オオミズアオ
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オオミズアオ | |||||||||||||||||||||
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オオミズアオ(日本産)
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Actias aliena (Butler, 1879) | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
オオミズアオ |
中国を含む他国産 および 旧学名 | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Actias artemis (Bremer & Grey, 1853) | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
オオミズアオ |
オオミズアオ(大水青、学名 Actias aliena、旧学名 Actias artemis[1])は、チョウ目・ヤママユガ科に分類されるガの一種。日本では北海道から九州にかけて、国外では朝鮮半島,中国,ロシア南東部[2]に分布し、平地から高原まで生息域は広い。種名にギリシア神話のアルテミスが使われている。本種の日本産の学名は Actias artemis から Actias aliena に訂正されている[1][3][4]。古い一名としてユウガオビョウタンと呼ばれていた[5][6]。 幼虫の色彩はイラガの幼虫に似ている。
特徴
[編集]大型で白に近い薄緑色をしたガで、成虫の開帳は80 - 120 mmほど。前翅は三角形にとがり、後翅は後方に伸びて尾状になる。前翅の前縁は褐色になり、前翅と後翅にはそれぞれ中央に丸い斑紋が1個ずつある。触角は櫛歯状で、雄でははっきりとよく発達する。
出現期は4 - 8月頃。初夏と夏の2回発生し、蛹で越冬する。 幼虫は緑色のイモムシで、節ごとに毛の束が少しだけ出る。モミジ、ウメ,サクラ,リンゴなどバラ科、ブナ科、カバノキ科ほか多くの樹木[7]の葉を食べる。サクラの葉を食べるため、都心のビル街の街路樹などでも見かけることがある。
成虫は口が退化していることもあり、物を食べたり飲んだりすることはない。
近縁種
[編集]ヤママユガ科では比較的普通で、色が独特なので目を引く種であるが、以下の非常に似た種があり、混同されることも多い。
- オナガミズアオ A. gnoma (Butler)
- 外見での区別は難しいが、翅の先端の尖りが強いこと、体色の青みが強いこと、翅中央の丸い斑紋がオオミズアオではゆがんでいるがオナガミズアオでは丸いこと、止まったときの左右の前翅前縁部がオオミズアオではほぼ一直線となるのに対しオナガミズアオでは極端に「ハの字」となること[8][9]などで区別される。正確には交尾器を見なければならない[10]。
写真
[編集]-
幼虫・御在所岳にて
-
終齢幼虫(蛹化直前)
脚注
[編集]- ^ a b artemis のタイプ標本(♀)は日本産のオオミズアオと同種ではなく、近縁の別種であることが Dubatolov ら(2007)によって判明し、日本産のオオミズアオは aliena(Butler, 1879) を使用する事になった(一部表現を補足・縮約)。『日本産蛾類標準図鑑Ⅰ』325頁 オオミズアオ [分類]
- ^ 『日本産蛾類標準図鑑Ⅰ』325頁 オオミズアオ [分布] 国外分布域
- ^ 学名訂正に関して2008年時点での評価を述べたブログ記事 “Luna Moth Maniax オオミズアオ 2008”. Faunas & Floras Phase2. 2015年8月22日閲覧。
- ^ 学名訂正のアウトラインを記した2009年のブログ記事 “MothBlog+ オオミズアオの学名変更:ミステリアスなアルテミス”. 国立科学博物館研究員 神保宇嗣. 2015年8月23日閲覧。
- ^ 『昆蟲圖譜』 第三十三圖版 (鱗翅目)蛾之部 に「オホミヅアヲ(ユウガホベウタン)」とある。
- ^ 北杜夫「天の蛾」中で「…あまりにあおざめた美しさなので気味わるがる人もいる。一名をユウガオビョウタンともいい、…日本的な幽霊の相がある。…その色彩はたしかに日の光によって生まれたものではない。月や星の光、いや、それはやはり幽界の水のいろなのであろうか。」とオオミズアオの色彩を評する。
- ^ 『日本産蛾類標準図鑑Ⅰ』325頁 オオミズアオ [寄主植物]
- ^ 昆虫写真家・森上信夫は、枝に止まらせた場合、多くのヤママユガ科は翅をぺたっと開いて止まるが、オナガミズアオでは翅を打ち下ろすような形で前に伸ばす。壁に止まったオナガミズアオがオオミズアオと比べ前翅を著しく下げたスタイルを取りたがるのは翅を打ち下ろす角度を取りたいためとする。“続・きみは、オナガミズアオ?”. 森上 信夫. 2015年8月22日閲覧。
- ^ “オナガミズアオ”. 国土交通省 中国地方整備局 太田川河川事務所. 2023年5月8日閲覧。
- ^ 『原色日本蛾類図鑑(下)』224頁 第138図 にオオミズアオおよびオナガミズアオ♂の交尾器の違いが図示されている。
参考文献
[編集]- 岸田泰則編 編『日本産蛾類標準図鑑Ⅰ』学研教育出版、2011年4月19日。ISBN 978-4-05-403845-5。
- 江崎悌三(他)著『原色日本蛾類図鑑(下) 改訂新版』保育社、1971年。
- 平山修次郎著『原色千種 昆蟲圖譜』三省堂、1933年8月1日。LOGDESIGN publishing編 編『原色千種 昆虫図譜』(高解像度画像化復刻版)Amazon Kindle、2015年2月25日。
- 北杜夫著『どくとるマンボウ昆虫記』中央公論社, 新潮文庫他、1961年。