メルボルンカップ
メルボルンカップ Melbourne Cup[1] | |
---|---|
1930年メルボルンカップ(優勝馬ファーラップ) | |
開催国 | オーストラリア |
競馬場 | フレミントン競馬場 |
創設 | 1861年 |
2014年の情報 | |
距離 | 芝3200m |
格付け | G1 |
賞金 | 賞金総額600万豪ドル[1](約6億円[2]) |
出走条件 | サラブレッド3歳以上 |
負担重量 | ハンデキャップ競走 |
メルボルンカップ (Melbourne Cup) は毎年11月の第1火曜日にオーストラリア・メルボルンのフレミントン競馬場の芝3200メートルで行われる競馬の競走。「オーストラリアで最も有名な競走[3]」とされる。国家を止める大一番と呼ばれる[4]。
概要
[編集]メルボルンカップは1861年に創設された歴史あるレースであるとともに、2017年にジ・エベレストが創設されるまで[5]長らくオセアニアでの最高賞金額の競走(2014年は、賞金総額600万オーストラリアドル[6])だった。(2017年以降はジ・エベレストに次ぐ2位)
毎年この競走の開催日は、メルボルン大都市圏ではメルボルンカップ・デーとして祝日となる[7]。The Race that stops a Nation(国の動きを止めるレース)と呼ばれ、オーストラリアの国民的行事となっている[8]。
2018年には英国からの遠征馬クロスカウンターが勝利し、英国調教馬初制覇を飾っている。
歴史
[編集]レース史上最も重いハンデを背負って勝ったのは1890年のカーバイン (Carbine)、この時の負担重量は145ポンド (65.8kg)であった。トップハンデを背負わされた馬は実に1969年のレインラヴァー (Rain Lover)以来長らく優勝していなかったが、2005年にマカイビーディーヴァ (Makybe Diva)が牝馬ながらトップハンデで優勝した。マカイビーディーヴァは2003年から2005年にかけて史上初のメルボルンカップ3連覇を達成している。
距離については当初は2マイル(約3218.69メートル)で行われていたが、1972年からメートル法を採用したため3200メートルとなっている。1971年以前のレコードタイムは1968年にレインラヴァーが記録した3分19秒1、現在のレコードタイムは1990年にキングストンルール (Kingston Rule)が記録した3分16秒3である。
2005年には5月の天皇賞(春)で3着に入線したアイポッパーが日本調教馬として初めて参戦し、12着だった。翌2006年には、同じく日本から遠征したデルタブルースが優勝、ポップロックが2着となった。
また、2008年より前年度[注 1]メルボルンカップ優勝馬が天皇賞(春)に招待されることになった。また、当年の天皇賞(春)優勝馬に対してもメルボルンカップの優先出走権が与えられる。
2012年の賞金総額は6,200,000豪ドル[注 2](当時のレート換算で約4億9600万円)、1着賞金3,600,000豪ドル(約2億8800万円[2])、2着賞金900,000豪ドル、3着賞金450,000豪ドル、4着賞金250,000豪ドル、5着賞金175,000豪ドル、6着から10着賞金125,000豪ドルと定められている。
2004年からエミレーツ航空がスポンサーとなっており、『Emirates Melbourne Cup』の名称で開催している[9]。2018年はトヨタ自動車の高級ブランドレクサス (LEXUS)がスポンサーとなって18金製の優勝金杯を提供、『Lexus Melbourne Cup』の名称で開催となる[10]。いずれも成績書には「メルボルンカップ」と記載される[6][11]。
2020年にアイルランドからの遠征馬・アンソニーヴァンダイクが競走中に骨折して予後不良となるなど、本レースでは過去8年間で外国からの遠征馬6頭が競走中に、3頭が調教中の故障により予後不良となっていることから、2021年開催より外国からの遠征馬の頭数減少や滞在中に出走できるレース数制限などの待遇変更をすることが発表された[12][13]。
歴代優勝馬
[編集]回 | 施行日 | 調教国・優勝馬 | 性齢 | タイム | 優勝騎手 | 管理調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|
第1回 | 1861年 | Archer | ||||
第2回 | 1862年 | Archer | ||||
第3回 | 1863年 | Banker | ||||
第4回 | 1864年 | Lantern | ||||
第5回 | 1865年 | Toryboy | ||||
第6回 | 1866年 | The Barb | ||||
第7回 | 1867年 | Tim Whiffler | ||||
第8回 | 1868年 | Glencoe | ||||
第9回 | 1869年 | Warrior | ||||
第10回 | 1870年 | Nimblefoot | ||||
第11回 | 1871年 | The Pearl | 牝5 | |||
第12回 | 1872年 | The Quack | ||||
第13回 | 1873年 | Don Juan | ||||
第14回 | 1874年 | Haricot | ||||
第15回 | 1875年 | Wollomai | ||||
第16回 | 1876年 | Briseis | 牝3 | |||
第17回 | 1877年 | Chester | ||||
第18回 | 1878年 | Calamia | ||||
第19回 | 1879年 | Darriwell | ||||
第20回 | 1880年 | Grand Flaneur | ||||
第21回 | 1881年 | Zulu | ||||
第22回 | 1882年 | The Assyrian | ||||
第23回 | 1883年 | Martini-Henry | ||||
第24回 | 1884年 | Malua | ||||
第25回 | 1885年 | Sheet Anchor | ||||
第26回 | 1886年 | Arsenal | ||||
第27回 | 1887年 | Dunlop | ||||
第28回 | 1888年 | Mentor | ||||
第29回 | 1889年 | Bravo | ||||
第30回 | 1890年 | Carbine | ||||
第31回 | 1891年 | Malvolio | ||||
第32回 | 1892年 | Glenloth | ||||
第33回 | 1893年 | Tarcoola | ||||
第34回 | 1894年 | Patron | ||||
第35回 | 1895年 | Auraria | 牝3 | |||
第36回 | 1896年 | Newhaven | ||||
第37回 | 1897年 | Gaulus | ||||
第38回 | 1898年 | The Grafter | ||||
第39回 | 1899年 | Merriwee | ||||
第40回 | 1900年 | Clean Sweep | ||||
第41回 | 1901年 | Revenue | ||||
第42回 | 1902年 | The Victory | ||||
第43回 | 1903年 | Lord Cardigan | ||||
第44回 | 1904年 | Acrasia | 牝7 | |||
第45回 | 1905年 | Blue Spec | ||||
第46回 | 1906年 | Poseidon | ||||
第47回 | 1907年 | Apologue | ||||
第48回 | 1908年 | Lord Nolan | ||||
第49回 | 1909年 | Prince Foote | ||||
第50回 | 1910年 | Comedy King | ||||
第51回 | 1911年 | The Parisian | ||||
第52回 | 1912年 | Piastre | ||||
第53回 | 1913年 | Posinatus | ||||
第54回 | 1914年 | Kingsburgh | ||||
第55回 | 1915年 | Patrobas | ||||
第56回 | 1916年 | Sasanof | ||||
第57回 | 1917年 | Westcourt | ||||
第58回 | 1918年 | Night Watch | ||||
第59回 | 1919年 | Artilleryman | ||||
第60回 | 1920年 | Poitrel | ||||
第61回 | 1921年 | Sister Olive | 牝3 | |||
第62回 | 1922年 | King Ingoda | ||||
第63回 | 1923年 | Bitalli | ||||
第64回 | 1924年 | Backwood | ||||
第65回 | 1925年 | Windbag | ||||
第66回 | 1926年 | Spearfelt | ||||
第67回 | 1927年 | Trivalve | ||||
第68回 | 1928年 | Statesman | ||||
第69回 | 1929年 | Nightmarch | ||||
第70回 | 1930年 | Phar Lap | ||||
第71回 | 1931年 | White Nose | ||||
第72回 | 1932年 | Peter Pan | ||||
第73回 | 1933年 | Hall Mark | ||||
第74回 | 1934年 | Peter Pan | ||||
第75回 | 1935年 | Marabou | ||||
第76回 | 1936年 | Wotan | ||||
第77回 | 1937年 | The Trump | ||||
第78回 | 1938年 | Catalogue | ||||
第79回 | 1939年 | Rivette | 牝6 | |||
第80回 | 1940年 | Old Rowley | ||||
第81回 | 1941年 | Skipton | ||||
第82回 | 1942年 | Colonus | ||||
第83回 | 1943年 | Dark Felt | ||||
第84回 | 1944年 | Sirius | ||||
第85回 | 1945年 | Rainbird | 牝4 | |||
第86回 | 1946年 | Russia | ||||
第87回 | 1947年 | Hiraji | ||||
第88回 | 1948年 | Rimfire | ||||
第89回 | 1949年 | Foxzami | ||||
第90回 | 1950年 | Comic Court | ||||
第91回 | 1951年 | Delta | ||||
第92回 | 1952年 | Dalray | ||||
第93回 | 1953年 | Wodalla | ||||
第94回 | 1954年 | Rising Fast | ||||
第95回 | 1955年 | Toparoa | ||||
第96回 | 1956年 | Evening Peal | 牝4 | |||
第97回 | 1957年 | Straight Draw | ||||
第98回 | 1958年 | Baystone | ||||
第99回 | 1959年 | Macdougal | ||||
第100回 | 1960年 | Hi Jinx | 牝5 | |||
第101回 | 1961年 | Lord Fury | ||||
第102回 | 1962年 | Even Stevens | ||||
第103回 | 1963年 | Gatum Gatum | ||||
第104回 | 1964年 | Polo Prince | ||||
第105回 | 1965年 | Light Fingers | 牝4 | |||
第106回 | 1966年 | Galilee | ||||
第107回 | 1967年 | Red Handed | ||||
第108回 | 1968年 | Rain Lover | ||||
第109回 | 1969年 | Rain Lover | ||||
第110回 | 1970年 | Baghdad Note | ||||
第111回 | 1971年 | Silver Knight | ||||
第112回 | 1972年 | Piping Lane | ||||
第113回 | 1973年 | Gala Supreme | ||||
第114回 | 1974年 | Think Big | ||||
第115回 | 1975年 | Think Big | ||||
第116回 | 1976年 | Van der Hum | ||||
第117回 | 1977年 | Gold and Black | ||||
第118回 | 1978年 | Arwon | ||||
第119回 | 1979年 | Hyperno | ||||
第120回 | 1980年 | Beldale Ball | ||||
第121回 | 1981年 | Just A Dash | ||||
第122回 | 1982年 | Gurner's Lane | ||||
第123回 | 1983年 | Kiwi | ||||
第124回 | 1984年 | Black Knight | ||||
第125回 | 1985年 | What A Nuisance | ||||
第126回 | 1986年 | At Talaq | ||||
第127回 | 1987年 | Kensei | ||||
第128回 | 1988年 | Empire Rose | 牝6 | |||
第129回 | 1989年 | Tawrrific | ||||
第130回 | 1990年 | Kingston Rule | ||||
第131回 | 1991年 | Let's Elope | 牝4 | |||
第132回 | 1992年 | Subzero | ||||
第133回 | 1993年 | Vintage Crop | ||||
第134回 | 1994年 | Jeune | ||||
第135回 | 1995年 | Doriemus | ||||
第136回 | 1996年 | Saintly | ||||
第137回 | 1997年 | Might and Power | ||||
第138回 | 1998年 | Jezabeel | 牝5 | |||
第139回 | 1999年 | Rogan Josh | ||||
第140回 | 2000年11月7日 | Brew | 牡5 | 3:18.68 | K.マカヴォイ | M.モロニー |
第141回 | 2001年11月6日 | Ethereal | 牝4 | 3:21.08 | S.シーマー | S.ラクソン |
第142回 | 2002年11月5日 | Media Puzzle | 騸6 | 3:16.97 | D.オリヴァー | D.ウェルド |
第143回 | 2003年11月4日 | Makybe Diva | 牝4 | 3:19.90 | G.ボス | D.ホール |
第144回 | 2004年11月2日 | Makybe Diva | 牝5 | 3:28.55 | G.ボス | L.フリードマン |
第145回 | 2005年11月1日 | Makybe Diva | 牝6 | 3:19.17 | G.ボス | L.フリードマン |
第146回 | 2006年11月7日 | Delta Blues | 牡5 | 3:21.42 | 岩田康誠 | 角居勝彦 |
第147回 | 2007年11月6日 | Efficient | 騸4 | 3:23.34 | M.ロッド | G.ロジャーソン |
第148回 | 2008年11月4日 | Viewed | 牡5 | 3:20.58 | B.シン | B.カミングス |
第149回 | 2009年11月3日 | Shocking | 牡4 | 3:23.87 | C.ブラウン | M.カヴァナー |
第150回 | 2010年11月2日 | Americain | 牡5 | 3:26.87 | G.モッセ | A.ドゥロワイエデュプレ |
第151回 | 2011年11月1日 | Dunaden | 牡5 | 3:20.84 | C.ルメール | M.デルザングル |
第152回 | 2012年11月6日 | Green Moon | 牡6 | 3:20.45 | B.プレブル | R.ヒックモット |
第153回 | 2013年11月5日 | Fiorente | 牡5 | 3:20.30 | D.オリヴァー | G.ウォーターハウス |
第154回 | 2014年11月4日 | Protectionist | 牡5 | 3:17.71 | R.ムーア | A.ヴェーラー |
第155回[14] | 2015年11月3日 | Prince of Penzance | 騸6 | 3:23.15 | M.ペイン | D.ウィアー |
第156回[15] | 2016年11月1日 | Almandin | 騸6 | 3:20.58 | K.マカヴォイ | R.ヒックモット |
第157回[16] | 2017年11月7日 | Rekindling | 牡4 | 3:21.29 | C.ブラウン | J.オブライエン |
第158回[17] | 2018年11月6日 | Cross Counter | 騸3 | 3:21.17 | K.マカヴォイ | C.アップルビー |
第159回[18] | 2019年11月5日 | Vow and Declare | 騸4 | 3:24.76 | C.ウィリアムズ | D.オブライエン |
第160回[19] | 2020年11月3日 | Twilight Payment | 騸8 | 3:17.34 | J.マクニール | J.オブライエン |
第161回 | 2021年11月2日 | Verry Elleegant | 牝6 | 3:17.43 | J.マクドナルド | C.Waller |
第162回[20] | 2022年11月1日 | Gold Trip | 牡6 | 3:24.04 | M.Zahra | C.Maher & D.Eustace |
第163回[21] | 2023年11月7日 | Without A Fight | 騸7 | 3:18.37 | M.Zahra | A & S.Freedman |
第164回[22] | 2024年11月5日 | Knight's Choice | 騸5 | 3:19.53 | R.Dolan | J.Symons & S.Laxon |
(→英語版の全勝ち馬リスト)
- オセアニア調教馬以外からの優勝馬
- 1993年 Vintage Crop(ヴィンテージクロップ、 アイルランド)
- 2002年 Media Puzzle(メディアパズル、 アイルランド)
- 2006年 デルタブルース(Delta Blues、 日本)
- 2010年 Americain(アメリケイン、 フランス)
- 2011年 Dunaden(ドゥーナデン、 フランス)
- 2014年 Protectionist(プロテクショニスト、 ドイツ)
- 2017年 Rekindling(リキンドリング、 アイルランド)
- 2018年 Cross Counter (クロスカウンター、 イギリス)
- 2020年 Twilight Payment(トワイライトペイメント、 アイルランド)
日本調教馬の成績
[編集]上記の通り第146回(2006年)の競走にて、デルタブルースとポップロックがワンツーフィニッシュを果たしている。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b IFHA Race Detail Melbourne Cup2014年11月12日閲覧。
- ^ a b 1豪ドルを100円換算(2014年11月レート)
- ^ “Melbourne Cup 2018 | Horses, Field, Race Time, Results & Form Guide” (英語). www.racenet.com.au. 2018年8月9日閲覧。
- ^ 太田尚樹. “角居元調教師、豪州で“国家を止めた”デルタブルース悼む「種馬にはなれなかったけど…」 - 競馬 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2024年10月11日閲覧。
- ^ 豪州で世界最高賞金の芝レースが創設(オーストラリア) - ジャパンスタッドブックインターナショナル 2018年3月11日閲覧
- ^ a b International Cataloguing Standards Book 2014 AUSTRALIA2014年11月12日閲覧。
- ^ メルボルン・カップ・カーニバル - オーストラリア政府観光局 2017年11月1日閲覧
- ^ 「国の動きを止めるレース」メルボルンCの発走迫る - netkeiba.com 2017年11月1日閲覧
- ^ 2011 BMWコーフィールドカップ、Tattsコックスプレート、エミレーツ・メルボルンカップの登録について(簡易版) - ジャパン・スタッドブック・インターナショナル「海外競走出馬登録」 2011年9月9日閲覧
- ^ news.com.au,Mt Barker’s Steriline Racing welcomes the 18-carat Melbourne Cup 2018年10月25日閲覧。
- ^ International Cataloguing Standards Book 2018 AUSTRALIA2018年10月25日閲覧。
- ^ “メルボルンカップの大幅変更は遺憾だが理解すべきだ(オーストラリア)【開催・運営】”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2021年5月21日閲覧。
- ^ Staff, Racing Victoria. “Enhanced safety initiatives to set new global benchmark for Spring Racing Carnival” (英語). Racing Victoria. 2021年5月21日閲覧。
- ^ メルボルンカップの結果日本中央競馬会、2015年11月3日閲覧
- ^ 第156回メルボルンカップ(G1)の結果日本中央競馬会、2016年11月1日閲覧
- ^ 2017年結果breednet.com、2017年11月7日閲覧
- ^ 2018メルボルンカップ(G1)の結果日本中央競馬会、2018年11月6日閲覧
- ^ “2019年レース結果”. breednet.com (2019年11月5日). 2019年11月5日閲覧。
- ^ “2020年レース結果”. breednet.com (2020年11月3日). 2020年11月3日閲覧。
- ^ 2022年メルボルンカップbreednet.com、2022年11月1日閲覧
- ^ 2023年メルボルンカップbreednet.com、2023年11月7日閲覧
- ^ 2024年メルボルンカップbreednet.com、2024年11月5日閲覧
外部リンク
[編集]- ヴィクトリアレーシングクラブ - フレミントン競馬場を管理するクラブ
- メルボルンカップ - メルボルンカップカーニバルの公式サイト