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ネコ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ネコ属
ヨーロッパヤマネコ (Felis silvestris)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammaliaia
: 食肉目 Carnivora
: ネコ科 Felidae
亜科 : ネコ亜科 Felinae
: ネコ属 Felis
学名
Felis
L.1758
シノニム

など

本文参照

野生ネコ属の分布域

ネコ属(ネコぞく、猫属)は、ネコ科のうちイエネコに近縁な種からなる

分布

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イエネコは家畜化されて世界中に拡大しているが、ネコ属本来の分布域はアフリカヨーロッパアジアの熱帯から温帯にかけてである。日本列島には元々生息していない。

下位分類

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ジャングルキャット F. chaus

クロアシネコ F. nigripes

スナネコ F. margarita

ハイイロネコ F. bieti

リビアネコ F. lybica

ヨーロッパヤマネコ F. silvestris

イエネコ F. catus

現生種の系統関係[1]

分子系統解析の結果を反映させた2017年の分類体系[2]によれば7種が認識されている。和名は断りのない限り伊澤(1992)[3]に、英名はIUCN SSC Cat Specialist Group(2017)[2]に従う。

ただしハイイロネコ、イエネコ、リビアヤマネコをヨーロッパヤマネコの亜種とする見解もある[5][注釈 1]。この場合、ネコ属は4種で構成されることになる。

分子時計による分岐年代推定によれば、500万年から700万年ほど前にベンガルヤマネコ属と分岐したと考えられる[1]

歴史

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リンネの『自然の体系』でネコ属(Felis)とされたものは7種(ライオントラヒョウジャガーオセロットイエネコオオヤマネコ)あった。これらは19世紀までに新たな属へと分割されていき、1917年にレジナルド・インズ・ポコックがネコ科現生種の分類体系を整理した際に現在のネコ属とほぼ同様に限定された[6]。ところがネコ科現生種は形態の差異が乏しいことから再度まとめられることが多くなり、極端な場合にはヒョウ亜科チーターを除くほとんど全てのネコ科現生種がネコ属に所属させられることもあった[7]。現在では、概ね鮮新世の開始(およそ520万年前)までに分岐したと考えられる単系統群を属として扱うようになっている[8]

注釈

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  1. ^ IUCN SSC (2017)の体系では常染色体の解析で分岐年代が80万年以上(中期更新世の開始以前という意味だろうか)であることを種の境界として用いているためこれらはいずれも別種となる。一方Driscoll et al. (2007)は遺伝子交流の証拠があることをもって同一種としている。立場の違いであってどちらが正しいというものではない。

出典

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  1. ^ a b Li et al. (2016). “Phylogenomic evidence for ancient hybridization in the genomes of living cats (Felidae)”. Genome Res. 26 (1): 1-11. doi:10.1101/gr.186668.114. PMC 4691742. PMID 26518481. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4691742/. 
  2. ^ a b IUCN SSC Cat Specialist Group (2017). Genus Felis. “A revised taxonomy of the Felidae : The final report of the Cat Classification Task Force of the IUCN Cat Specialist Groupe”. Cat News (Special Issue 11): 11-21. https://repository.si.edu/bitstream/handle/10088/32616/A_revised_Felidae_Taxonomy_CatNews.pdf. 
  3. ^ 伊澤雅子編著 「食肉目(ネコ目)の分類表3」『動物たちの地球 哺乳類II 1 トラ・ライオン・ヤマネコほか』第9巻 49号、朝日新聞社、1992年、32頁。
  4. ^ 成島悦雄 「ネコ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、150-171頁。
  5. ^ Driscoll et al. (2007). “The Near Eastern origin of cat domestication”. Science 317 (5837): 519-523. doi:10.1126/science.1139518. 
  6. ^ Pocock, R. I. (1917). “The Classification of existing Felidae”. Annals and Magazine of Natural History. Ser. 8 20: 329-350. https://doi.org/10.1080/00222931709487018. 
  7. ^ IUCN SSC Cat Specialist Group (2017). A short history of felid systematics. “A revised taxonomy of the Felidae”. Cat News (Special Issue 11): 7-10. https://repository.si.edu/handle/10088/32616. 
  8. ^ IUCN SSC Cat Specialist Group (2017). General principles for CCTF to consider including definition of terms. “A revised taxonomy of the Felidae”. Cat News (Special Issue 11): 5. https://repository.si.edu/handle/10088/32616. 

外部リンク

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