コンテンツにスキップ

クラシックスペシャリスト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

自転車競技ロードレースにおけるクラシックスペシャリストとは、各種クラシックレース世界選手権などワンデーレースで力を発揮する選手である。ワンデーレーサーとも呼ばれる。

特徴

[編集]

クラシックには色々な種類のレースが混在するため、一概には言えないが、おおむね以下のような特徴を数種類同時に兼ね備えている選手といえる。これらを兼ねそろえるとなると、パンチャー型の選手が多くなるが、ファビアン・カンチェラーラ(TTスペシャリスト)やダミアーノ・クネゴ(クライマー)など、例外は多数存在する。

超長距離への対応
ステージレースの場合おおむね200km弱のコースが設定が多いが、クラシックでは250kmという距離は当たり前であり、特にミラノ〜サンレモでは290km台のレース長が設定されることも多い。そのため一日での長距離に対応できる脚力が必要となる。
細かなアップダウンへの対応
レースの難易度を上げるため、ステージレース以上にアップダウンの個数が多く、特に周回コース形式のレースでは10回以上の激しい上り下りが必然的に設定される[1]。直線系レースでもその中には20%台という激坂が用意されることも珍しくはない。ただモン・ヴァントゥのように中斜度の坂を延々と上るコースというのは設定されることが少なく、短距離の激坂をいかにカバーするかが求められる。
スプリントへの対応
似たような力を持つ選手が栄冠を求め殺到するクラシックでは、逃げ切りや独走が決まることが少なく、ゴール前での小~中集団スプリント勝負で決まることも少なくない。そのためそこで相手を振り切ってゴールするためのスプリント力も強さの一つとなる。ただし小~中集団スプリントとなるとトレインを組めるほど自チームの選手がいないことも多く、単独でスプリント力、どこからスプリントするかの読みあい、ポジション争いなどの各種能力を要求される。
独走への対応
自分が勝負所でアタックを仕掛ける、ライバルがトラブルで後退するなど、独走となってしまうシチュエーションも多く、その時に自分は極力足を使わずに逃げ、ライバルに足を使わせて有利な局面を作るなど、独走力も重要な武器となる。0~50kmの勝負となるタイムトライアルスペシャリストとは違い、200km以上走った後での独走局面となるため、終盤までどれだけ足を残せるかも勝負の鍵となる。
ハイスピードへの対応
1日で終わるため、7日後を見据えた1ウィークステージレースや、24日後(レース21日+休息3日)を見据えた走りとなるグランツールと違い、明日を考える必要がないがために序盤から最後まで45km/h程度のハイスピードとなる事も珍しくない[2]。それに対応する脚力とスタミナは必須条件の一つ。
トラブルへの対応
特に春先の石畳2連戦(ロンド・ファン・フラーンデレンパリ〜ルーベ)では普段走る事のない場所を走らされるだけに落車やパンクといったトラブルに見舞われることが多い。その時にいかにタイムをロスせずに優勝争いをするグループに戻れるかという点である。当然遅れてしまったために追いつく独走力や、怪我の痛みに耐える強靱な精神力、そしてサポートカーや車輪を提供して貰うチームメートの力、さらには観客までも利用するクレバーさが要求される[3]

レースでの役割

[編集]

クラシックをはじめとするワンデーレースでチームのために勝利を持ち帰るのが至上命令である。ステージレースでもエースを務める兼業選手もいない訳ではないが[4]、アシストやスプリンター、クライマーといった専門分野で力を発揮する選手も多い。

代表的な選手

[編集]

2010年代以降の選手

[編集]

過去の選手

[編集]

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ ジャパンカップサイクルロードレースでは平均9.25%の坂を10回上る。
  2. ^ ミラノ~サンレモ2009が298kmにもかかわらずアベレージ44.5km/h
  3. ^ パリ〜ルーベでは石畳区間で車輪を持って待機している観客から提供してもらうのもよく見る光景である
  4. ^ ステージレースに照準を絞る選手は、クラシックでは調整のために出るのが一般的。