池央耿
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池 央耿(いけ ひろあき、1940年9月3日 - 2023年10月27日)は、日本の英文翻訳家。日本文芸家協会会員。東京都大田区生まれ、国際基督教大学出身。
経歴
[編集]1964年、国際基督教大学教養学部人文科学科卒。同年、産業技術映画協会の制作部に勤務。1965年にいったんフリーになった後、1966年から1972年に岩波映画製作所演出部に所属。
以後、フリーの翻訳家となる。その訳業は英米のノンフィクション、エッセイ、推理小説、サスペンス、冒険小説、SF、ファンタジー、児童文学など多岐にわたる。
映画『E.T.』ノベライズ、ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』、ロバート・フルガム『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』、ピーター・メイル『南仏プロヴァンスの12ヶ月』などの訳書がベストセラーになった。
2013年12月に初の単著『翻訳万華鏡』(河出書房新社)を刊行した。
2023年10月27日、脳出血のため川崎市の自宅で死去[1]。83歳没。
著書
[編集]翻訳
[編集]- 『マフィアの復讐』(チャールズ・ダービン、角川文庫) 1972
- 『ビートルズ』(ジュリアス・ファスト、角川文庫)1972
- 『キャンベル渓谷の激闘』(ハモンド・イネス、ハヤカワ文庫) 1972
- 『スミスのかもしか』(ライオネル・デイヴィドソン、角川書店) 1972
- 『麻薬シンジケート 〈白い恐怖〉の報告書』(アルビン・モスコウ、日本リーダーズダイジェスト社、ペガサス・ドキュメント)1972
- 『ゲシュタポ・ファイル 秘密情報部員JF』(デズモンド・コーリー、日本リーダーズダイジェスト社、ペガサスノベルズ 1972
- 『ナンバーのない男 国際殺人局K』(ジェイムズ・マンロー、早川書房) 1973
- 『ボブ・ディラン』(サイ・リバコブ,バーバラ・リバコブ、角川文庫) 1974
- 『屠殺人 / 血の負債』(スチュアート・ジェイスン、早川書房) 1974
- 『みどりの谷』(ベン・ハース、角川文庫) 1974
- 『帝王 ビッグマフィア』(オビッド・デマリス、立風書房) 1974
- 『リンガラ・コード』(ウォーレン・キーファー、角川書店) 1974、のち角川文庫
- 『兵士の鷹』(ジェラルド・サマーズ、角川文庫) 1975
- 『完全なる敗北 北極点をめぐる栄光と汚辱』(ヒュウ・イームズ、文化放送) 1975
- 『コンドルの六日間』(ジェームズ・グレイディ、新潮社) 1975
- 『ゴールド』(ウイルバー・スミス、立風書房) 1975
- 『バードは生きている チャーリー・パーカーの栄光と苦難』(ロス・ラッセル、草思社) 1975
- 『すねた娘』(E・S・ガードナー、創元推理文庫) 1976
- 『1979年の大破局』(ポール・アードマン、ごま書房) 1976
- 『キュラソー島から来た女』(J.ヴァン・デ・ウェテリンク、ごま書房) 1976
- 『黒後家蜘蛛の会』全5冊(アイザック・アシモフ、創元推理文庫) 1976 - 1990、のち改版 2018
- 『ビートルズ派手にやれ! 無名時代』(アラン・ウィリアムズ,ウィリアム・マーシャル、草思社) 1976
- 『ガードナー傑作集』(各務三郎編、番町書房、イフ・ノベルズ)1977
- 『ルイスとクラーク 北米大陸の横断』(デイヴィッド・ホロウェイ、草思社、大探検家シリーズ)1977
- 『カルロスを追え! テロ・インターナショナル』(デニス・アイゼンバーグ,エリ・ランダウ、角川書店) 1977
- 『正午から三時まで』(フランク・D・ギルロイ、徳間書店) 1977
- 『怯えた相続人』(E・S・ガードナー、創元推理文庫) 1977
- 『我輩はカモである』(ドナルド・E・ウエストレーク、角川書店) 1977、のちハヤカワ文庫
- 『恐怖のハイウェイ』(サンディ・フォークス、パシフィカ) 1978
- 『神の目の小さな塵』上・下(ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル、創元推理文庫) 1978
- 『獅子の怒り』(ジャック・ヒギンズ、パシフィカ) 1978、のち創元推理文庫
- 『聖者の行進』(アイザック・アシモフ、創元推理文庫) 1979
- 『ウィンブルドン』(ラッセル・ブラッドン、新潮社) 1979、のち新潮文庫、のち創元推理文庫
- 『雲の死角』(J・コルトレーン、文春文庫) 1979
- 『オイルクラッシュ』(ポール・アードマン、新潮文庫) 1979
- 『カエサレアのパピルス』(ウォーレン・キーファー、角川書店) 1979
- 『思考機械の事件簿 2』(ジャック・フットレル、創元推理文庫) 1979
- 『ガードナー 怪盗と接吻と女たち』(各務三郎編、講談社文庫) 1979
- 『死を招く配当』(ロバート・アプトン、文春文庫) 1980
- 『魔性の子』(ロジャー・ゼラズニイ、東京創元社) 1981、のち創元推理文庫
- 『オカルト趣味の娼婦』(J・ヴァン・デ・ウェテリンク、創元推理文庫) 1981
- 『アムステルダムの異邦人』(J・ヴァン・デ・ウェテリンク、創元推理文庫) 1981
- 『北アイルランドの襲撃者たち』(アンブローズ・クランシー、新潮社) 1981
- 『謀略結社マトリックス』(フランク・ロス、ハヤカワ文庫) 1982
- 『1985年の大逆転』(ポール・アードマン、講談社) 1982
- 『スパイよさらば』(ジャック・ウィンチェスター、文春文庫) 1982
- 『E.T.』(ウィリアム・コツウィンクル、新潮文庫) 1982
- 『追憶のブルックリン』(アーサー・キャヴァノー、角川書店) 1983
- 『亡霊たちの真昼』(ディクスン・カー、創元推理文庫) 1983
- 『アメリカ最期の日』(ポール・アードマン、講談社文庫) 1983
- 『黒海奇襲作戦』(ダグラス・リーマン、ハヤカワ文庫) 1984
- 『雲の峰鮭の川』(ブルース・ブラウン、新潮社) 1984
- 『ディーケンの戦い』(フリーマントル、新潮文庫) 1984
- 『テクノストレス』(クレイグ・ブロード、高見浩共訳、新潮社) 1984
- 『外道の市』(ロジャー・ゼラズニイ、創元推理文庫) 1985
- 『クリスマス12のミステリー』(アシモフ他編、新潮文庫) 1985
- 『誘拐者』(ウォーレン・キーファー、角川書店) 1985
- 『コンタクト』(カール・セーガン、高見浩共訳、新潮社) 1986、のち新潮文庫
- 『灯蛾の落ちる時』(ハロルド・アダムズ、創元推理文庫) 1987
- 『大道商人の死』(J・ヴァン・デ・ウェテリンク、創元推理文庫) 1987
- 『ある大家族の歴史 アメリカ市民の社会史』(ジョン・エジャートン、草思社) 1987
- 『象牙の塔の殺人』(アイザック・アシモフ、創元推理文庫) 1988
- 『赤い報酬』(ハロルド・アダムズ、創元推理文庫) 1988
- 『クリスマス13の戦慄』(I.アシモフ他編、新潮文庫) 1988
- 『ヴェール CIAの極秘戦略 1981 - 1987』(ボブ・ウッドワード、文藝春秋) 1988
- 『空白の記録 孤児救出作戦の真相を知った男』(フリーマントル、新潮文庫) 1988
- 『地底のエルドラド』(ウィルバー・スミス、創元推理文庫) 1988
- 『ユニオン・クラブ綺談』(アイザック・アシモフ、創元推理文庫) 1989
- 『スパイよさらば』(フリーマントル、新潮文庫) 1989
- 『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』(ロバート・フルガム、河出書房新社) 1990、のち河出文庫、新版2024
- 『アフガンの「百合」』(ジョン・クルーズ、光文社文庫) 1990
- 『クレムリン・キス』(フリーマントル、新潮文庫) 1990
- 『カッコウはコンピュータに卵を産む』上・下(クリフォード・ストール、草思社) 1991、のち草思社文庫
- 『ソヴィエト社会 衝撃の闇』(ヴィターリ・ヴィターリエフ、新潮社) 1991
- 『暗黒の塔』1・2 (スティーヴン・キング、角川書店) 1992 - 1996、のち角川文庫
- 『マイライフ』(アービン“マジック"ジョンソン / ウィリアム・ノヴァク、光文社) 1993
- 『凶弾』(ジェイムズ・グレイディ、新潮文庫) 1994
- 『ファイナル・アプローチ』(ジョン・J・ナンス、ハヤカワ文庫) 1995
- 『マツボックリが笑う日』(ダニエル・ブライヤン、翔泳社) 1998
- 『暗黒の河』(ジェイムズ・グレイディ、新潮文庫) 1998
- 『鳥たちが聞いている』(バリー・ロペス、神保睦共訳、角川書店) 1998
- 『義憤の終焉 ビル・クリントンと踏みにじられたアメリカの理念』(ウイリアム・J・ベネット、草思社) 1999
- 『閉鎖病棟』(パトリック・マグラア、河出書房新社) 1999
- 『どうして僕はこんなところに』(ブルース・チャトウィン、神保睦共訳、角川書店) 1999、のち角川文庫 2012
- 『鱈 世界を変えた魚の歴史』(マーク・カーランスキー、飛鳥新社) 1999
- 『旅を書く ベスト・トラベル・エッセイ』(監訳、河出書房新社) 2000
- 『アナム・カラ ケルトの知恵』(ジョン・オドノヒュウ、角川書店) 2000
- 『スティーヴン・キング小説作法』(アーティストハウス) 2001
- 『プロになるための文章術 なぜ没なのか』(ノア・リュークマン、河出書房新社) 2001
- 『父の道具箱』(ケニー・ケンプ、角川書店) 2002
- 『アバラット』1・2(クライヴ・バーカー、ソニー・マガジンズ) 2002 - 2004
- 『パイド・パイパー 自由への越境』(ネヴィル・シュート、創元推理文庫) 2002
- 『新・人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』(ロバート・フルガム、河出書房新社) 2004、のち河出文庫
- 『ガーネット傑作集』第1・3・4・5巻(デイヴィッド・ガーネット、河出書房新社) 2004 - 2005
- 『エデンの彼方 狩猟採集民・農耕民・人類の歴史』(ヒュー・ブロディ、草思社) 2004
- 『キーパー』(マル・ピート、評論社) 2006
- 『シイイイッ!』(ジーン・ウィリス、評論社、児童図書館・絵本の部屋)2006
- 『クリスマス・キャロル』(チャールズ・ディケンズ、光文社古典新訳文庫) 2006
- 『フェイスフル・スパイ』(アレックス・ベレンスン、小学館) 2007
- 『いったいぜんたい、どうしてこんなことをしてきたのだろうか。』(ロバート・フルガム、河出書房新社) 2008
- 『わらの犬 地球に君臨する人間』(ジョン・グレイ、みすず書房) 2009
- 『ザ・プロフェット』(カリール・ジブラーン、ポプラ社) 2009
- 『帝国の落日 パックス・ブリタニカ 完結篇』下(ジャン・モリス、椋田直子共訳、講談社) 2010:シリーズは全6巻で、他巻は椋田直子訳
- 『エステルハージ博士の事件簿』(アヴラム・デイヴィッドスン、河出書房新社) 2010、河出文庫、2024
- 『失われた地平線』(ジェイムズ・ヒルトン、河出文庫) 2011、のち新版 2020
- 「マークハイム」(ロバート・ルイス・スティーヴンスン、ポプラ社、『賭 百年文庫第36巻』) 2011
- 『タイム・マシン』(ハーバート・ジョージ・ウェルズ、光文社古典新訳文庫) 2012
- 『ヘンリー・ライクロフトの私記』(ジョージ・ギッシング、光文社古典新訳文庫) 2013
- 『ホーキング、自らを語る』(スティーヴン・ホーキング、佐藤勝彦監修、あすなろ書房) 2014
- 『二都物語』上・下(チャールズ・ディケンズ、光文社古典新訳文庫) 2016
「マフィアへの挑戦」シリーズ
[編集]- 『マフィアへの挑戦1 / 戦士起つ』
- 『マフィアへの挑戦2 / 抹殺部隊』
- 『マフィアへの挑戦3 / 仮面の復讐者』
- 『マフィアへの挑戦4 / 裏切りのコート・ダジュール』
- 『マフィアへの挑戦5 / サドの末裔』
- 『マフィアへの挑戦6 / 三人の女』
- 『マフィアへの挑戦7 / フォクシー・レディ』
- 『マフィアへの挑戦8 / 死を呼ぶカジノ』
- 『マフィアへの挑戦9 / カリブの回転木馬』
- 『マフィアへの挑戦10 / 逆説の街』
- 『マフィアへの挑戦11 / バレンチナ我が愛』
- 『マフィアへの挑戦12 / 黒い瞳のクラウディア』
- 『マフィアへの挑戦13 / 抹殺部隊ふたたび』
- 『マフィアへの挑戦14 / フィラデルフィア・パニック』
- 『マフィアへの挑戦15 / 月曜日:還ってきた戦士』
- 『マフィアへの挑戦16 / 火曜日:憂い顔の騎士』
- 『マフィアへの挑戦17 / 水曜日:謀略のシナリオ』
- 『マフィアへの挑戦18 / 木曜日:悪魔の要塞島』
- 『マフィアへの挑戦19 / 金曜日:禿鷲たちの饗宴』
- 『マフィアへの挑戦20 / 土曜日:戦士よさらば』
イブ・メルキオー作品
[編集]- 『人狼部隊』(イブ・メルキオー、角川書店) 1974
- 『スリーパー・エージェント』(イブ・メルキオー、角川書店) 1978
- 『ハイガーロッホ破壊指令』(イブ・メルキオー、角川書店) 1980
- 『<B-B枢軸>極秘ルート』(イブ・メルキオー、角川文庫) 1987
ハモンド・イネス作品
[編集]- 『怒りの山』(ハモンド・イネス、早川書房) 1972、のちハヤカワ文庫
- 『孤独なスキーヤー』(ハモンド・イネス、ハヤカワ文庫) 1973
- 『幻の金鉱』(ハモンド・イネス、早川書房) 1976
- 『北海の星』(ハモンド・イネス、ハヤカワ文庫) 1979
- 『キャプテン・クック最後の航海』(ハモンド・イネス、パシフィカ) 1979、のち創元推理文庫
- 『ソロモンの怒濤』(ハモンド・イネス、ハヤカワ文庫) 1983
- 『ベルリン空輸回廊』(ハモンド・イネス、徳間文庫) 1987
- 『黒い海流』(ハモンド・イネス、ハヤカワ文庫) 1988
- 『特命艦メデューサ』(ハモンド・イネス、ハヤカワ文庫) 1992
「巨人たちの星」シリーズ
[編集]- 『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン、創元推理文庫) 1980、各・改版 2023
- 『ガニメデの優しい巨人』(ジェイムズ・P・ホーガン、創元推理文庫) 1981
- 『巨人たちの星』(ジェイムズ・P・ホーガン、創元推理文庫) 1983
- 『内なる宇宙』上・下(ジェイムズ・P・ホーガン、東京創元社) 1993、創元推理文庫 1997
ピーター・メイル作品
[編集]- 『南仏プロヴァンスの12か月』(ピーター・メイル、河出書房新社) 1993、のち河出文庫
- 『ホテル・パスティス』(ピーター・メイル、河出書房新社) 1994、のち河出文庫
- 『南仏プロヴァンスの風景』(ピーター・メイル、河出書房新社) 1994
- 『愛犬ボーイの生活と意見』(ピーター・メイル、河出書房新社) 1995、のち河出文庫
- 『南仏のトリュフをめぐる大冒険』(ピーター・メイル、河出書房新社) 1997、のち河出文庫
- 『セザンヌを探せ』(ピーター・メイル、河出書房新社) 1998
- 『南仏プロヴァンスの昼下り』(ピーター・メイル、河出書房新社) 2000、のち河出文庫
- 『どうぞ、召しあがれ! フランスの食祭りの旅』(ピーター・メイル、河出書房新社) 2002
- 『南仏プロヴァンスの25年 あのころと今』(ピーター・メイル、河出書房新社) 2019
「ベイカー少年探偵団」シリーズ
[編集]- 『さらわれた千里眼』(アンソニー・リード、評論社) 2007
- 『消えた名探偵』(アンソニー・リード、評論社) 2007
- 『呪われたルビー』(アンソニー・リード、評論社) 2008
- 『ドラゴンを追え!』(アンソニー・リード、評論社) 2008
- 『盗まれた宝石』(アンソニー・リード、評論社) 2009
- 『地下牢の幽霊』(アンソニー・リード、評論社) 2009
批評
[編集]参考文献
[編集]- 日外アソシエーツ人物情報
脚注
[編集]- ^ “翻訳家の池央耿氏死去、83歳”. 時事通信. (2023年10月30日) 2023年10月30日閲覧。
- ^ “池 央耿”の紙の本一覧
- ^ 土屋京子・翻訳家(Club Willbe)