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ジェームズ・パクストン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジェームズ・パクストン
James Paxton
ボストン・レッドソックス #65
ロサンゼルス・ドジャース時代
(2024年4月23日)
基本情報
国籍 カナダの旗 カナダ
出身地 ブリティッシュコロンビア州リッチモンド
生年月日 (1988-11-06) 1988年11月6日(36歳)
身長
体重
6' 4" =約193 cm
220 lb =約99.8 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 2010年 グランドプレーリー・エアーホッグスと契約
初出場 2013年9月7日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

ジェームズ・オルストン・パクストンJames Alston Paxton, 1988年11月6日 - )は、カナダブリティッシュコロンビア州リッチモンド出身のプロ野球選手投手)。左投左打。MLBボストン・レッドソックス所属。代理人はスコット・ボラス。愛称はザ・ビッグ・メープルThe Big Maple)。

経歴

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プロ入り前

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ケンタッキー大学出身で、同大学では同じカナダ出身のアンドリュー・アルバースとチームメイトだった[1]

2009年MLBドラフト1巡目追補(全体37位)でトロント・ブルージェイズから指名を受ける。入団交渉において、ブルージェイズはコミッショナー推奨額に沿った87万4500ドルの契約金を提示。一方、代理人のスコット・ボラスは100万ドルを要求したまま譲らず、契約は不成立に終わった[2]

プロ入りと独立リーグ時代

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その後、独立リーグであるアメリカン・アソシエーショングランドプレーリー・エアーホッグス英語版に入団し、2010年に4試合に登板したが、球速の低下によりやや評価を落とした。

マリナーズ時代

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シアトル・マリナーズ時代
(2017年6月27日)

2010年MLBドラフト4巡目(全体132位)でシアトル・マリナーズから指名され、2011年3月4日に94万2500ドルの契約金で入団した[2][3]

2011年4月にA級クリントン・ランバーキングス英語版でデビュー。球速は2009年の水準に戻っており、7月にAA級ジャクソン・ジェネラルズに昇格するまでの56イニングで80三振を奪った。同月にはオールスター・フューチャーズゲームに世界選抜の一員として出場した[2]。AA級ジャクソンでも勢いは衰えず、7度の先発で防御率1.75、奪三振率11.77を記録。マイナー全体でも屈指の有望株に成長した[3]

2013年9月3日にメジャー初昇格を果たし、7日のタンパベイ・レイズ戦で先発して6回2失点に抑え、初登板初勝利を挙げた。

2014年2月20日にマリナーズと1年契約に合意した[4]。この年は13試合で先発のマウンドに登り、6勝4敗、防御率3.04、WHIP1.20という好成績を残した。

2015年も前年と同数の13試合に先発で投げたが成績は悪化し、防御率3.90、3勝4敗と負け越した。特に本塁打は、前年より投球イニングが減ったにもかかわらず、5本も多く被弾した。

2016年は20試合に先発登板し、6勝7敗、防御率3.79、WHIP1.31という成績を記録した。有望株とされながら、依然として規定投球回到達や2桁勝利はならなかったものの、奪三振率と与四球率の向上により、K/BBは自己ベストの4.88を記録した。8月7日のロサンゼルス・エンゼルス戦の9回、アンドレルトン・シモンズの打球が左腕に直撃して降板し、故障者リストに登録された[5]

2017年は5月5日に左前腕の張りで故障者リストに登録された[6]。その後、復帰し、7月部門で初となるピッチャー・オブ・ザ・マンスを受賞した。最終的に規定投球回到達は逃したものの24試合に先発登板した。12勝5敗、防御率2.98と初の2桁勝利と防御率2点台を記録し、先発ローテーションの一角として台頭した。

2018年5月8日、ロジャーズ・センターで行われたトロント・ブルージェイズ戦においてノーヒットノーランを達成した。カナダ人投手がカナダの球場で同記録を達成したのは史上初だった。7月12日のエンゼルス戦の初回、背中の痛みを訴えて降板し、故障者リストに登録された[7]。8月14日のオークランド・アスレチックスの初回、ジェド・ラウリーの打球が左腕に直撃して降板し、故障者リストに登録された[8]。この年は28試合に先発、またも規定投球回に到達せず11勝6敗、防御率3.76と若干成績を落としたが、奪三振は208と初めてシーズン200奪三振を記録した。

ヤンキース時代

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ニューヨーク・ヤンキース時代
(2019年4月4日)

2018年11月19日にジャスティス・シェフィールドエリック・スワンソンドム・トンプソン=ウイリアムズ英語版とのトレードで、ニューヨーク・ヤンキースへ移籍した[9]

2019年は開幕からローテーション入りしたが、5月に左膝の炎症で故障者リスト入りした[10]。6月29日と6月30日にライバルのレッドソックス英語版とMLB史上初となるヨーロッパでの公式戦となったロンドンロンドン・スタジアムでの「ロンドンシリーズ英語版」にヤンキースの一員として帯同。最終的に前年から投球回は減少したが、29試合に先発登板し、自己最多かつチームトップの15勝を記録した。特に8月以降は11試合で10勝負けなし、防御率2.51と好調であった。

2020年2月にマイクロ内視鏡下での椎間板切除手術を受けた。復帰に3ヶ月から4ヶ月かかる見通し[11]。オフの11月1日にFAとなった[12]

マリナーズ復帰

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2021年2月18日に古巣のマリナーズと850万ドルの1年契約を結んだ[13]。オプションとして10試合以上に登板した場合は75万ドル、20試合以上に登板した場合はさらに75万ドルの出来高が含まれる。シーズン開幕後、4月6日のシカゴ・ホワイトソックス戦でマリナーズ復帰後初登板を果たしたが、この試合で左肘の痛みを訴えて2回途中で降板した。後にトミー・ジョン手術が必要と診断され、4月下旬に同手術を受けることになった[14]。4月28日にトミー・ジョン手術を受け、同年シーズンは欠場することを発表した[15]。オフの11月3日にFAとなった[16]。そのため1試合の登板に留まった。

レッドソックス時代

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2021年12月1日にボストン・レッドソックスと600万ドルの1年契約を結んだ[17]。2023年の契約は相互オプションとなり、行使された場合は2024年の契約にチームオプションが発生する[18]

2022年は開幕から前年受けた手術のリハビリに努めた。8月18日に傘下のルーキー級フロリダ・コンプレックスリーグ・レッドソックス英語版で実戦復帰したが、この試合で広背筋を痛め、この年の残りの試合を欠場した[19]。オフに球団から相互オプションを破棄されたが、自身は行使したため、残留となった。

2023年に復帰。7月3日に通算2度目となる6月のピッチャー・オブ・ザ・マンスを受賞した[20]。19試合の登板で7勝5敗、防御率4.50だった。オフの11月3日にFAとなった[21]

ドジャース時代

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2024年1月30日にロサンゼルス・ドジャースと1年1100万ドルの契約を結んだ[22]。ドジャースでは18試合に登板し8勝2敗を記録したが、防御率は4.43という成績に留まった。7月22日にDFAとなった[23]

レッドソックス復帰

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2024年7月26日にモイセス・ボリバーとのトレードで、古巣のレッドソックスへ移籍した[24]

2024年9月12日に現役を引退する意向を示した。

選手としての特徴

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コンスタントに90mph台半ばを計測し、最速100.5mph(約161.7km/h)に達するファストボールに加え、スライダーナックルカーブチェンジアップを投げ分け、三振の山を築く。ファストボールには動きもあり、結果としてゴロアウトが多く、フライを打たれることは少ない。2011年はマイナーで95イニングを投げて被弾は僅かに3本だった[3]

制球力が唯一の課題とされているが、AA級昇格後は与四球率が改善された。2012年にはメジャーでの先発ローテーション入りが期待されていた[3]が、メジャーデビューは翌2013年にずれ込んだ。

投球フォームはアンディ・ペティットに似ているが、真似たわけではない[25]

詳細情報

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年度別投手成績

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W
H
I
P
2013 SEA 4 4 0 0 0 3 0 0 0 1.000 94 24.0 15 2 7 2 0 21 0 0 5 4 1.50 0.92
2014 13 13 0 0 0 6 4 0 0 .600 303 74.0 60 3 29 2 1 59 7 0 29 25 3.04 1.20
2015 13 13 0 0 0 3 4 0 0 .429 297 67.0 67 8 29 1 0 56 5 0 34 29 3.90 1.43
2016 20 20 0 0 0 6 7 0 0 .462 511 121.0 134 9 24 3 1 117 5 0 34 29 3.79 1.31
2017 24 24 0 0 0 12 5 0 0 .706 552 136.0 113 9 37 1 3 156 15 1 47 45 2.98 1.10
2018 28 28 2 1 0 11 6 0 0 .647 645 160.1 134 23 42 0 1 208 8 0 67 67 3.76 1.10
2019 NYY 29 29 0 0 0 15 6 0 0 .714 633 150.2 138 23 55 1 2 186 0 2 71 64 3.82 1.28
2020 5 5 0 0 0 1 1 0 0 .500 90 20.1 23 4 7 0 1 26 2 0 17 15 6.64 1.48
2021 SEA 1 1 0 0 0 0 0 0 0 ---- 5 1.1 0 0 1 0 0 2 1 0 1 1 6.75 0.75
2023 BOS 19 19 0 0 0 7 5 0 0 .583 411 96.0 93 18 33 0 2 101 5 0 51 48 4.50 1.31
2024 LAD 18 18 0 0 0 8 2 0 0 .800 390 89.1 82 11 48 0 1 64 4 0 45 44 4.43 1.46
BOS 3 3 0 0 0 1 1 0 0 .500 47 11.0 13 1 2 0 0 9 0 0 8 5 4.09 1.36
'24計 21 21 0 0 0 9 3 0 0 .750 437 100.1 95 12 50 0 1 73 4 0 53 49 4.40 1.45
MLB:11年 177 177 2 1 0 73 41 0 0 .640 3978 951.0 872 111 314 9 12 1005 59 2 437 398 3.77 1.25
  • 2024年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績

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投手(P)












2013 SEA 4 0 3 0 0 1.000
2014 13 1 7 3 1 .727
2015 13 0 6 0 0 1.000
2016 20 0 12 3 1 .800
2017 24 4 6 0 0 1.000
2018 28 1 7 0 0 1.000
2019 NYY 29 2 10 0 0 1.000
2020 5 0 2 0 0 1.000
2021 SEA 1 0 0 0 0 ----
2023 BOS 19 2 4 0 0 1.000
2024 LAD 18 0 6 1 0 .857
BOS 3 1 0 0 0 1.000
'24計 21 1 6 1 0 .875
MLB 177 11 63 7 2 .914
  • 2024年度シーズン終了時

表彰

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記録

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MiLB
MLB

背番号

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  • 65(2013年 - 2020年、2023年 - )
  • 44(2021年)

脚注

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  1. ^ Fellow Canadian Albers to fill in for Paxton MLB.com (英語) (2017年8月14日) 2017年8月15日閲覧
  2. ^ a b c Elliott, Bob(2011-07-10). No looking back for James Paxton. CANOE(英語). 2011年11月14日閲覧
  3. ^ a b c d Sickels, John(2011-08-15). Prospect of the Day: James Paxton, LHP, Seattle Mariners. Minor League Ball(英語). 2011年11月14日閲覧
  4. ^ Seattle Mariners player signing updates”. MLB.com (2014年2月20日). 2014年2月21日閲覧。
  5. ^ James Paxton likely headed to the disabled list after getting struck by ball in Mariners’ loss” (英語). Seattle Times (2018年8月14日). 2018年9月30日閲覧。
  6. ^ James Paxton on DL with left forearm strain” (英語). MLB.com (2018年5月5日). 2018年9月30日閲覧。
  7. ^ James Paxton placed on DL with back injury” (英語). MLB.com (2018年7月13日). 2018年9月30日閲覧。
  8. ^ James Paxton Placed on 10-Day DL by After Being Hit by Jed Lowrie Line Drive” (英語). en:Bleacher Report (2018年8月15日). 2018年9月30日閲覧。
  9. ^ Mariners get 3 Yankees prospects for Paxton” (英語). MLB.com (2018年11月19日). 2018年12月14日閲覧。
  10. ^ Yanks place Paxton (knee inflammation) on IL” (英語). MLB.com (2019年5月5日). 2019年10月3日閲覧。
  11. ^ Paxton out 3-4 months after spinal surgery”. MLB.com (2020年2月5日). 2020年2月7日閲覧。
  12. ^ 2020-21 free agents, position by position” (英語). MLB.com. 2020年11月2日閲覧。
  13. ^ Mariners Sign James Paxton” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年2月18日閲覧。
  14. ^ Connor Byrne (2021年4月28日). “James Paxton Undergoes Tommy John Surgery” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年4月29日閲覧。
  15. ^ Justice delos Santos (April 28, 2021). “Notes: Paxton done for '21 after TJ surgery” (英語). MLB.com. April 29, 2021閲覧。
  16. ^ 160 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). mlbplayers.com (November 3, 2021). July 4, 2023閲覧。
  17. ^ Press release: Red Sox agree to contracts with left-handed pitchers Rich Hill and James Paxton”. www.mlb.com. 2021年12月2日閲覧。
  18. ^ Red Sox To Sign James Paxton” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年12月2日閲覧。
  19. ^ James Paxton Diagnosed With Grade 2 Lat Tear, Will Not Pitch This Season” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年8月26日閲覧。
  20. ^ Thomas Harrigan (July 3, 2023). “MVP favorites headline monthly awards for June” (英語). MLB.com. July 4, 2023閲覧。
  21. ^ 130 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). Home (November 3, 2023). November 8, 2023閲覧。
  22. ^ Dodgers finalize one-year deal with James Paxton” (英語). MLB.com. 2024年3月30日閲覧。
  23. ^ Dodgers Designate James Paxton For Assignment”. 2024年7月23日閲覧。
  24. ^ Passan, Jeff (July 26, 2024). “Dodgers deal James Paxton back to Red Sox”. ESPN.com. https://www.espn.com/mlb/story/_/id/40644851/sources-dodgers-send-james-paxton-back-red-sox 31 July 2024閲覧。 
  25. ^ 「シアトル・マリナーズ」『2015MLB選手名鑑全30球団コンプリートガイド』 日本スポーツ企画出版社 62頁

関連項目

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外部リンク

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