枕中記
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『枕中記』(ちんちゅうき)は、中国唐の伝奇小説である[1]。作者は沈既済(しんきせい)。
概要
[編集]著者の沈既済は、8世紀後半頃の人である。蘇州呉県の人で、薬を調達する礼部員外郎となった。
主人公の盧生が、邯鄲で道士の呂翁に出会い、枕を授けられる。その枕で眠りについたところが、まだ粟の飯が炊き上がる前に、自分が立身出世を果たし、栄達の限りを尽くして死ぬまでの間の出来事を夢みた。それによって、盧生は人生の儚さを悟った、という話である。
「邯鄲の枕」「黄粱の一炊」「邯鄲の夢」の故事として、広く知られている。また、明代の湯顕祖が著わした戯曲の『邯鄲記(中国語版)』は、この『枕中記』を元にして作られたものである。 中国語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります:枕中記
所収
[編集]- 『文苑英華』卷八百三十三 枕中記の条、中国語版ウィキソースは未完(2017年10月)
- 『太平広記』卷八十二 異人二 呂翁の条、『文苑英華』では物語の年代が開元7年となっているのに対し、こちらは開元19年となっている。魯迅『唐宋伝奇集』は『文苑英華』を選んでいる。 中国語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります:太平廣記/卷第082#.E5.91.82.E7.BF.81
参考文献
[編集]- 魯迅『中国小説史略』(1923年、訳書は平凡社東洋文庫ほか)
- 赤井益久「「枕中記」校辯」(『中国古典研究 51号』所収、2006年)
- 『枕中記・李娃伝・鶯鶯伝他』(竹田晃・黒田真美子編『中国古典小説選5.「唐代」Ⅱ』、明治書院、2006年)ISBN 978-4-625-66346-8
- 『唐代伝奇』(内田泉之助・乾一夫 著『新釈漢文大系 44』、明治書院、1971年)ISBN 978-4-625-57044-5
脚注・出典
[編集]- ^ 日本語訳は、今村与志雄 訳、前野直彬 訳 がある。 唐宋伝奇集 上『3 邯鄲夢の枕―枕中記』 今村与志雄 訳、1988年 岩波文庫 ISBN 978-4003203811、p.82-99 。中国古典文学大系24 六朝・唐・宋小説選 『枕の中の世界の話』 前野直彬 訳 1968年 平凡社 ISBN 978-4582312249 p.160-163 。