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くじゃく座

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
くじゃく座
Pavo
Pavo
属格 Pavonis
略符 Pav
発音 [ˈpeɪvoʊ]、属格:/pəˈvoʊnɨs/
象徴 孔雀
概略位置:赤経  17h 40m 40.4s -  21h 32m 44.3s[1]
概略位置:赤緯 -56.59° - -74.97°[1]
正中 8月25日21時
広さ 377.666平方度[2]44位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
24
3.0等より明るい恒星数 1
最輝星 α Pav(1.918
メシエ天体 0
確定流星群 Delta Pavonids
隣接する星座 はちぶんぎ座
ふうちょう座
さいだん座
ぼうえんきょう座
インディアン座
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くじゃく座(くじゃくざ、Pavo)は、現代の88星座の1つ。16世紀末に考案された比較的新しい星座で、クジャクをモチーフとしている[1][3]。星座の北端近くにあるα星でも赤緯-56°44′と南寄りに位置しており、日本国内から全容を見ることは難しい。

主な天体

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恒星

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2022年4月現在、国際天文学連合 (IAU) によって1個の恒星に固有名が認証されている[4]

そのほか、以下の恒星が知られる。

星団・星雲・銀河

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由来と歴史

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ウラノメトリア』に描かれたくじゃく座(右上)

くじゃく座は、1603年ヨハン・バイエルが出版した星図『ウラノメトリア』で世に知られるようになったためバイエルが新たに設定した星座と誤解されることがある[14]が、実際は1598年フランドル生まれのオランダ天文学者ペトルス・プランシウスが、オランダの航海士ペーテル・ケイセルフレデリック・デ・ハウトマン1595年から1597年にかけての東インド航海で残した観測記録を元に、オランダの天文学者ヨドクス・ホンディウス英語版と協力して製作した天球儀にクジャクの姿を描き、オランダ語の星座名 Pau とラテン語の星座名 Pavo をそれぞれ記したことに始まる[3]。そのため近年はケイセルとデ・ハウトマンが考案した星座とされている[15]

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Pavo、略称は Pav と正式に定められた[16]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない[注 1]

中国

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現在のくじゃく座の領域は、三垣二十八宿には含まれなかった。この領域の星々が初めて記されたのは明代末期1631年から1635年にかけてイエズス会士アダム・シャール徐光啓らにより編纂された天文書『崇禎暦書』であった[17]。この頃、明の首都北京の天文台にはバイエルの『ウラノメトリア』が2冊あり、南天の新たな星官は『ウラノメトリア』に描かれた新星座をほとんどそのまま取り入れたものとなっている[17]。これらの星座はそのまま清代1752年に編纂された天文書『欽定儀象考成』に取り入れられており、くじゃく座の星も「孔雀」という星官とされた[17]

呼称と方言

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日本では明治末期には「孔雀」という訳語が充てられていた。これは、1910年(明治43年)2月に刊行された日本天文学会の会誌『天文月報』の第2巻11号に掲載された、星座の訳名が改訂されたことを伝える「星座名」という記事で確認できる[18]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「孔雀(くじゃく)」として引き継がれ[19]1944年(昭和19年)に天文学用語が見直された際もこの呼称が継続して採用された[20]。戦後の1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[21]とした際に、Pavo の日本語の学名は「くじゃく」と改められた[22]。この改定以降は「くじゃく」が星座名として継続して用いられている。

現代の中国でも「孔雀座」と呼ばれている[23]

脚注

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注釈

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  1. ^ 100の目を持つ巨人アルゴスとクジャクの尾羽の模様に関するギリシャ神話があるが、くじゃく座とは関係がない。

出典

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  1. ^ a b c The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年2月27日閲覧。
  2. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  3. ^ a b Ridpath, Ian. “Pavo”. Star Tales. 2023年2月27日閲覧。
  4. ^ a b Mamajek, Eric E.. “IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2023年2月27日閲覧。
  5. ^ "alp Pav". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年12月13日閲覧
  6. ^ 『ステラナビゲータ11』(11.0i)AstroArts。 
  7. ^ "bet Pav". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月8日閲覧
  8. ^ "del Pav". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年12月13日閲覧
  9. ^ "SCR J1845-6357". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年12月13日閲覧
  10. ^ Frommert, Hartmut (2000年7月30日). “NGC 6752”. Spider's Homepage. 2023年2月27日閲覧。
  11. ^ a b Frommert, Hartmut (2006年8月22日). “The Caldwell Catalog”. SEDS Messier Database. 2023年2月27日閲覧。
  12. ^ "NGC 6744". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年2月27日閲覧
  13. ^ Wide Field Imager view of a Milky Way look-alike, NGC 6744”. www.eso.org (2011年6月1日). 2023年2月27日閲覧。
  14. ^ 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、26-30頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  15. ^ 山田陽志郎「星座」『天文年鑑 2013年版』誠文堂新光社、2012年11月25日。ISBN 978-4-416-21285-1 
  16. ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2023年2月27日閲覧。
  17. ^ a b c 大崎正次「清時代の星座」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、106-114頁。ISBN 4-639-00647-0 
  18. ^ 星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466 
  19. ^ 東京天文台 編『理科年表 第1冊丸善、1925年、61-64頁https://dl.ndl.go.jp/pid/977669/1/39 
  20. ^ 学術研究会議 編「星座名」『天文術語集』1944年1月、10頁。doi:10.11501/1124236https://dl.ndl.go.jp/pid/1124236/1/9 
  21. ^ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。ISBN 4-8181-9404-2 
  22. ^ 星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、158頁、ISSN 0374-2466 
  23. ^ 大崎正次「辛亥革命以後の星座」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、115-118頁。ISBN 4-639-00647-0 

座標: 星図 20h 00m 00s, −65° 00′ 00″