ガスワークパーク
ガスワークパーク(Gas Works Park)とは、 ワシントン州シアトル市内レイクユニオン湖畔にある公園。当初の継続的な環境問題というような整備思想とは関係なく、現在ではシアトルで最も人気のある公園の一つとなる。ランドスケープデザイナーのリチャード・ハーグの代表作としても知られ、ハーグはまたこの作品で、アメリカ造園家協会 (ASLA)協会長賞設計優秀賞を初受賞する。
経緯
[編集]もとは1906年に、レイクユニオンガス会社がシアトル石炭ガスプラントを構築した場所で、1956年、植物が覆い茂る状態のまま、古い製油所の塔を残して、閉鎖される。 1970年に市が土地購入後、リチャード・ハーグにこの地を公園開発するよう依頼した。
プランナーの仕事とみると、たいていは製油所の塔を解体したプランの提示が予想されたが、ハーグはそれらを維持する提案をした。歴史記念碑的なものとして設計に組み込めるようなものではなかったのであるが、むしろプラント像に注目し、これらが公園設計のためにアンカービジュアルとなる、と捕らえた。 市側は、この説得力のある急進的な計画は十分挑戦に値すると考え、その案を採用。工場をワシントン州が歩んだ近代工業プロセスをあらわすものとして残す方向に決定した。 その間ハーグも、表土中の有害汚染物質の自然破壊を刺激し土壌微生物が成長受精させる土壌だけでなく、有機材料として石油分解酵素を加える等といった、統合されたバイオレメディエーション方法について、それを改良せずに土壌を無害化する技術とデザインとを開発する方策を練っていく。こうして、この場所が風景と建築のデザイン性と生態系と持続可能性のシンボルとして注目を浴びていった。
デザインを施した箇所は130もの箇所に及び、ガスプラントが違和感なくなるようデザイン的な解決を行っていく。
別の次元では環境保護という点で最適な対策を取ったとみられているが、環境への配慮とは別に、もともとハーグしてもこの業務を委託される以前デザインコンペに参加した際、こうした案を提示していたことがあり、産業構造物の潜在的な美しさは認めていたのである。
その後こうした生態系ベースを基礎とした開発の有効性は、デザインとの両輪でワシントン大学の造園プログラムでも明らかにされ、都市生態・アーバンエコロジーとして定義されていく。
参考
[編集]- アメリカの公園・レクリエーション行政―その歴史的背景と事例研究 日本レクリエーション協会(監修, 余暇問題研究所編集