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ビホルダー (競走馬)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ビホルダー
欧字表記 Beholder[1]
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 2010年5月9日(14歳)
ヘニーヒューズ
Leslie's Lady
母の父 Tricky Creek
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
生産者 Clarkland Farm[2]
馬主 Spendthrift Farm LLC[2]
調教師 Richard E. Mandella(アメリカ合衆国[2]
競走成績
生涯成績 26戦18勝
獲得賞金 $6,156,600[3]
勝ち鞍
GI BCディスタフ 2013年・2016年
GI BCジュヴェナイルフィリーズ 2012年
GI ゼニヤッタS 2013-2015年
GI パシフィッククラシックS 2015年
GI ラスヴァージネスS 2013年
GI サンタアニタオークス 2013年
GI クレメント・L・ハーシュS 2015年
GI ヴァニティーマイルS 2016年
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ビホルダー(英:Beholder[1])は、アメリカ合衆国生産の競走馬繁殖牝馬。現役時代は2013年2016年ブリーダーズカップ・ディスタフなどGIを11勝し、エクリプス賞を4度受賞している。ヘニーヒューズの代表産駒であり、ソングバードとともに2010年代のアメリカ競馬を代表する名牝である。

競走馬時代

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2歳時(2012年)

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6月28日ハリウッドパーク競馬場の未勝利でデビューし4着。2戦目で初勝利を挙げると、GI初出走となったデルマーデビュータントステークスではエグゼクティブプリヴィレッジ(Executiveprivilege)にハナ差及ばず2着となるが、アローワンス競走の11馬身差圧勝を挟んで迎えたブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズでエグゼクティブプリヴィレッジに雪辱を果たし、初のGI制覇を果たす。この勝利により、エクリプス賞最優秀2歳牝馬に選出された[4]

3歳時(2013年)

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年明け2戦目からGIを2連勝して迎えたケンタッキーオークスでは、伏兵プリンセスオブシルマーにゴール前で差し切られ、半馬身差の2着となる[5]

前哨戦のゼニヤッタステークス1着を経て挑んだブリーダーズカップ・ディスタフでは同期のプリンセスオブシルマー、前年の覇者ロイヤルデルタとの三強対決を制して優勝し、プリンセスオブシルマーに並ぶ同年のGI4勝目を挙げた。エクリプス賞最優秀3歳牝馬の選考では207票を獲得して42票のプリンセスオブシルマーに大差をつけて1位となり、2年連続のエクリプス賞受賞を果たした[6]

4歳時(2014年)

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シーズン初戦となったサンタルチアステークスを5馬身1/4差で圧勝ののち、6月のオグデンフィップスステークスでは4着に敗れる。 ゼニヤッタステークスで連覇を果たした後、ブリーダーズカップ・ディスタフに向けて調整されていたが、熱発により回避し、シーズンを終えている[7]

5歳時(2015年)

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シーズン初戦となったサンタルチアステークス、続くアドレーションステークスを連勝して挑んだクレメント・L・ハーシュステークスでは後続馬に7馬身差つけG1競走7勝目を挙げる 。 パシフィッククラシックステークスで牡馬相手に8馬身1/4差の圧勝劇を演じる。続くゼニヤッタステークスも3馬身1/4差の完勝で3連覇を達成する。ブリーダーズカップ・ディスタフは外傷のため2年連続の回避を余儀なくされたが[7]、年間5戦無敗の成績でエクリプス賞最優秀古馬牝馬の座に輝いた[8]。なお、2歳時から5歳時まで4年連続でG1勝利を果たした馬は米国史上初であった[9]

6歳時(2016年)

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2016年BCディスタフ直線でのソングバード(赤帽)との競り合い

シーズン初戦のアドレーションステークスを連覇し、続くヴァニティーマイルステークスでGI10勝目を挙げる。5年連続のGI競走勝利はジョンヘンリーと並ぶ北米タイ記録であり、2歳時からの達成は史上初であった[10]。しかし、次戦のクレメント・L・ハーシュステークスでは前走で下したステラーウインドの2着に敗れ、2014年ゼニヤッタステークスから続いていた連勝が8でストップする。パシフィッククラシックステークスでは当時の現役最強馬カリフォルニアクロームに挑んだが、5馬身差の2着となる。4連覇を狙って出走したゼニヤッタステークスもステラーウインドに敗れて2着に終わり、前人未到の快挙達成はならなかった。ラストランのブリーダーズカップ・ディスタフでは11戦無敗の3歳馬ソングバードが断然の1番人気で、本馬はステラーウインドに次ぐ3番人気であった。レースでは逃げるソングバードに対して好位を追走し、直線ではほぼ2頭のマッチレースとなる。激しい叩き合いの末、最後は本馬がハナ差競り勝ち、3年ぶりのブリーダーズカップ勝利で有終の美を飾った[11][注 1]。歴史的名牝同士による一騎打ちは、北米競馬史の残る名勝負と称された[12]。この勝利により、2年連続のエクリプス賞最優秀古馬牝馬を受賞し、通算のエクリプス賞受賞は4回目となった[13]

本馬の功績を讃え、ヴァニティーマイルステークスが2017年より「ビホルダーマイルステークス」に名称変更された[14]

2022年、アメリカ競馬名誉の殿堂博物館に殿堂馬として選定された。

繁殖牝馬時代

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繁殖入り後のビホルダー(2017年)

2017年からケンタッキー州スペンドスリフトファームで繁殖牝馬となった。初年度はアンクルモーが種付けされ、2018年1月23日に初仔となる鹿毛の牡馬を出産した[15]

2023年9月9日に産駒タマラがデルマーデビュータントステークスを勝利してG1初制覇を果たしている[16]

競走成績

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以下の内容は、EQUIBASEの情報[3]に基づく。

出走日 競馬場 競走名 距離 着順 騎手 着差 1着(2着)馬
2012.06.28 ハリウッドパーク 未勝利 AW5.5f 4着 G.ゴメス Executiveprivilege
0000.07.22 デルマー 未勝利 AW5.5f 1着 G.ゴメス 3馬身1/4 (Fanticola)
0000.09.01 デルマー デルマーデビュータントステークス G1 AW7f 2着 G.ゴメス ハナ Executiveprivilege
0000.10.04 サンタアニタ アローワンス ダ6f 1着 G.ゴメス 11馬身 (Mechaya)
0000.11.02 サンタアニタ ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ G1 8.5f 1着 G.ゴメス 1馬身 (Executiveprivilege)
2013.01.21 サンタアニタ サンタイネスステークス G2 ダ6.5f 2着 G.ゴメス 3/4馬身 Renee's Titan
0000.03.02 サンタアニタ ラスヴァージネスステークス G1 ダ8f 1着 G.ゴメス 3馬身3/4 (Fiftyshadesofhay)
0000.04.06 サンタアニタ サンタアニタオークス G1 ダ8.5f 1着 G.ゴメス 2馬身3/4 (Iotapa)
0000.05.03 チャーチルダウンズ ケンタッキーオークス G1 ダ9f 2着 G.ゴメス 1/2馬身 Princess of Sylmar
0000.09.01 デルマー トーリーパインズステークス AW8f 1着 G.スティーヴンス 2馬身3/4 (Wittgenstein)
0000.09.28 サンタアニタ ゼニヤッタステークス G1 ダ8.5f 1着 G.スティーヴンス 1馬身1/4 (Authenticity)
0000.11.01 サンタアニタ ブリーダーズカップ・ディスタフ G1 ダ9f 1着 G.スティーヴンス 4馬身1/4 Close Hatches
2014.04.20 サンタアニタ サンタルチアステークス ダ8.5f 1着 G.スティーヴンス 5馬身1/4 (Legacy)
0000.06.07 ベルモントパーク オグデンフィップスステークス G1 ダ8.5f 4着 G.スティーヴンス Close Hatches
0000.09.27 サンタアニタ ゼニヤッタステークス G1 ダ8.5f 1着 M.スミス 3/4馬身 (Tiz Midnight)
2015.04.10 サンタアニタ サンタルチアステークス ダ8.5f 1着 G.スティーヴンス 3馬身3/4 (Uzziel)
0000.06.13 サンタアニタ アドレーションステークス G3 ダ8.5f 1着 G.スティーヴンス 1馬身1/4 (Warren's Veneda)
0000.08.01 デルマー クレメント・L・ハーシュステークス G1 ダ8.5f 1着 G.スティーヴンス 7馬身 (Yahilwa)
0000.08.22 デルマー パシフィッククラシックステークス G1 ダ10f 1着 G.スティーヴンス 8馬身1/4 (Catch a Flight)
0000.09.26 サンタアニタ ゼニヤッタステークス G1 ダ8.5f 1着 G.スティーヴンス 3馬身1/4 (My Sweet Addiction)
2016.05.08 サンタアニタ アドレーションステークス G3 ダ8.5f 1着 G.スティーヴンス 2馬身1/2 (Sheer Pleasure)
0000.06.04 サンタアニタ ヴァニティーマイルステークス G1 ダ8f 1着 G.スティーヴンス 1馬身1/2 Stellar Wind
0000.07.30 サンタアニタ クレメント・L・ハーシュステークス G1 ダ8.5f 2着 G.スティーヴンス 1馬身1/2 Stellar Wind
0000.08.20 デルマー パシフィッククラシックステークス G1 ダ10f 2着 G.スティーヴンス 5馬身 California Chrome
0000.10.01 サンタアニタ ゼニヤッタステークス G1 ダ8.5f 2着 G.スティーヴンス クビ Stellar Wind
0000.11.04 サンタアニタ ブリーダーズカップ・ディスタフ G1 ダ9f 1着 G.スティーヴンス ハナ Songbird

血統表

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ビホルダー血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ストームキャット系
[§ 2]

*ヘニーヒューズ
Henny Hughes
2003 栗毛
父の父
*ヘネシー
Hennessy
1993 栗毛
Storm Cat Storm Bird
Terlingua
Island Kitty Hawaii
T.C. Kitten
父の母
Meadow Flyer
1989 鹿毛
Meadowlake Hold Your Peace
Suspicious Native
Shortley Hagley
Short Winded

Leslie's Lady
1996 鹿毛
Tricky Creek
1986 鹿毛
Clever Trick Icecapade
Kankakee Miss
Battle Creek Girl His Majesty
Far Beyond
母の母
Crystal Lady
1990 鹿毛
Stop the Music Hail to Reason
Bebopper
One Last Bird One for All
Last Bird
5代内の近親交配 Northern Dancer5×5=6.25% [§ 3]
出典
  1. ^ Beholder(USA) 5代血統表2018年8月28日閲覧
  2. ^ Beholder(USA) 5代血統表2018年8月28日閲覧
  3. ^ Beholder(USA) 5代血統表2018年8月28日閲覧

脚注

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注釈

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  1. ^ ブリーダーズカップ競走3勝は、ゴルディコヴァブリーダーズカップ・マイルを3勝)以来史上2頭目である。

出典

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  1. ^ a b Beholder(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)
  2. ^ a b c Beholder | Race Record & Form. Racing Post. 2018年8月28日閲覧
  3. ^ a b Horse Profile for Beholder. EQUIBASE. 2018年8月28日閲覧
  4. ^ Evan Hammonds. Beholder Champion 2-Year-Old Filly. Bloodhorse(January 19, 2013). 2018年8月28日閲覧
  5. ^ CHURCHILL DOWNS - May 3, 2013 - Race 11. Equibase. 2018年8月28日閲覧
  6. ^ Beholder Gets Another Award. TDN. 2018年8月28日閲覧
  7. ^ a b c Beholder Retired and Will Visit Uncle Mo. TDN(November 6, 2016). 2018年8月28日閲覧
  8. ^ Lenny Shulman. Beholder Secures her Third Eclipse Award. Bloodhorse(January 16, 2016). 2018年8月28日閲覧
  9. ^ イントゥミスチーフ……2019年・2020年・2021年の北米リーディング種牡馬。オーセンティックなどの父。 ビホルダー……アメリカで史上はじめて2歳〜5歳まで4年連続G1勝利を達成。G1トータル11勝。2010年代の米国競馬を代表する名牝。 メンデルスゾーン……2018年のUAEダービーを18馬身差で圧勝。”. Twitter. netkeiba.com. 2022年1月25日閲覧。
  10. ^ West: Eye of the Beholder” (英語). ESPN.com (2015年8月21日). 2024年5月1日閲覧。
  11. ^ The Associated Press. By a nose: Beholder upsets Songbird to win BC Distaff. USA TODAY(November 6, 2016). 2018年8月28日閲覧
  12. ^ 合田直弘. 近代屈指の名牝ソングバードが大一番を前に引退. netkeiba.com(2017年9月6日付). 2018年8月28日閲覧
  13. ^ Alicia Wincze Hughes. Beholder Goes Out a Champion, Earns Fourth Eclipse. Bloodhorse(January 21. 2017)
  14. ^ Mike Willman. G1 Vanity Mile Renamed In Honor Of Champion Beholder. Paulick Report(February 10, 2017). 2018年8月28日閲覧
  15. ^ Champion Beholder Delivers First Foal, A Colt By Uncle Mo. Paulick Report(January 24, 2018). 2018年8月28日閲覧
  16. ^ 名牝ビホルダーの娘タマラ、米G1デルマーデビュタントSを圧勝 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年9月14日閲覧。
  17. ^ Horse Profile for Into Mischief | Equibase is Your Official Source for Thoroughbred Racing Information. 2018年8月28日閲覧
  18. ^ Horse Profile for Mendelssohn | Equibase is Your Official Source for Thoroughbred Racing Information. 2018年8月28日閲覧

外部リンク

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