コンテンツにスキップ

ニーベンの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ニーベンの定理(ニーベンのていり、: Niven's theorem)は数学において度数法で0°≤θ≤90°の範囲で、θとsinθがともに有理数となるのは0°, 30°, 90°のみであるという定理である。イヴァン・ニーベンに因んで名付けられた[1]。式で表せば、θとその正弦が有理数となるのは以下の場合のみである。

弧度法で表すと、0≤xπ/2の範囲でx/πが有理数であるとき、sinxが有理数となるときはsin0=0, sinπ/6=1/2, sinπ/2=1である場合のみである。

この定理はニーベンの書籍 Irrational numbers (『無理数』)の系3.12に書かれている[2]

一般角に拡張して書くこともできる[2]。有理数θにおいて、θの正弦または余弦が取る有理数値は0,±1/2,±1に限られる。また、正割または余割が取る有理数値は±1,±2に限られる。正接または余接が取る有理数値は0,±1に限られる[3]

歴史

[編集]

ニーベンの証明は彼の書籍 Irrational Numbers に示されている。しかしニーベンの証明以前に、D・H・レーマー英語版やオルムステッド(J. M. H. Olmstead)によって証明されていた[2]。1933年のレーマーの書籍では、レーマーは余弦においてより一般の結果を証明している。具体的には、互いに素な整数に対して、次の代数的数である。ただしトーシェント関数。有理数は1次の代数的数であるから、またはが必要となり、の場合のみが残る。これらを個々に確かめることにより、ニーベンの定理の主張を得る。次に彼はを用いて正弦についての結果を得た[4]。1956年、ニーベンはレーマーの結果を他の三角関数に拡張した[2]。 他の数学者はその後、新しい証明を発表している[3]

関連項目

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ Schaumberger, Norman (1974). “A Classroom Theorem on Trigonometric Irrationalities”. Two-Year College Mathematics Journal 5 (1): 73–76. doi:10.2307/3026991. JSTOR 3026991. 
  2. ^ a b c d Niven, Ivan (1956). Irrational Numbers. The Carus Mathematical Monographs. The Mathematical Association of America. p. 41. MR0080123. https://archive.org/details/irrationalnumber00nive 
  3. ^ a b 余弦についての証明は次の文献の補題12にある。Bennett, Curtis D.; Glass, A. M. W.; Székely, Gábor J. (2004). “Fermat's last theorem for rational exponents”. American Mathematical Monthly 111 (4): 322–329. doi:10.2307/4145241. JSTOR 4145241. MR2057186. 
  4. ^ Lehmer, Derrick H. (1933). “A note on trigonometric algebraic numbers”. The American Mathematical Monthly 40 (3): 165–166. doi:10.2307/2301023. JSTOR 2301023. 

参考文献

[編集]
  • Olmsted, J. M. H. (1945). “Rational values of trigonometric functions”. The American Mathematical Monthly 52 (9): 507–508. JSTOR 2304540. 
  • Jahnel, Jörg. "When is the (co)sine of a rational angle equal to a rational number?". arXiv:1006.2938 [math.HO]。

外部リンク

[編集]