマ大会]]で市販モデルに一部変更を施した片足190gのシューズを使用し、世界記録タイの9秒93を記録した。この後耐久性と市販化をあきらめた選手専用スパイクとして軽量化にこだわり、115gまで重量を落とした結果、[[1991年世界陸上競技選手権大会|世界陸上競技選手権東京大会]]で9秒86の世界新記録を樹立している<ref>NHK「プロジェクトX」制作班(2000)、57-99頁。</ref>。その他、[[フランク・フレデリクス]]は[[バイオメカニクス]]理論を追究し軟らかめの素材を用いた140gのシューズを、[[モーリス・グリーン (陸上選手)|モーリス・グリーン]]は反発力と弾力性を重視した196gのシューズを愛用するなど、選手の性質と嗜好に合わせた開発が進められた<ref name="yomiuri0821">「[最近運動用具考現学]陸上競技用シューズ之巻 選手、種目で違う特徴」『讀賣新聞』1999年8月21日東京夕刊、6頁、スポーツ面。</ref>。
ルイスは[[1987年世界陸上競技選手権大会|世界陸上競技選手権ローマ大会]]で市販モデルに一部変更を施した片足190gのシューズを使用し、世界記録タイの9秒93を記録した。この後耐久性と市販化をあきらめた選手専用スパイクとして軽量化にこだわり、115gまで重量を落とした結果、[[1991年世界陸上競技選手権大会|世界陸上競技選手権東京大会]]で9秒86の世界新記録を樹立している<ref>NHK「プロジェクトX」制作班(2000)、57-99頁。</ref>。その他、[[フランク・フレデリクス]]は[[バイオメカニクス]]理論を追究し軟らかめの素材を用いた140gのシューズを、[[モーリス・グリーン (陸上選手)|モーリス・グリーン]]は反発力と弾力性を重視した196gのシューズを愛用するなど、選手の性質と嗜好に合わせた開発が進められた<ref name="yomiuri0821">「[最近運動用具考現学]陸上競技用シューズ之巻 選手、種目で違う特徴」『讀賣新聞』1999年8月21日東京夕刊、6頁、スポーツ面。</ref>。
[[File:100 m final Berlin 2009.JPG|thumb|left|240px|2009年世界陸上競技選手権にて<br />左から[[リチャード・トンプソン|トンプソン]]、[[アサファ・パウエル|パウエル]]、[[タイソン・ゲイ|ゲイ]]、[[ウサイン・ボルト|ボルト]]]]
[[File:100 m final Berlin 2009.JPG|thumb|left|240px|2009年世界陸上競技選手権にて<br />左から[[リチャード・トンプソン|トンプソン]]、[[アサファ・パウエル|パウエル]]、[[タイソン・ゲイ|ゲイ]]、[[ウサイン・ボルト|ボルト]]]]


=== 選手のプロ化 ===
=== 選手のプロ化 ===
1970年前後からスポーツ界のアマチュア規定の議論が進むとともにこれが緩和された<ref>日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、293-295頁。</ref>。最大の陸上競技大会の1つである[[近代オリンピック#大会の継続的運営と商業主義|オリンピック]]の商業化とともに[[1984年ロサンゼルスオリンピック]]前から選手のプロ化が容認され、広告収入を得た選手でもオリンピックに出場ができるようになった。それまでは[[ボブ・ヘイズ]]や[[ジム・ハインズ]]が[[アメリカンフットボール|プロフットボール]]に道を求めるなど、100m金メダリストであっても職業として陸上を続けることは不可能だったが、商業化に伴いスポンサーを得ることによって陸上に専念できる環境が整うようになった<ref>小川勝(2008)、96頁。</ref>。
1970年前後からスポーツ界のアマチュア規定の議論が進むとともにこれが緩和された<ref>日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、293-295頁。</ref>。最大の陸上競技大会の1つである[[近代オリンピック#大会の継続的運営と商業主義|オリンピック]]の商業化とともに[[1984年ロサンゼルスオリンピック]]前から選手のプロ化が容認され、広告収入を得た選手でもオリンピックに出場ができるようになった。それまでは[[ボブ・ヘイズ]]やジム・ハインズが[[アメリカンフットボール|プロフットボール]]に道を求めるなど、100m金メダリストであっても職業として陸上を続けることは不可能だったが、商業化に伴いスポンサーを得ることによって陸上に専念できる環境が整うようになった<ref>小川勝(2008)、96頁。</ref>。


=== 人種 ===
=== 人種 ===
9秒台を記録した選手は、白色人種と[[アボリジニ]]のハーフである[[オーストラリア]]の[[パトリック・ジョンソン]]が2003年に達成するまでは、全て[[アフリカ]]にルーツを持つ黒色人種であった<!--その身体的特徴が短距離走に適していると考えられている--><ref>Will Swanton and David Sygall, (2007-07-15). [http://www.smh.com.au/news/sport/aussie-sports-biggest-hurdles/2007/07/14/1183833851449.html?page=2 Holy Grails]. ''Sydney Morning Herald''. 2010年5月12日閲覧。</ref><ref>[http://www.athletics.com.au/fanzone/athleteprofiles/patrick_johnson Athlete Profiles - Patrick Johnson] {{webarchive|url=http://www.webcitation.org/5hgXNeXll?url=http://www.athletics.com.au/fanzone/athleteprofiles/patrick_johnson |date=2009年06月21日 }}. Athletics Australia. 2010年5月12日閲覧。</ref>。その後、2010年に白色人種である[[フランス]]の[[クリストフ・ルメートル]]、2015年に黄色人種である中国の[[蘇炳添]]、同じく2015年にイラン人の母とモロッコ人の父を持つイギリス人の[[アダム・ジェミリ]]が記録した。[[日本陸上競技連盟]]科学委員長を務める[[筑波大学]][[助教授]](当時)の[[阿江通良]]は1999年6月23日付[[読売新聞]]の解説の中で、「おしりが大きく、ももが太くて短く、ひざから下は細くて長い体形」<ref name="yomiuri0623">小石川弘幸「男子100メートルで9秒79の世界新技術に改善余地(解説)」『讀賣新聞』1999年6月23日東京朝刊、16頁、解説面。</ref> と、身体的なエネルギー効率の良さを指摘し黒色人種の優位性を説いた。他方、欧米では非黒色人種の優秀な短距離選手が熾烈な競争を避けて[[中距離走]]へと転向していることが、[[人種]]的な差異の原因になっていると考える説も存在する<ref name="yomiuri0623"/>。
9秒台を記録した選手は、白色人種と[[アボリジニ]]のハーフである[[オーストラリア]]の[[パトリック・ジョンソン]]が2003年に達成するまでは、全て[[アフリカ]]にルーツを持つ黒色人種であった<!--その身体的特徴が短距離走に適していると考えられている--><ref>Will Swanton and David Sygall, (2007-07-15). [http://www.smh.com.au/news/sport/aussie-sports-biggest-hurdles/2007/07/14/1183833851449.html?page=2 Holy Grails]. ''Sydney Morning Herald''. 2010年5月12日閲覧。</ref><ref>[http://www.athletics.com.au/fanzone/athleteprofiles/patrick_johnson Athlete Profiles - Patrick Johnson] {{webarchive|url=https://webcitation.org/5hgXNeXll?url=http://www.athletics.com.au/fanzone/athleteprofiles/patrick_johnson |date=2009年06月21日 }}. Athletics Australia. 2010年5月12日閲覧。</ref>。その後、2010年に白色人種である[[フランス]]の[[クリストフ・ルメートル]]、2015年に黄色人種である中国の[[蘇炳添]]、同じく2015年にイラン人の母とモロッコ人の父を持つイギリス人の[[アダム・ジェミリ]]が記録した。[[日本陸上競技連盟]]科学委員長を務める[[筑波大学]][[助教授]](当時)の[[阿江通良]]は1999年6月23日付[[読売新聞]]の解説の中で、「おしりが大きく、ももが太くて短く、ひざから下は細くて長い体形」<ref name="yomiuri0623">小石川弘幸「男子100メートルで9秒79の世界新技術に改善余地(解説)」『讀賣新聞』1999年6月23日東京朝刊、16頁、解説面。</ref> と、身体的なエネルギー効率の良さを指摘し黒色人種の優位性を説いた。他方、欧米では非黒色人種の優秀な短距離選手が熾烈な競争を避けて[[中距離走]]へと転向していることが、[[人種]]的な差異の原因になっていると考える説も存在する<ref name="yomiuri0623"/>。


日本人としては[[伊東浩司]]が1998年12月13日の[[1998年アジア競技大会|バンコクアジア大会]]準決勝で10秒00を記録し壁が破られることが期待されたが、以降これが19年間日本記録として維持され、まさに「10秒の壁」は日本にとって高い壁であった。しかし2017年の[[日本学生陸上競技対校選手権大会]]で[[桐生祥秀]]が9秒98の記録を叩き出し日本人として初めて「10秒の壁」を破る選手となり<ref>{{Cite news|date=2017-09-09|url=https://www.nikkansports.com/m/sports/athletics/news/amp/1884721.html|title=桐生祥秀9秒98! 100mで日本人初の9秒台出た|newspaper=nikkansports.com|publisher=日刊スポーツ新聞社|accessdate=2017-09-09}}</ref>、その後2019年になると5月には[[サニブラウン・アブデル・ハキーム]]<ref>{{Cite news|url=https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201905120000180.html|title=サニブラウン9秒99!桐生祥秀に次ぐ2人目9秒台|newspaper=日刊スポーツ|date=2019-05-12|accessdate=2019-05-12}}</ref>、7月には[[小池祐貴]]<ref>{{Cite news|url=https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201907210000045.htm|title=小池会心9秒台「世界選手権もうひと伸び」一問一答|newspaper=日刊スポーツ|date=2019-07-21|accessdate=2019-07-21}}</ref>、2021年6月には[[山縣亮太]]<ref>{{Cite web|title=山県亮太9秒95日本新!日本人4人目9秒台、ついに「10秒の壁」突破 - 陸上 : 日刊スポーツ|url=https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/202106060000266.html|website=nikkansports.com|accessdate=2021-06-07|language=ja}}</ref> が9秒台を記録するなど、「10秒の壁」を破る選手が相次いでいる。
日本人としては[[伊東浩司]]が1998年12月13日の[[1998年アジア競技大会|バンコクアジア大会]]準決勝で10秒00を記録し壁が破られることが期待されたが、以降これが19年間日本記録として維持され、まさに「10秒の壁」は日本にとって高い壁であった。しかし2017年の[[日本学生陸上競技対校選手権大会]]で[[桐生祥秀]]が9秒98の記録を叩き出し日本人として初めて「10秒の壁」を破る選手となり<ref>{{Cite news|date=2017-09-09|url=https://www.nikkansports.com/m/sports/athletics/news/amp/1884721.html|title=桐生祥秀9秒98! 100mで日本人初の9秒台出た|newspaper=nikkansports.com|publisher=日刊スポーツ新聞社|accessdate=2017-09-09}}</ref>、その後2019年になると5月には[[サニブラウン・アブデル・ハキーム]]<ref>{{Cite news|url=https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201905120000180.html|title=サニブラウン9秒99!桐生祥秀に次ぐ2人目9秒台|newspaper=日刊スポーツ|date=2019-05-12|accessdate=2019-05-12}}</ref>、7月には[[小池祐貴]]<ref>{{Cite news|url=https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201907210000045.htm|title=小池会心9秒台「世界選手権もうひと伸び」一問一答|newspaper=日刊スポーツ|date=2019-07-21|accessdate=2019-07-21}}</ref>、2021年6月には[[山縣亮太]]<ref>{{Cite web|和書|title=山県亮太9秒95日本新!日本人4人目9秒台、ついに「10秒の壁」突破 - 陸上 : 日刊スポーツ|url=https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/202106060000266.html|website=nikkansports.com|accessdate=2021-06-07|language=ja}}</ref> が9秒台を記録するなど、「10秒の壁」を破る選手が相次いでいる。


== 電動計時による記録 ==
== 電動計時による記録 ==
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|北中米
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|2021年5月13日
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|着差別最高記録
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|
|-
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|北中米
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|}
|}


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|2021
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|アジア
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|北中米カリブ海諸国
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|南アメリカ
|南アメリカ
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*[http://www.futuretimeline.net/21stcentury/2060-2069.htm#100msprint 2068 - A major landmark in the world of athletics]


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2024年10月14日 (月) 06:47時点における最新版

電動計時による平地記録で初めて10秒の壁を破ったカール・ルイス

10秒の壁(じゅうびょうのかべ、: 10-second barrier)は、陸上競技男子100メートル競走において達成困難と考えられていた9秒台に対する記録の壁である。その壁を越えた記録は偉大な短距離選手の証明と見なされている。一方、トレーニング方法や外部環境要因の改善によって1990年代以降9秒台の自己記録を持った選手が増加し、その意義は以前ほど特別なものとは見なされなくなりつつある[1][2]

歴史

[編集]

1960年6月に西ドイツアルミン・ハリーの手によって10秒0が記録され、これが更新されるまで8年の年月を要した。最初の9秒台は1968年6月20日、ストップウォッチによる手動計時によって記録された。その後、より精密な計測方法の電動計時が採用される過渡期にあった1968年10月14日、アメリカのジム・ハインズがこの10秒の壁を破った。ハインズは、メキシコシティーオリンピック男子100mで優勝し、この時世界新記録を樹立する9秒95で走破した。ハインズの後、1977年8月11日にキューバシルビオ・レオナルドが9秒98を記録するまで2度目の9秒台が記録されるのにおよそ9年を要した。これら2つの成績はいずれも高地記録(high altitude)として記録された。

1983年5月14日9秒97を記録したカール・ルイスが、平地で9秒台を達成した最初の短距離選手となった。ルイスに続いてカルヴィン・スミスが1983年7月3日に9秒93の世界新記録を樹立。同年8月にも9秒台を記録し、10秒の壁を2度越えた最初の短距離選手になった。その後1980年代に多くの選手が10秒の壁を破った。そして1991年世界陸上競技選手権大会男子100m決勝は、6人の選手が9秒台の自己新記録で走破し、優勝したルイスが9秒86に世界記録を縮めるなど、10秒の壁が破られた後の新しい世界の頂点を象徴するものとなった[3]。2014年9月現在、ブラジルロブソン・ダ・シルバが10秒00の大陸記録を保持する南米を除いた5つの地域陸連の選手によって、10秒の壁は破られ続けている[4]

  • 1960年6月21日 西ドイツのアルミン・ハリーが10秒0(手動)の世界新記録を樹立し、10秒0に到達する。
    • この後8年間で9人の選手が10秒0を記録。
  • 1968年6月20日 アメリカのジム・ハインズ、チャールズ・エドワード・グリーンロニー・レイ・スミスが全米選手権準決勝で9秒9(手動)を記録し、10秒の壁を破る9秒9の世界新記録を樹立。電動計時によるハインズの記録は10秒03。
  • 1968年10月14日 アメリカのジム・ハインズがメキシコシティーオリンピック100m決勝で9秒95(電動)を記録、10秒の壁を破る。標高2240mで記録された高地記録。初めてオリンピック男子100m決勝進出者全員が黒色人種となる。
    • 1976年までに8人が9秒9(手動)を記録し、10秒の壁を破る。
    • 1977年1月 IAAFが記録公認の条件を電動計時に限定。
  • 1983年5月14日 アメリカのカール・ルイスがカリフォルニア州モデストの競技会で9秒97(電動)を記録、平地ではじめて10秒の壁を破る。
  • 2021年8月14日、ケニアファーディナンド・オムルワオーストリアの大会にて準決勝で9秒96、決勝で9秒86を記録し長距離王国勢として初めて10秒の壁を破った。

10秒の壁が破られた背景には、選手の努力やトレーニング方法の改良とともに用具や環境の変化が大きな影響を及ぼしたと考えられている。

IAAFは、指定した競技規則に従い超音波風速風向計により計測された追い風2.0m/秒以下の条件下で、電動計時により計測され[N]、かつドーピングによらない成績だけが公認されるとしている[5][N]。風速計の不調やルール違反により選手の記録が無効とされることがある[6][7][N]1964年東京オリンピック前後から電子計時、1972年ミュンヘンオリンピックからスリットカメラ1991年世界陸上競技選手権大会ではスリットビデオがそれぞれ導入され、科学的でより正確な判定が行なわれるようになった[8][9]

1991年世界陸上競技選手権大会では50台以上のビデオカメラが使用され、選手のフォーム、スピードの変化、ストライド、が計測された[7]。このような計測結果をもとに科学的な研究が進み、トレーニング方法は改良されてきた。東京大学大学院の深代千之教授が2008年6月24日付毎日新聞で、1991年世界陸上競技選手権を分析した結果、股関節周辺の筋肉の重要性と脚全体をしならせる動きが速く走るために必要な条件であると解説した[1]。男子110mハードルの元日本記録保持者で筑波大学大学院の谷川聡講師は、2008年6月24日付毎日新聞のウサイン・ボルトの世界記録更新の話題の中で精神面が記録に及ぼす影響に指摘し、記録を求めようとすると逆に全力を発揮できない可能性について言及した[1]

全天候トラックの導入

[編集]
2000年シドニーオリンピックにて
左からアト・ボルドンモーリス・グリーンオバデレ・トンプソン

オリンピックでは1936年ベルリンオリンピックごろからすでにアンツーカーを表層材に用いたトラックが採用されており、1964年東京オリンピックまでこれが用いられていた。1968年メキシコシティーオリンピック以降は表層にポリウレタン舗装が施された全天候トラックが採用された[10]。アンツーカーはスパイクで掘れて入力が分散してしまう上に、多量の水分を含むと軟弱化し、安定して記録を生み出せる走路ではなかった[11]。これに比べてウレタン素材は弾力性に富み反発が得られるために選手のストライドを広げることに貢献し、アンツーカーと比較して記録が2%向上したと言われる[11]1991年世界陸上競技選手権大会の実施会場である国立霞ヶ丘競技場陸上競技場硬度60度のウレタンが使用され、100m決勝では6人の選手が自己記録を更新して9秒台を記録した[12]

シューズの改良

[編集]

1960年ごろから選手専用のスパイクシューズが開発されはじめ、記録の更新に貢献した。1960年代後半以降の全天候トラックの普及に伴い、スパイクピンの形状変更など路盤に対応する改良が施され、選手に合った素材・形状の追求が進められた。

ルイスは世界陸上競技選手権ローマ大会で市販モデルに一部変更を施した片足190gのシューズを使用し、世界記録タイの9秒93を記録した。この後耐久性と市販化をあきらめた選手専用スパイクとして軽量化にこだわり、115gまで重量を落とした結果、世界陸上競技選手権東京大会で9秒86の世界新記録を樹立している[13]。その他、フランク・フレデリクスバイオメカニクス理論を追究し軟らかめの素材を用いた140gのシューズを、モーリス・グリーンは反発力と弾力性を重視した196gのシューズを愛用するなど、選手の性質と嗜好に合わせた開発が進められた[14]

2009年世界陸上競技選手権にて
左からトンプソンパウエルゲイボルト

選手のプロ化

[編集]

1970年前後からスポーツ界のアマチュア規定の議論が進むとともにこれが緩和された[15]。最大の陸上競技大会の1つであるオリンピックの商業化とともに1984年ロサンゼルスオリンピック前から選手のプロ化が容認され、広告収入を得た選手でもオリンピックに出場ができるようになった。それまではボブ・ヘイズやジム・ハインズがプロフットボールに道を求めるなど、100m金メダリストであっても職業として陸上を続けることは不可能だったが、商業化に伴いスポンサーを得ることによって陸上に専念できる環境が整うようになった[16]

人種

[編集]

9秒台を記録した選手は、白色人種とアボリジニのハーフであるオーストラリアパトリック・ジョンソンが2003年に達成するまでは、全てアフリカにルーツを持つ黒色人種であった[17][18]。その後、2010年に白色人種であるフランスクリストフ・ルメートル、2015年に黄色人種である中国の蘇炳添、同じく2015年にイラン人の母とモロッコ人の父を持つイギリス人のアダム・ジェミリが記録した。日本陸上競技連盟科学委員長を務める筑波大学助教授(当時)の阿江通良は1999年6月23日付読売新聞の解説の中で、「おしりが大きく、ももが太くて短く、ひざから下は細くて長い体形」[11] と、身体的なエネルギー効率の良さを指摘し黒色人種の優位性を説いた。他方、欧米では非黒色人種の優秀な短距離選手が熾烈な競争を避けて中距離走へと転向していることが、人種的な差異の原因になっていると考える説も存在する[11]

日本人としては伊東浩司が1998年12月13日のバンコクアジア大会準決勝で10秒00を記録し壁が破られることが期待されたが、以降これが19年間日本記録として維持され、まさに「10秒の壁」は日本にとって高い壁であった。しかし2017年の日本学生陸上競技対校選手権大会桐生祥秀が9秒98の記録を叩き出し、日本人として初めて「10秒の壁」を破る選手となり[19]、その後2019年になると5月にはサニブラウン・アブデル・ハキーム[20]、7月には小池祐貴[21]、2021年6月には山縣亮太[22] が9秒台を記録するなど、「10秒の壁」を破る選手が相次いでいる。

電動計時による記録

[編集]
# 記録年月日 競技者氏名 記録000
(s)
風速
m/s
記録時
年齢
国籍 大陸 個人記録
(記録年)
備考
1 1968年10月14日 ジム・ハインズ 9.95 (A)[N] +0.3 22歳034日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (1968)
2 1977年8月11日 シルビオ・レオナルド 9.98 (A) +0.6 21歳325日  キューバ 北中米 9.98 (1977)
3 1983年5月14日 カール・ルイス 9.97 +1.5 21歳317日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.86 (1991)
4 1983年7月3日 カルヴィン・スミス 9.93 (A) +1.4 22歳176日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.93 (1983)
5 1984年5月5日 メル・ラッタニー英語版 9.96 +0.1 24歳269日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (1984)
6[N] 1988年9月24日 リンフォード・クリスティ 9.97 +1.1 28歳175日 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.87 (1993)
7 1989年5月20日 レイモンド・スチュワート 9.97 +1.0 24歳063日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.96 (1991)
8 1989年6月16日 リロイ・バレル 9.94 +0.8 22歳115日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.85 (1994)
9 1991年8月25日 デニス・ミッチェル 9.99 +1.1 25歳186日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.91 (1991)
10 1991年8月25日 フランク・フレデリクス 9.95 +1.2 23歳327日 ナミビアの旗 ナミビア アフリカ 9.86 (1996)
11 1991年9月11日 アンドレ・ケーソン 9.99 +1.5 22歳234日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.92 (1993)
12 1992年4月4日 オラパデ・アデニケン 9.97 +1.2 22歳229日 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.95 (1994)
13 1992年4月18日 マイク・マーシュ 9.93 -0.6 24歳258日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.93 (1992)
14 1992年4月18日 デビッドソン・エジンワ 9.96 -0.6 20歳148日 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.94 (1994)
15 1993年5月21日 ダニエル・エフィオン英語版 9.99 +1.0 20歳338日 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.98 (1993)
16 1994年7月22日 ジョン・ドラモンド 9.99 +1.9 25歳316日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.92 (1997)
17 1995年4月22日 ドノバン・ベイリー 9.99 +0.9 27歳127日 カナダの旗 カナダ 北中米 9.84 (1996)
18 1995年6月15日 ブルニー・スリン 9.97 +1.3 27歳338日 カナダの旗 カナダ 北中米 9.84 (1999)
19 1996年4月21日 アト・ボルドン 9.93 +1.3 22歳113日 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.86 (1998)
20 1997年6月12日 モーリス・グリーン 9.96 +1.5 22歳324日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.79 (1999)
21 1997年6月12日 カリーム・ストリート=トンプソン 9.96 +0.8 24歳074日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (1997)
22 1997年6月12日 ティム・モンゴメリ 9.96 +1.6 22歳138日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.92 (1997)
23 1997年6月20日 パーシバル・スペンサー 9.98 +1.4 22歳116日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.98 (1997)
24 1997年7月13日 セウン・オグンコヤ 9.97 +1.5 19歳197日 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.92 (1998) [23]
25 1998年8月9日 ヴィンセント・ヘンダーソン英語版 9.95 +0.8 25歳293日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (1998)
26 1998年9月11日 オバデレ・トンプソン 9.87 (A) -0.2 22歳165日 バルバドスの旗 バルバドス 北中米 9.87 (1998)
27 1999年6月5日 レオナード・マイルズ=ミルズ 9.98 +1.6 26歳027日 ガーナの旗 ガーナ アフリカ 9.98 (1999)
28 1999年6月13日 ドウェイン・チェンバース 9.99 +1.1 21歳069日 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.97 (1999)
29 1999年7月2日 ジェイソン・ガードナー 9.98 +0.4 23歳287日 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.98 (1999)
30 1999年7月5日 ティム・ハーデン 9.92 +1.0 25歳159日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.92 (1999)
31 2000年6月2日 コビー・ミラー 9.98 +0.4 23歳227日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.98 (2000)
32 2000年6月2日 バーナード・ウィリアムズ 9.99 +0.4 22歳135日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.94 (2001)
33 2000年7月5日 フランシス・オビクウェル 9.97 +1.0 21歳212日 ナイジェリアの旗 ナイジェリア[N] アフリカ 9.86 (2004)
34 2002年4月12日 ショーン・クロフォード 9.99 +0.6 24歳088日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.88 (2004)
35 2002年4月21日 ジョシュア・ジョンソン 9.95 +1.8 25歳346日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (2002)
36 2002年5月4日 ブライアン・ルイス 9.99 +0.5 27歳150日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2002)
37 2002年7月27日 キム・コリンズ 9.98 +0.2 26歳113日 セントクリストファー・ネイビスの旗 セントクリストファー・ネイビス 北中米 9.93 (2016)
38 2003年5月5日 パトリック・ジョンソン 9.93 +1.8 30歳221日 オーストラリアの旗 オーストラリア オセアニア 9.93 (2003)
39 2003年7月19日 デジ・アリウ 9.98 0.0 27歳239日 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.95 (2003)
40 2003年8月15日 ジョン・カペル英語版 9.97 +1.3 24歳261日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (2004)
41 2003年8月15日 ジャスティン・ガトリン 9.97 +1.3 21歳186日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.74 (2015)
42 2003年8月15日 ミッキー・グリメス英語版 9.99 +1.5 26歳309日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2003)
43 2003年10月12日 ウチェナ・エメドル 9.97 +0.6 27歳025日 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.97 (2003)
44 2004年6月12日 アサファ・パウエル 9.99 +1.8 21歳202日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.72 (2008)
45 2005年6月14日 アジズ・ザカリ 9.99 +1.6 28歳285日 ガーナの旗 ガーナ アフリカ 9.99 (2005)
46 2005年6月25日 マルク・バーンズ 9.96 +1.0 22歳169日 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.96 (2005)
47 2005年6月25日 ダレル・ブラウン 9.99 +1.0 20歳257日 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.99 (2005)
48 2005年7月5日 ロナルド・ポニョン 9.99 +1.8 22歳231日 フランスの旗 フランス ヨーロッパ 9.99 (2005)
49 2005年7月22日 レオナルド・スコット 9.94 +1.0 25歳184日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.91 (2006)
50 2006年5月12日 オルソジ・ファスバ 9.93 +1.1 21歳320日 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.85 (2006)
51 2006年7月25日 タイソン・ゲイ 9.97 +0.2 23歳346日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.69 (2009)
52 2006年8月18日 マーカス・ブランソン 9.99 +1.0 28歳116日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2006)
53 2007年4月28日 デリック・アトキンス 9.98 +2.0 23歳109日 バハマの旗 バハマ 北中米 9.91 (2007)
54 2007年6月8日 ウォルター・ディックス 9.93 0.0 21歳128日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.88 (2010)
55 2007年7月26日 サミュエル・フランシス 9.99 +0.9 20歳121日 カタールの旗 カタール アジア 9.99 (2007)
56 2007年9月28日 ウォーレス・スピアモン 9.96 0.0 22歳278日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (2007)
57 2008年5月10日 トラビス・パジェット 9.96 +1.2 21歳149日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.89 (2008)
58 2008年5月3日 ウサイン・ボルト 9.76 +1.8 21歳270日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.58 (2009) 世界記録
59 2008年5月18日 リチャード・トンプソン 9.93 -0.1 22歳346日 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.82 (2014)
60 2008年6月28日 ロドニー・マーティン 9.95 +1.6 25歳189日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (2008) [24]
61 2008年6月28日 マーク・ジェルクス 9.99 +1.6 24歳079日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2008) [24]
62 2008年6月28日 ダービス・パットン 9.89 +1.6 30歳207日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.89 (2008) [24]
63 2008年6月28日 アイボリー・ウィリアムズ 9.94 +1.6 23歳057日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.93 (2009) [24]
64 2008年7月22日 ネスタ・カーター 9.98 +1.0 22歳285日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.78 (2010)
65 2008年8月15日 チュランディ・マルティナ 9.99 -0.1 24歳043日 オランダ領アンティルの旗 オランダ領アンティル/
オランダの旗 オランダ(2010年10月10日以降)
北中米 9.91 (2012)
66 2008年8月16日 マイケル・フレイター 9.97 0.0 25歳315日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.88 (2011)
67 2009年5月24日 ダニエル・ベイリー 9.99 -0.3 22歳257日 アンティグア・バーブーダの旗 アンティグア・バーブーダ 北中米 9.91 (2009)
68 2009年6月7日 マイク・ロジャース 9.94 +1.7 24歳044日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.85 (2011) [25]
69 2009年7月10日 ヨハン・ブレーク 9.96 +0.4 19歳196日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.69 (2012) [26]
70 2009年8月28日 レローン・クラーク 9.99 +0.4 28歳052日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.99 (2009)
71 2010年7月9日 クリストフ・ルメートル 9.98 +1.3 20歳028日 フランスの旗 フランス ヨーロッパ 9.92 (2011)
72 2010年8月19日 トレル・キモンズ 9.95 -0.8 25歳037日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (2010)
73 2010年8月29日 ライアン・ベイリー 9.95 +0.9 21歳138日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.88 (2010)
74 2010年8月29日 マリオ・フォーサイス 9.99 +0.9 24歳303日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.95 (2010)
75 2011年4月16日 スティーブ・マリングス 9.90 +2.0 28歳139日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.80 (2011)
76 2011年4月23日 ンゴニザシェ・マクシャ 9.97 +2.0 24歳043日 ジンバブエの旗 ジンバブエ アフリカ 9.89 (2011)
77 2011年6月4日 ニッケル・アシュミード 9.96 +1.1 21歳058日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.90 (2013)
78 2011年6月4日 キーストン・ブレドマン 9.93 +1.0 23歳088日 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.86 (2012)
79 2011年6月10日 ラキーム・サラーム英語版 9.97 +1.3 21歳066日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.97 (2011)
80 2011年6月30日 ジェイスマ・サイディ・ンドゥレ 9.99 +1.0 26歳364日  ノルウェー ヨーロッパ 9.99 (2011)
81 2012年6月6日 ハリー・アダムス英語版 9.96 +1.4 22歳192日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (2012)
82 2012年7月7日 ケマー・ハイマン 9.95 +1.8 22歳270日 ケイマン諸島の旗 ケイマン諸島 北中米 9.95 (2012)
83 2012年9月7日 ケマー・ベイリー=コール 9.97 +0.3 20歳241日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.92 (2015)
84 2013年5月23日 アイザイア・ヤング 9.99 +0.3 23歳138日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.92 (2018)
85 2013年6月5日 デンタリウス・ロック英語版 9.97 +1.9 23歳175日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (2013)
86 2013年6月8日 ガブリエル・ムブムブレ 9.98 +1.9 25歳105日 ジンバブエの旗 ジンバブエ アフリカ 9.98 (2013)
87 2013年6月21日 チャールズ・シルモン 9.98 +1.1 21歳352日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.98 (2013)
88 2013年7月13日 ジェームズ・ダサオル 9.91 +1.1 25歳311日 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.91 (2013)
89 2013年7月13日 ジミー・ヴィコ 9.95 +0.9 21歳136日 フランスの旗 フランス ヨーロッパ 9.86 (2015)
90 2014年4月12日 サイモン・マガクウェ 9.98 (A) +1.4 27歳333日 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 アフリカ 9.98 (2014)
91 2014年5月17日 ケマーリー・ブラウン 9.93 +1.8 21歳301日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.93 (2014)
92 2014年6月8日 チジンドゥ・ウジャー 9.96 +1.4 20歳95日 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.96 (2014)
93 2014年6月13日 トレイヴォン・ブロメル 9.97 +1.8 18歳338日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.76 (2021)
94 2014年9月28日 フェミ・オグノデ 9.93 +0.4 23歳136日 カタールの旗 カタール アジア 9.91 (2015)
95 2015年5月10日 クレイトン・ヴォーン英語版 9.93 +1.7 22歳360日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.93 (2015)
96 2015年5月17日 アンドレ・ドグラス 9.97 +0.6 20歳188日 カナダの旗 カナダ 北中米 9.90 (2019)
97 2015年5月17日 ブライス・ロビンソン 9.99 +1.6 21歳185日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2015)
98 2015年5月20日 マーヴィン・ブレイシー英語版 9.95 +0.2 21歳156日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.85 (2021)
99 2015年5月30日 蘇炳添 9.99 +1.5 25歳274日 中華人民共和国の旗 中国 アジア 9.83 (2021)
100 2015年6月7日 アダム・ジェミリ 9.97 +2.0 21歳244日 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.97 (2015)
101 2015年6月25日 ディオンドレ・バトソン 9.94 +1.7 22歳347日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.94 (2015)
102 2015年6月25日 ビージェイ・リー 9.99 +1.7 22歳48日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2015)
103 2015年6月25日 クエンティン・バトラー 9.96 +1.3 22歳280日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (2015)
104 2015年7月1日 アカニ・シンビネ 9.99 -0.2 21歳283日 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 アフリカ 9.84 (2021)
105 2015年7月5日 ヘンリコ・ブルンジース 9.97 +0.8 21歳354日 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 アフリカ 9.97 (2015)
106 2015年7月11日 アンドリュー・フィッシャー 9.94 +1.4 23歳208日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.94 (2015)
107 2016年3月12日 ウェイド・ヴァン・ニーケルク 9.98 (A) +1.5 23歳241日 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 アフリカ 9.94 (2017)
108 2016年4月23日 オマール・マクレオド 9.99 +2.0 21歳364日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.99 (2016)
109 2016年6月2日 アミール・ウェブ 9.94 +1.0 25歳75日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.94 (2016)
110 2016年6月6日 ベン=ユスフ・メイテ 9.99 +1.1 29歳208日 コートジボワールの旗 コートジボワール アフリカ 9.96 (2016)
111 2016年6月8日 セノイ=ジェイ・ギヴァンス英語版 9.96 +1.6 22歳161日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.96 (2016)
112 2016年6月11日 アーロン・ブラウン 9.96 +2.0 24歳15日 カナダの旗 カナダ 北中米 9.96 (2016)
113 2016年6月12日 ジャック・アリ・ハーヴェイ 9.92 (A) +0.9 27歳39日 トルコの旗 トルコ ヨーロッパ 9.92 (2016)
114 2016年6月25日 ロンデル・ソリロ 9.99 +1.7 30歳153日 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.99 (2016)
115 2016年7月3日 クリスチャン・コールマン 9.95 +1.7 20歳30日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.76 (2019)
116 2016年7月30日 ジョエル・フィアロン英語版 9.96 +2.0 27歳293日 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.96 (2016)
117 2017年3月17日 タンド・ロト英語版 9.95 (A) +1.2 21歳172日 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 アフリカ 9.95 (2017)
118 2017年4月15日 ロニー・ベイカー 9.99 +0.1 23歳182日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.83 (2021)
119 2017年4月22日 オディーン・スキーン 9.98 +2.0 22歳237日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.98 (2017)
120 2017年5月13日 ネサニール・ミッチェル=ブレーク 9.99 +0.6 23歳41日 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.99 (2017)
121 2017年6月7日 キャメロン・バレル 9.93 +0.8 22歳269日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.93 (2017)
122 2017年6月7日 クリストファー・ベルチャー英語版 9.93 +1.6 23歳129日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.93 (2017)
123 2017年6月23日 ジュリアン・フォルテ英語版 9.99 +0.8 24歳167日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.91 (2017)
124 2017年7月6日 ラミル・グリエフ 9.97 +1.5 27歳38日 トルコの旗 トルコ ヨーロッパ 9.97 (2017)
125 2017年9月9日 桐生祥秀 9.98 +1.8 21歳268日 日本の旗 日本 アジア 9.98 (2017)
126 2018年5月13日 ケンダル・ウィリアムズ英語版 9.99 +1.1 22歳232日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2018)
127 2018年5月25日 ジェイレン・ベーコン英語版 9.97 +0.9 21歳293日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.97 (2018)
128 2018年5月25日 アンドレ・エワーズ 9.98 +1.9 22歳352日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.98 (2018)
129 2018年6月9日 ツァーネル・ヒューズ 9.91 +0.4 22歳331日 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.91 (2018)
130 2018年6月9日 ノア・ライルズ 9.93 +0.4 20歳326日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.86 (2019)
131 2018年6月16日 アルトゥール・シセ英語版 9.94 -0.2 21歳169日 コートジボワールの旗 コートジボワール アフリカ 9.93 (2019)
132 2018年6月19日 謝震業 9.97 +0.9 24歳306日 中華人民共和国の旗 中国 アジア 9.97 (2018)
133 2018年6月22日 フィリッポ・トルトゥ 9.99 +0.2 20歳7日 イタリアの旗 イタリア ヨーロッパ 9.99 (2018)
134 2018年7月9日 バラカト・アル=ハルティ 9.97 +1.7 30歳24日 オマーンの旗 オマーン アジア 9.97 (2018)
135 2018年7月21日 ティクエンド・トレーシー英語版 9.96 +0.2 22歳41日 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.96 (2018)
136 2018年8月7日 リーシー・プリスコット 9.96 +0.7 22歳160日 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.93 (2022)
137 2019年2月22日 ロベルト・スカイヤーズ 9.98 +1.0 27歳102日 キューバの旗 キューバ 北中米 9.98 (2018)
138 2019年4月20日 ディバイン・オドゥドゥル英語版 9.94 +0.8 22歳195日 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.86 (2019)
139 2019年5月11日 サニブラウン・アブデル・ハキーム 9.99 +1.8 20歳66日 日本の旗 日本 アジア 9.97 (2019)
140 2019年5月12日 クレイヴォン・ガレスピー 9.97 +0.2 22歳285日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.93 (2018)
141 2019年6月5日 マリオ・バーク 9.98 +1.3 22歳79日 バルバドスの旗 バルバドス 北中米 9.98 (2019)
142 2019年7月20日 小池祐貴 9.98 +0.5 24歳68日 日本の旗 日本 アジア 9.98 (2019)
143 2019年8月27日 レイモンド・エケヴォ英語版 9.96 +1.6 20歳156日 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.96 (2019)
144 2020年7月20日 マイケル・ノーマン 9.86 +1.6 22歳230日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.86 (2020)
145 2021年3月26日 ベンジャミン・アザマティ・クワク 9.97 +1.5 23歳71日 ガーナの旗 ガーナ アフリカ 9.90 (2022)
146 2021年4月10日 カイリー・キング 9.97 +1.9 26歳275日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (2022)
147 2021年4月17日 ジョバン・マーティン 9.94 +1.6 21歳 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.94 (2021)
148 2021年4月24日 フレッド・カーリー 9.91 +2.0 25歳352日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.76 (2022)
149 2021年5月13日 マーセル・ジェイコブス 9.95 +1.5 26歳229日 イタリアの旗 イタリア ヨーロッパ 9.80 (2021)
150 2021年5月14日 トロットリソ・リオトレラ 9.94 +1.3 23歳2日 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 アフリカ 9.94 (2021)
151 2021年6月6日 山縣亮太 9.95 +2.0 28歳361日 日本の旗 日本 アジア 9.95 (2021)
152 2021年6月20日 ケニー・ベドナレク 9.96 +0.8 22歳 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.89 (2021)
153 2021年6月20日 マイカ・ウィリアムス 9.91 +0.8 20歳 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.86 (2022)
154 2021年7月31日 イノック・アデゴケ 9.98 +0.3 21歳 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.98
155 2021年8月14日 ファーディナンド・オムルワ 9.96 +0.4 25歳  ケニア アフリカ 9.77 (2021)
156 2022年4月14日 マシュー・ボーリング 9.98 +1.6 21歳 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.98

注釈

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  • 1  標高1000メートル以上の地点において記録された高地記録
  • 2  フランシス・オビクウェルは2001年ポルトガル国籍を取得したが、最初に壁を打ち破ったのはナイジェリア時代のことであった。
  • 3  ベン・ジョンソン (カナダ)は2度世界記録を更新するなど、10秒の壁を突破した6人目の競技者であったが、それらは全てドーピングによるものであった。
  • 4  マーク・ルイス=フランシス (英国)は2001年世界陸上競技選手権で9秒97を記録したが、風速計の誤作動によるものとして公認されなかった。
  • 5  1977年1月、IAAF (国際陸上競技連盟)は電動計時を記録公認の条件として指定した。

種別記録

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年次別記録
年度 記録者数
1968 1
1977 1
1983 2
1984 1
1988 1
1989 2
1991 3
1992 3
1993 1
1994 1
1995 2
1996 1
1997 5
1998 2
1999 4
2000 3
2002 4
2003 6
2004 1
2005 5
2006 3
2007 4
2008 10
2009 4
2010 4
2011 6
2012 3
2013 6
2014 5
2015 12
2016 10
2017 9
2018 11
2019 7
2020 1
2021 11
2022 3
地域陸連別記録
大陸 記録者数
アフリカ 26
アジア 9
ヨーロッパ 18
オセアニア 1
北中米カリブ海諸国 103
南アメリカ 0

手動計時による記録

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手動計時において9秒9を記録した競技者を以下に掲載する。9秒9を記録すると同時に世界記録保持者となったが、その計時は完全に正確なものでなかったと推測される。1977年1月に電動計時による記録のみを公認とする変更がなされるまでは、手動計時による10分の1秒単位の記録が公認されていた[27]

記録年月日 競技者氏名 国籍 計時回数
1968年6月20日 ジム・ハインズ[28] アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2
1968年6月20日 スミス, ロニー・レイロニー・レイ・スミス アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 1
1968年6月20日 グリーン, チャールズ・エドワードチャールズ・エドワード・グリーン アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 1
1972年6月21日 ウィリアムズ, スティーブスティーブ・ウィリアムズ アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 4
1972年7月1日 ハート, エドワードエドワード・ハート アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 1
1972年7月1日 ロビンソン, レインナートレインナート・ロビンソン アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 1
1975年6月5日 レオナルド, シルビオシルビオ・レオナルド  キューバ 1
1976年4月3日 グランス, ハーヴェイハーヴェイ・グランス アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2
1976年5月22日 クォーリー, ドンドン・クォーリー ジャマイカの旗 ジャマイカ 1

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ a b c 坂巻士朗, 小松やしほ「特集ワイド:ひとはどこまで速く走れるか 750年後、8秒76に!?」『毎日新聞』2008年6月24日東京夕刊、2頁、総合面。
  2. ^ Gardener, Jason(2008-08-09). Jason Gardener: I'm backing Tyson Gay to win one of the greatest 100 metres finals. The Daily Telegraph. 2010年5月12日閲覧。
  3. ^ World Championships: A History”. Sporting Life. 2011年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年5月12日閲覧。
  4. ^ 100 metres records. IAAF. 2010年5月12日閲覧。
  5. ^ 陸上競技ルールブック2010掲載内容 第3章 ドーピング防止 日本陸上競技連盟. 2010年5月13日閲覧。
  6. ^ 野村隆宏「[スポーツここが知りたい]陸上競技の追い風参考記録 大ジャンプ「消えた」例も」『毎日新聞』1995年6月2日東京夕刊、6頁、スポーツ面。
  7. ^ a b 芝田裕一「人間はどこまで速く走れるの? 100メートル男子9秒6も夢じゃない」『讀賣新聞』2005年8月6日東京夕刊、7頁、テクC面。
  8. ^ 「1000分の1秒にかけた人生 熱いドラマ支えた計時マン 間違えるのは人間だ」『讀賣新聞』1996年7月14日東京朝刊、39頁、社会面。
  9. ^ 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、670-672頁。
  10. ^ 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、661-663頁。
  11. ^ a b c d 小石川弘幸「男子100メートルで9秒79の世界新技術に改善余地(解説)」『讀賣新聞』1999年6月23日東京朝刊、16頁、解説面。
  12. ^ 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、662頁。
  13. ^ NHK「プロジェクトX」制作班(2000)、57-99頁。
  14. ^ 「[最近運動用具考現学]陸上競技用シューズ之巻 選手、種目で違う特徴」『讀賣新聞』1999年8月21日東京夕刊、6頁、スポーツ面。
  15. ^ 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、293-295頁。
  16. ^ 小川勝(2008)、96頁。
  17. ^ Will Swanton and David Sygall, (2007-07-15). Holy Grails. Sydney Morning Herald. 2010年5月12日閲覧。
  18. ^ Athlete Profiles - Patrick Johnson Archived 2009年06月21日, at WebCite. Athletics Australia. 2010年5月12日閲覧。
  19. ^ “桐生祥秀9秒98! 100mで日本人初の9秒台出た”. nikkansports.com (日刊スポーツ新聞社). (2017年9月9日). https://www.nikkansports.com/m/sports/athletics/news/amp/1884721.html 2017年9月9日閲覧。 
  20. ^ “サニブラウン9秒99!桐生祥秀に次ぐ2人目9秒台”. 日刊スポーツ. (2019年5月12日). https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201905120000180.html 2019年5月12日閲覧。 
  21. ^ “小池会心9秒台「世界選手権もうひと伸び」一問一答”. 日刊スポーツ. (2019年7月21日). https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201907210000045.htm 2019年7月21日閲覧。 
  22. ^ 山県亮太9秒95日本新!日本人4人目9秒台、ついに「10秒の壁」突破 - 陸上 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2021年6月7日閲覧。
  23. ^ 関幸生(2005). 世界陸上ヘルシンキ大会『世陸コラム「アフリカ大陸ふしぎ?発見!」』 TBS. 2010年5月12日閲覧。
  24. ^ a b c d US Olympic Trials Men 100 Meter Dash Quarter Finals. en:USA Track & Field (2008-06-28). 2010年5月12日閲覧。
  25. ^ Lee, Kirby (2009-06-08). Phillips sails 8.74m in Eugene for best Long Jump in world since 1991 – IAAF World Athletics Tour. IAAF. 2010年5月12日閲覧。
  26. ^ Ramsak, Bob (2009-07-10). Gay powers back with 9.77 in Rome – REPORT - ÅF Golden League. IAAF. 2010年5月12日閲覧。
  27. ^ 小川勝(2008)、77頁。
  28. ^ A History of World Records - Interactive Graphic NYTimes.com(2008-08-16). 2010年5月12日閲覧。

参考文献

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  • 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会 『日本陸上競技連盟七十年史』 財団法人日本陸上競技連盟、1995年、1130頁。
  • ロベルト・L・ケルチェターニ著 財団法人日本陸上競技連盟監修 『近代陸上競技の歴史 1860-1991 誕生から現代まで〈男女別〉』 ベースボール・マガシン社、1992年、340頁。 ISBN 4-583-02945-4
  • 小川勝 『10秒の壁 ―――「人類最速」をめぐる百年の物語』 集英社〈集英社新書〉、2008年、203頁。 ISBN 978-4-08-720447-6
  • NHK「プロジェクトX」制作班編 『プロジェクトX 挑戦者たち 2 復活への舞台裏』 日本放送出版協会、2000年、300頁。 ISBN 4-14-080530-7

関連項目

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外部リンク

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