ハツ
ハツは、焼肉、焼き鳥などの食材として使用される、鳥獣、魚類、海獣などの心臓のこと[1][2][3]。鳥獣肉の臓物(内臓)、モツの一種[4]。英語のheart(ハーツ、「心臓」の意)が訛ったものが語源とされる[1]。他にもココロなどと称される。
魚類・海獣
[編集]サメ
[編集]宮城県気仙沼市を中心にサメ、特に「ネズミザメ(別名モウカザメ)」の心臓は「もうかの星(モウカの星)」と呼ばれ、食べられている[6][7][5][8][9]。気仙沼の漁師らは、気仙沼でとれるものの中で最も高い値がつくため、「巨人の星」とも呼んでいる[5]。動物臭の無いレバ刺しのような味をしている[6][7]。ヨシキリザメ(メジロザメ科)の心臓も「もうかの星」呼称が使われている[10]。ただし、「巨人の星」とは呼ばない[5]。
マグロ
[編集]マグロの心臓は希少であり[3][11]、血抜きの手間が必要であるが、塩焼きや煮付けとして食べられる珍味である[11]。
クジラ
[編集]クジラの心臓も「(鯨)ハツ」と呼ばれ、希少部位として食されている[2][12]。
セイウチ
[編集]イヌイットは、セイウチの心臓をウーマッと呼んで食している[13]。
鳥獣
[編集]牛
[編集]牛の心臓を焼いたものを珍味とする例としては、『世説新語』「汰侈(たいし)篇」に、周顗の家に招かれた少年時代の王羲之(のちの書聖。4世紀)が牛の心臓を割いて食ったと記され、『晋書』にも、13歳の羲之に対してのみ「牛心炙(ぎゅうしんしゃ)」(牛の心臓をバーべーキューにしたもの)をすすめたと記述が残る[14]。淡白でコリコリとした食感の部位である[15]。ビタミンB1が豊富[15]。
豚
[編集]コリコリとした食感で脂肪分の少ない部位である[15]。
鳥
[編集]鶏ハツは、日本で2020年時点で1kgあたり1000円程度で買える[16]。鳥ハツを食べるには、心臓に付いた脂肪や砂肝の膜を取り、塩水に少しさらし、血の塊の洗い出しという下洗いなどモツ特有の臭いを落とすための下処理が必要がある[4]。
出典
[編集]- ^ a b 「ハツ」『精選版 日本国語大辞典、デジタル大辞泉』 。コトバンクより2023年8月17日閲覧。
- ^ a b “喰らえ!肉刺し!!「生肉好き」「肉刺し好き」にはたまらない!あの感動をもう一度。夏のスタミナ肉刺しフェア開催!”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES (2019年5月1日). 2024年1月3日閲覧。
- ^ a b “希少価値の高い「生まぐろのハツ刺し」をはじめとした新メニュースタート!築地直送!毎日お店で解体ショー!鮮度抜群の最高級本まぐろを使用したまぐろ料理専門店”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES (2018年2月5日). 2024年1月3日閲覧。
- ^ a b “asahi.com(朝日新聞社):鶏レバー煮 - おかず100選 - 食と料理”. www.asahi.com. 2024年1月3日閲覧。
- ^ a b c d テレビ東京・BSテレ東『<超過酷>気仙沼の漁師に55時間密着!幻の高級食材「巨人の星」とは? | テレビ東京・BSテレ東の読んで見て感じるメディア テレ東プラス』 。2024年1月3日閲覧。
- ^ a b “魚をさばく! モウカノホシ(もうかの星)編 サメの心臓! | 魚食普及推進センター(一般社団法人 大日本水産会)”. 魚食普及推進センター(一般社団法人 大日本水産会) | (2021年4月20日). 2024年1月3日閲覧。
- ^ a b “気仙沼名物。「サメの心臓」がレバ刺しにそっくりで激ウマ! - 価格.comマガジン”. kakaku.com. 2024年1月3日閲覧。
- ^ Corporation), NHK(Japan Broadcasting. “なぜ気仙沼でフカヒレが有名なの?”. www.nhk.or.jp. 2024年1月3日閲覧。
- ^ プレジデント社, 株式会社 (2020年7月31日). “星の形をした心臓が旨い魚|怪魚の食卓⑭ | 【公式】dancyu (ダンチュウ)”. 【公式】dancyu (ダンチュウ) | 「知る」は、おいしい。. 2024年1月3日閲覧。
- ^ “〈変わる海・漁業転換〉サメ無駄なく活用 持続可能産業へ世界発信”. 読売新聞オンライン (2022年8月14日). 2024年1月3日閲覧。
- ^ a b “養殖本マグロハツ(心臓) 【業務用食材の仕入れなら八面六臂】”. 八面六臂株式会社. 2024年1月3日閲覧。
- ^ “鯨のハツ(心臓)希少な刺身用鯨肉、くじらの〆谷商店、太地の鯨”. www.simetani.com. 2024年1月3日閲覧。
- ^ “asahi.com:海獣の王を食べる(地球最北に生きる6) - 「北極異変」”. www.asahi.com. 2024年1月3日閲覧。
- ^ 『書聖名品選書2 王義之 蘭亭叙・十七帖』マール社、15刷1999年(1刷1985年)。p.112.
- ^ a b c “畜産副生物の知識” (PDF). 公益社団法人日本食肉協議会. 2020年8月8日閲覧。
- ^ 春野ユリ (2020年7月10日). “お家で簡単「鶏ハツの焼き鳥」の作り方・レシピ”. ライフハッカー・ジャパン. 2024年1月3日閲覧。