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東急2000系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
東急2000系電車
2000系2001F
(2018年6月4日 田奈駅
基本情報
運用者 東京急行電鉄
製造所 東急車輛製造
製造年 1992年 - 1993年
製造数 3編成30両
運用開始 1992年3月(田園都市線)
1993年2月3日(東横線)
2018年11月16日(大井町線)
運用終了 1993年11月(8両編成)
2018年10月3日(10両編成)
2019年2月1日(5両編成)
投入先 東急田園都市線東急東横線
東急大井町線
主要諸元
編成 10両編成(田園都市線)
8両編成(東横線)
5両編成(大井町線)
軌間 1,067 mm狭軌
電気方式 直流1,500 V
架空電車線方式
最高運転速度 110 km/h(東急線内)
80 km/h(半蔵門線内)
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 1,412(座席522)人(10両編成)
車両定員 先頭車130(座席48)人
中間車144(座席54または51)人
自重 26.2 - 34.7 t
編成重量 312.4 t
全長 20,000 mm
全幅 2,800 mm
全高 4,035 mm
4,050 mm(パンタ付車両)
床面高さ 1,170 mm
車体 ステンレス鋼
台車 円筒積層ゴム式ボルスタレス台車
TS-1010(電動台車)
TS-1011(付随台車)
主電動機 かご形三相誘導電動機 TKM-92形
主電動機出力 170 kW(更新前)
175 kW(更新後)
駆動方式 TD継手式中実軸平行カルダン駆動方式
歯車比 99:14(7.07)
制御方式 VVVFインバータ制御
制御装置 GTO素子・1C8M(更新前)
SiC-MOSFET素子・1C4M(更新後)
制動装置 ATC連動回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(HRA形)
保安装置 ATC-P新CS-ATC
備考 2000系のデータ
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東急2000系電車(とうきゅう2000けいでんしゃ)は、1992年平成4年)に導入した東急電鉄通勤形電車である。

本項では2000系電車のほか、同系列を改造した9020系電車についても記述する。

本項では個別の編成を示す際には渋谷・押上・大井町方先頭車の車両番号で代表する(例:2001F)。

概要

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2000系は田園都市線の輸送力増強のため導入され、1992年(平成4年)3月に営業運転を開始した[1]東急車輛製造で10両3編成が製造されている。なおこのうち2003Fは付随車のない8両編成で落成し、一時的に東横線で運用されていた。2018年度に編成を組み替えて5両3編成とする改造が行われ、以降は9020系として大井町線で運用されている。

1986年昭和61年)に登場した9000系をベースに設計され、帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄半蔵門線乗り入れへの対応、客室内の改良、乗り心地の向上などが図られた。また、設計に当たっては「より良い居住性」「運転操作性の向上」「省エネルギー化」「保守性の改善」などの9000系からの基本理念に加え「人にやさしい車両」を目指している。

当時の東急電鉄では車両寿命を40年から50年程度とする方針の下で車両の更新を行っていたため[独自研究?][要出典]、東急における旅客営業用電車の製造は本形式導入後、1999年(平成11年)に登場した3000系まで途絶えることになった。

車両概説

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車体

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スカート設置前の2000系2002F
(2003年11月22日 つきみ野駅

9000系と同一のステンレス鋼製20m4扉車体を採用した。これは車両設計費の低減や構体・扉・窓などの部材を共通化することで予備品の低減、さらに運転操作や検修時の取り扱いの統一・標準化を図ることが目的である[2] 。前面と側面には東急のコーポレートカラーである赤色のラインカラーを巻く。

前面も9000系と同一の非常口貫通式としており、非常用の梯子が設置してある。当初は小形であったが、後年に大形のものへと交換した。2005年(平成17年)1月に3編成すべてにスカートを設置した[3][4]

行先表示器は字幕式であったが、2003Fは営業運転開始前後に3色LED式に交換された。その後2004年度に2003F、2006年度に残る2編成が5000系列等のようにフルカラーと白色の表示器に交換された[5][6]。このとき交換された2003Fの種別表示器は8500系と同じ小型のものであったが、2001F・2002Fの交換後にこれらと同じものへ再度交換されている。

この前面の表示器の横には急行灯があり、優等列車として運転される際に点灯していたが、2002年(平成14年)4月より使用が停止され、前述の表示器フルカラー化に際して撤去された。

冷房装置1000系1006F以降と同一の東芝集約分散式で、11.6 kW (10,000 kcal/h) 容量のRPU-2214Cを搭載する。1両につき4台である点は従来車と同じだが、本系列では車体全長にダクトを配することで装置の配置が変更されている。2台を寄せ1群として連続したカバーに収めたものを、車体中央に寄せて2群配置したものとなり、これまでパンタグラフ搭載車のみ異なっていた配置が全車種で共通化された。冷房制御方式は1000系で実績のあるインバータによる能力可変制御を採用し、快適性の向上を図っている。

このほか雑多なものとして、車体側面には車外スピーカーを搭載、3号車にあたるデハ2200形の妻面と床下には半蔵門線用の誘導無線アンテナと無線送受信機本体を搭載している。また後年の改造で連結部への転落防止幌の設置や黄色テープの貼付、前照灯のLED化などが行われた。

内装

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基本的には9000系に準じた仕様となっているが、冷房ダクトを用いた冷風拡散方式や、網棚の端を延長して物を載せやすくした形状などは1000系に準拠したものとなっている。また、従来客室壁に取り付けていた消火器は収納カバーに収めるように変更した。客室はすべてロングシート(1人の掛け幅は440 mm)配置である。各車上り方に貫通扉と優先席(上り方先頭車の優先席は下り方)がある。田園都市線の混雑に配慮して、天井補助送風機の台数が9000系より増強された(先頭車9台、中間車10台)。

なお、一部車両において、「快適な空間づくり」を目指して在来各系列では見られなかったアイデアを試験的に施している。これは今後の通勤電車の内装のモデルケースとしての意味合いもある[2]

2001F・2002Fのうち3・9号車(デハ2201・2202・2401・2402号)で試験採用され、後の2003Fでは一部改良の上で全面的に採用された。

  • 3・9号車(8両編成時には3・7号車)の車端部に車椅子スペースを設置(いずれも上り方、山側。非常通報器がないため、後のフリースペースに相当する)。
  • 7人掛けロングシートの仕切部にスタンションポール(縦握り棒)を新設。1次車では2種類の形状で比較試験が行われ、3号車は仕切の上に、9号車は仕切の前に立つ形態とされた。2003Fでは後者を採用。
  • 7人掛けロングシート下部の蹴込み板を後退させ、足下のスペースを拡大(車端部は従来のまま)。
  • 座席に柄付きモケットを採用。赤と黄色ベースにそれぞれ2種類のデザインが採用され、1次車では3号車がストライプ、9号車が花柄とされた。2003F(8両編成)では奇数号車が花柄、偶数号車がストライプとされた。後に4号車(ストライプ)・7号車(花柄)を増結し10両化しており、モケットの順番が不規則となっている。
  • カーテンに東急沿線の名所である横浜ベイブリッジ渋谷109・旧田園調布駅舎をデザイン。
  • 貫通扉窓の形状を変更(三角形の窓を点対称に2枚配置)。
  • 禁煙表示と消火器表示などの車内表示をピクトグラム化。

なお、モケットとカーテンは、後に従来車と同じ無地のものへ交換された。また本系列の製造と同時期に更新工事を実施していた7600系8000系では本系列の意匠が取り入れられている。

落成時から自動放送装置を搭載しており、田園都市線のみならず乗り入れ先の半蔵門線でも自動放送を実施している。また前述の車外スピーカーにおいては車掌の操作で当時の営団と同じ仕様の「扉が閉まります。ご注意ください」という乗降促進放送を流すことができる。

2003年(平成15年)8月から2004年(平成16年)3月にかけて、側引戸の鴨居部にLED式2段表示の車内案内表示器とドア開閉を予告する表示灯を千鳥配置で設置した。ともにドアチャイム用のスピーカーを内蔵している[7]。また2005年3月より携帯電話マナー周知のため、優先席のつり革をオレンジ色へ変更(三角形の新品へ交換)するとともに、付近の壁にオレンジ色のシートを貼り付けた。

乗務員室

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乗務員室についても乗務員が取り扱う機器を統一するため、9000系と基本的に大きな変更はない。本系列では左側の壁に半蔵門線用の誘導無線の送受話器がある。乗務員室内はアイボリー色、運転台計器盤はつや消し茶色のカラースキームを採用している。主幹制御器の操作部はT字形ワンハンドルマスコンとし、デッドマン装置を備える。フロントガラスの日除けにはロール式のカーテンが設置してある。また、後年に非常扉部にもカーテンが追加された。

乗務員室仕切りは前面窓と同じ配置で仕切窓が3枚あり、そのうち客室から見て左側2枚の窓には遮光幕を設置するが、遮光幕は一般的なロールアップ式ではなくアルミ製・板状のものである。

車掌スイッチは当初は機械式であったが、2007年(平成19年)に間接制御式(リレー式)に交換された。

走行機器

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GTO素子を用いた日立製作所VVVFインバータ制御装置(VFG-HR1820D)を採用、1台の制御器で2両分8個のモーターを制御する1C8M制御方式である。M1車に搭載し、隣のM2車とユニットを組む。主電動機はTKM-92形かご形三相誘導電動機(出力170 kW、端子電圧1,100 V、電流115 A、周波数64 Hz、回転数1,860 rpm)である。集電装置剛体架線に対応した菱形パンタグラフ(PT44S-D-M形)であり、9000系と同一品である。M1車の上り方に各1台、編成で3台搭載する。

補助電源装置は東芝製のGTO素子による静止形インバータ (SIV) である。容量170 kVAの装置を編成で3台、各M2車に搭載している[8]。三相440 V出力のインバータに加え、変圧器と整流装置によってAC200 V、DC100 V、DC24Vを各車へ給電する[8]蓄電池も各M2車に搭載しており、100Vと24V(いずれも30Ah)を一体の箱に収めたものを基本とするが、デハ2350形のものは100Vのみとなる[8]

空気圧縮機 (CP) はレシプロ式低騒音形のHS20-1形を編成で4台、各M2車とT1車に搭載している[8]

ブレーキ装置は回生ブレーキを併用したアナログ指令式の全電気指令式空気ブレーキで、ATCの連動式である。また、ブレーキ制御には遅れ込め制御を併用している。

台車は円筒積層ゴム式軸箱支持によるボルスタレス台車で、形式は電動台車がTS-1010、付随台車がTS-1011である。9000系から採用している台車を基本に軸箱支持装置などを改め、高速時の乗り心地を向上させた。基礎ブレーキは電動車が片押し式踏面ブレーキ付随車ディスクブレーキとしている。この台車については本系列登場前の1991年(平成3年)3月から6月にかけて、試作台車(TS-1009)による走行試験を9000系クハ9015号にて実施、問題がないことを確認している[8]

現在の保安装置はいずれも東急線・東京メトロ用のATC装置を搭載している。

編成表

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← 押上・渋谷
中央林間 →
区分[9] 製造年[9]
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
パンタ
形式 クハ2000
(Tc2)
デハ2250
(M2)
デハ2200
(M1)
サハ2700
(T2)
デハ2350
(M2)
デハ2300
(M1)
サハ2800
(T1)
デハ2450
(M2)
デハ2400
(M1)
クハ2100
(Tc1)
車内設備 女性専用車 弱冷房車
♿︎
         
♿︎
女性専用車
搭載機器   SIV,CP,BT2 VVVF2,IR   SIV,CP,BT1 VVVF2 CP SIV,CP,BT2 VVVF2  
車号 2001
2002
2251
2252
2201
2202
2701
2702
2351
2352
2301
2302
2801
2802
2451
2452
2401
2402
2101
2102
1次車 1992.03.26
2003 2253 2203 2703 2353 2303 2803 2453 2403 2103 2次車
3次車 (下線)
1993.02.03
1993.11.17 (下線)
凡例
VVVF2:主制御器(1C8M)、SIV:補助電源装置(静止形インバータ)、CP:空気圧縮機、BT2:蓄電池(100V・24V)、BT1:蓄電池(24V)、IR:誘導無線装置、◇:集電装置(菱形パンタグラフ)、♿︎:車椅子スペース(山側)

大井町線転属へ向けた動き

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2003Fのうち付随車を除く8両に対し、2017年5月から2018年3月にかけて、長津田車両工場にて機器更新と内装リニューアル工事を施工した[10]

  • VVVFインバータ制御装置をSiC-MOSFET素子を用いた三菱電機製に換装。1C8M制御から1C4M2群制御に変更。
  • 主電動機を出力175 kW全閉形の三相誘導電動機に換装。
  • 補助電源装置を東芝製の待機2重系260 kVA出力 静止形インバータ (SIV) に換装。
  • ブレーキ受量器の改修。
  • 19芯ジャンパ栓設置。
  • M1車のパンタグラフをシングルアーム化、下り方に増設。
  • 空調装置の換装。各車外側の2台がステンレスキセのもの(9000系同様)へ更新され、これに伴い内側の2台もカバーが独立したものへと変更された。
  • 車外スピーカーの換装。
  • 火災対策実施。
  • 各号車にフリースペースを設置(Tc1・M1の上り方とTc2・M2の下り方でいずれも山側。車外表記は変更なし)、既存の車椅子スペースを含めて隣接する側窓をスモークガラスに変更。このうちM1の3両は車椅子スペースとして対話式非常通報器の準備工事も実施。
  • 7人掛け座席中央の仕切を撤去し、カーブを描く握り棒を新設。
  • 化粧板・床敷物・カーテン・座席モケットの変更。
  • 沓摺に黄色の警戒帯を貼付(付随車にも実施)。

また後述の2編成を含め、改造された15両については事前に室内灯のLED化が行われていた。

出場した2003Fは田園都市線で試運転のみ実施したのち、2018年5月に再び長津田車両工場へ入場した。

編成表
 
← 押上・渋谷
中央林間 →
入場 出場
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
パンタ
形式 クハ2000
(Tc2)
デハ2250
(M2)
デハ2200
(M1)
サハ2700
(T2)
デハ2350
(M2)
デハ2300
(M1)
サハ2800
(T1)
デハ2450
(M2)
デハ2400
(M1)
クハ2100
(Tc1)
車内設備 女性専用車
弱冷房車
♿︎
 
 
♿︎
女性専用車
搭載機器   SIV,CP,BT2 VVVF2   SIV,CP,BT1 VVVF2 CP SIV,CP,BT2 VVVF2  
車号 2003 2253 2203 2703 2353 2303 2803 2453 2403 2103 2017.05.10 2018.03.17
凡例
VVVF2:主制御器(1C4M2群)、SIV:補助電源装置(静止形インバータ)、CP:空気圧縮機、BT2:蓄電池(100V・24V)、BT1:蓄電池(24V)、<>:集電装置(シングルアームパンタグラフ)、♿︎:既存の車椅子スペース(山側)、フ:新設したフリースペース(山側)

5両編成化

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再び入場した2003Fは同2018年9月に5両編成の大井町線仕様となって出場した[11]。以前に改造を施工した8両のうち、上り方先頭車と下り方4両を用いており、後述の9020系とは2号車の搭載機器が異なる。

5両編成化にあたりクハ2000形に蓄電池、クハ2100形にCPをそれぞれ新設したほか、非常通報器を対話式に変更するとともに4号車の車椅子スペース部へ増設している。これに加えて列車無線のデジタル対応化等もあり、運転台にも変化がみられる。

大井町線に転属した2000系2003F
(2018年12月30日 緑が丘駅

同編成は11月16日より大井町線で営業運転を開始したが、2019年2月1日を最後に運用を終了、同日に長津田車両工場へ入場し9020系へと改造された。

編成表
 
← 大井町
二子玉川・溝の口・鷺沼
入場 竣工・
転属[12]
号車 1 2 3 4 5
パンタ
形式・車種 クハ2000
(Tc2)
デハ2300
(M)
デハ2450
(M2)
デハ2400
(M1)
クハ2100
(Tc1)
車内設備
弱冷房車
♿︎
搭載機器 BT2 VVVF2 SIV,CP,BT2 VVVF2 CP
車号 2003 2303 2453 2403 2103 2018.05.24 2018.09.21
凡例
VVVF2:主制御器(1C4M2群)、SIV:補助電源装置(静止形インバータ)、CP:空気圧縮機、BT2:蓄電池(100V・24V)、<>:集電装置(シングルアームパンタグラフ)、♿︎:車椅子スペース(山側)、フ:フリースペース(山側)

9020系

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東急9020系電車
9020系9021F
(2021年12月18日 緑が丘駅
基本情報
運用者 東京急行電鉄 →
東急電鉄
種車 2000系
改造数 3編成15両
運用開始 2019年2月11日
投入先 大井町線
主要諸元
編成 5両編成
最高運転速度 110 km/h
車両定員 先頭車130(座席45)人
中間車144(座席51)人
主電動機 かご形三相誘導電動機
主電動機出力 175 kW
駆動方式 TD継手式中実軸平行カルダン駆動方式
歯車比 99:14(7.07)
制御方式 VVVFインバータ制御
制御装置 SiC-MOSFET素子・1C4M
制動装置 ATC連動回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
備考 2000系との相違点等のみ記載
テンプレートを表示

大井町線向けに2000系を改造・編成組替えを行い誕生した形式で、2019年(平成31年)2月11日に9022Fが営業運転を開始した[13]

前述の2003Fのうち8両のほか、2001Fのうち2両、2002Fのうち5両にそれぞれ2003Fと同様の改造を施工、これらを用いて組替えが行われた。全車両が改番され、中間車のみ5000系以降に準じた付番方式となった。中間車は2号車(M)が元2002FのM1、3号車(M2)・4号車(M1)が元2003FのM2・M1で揃えられている。

最初に入場した2002Fは先頭車とM1に改造を施工し、M1は3両とも単独デハ(M)に変更された。ここから2302・2402を抜取り、バラの2253・2203を組込んで9022Fへ。最初に出場。

二番目に入場した2001Fは先頭車のみ改造を施工。前述の2402とバラの2353、後述の2303を組み込んで9021Fへ。最後に出場。2353→9321では蓄電池を取り替えている。

改造済の2003Fも2号車の搭載機器が異なることから再度入場、2303を抜取り、前述の2302を組み込んで9023Fへ。二番目に出場。

なお、改造対象から外れた15両は2018年夏から秋にかけて廃車となり[12]、年内に全て陸送・解体された。

本系列の形式名は東急電鉄公式サイト内「安全報告書2019」においては「9020系」の表記が見られる[14]。また2020年(令和2年)11月に発行された「東急電鉄完全ガイド」(ネコ・パブリッシング)のコーナー「現行車両14形式全方位ガイド」のP48-52では「9020系」と表記されている。

編成表 (9020系)

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← 大井町
二子玉川・溝の口・鷺沼
入場 竣工[12]
(車号変更)
備考
号車 1 2 3 4 5
パンタ
形式 クハ9020
(Tc2)
デハ9220
(M)
デハ9320
(M2)
デハ9420
(M1)
クハ9120
(Tc1)
車内設備
弱冷房車
♿︎
搭載機器 BT2 VVVF1 SIV,CP,BT2 VVVF2 CP
車号 9021
(2001)
9221
(2402)
9321
(2353)
9421
(2303)
9121
(2101)
2018.10.03 2019.03.22 4号車の(元)デハ2303は、2003Fの2号車としての大井町線運用実績あり。
9022
(2002)
9222
(2202)
9322
(2253)
9422
(2203)
9122
(2102)
2018.07.13 2019.02.10
9023
(2003)
9223
(2302)
9323
(2453)
9423
(2403)
9123
(2103)
2019.02.01 2019.02.14 2003Fとしての5両編成では2号車がデハ2303であったが、9020系化に際して(元)デハ2302に差し替えられた。
凡例
VVVF2:主制御器(1C4M2群)、VVVF1:主制御器(1C4M)、SIV:補助電源装置(静止形インバータ)、CP:空気圧縮機、BT2:蓄電池(100V・24V)、<>:シングルアームパンタグラフ

運用

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10両編成(田園都市線・運用終了)

長津田検車区に配置され、1992年(平成4年)3月(日付は諸説あり)に営業運転を開始、田園都市線から東京メトロ半蔵門線への直通運用に使用されていた。当初は8500系、また後に登場した5000系などと共通運用であった。2003年3月から田園都市線では東武線への直通運転が開始され、多くの車両は東武線への乗り入れに対応することとなったが、8500系や5000系と比べ本数が極端に少ない本系列は乗務員教習等の手間により東武線乗り入れ編成から除外された。このため、識別するために前面非常扉の窓に「K」のマークを貼付しており(いわゆる「サークルK」)、また営業運転区間は最大でも中央林間駅から半蔵門線押上駅までであった。2020系の導入により、2018年10月3日の2002Fを最後に運用を終了した。

8両編成(東横線・運用終了)

2003Fのみ8両編成で落成し、1993年(平成5年)2月3日より東横線に暫定投入された[15]。同年11月1日を最後に東横線での運用を終了し同日中に長津田検車区へ回送され[16]、翌日付で田園都市線に転属している。その後中間車2両を組み込んで10両編成化し[16]、以後は他の編成と同じく田園都市線での運用となった。

5両編成(大井町線)

2018年度に大井町線への転用が行われた。同線では各停運用に使用されている。2018年11月16日から翌年2月1日まで、改造・編成短縮済の2003Fが営業運転を行った。またこれと並行して残る2編成にもほぼ同様の改造を実施、その後全3編成で編成組替えを実施し、9020系(9021F - 9023F)に改められた。同系列は2月11日の9022Fを皮切りに3月末までに全編成が営業運転を開始している。余剰となった中間車15両はいずれも廃車・解体された。

今後の予定

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本系列は9000系とともに、新造車両による置き換えと西武鉄道への譲渡が公表されている。置き換えについては2023年度より車両新造に着手しており[17][18][19]、また西武鉄道への譲渡後については同社で「サステナ車両」として支線系に導入するものとされている[20][21][22]。西武での形式は未定。

脚注

[編集]
  1. ^ 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」1992年9月号p.89「東京急行電鉄の話題 2000系営業運転開始」によれば、同年3月29日から営業運転を始めたと記載されている。
  2. ^ a b 「レイルマガジン」1992年5月号
  3. ^ 『鉄道ファン』2005年9月号(通巻533号)付録「大手私鉄車両ファイル」
  4. ^ 2000系に補助排障器(スカート)を設置いたしました。(レールファン東急)(インターネットアーカイブ・2005年時点の版)
  5. ^ 『鉄道ピクトリアル』2015年12月臨時増刊号(通巻912号)「東京急行電鉄 現有車両プロフィール」年度別車両動向 pp.237 - 249
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  7. ^ 『鉄道ファン』2004年9月号(通巻521号)付録「大手私鉄車両ファイル」
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  10. ^ 交友社「鉄道ファン」2018年6月号
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  12. ^ a b c 『鉄道ファン』2019年8月号(通巻700号)付録「大手私鉄車両ファイル」
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  16. ^ a b 鉄道図書刊行会『鉄道ピクトリアル』1994年3月号「読者短信」p.118。
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  18. ^ 2023年度の設備投資計画 さらに安全・安心な鉄道サービスを追求し、時代に即した社会的価値提供のため 総額431億円を投資”. 東急電鉄株式会社ニュースリリース (2023年5月11日). 2023年10月4日閲覧。
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  21. ^ “西武の「サステナ車両」実は3車種!? 東急9000系そっくり元・田園都市線「9020系」のゆくえ”. 乗りものニュース. (2023年9月30日). https://trafficnews.jp/post/128399 
  22. ^ 西武鉄道と東急電鉄・小田急電鉄「サステナ車両」を授受 各社連携して、SDGsへの貢献を加速してまいります”. 西武鉄道ニュースリリース (2023年9月26日). 2023年10月4日閲覧。

参考文献

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  • 渡辺峰男「新車ガイド 東急2000系」『鉄道ファン』1992年5月号(通巻373号)、交友社
  • 尾崎正明「東京急行電鉄2000系」『鉄道ピクトリアル新車年鑑1992年版』1992年10月臨時増刊号(通巻566号)、鉄道図書刊行会
  • 川口雄二「東京急行電鉄2000系電車」『鉄道ピクトリアル』1992年5月号(通巻559号)、鉄道図書刊行会。
  • 渡辺峰男「東京急行電鉄 2000系」『電気車の科学』1992年4月号(通巻528号)、電気車研究会。
  • 川口雄二「東京急行電鉄2000系について」『レイルマガジン』1992年5月号、ネコ・パブリッシング
  • 金子智治「東京急行電鉄 現有車両プロフィール 2015」『鉄道ピクトリアル』2015年12月臨時増刊号(通巻912号)、電気車研究会。
  • 荻原俊夫「東急ステンレスカーのあゆみ」JTBパブリッシング

関連項目

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