コンテンツにスキップ

コシヒカリBL

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

コシヒカリBL(コシヒカリビーエル)とは、いもち病に抵抗性を持つように改良された、「コシヒカリ」を親とする品種群のことで、科学的にも種苗法上でも[1]いずれも「コシヒカリ」とは異なる品種である。BLは「いもち病抵抗性系統」(: Blast resistance Lines、ブラスト・レジスタンス・ラインズ)の略であり、連続戻し交配育種して遺伝子を導入している(遺伝子組み換えではない)。

コシヒカリBLの数品種を混合栽培して生産するとコシヒカリIL: Isogenic Lines)と呼ぶ。

2005年度(平成17年度)産より新潟県は、コシヒカリ新潟BLの4品種を混合栽培したコシヒカリILを、玄米段階である出荷時に農産物検査法に基づいて「産地品種銘柄:新潟県産コシヒカリ」「品種名:コシヒカリBL」とし、精米段階ではJAS法に基づいて「品種名:コシヒカリ」として売っている[1](JAS法では混合栽培米をブレンド米とはしない)。このため、小売店にて精米段階で購買する消費者は、「コシヒカリBL」と従来の「コシヒカリ」を区別することは出来ない。

品種

[編集]

コシヒカリBLは、品種登録上コシヒカリとは別の品種である。病気に対する遺伝子などが異なるので、コシヒカリと性質が異なり同一品種として登録できない。

コシヒカリBLには多品種あり、以下のとおり。右は一回親(抵抗遺伝子の導入元)、もしくは父×母。ただし、一回親もまたコシヒカリにある抵抗品種の遺伝子を導入した品種だった場合、その抵抗品種の名を記した。

多品種を用意した理由は、別々の抵抗性遺伝子を持つ多品種の組み合わせ、比率を栽培年次ごとに変更することによっていもち病菌の抵抗性耐性の進化、流行を防ぐためである。これらを組み合わせたものをコシヒカリIL (Isogenic Line) と呼ぶ。

[編集]

農林水産省新潟県、育種専門家らによると、いもち病抵抗性を除く品種特性はコシヒカリと実用上同一とみなせる[3]

東京で行ったモニター調査では従来のコシヒカリよりおいしいかほぼ同じであるという意見が約8割であった[4]日本穀物検定協会の食味ランキングでも、従来のコシヒカリと同じ「特A」である。

新潟県のコシヒカリIL

[編集]
年度毎の品種構成比率[5]
年度 感受性系統 抵抗性系統
BL1号 BL2号 BL3号 BL4号 BL10号 BL11号
2005年度 10% 20% 50% 20%
2006年度
2007年度
2008年度 50%
2009年度
2010年度 35% 35%
2011年度 35% 35%
2012年度
2013年度
2014年度 35%
2015年度

新潟産コシヒカリの銘柄問題

[編集]

新潟県では、2005年より、作付の大部分がコシヒカリBLに切り替わった(富山県では、低農薬農法用品種という位置づけで、作付面積は多くない[要出典])。

新潟県産のコシヒカリは高価格であることから、他県産のコシヒカリなどを新潟産と偽装することが後を絶たなかった。新潟県の農家のみにコシヒカリBLの種籾を販売することで、DNA型鑑定により他県産のものか判別できることになる。

脚注

[編集]
  1. ^ a b 4 コシヒカリBLの品種名に係る法律上の規定”. 新潟県農林水産部 農産園芸課. 2020年10月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m コシヒカリを親にした品種一覧”. イネ品種・特性データベース. 2020年10月10日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ 6 コシヒカリBLのQ&A”. 新潟県農林水産部 農産園芸課. 2020年10月10日閲覧。
  4. ^ 3 食味試験の状況”. 新潟県農林水産部 農産園芸課. 2020年10月10日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 2 コシヒカリBLの開発状況と特性(新潟県)

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]