瀬田駅 (滋賀県)
瀬田駅 | |
---|---|
南口(2020年11月) | |
せた Seta | |
◄JR-A25 南草津 (2.7 km) (2.5 km) 石山 JR-A27► | |
所在地 | 滋賀県大津市大萱一丁目10-1 |
駅番号 | JR-A26 |
所属事業者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
所属路線 | ■東海道本線(琵琶湖線) |
キロ程 |
496.6 km(東京起点) 米原から50.7 km |
電報略号 | セタ |
駅構造 | 地上駅(橋上駅) |
ホーム | 2面4線 |
乗車人員 -統計年度- |
16,442人/日(降車客含まず) -2022年- |
開業年月日 | 1969年(昭和44年)8月12日[1][2] |
備考 |
瀬田駅(せたえき)は、滋賀県大津市大萱一丁目にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)東海道本線の駅である。駅番号はJR-A26。「琵琶湖線」の愛称区間に含まれている。
歴史
[編集]駅設置の経緯
[編集]現在の瀬田駅の区間の東海道本線が開通したのは1889年(明治22年)の東海道本線全通時であるが、当時は馬場駅(現在の膳所駅)から草津駅の間に停車場(駅)はなかった。1900年(明治33年)7月、栗太郡瀬田村(当時)は逓信大臣に対し、この馬場駅 - 草津駅間の停車場として南大萱(現在の瀬田駅とほぼ同位置)への停車場設置を請願した。しかしこの停車場設置の請願は採用されず、馬場駅 - 神戸駅間の複線化が完成した翌年の1903年(明治36年)に石山駅が先に開業することとなった。結局瀬田駅設置へと話が進むのは、それから半世紀近く後のこととなる。
瀬田駅設置へ向かうきっかけになったのは、東海道新幹線の建設であった[2]。東海道新幹線は瀬田町(当時)を通過するルートとなっており、1960年(昭和35年)に地元に対して立ち入り測量の了解を求めた。これに対して地元は、当時の平均国鉄駅間距離が4 kmに対し石山駅 - 草津駅間が7.7 kmであることなどから、測量協力の代償として瀬田駅開設を強く主張した[2]。この請願に加え、当時の東海道本線では輸送量の逼迫などから1966年(昭和41年)から瀬田川橋梁工事を始めとした京都駅 - 草津駅間の複々線化工事が行われていたことから、この工事と関連して行う形で瀬田駅が新設された[1]。この瀬田駅は請願駅のため、工事費1億1,800万円は地元の瀬田町(1967年の合併により大津市)が引き受けることとなり、企業からの寄付や滋賀県の補助・大津市の市債によって賄われた。また、駅新設に伴い、大津市による瀬田駅前の土地区画整理事業が瀬田駅が開業した1969年(昭和44年)から1977年(昭和52年)にかけて実施された[3]。
瀬田駅と駅前広場の敷地は萱野神社の境内地の一部であった。境内地は東海道本線の設置で二分され、さらに駅設置により鎮守の森は駅前広場となり消滅した[4]。
年表
[編集]- 1969年(昭和44年)8月12日:東海道本線の草津駅 - 京都駅間の複々線化に先駆け、日本国有鉄道(国鉄)の駅として、草津駅 - 石山駅間に新設開業[1][2]。旅客営業のみ。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道(JR西日本)の駅となる。
- 1988年(昭和63年)3月13日:路線愛称の制定により、「琵琶湖線」の愛称を使用開始。
- 1998年(平成10年)3月7日:自動改札機を設置し、供用開始[5]。
- 2002年(平成14年)7月29日:JR京都・神戸線運行管理システム導入[6]。
- 2003年(平成15年)
- 2007年(平成19年)3月18日:駅自動放送を更新。
- 2015年(平成27年)3月12日:入線警告音の見直しに伴い、接近メロディ導入[8]。
- 2017年(平成29年)7月26日:当駅付近で架線が断線する事故が発生[9][10]。
- 2018年(平成30年)3月17日:駅ナンバリングが導入され、使用を開始する。
- 2020年(令和2年)
- 6月26日:みどりの窓口の営業を終了[11]。
- 6月27日:みどりの券売機プラスを導入[11]。
- 12月1日:株式会社JR西日本交通サービスによる業務委託駅となる。
駅構造
[編集]島式ホーム2面4線[12][13]を持つ地上駅で、橋上駅舎を有している[2]。ホーム有効長は12両編成である。当駅は分岐器や絶対信号機を持たないため、停留所に分類される。
株式会社JR西日本交通サービスによる業務委託駅で、大津駅が当駅を管理している。ICOCA利用可能駅(相互利用可能ICカードはICOCAの項を参照)。
のりば
[編集]のりば | 路線 | 方向 | 線路 | 行先 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 琵琶湖線 | 下り | 外側線 | 京都・大阪方面[14] | 一部の列車のみ |
2 | 内側線 | ||||
3 | 上り | 草津・米原方面[14] | |||
4 | 外側線 | 平常時は 草津線直通(貴生川方面)のみ |
- 上表の路線名は旅客案内上の名称(愛称)で記載している。
- 付記事項
- 普通列車のみ停車し、基本的に2番のりばと3番のりばを使用している。なお、草津線直通列車は下りの一部を除いて外側線を走るため、1番・4番のりばを使用する。
- 内側線・外側線ともに通過列車が存在する[注釈 1][15]。2019年(令和元年)度から外側線に停車する列車がない時間帯はロープが張られて閉鎖される[16]。
-
改札口(2022年12月)
-
切符売り場(2022年12月)
-
ホーム(2022年12月)
ダイヤ
[編集]日中時間帯は普通(大阪方面行きは高槻駅から快速)が1時間に4本停車する。朝夕のラッシュ時は草津線へ直通する普通も運行されるため、本数がやや多くなる(夕方はラッシュ前から草津線に直通する列車の設定がある)。
利用状況
[編集]「滋賀県統計書」によると、近年の1日平均乗車人員推移は下表のとおりである。
なお、2022年度の1日平均乗車人員は16,442人であった[統計 1]。滋賀県内では草津駅、南草津駅、石山駅に次いで第4位。琵琶湖線内の新快速が通過する駅では第1位で、停車駅である米原駅、彦根駅、能登川駅、野洲駅、守山駅、大津駅よりも多く、近江八幡駅とは同程度である[統計 1]。
年度 | 1日平均 乗車人員 |
出典 |
---|---|---|
1992年(平成 | 4年)17,719 | [統計 2] |
1993年(平成 | 5年)18,207 | [統計 3] |
1994年(平成 | 6年)17,323 | [統計 4] |
1995年(平成 | 7年)16,013 | [統計 5] |
1996年(平成 | 8年)16,594 | [統計 6] |
1997年(平成 | 9年)16,539 | [統計 7] |
1998年(平成10年) | 16,599 | [統計 8] |
1999年(平成11年) | 16,214 | [統計 9] |
2000年(平成12年) | 16,216 | [統計 10] |
2001年(平成13年) | 16,183 | [統計 11] |
2002年(平成14年) | 15,909 | [統計 12] |
2003年(平成15年) | 16,254 | [統計 13] |
2004年(平成16年) | 16,598 | [統計 14] |
2005年(平成17年) | 16,646 | [統計 15] |
2006年(平成18年) | 17,148 | [統計 16] |
2007年(平成19年) | 17,279 | [統計 17] |
2008年(平成20年) | 17,484 | [統計 18] |
2009年(平成21年) | 17,011 | [統計 19] |
2010年(平成22年) | 16,970 | [統計 20] |
2011年(平成23年) | 17,052 | [統計 21] |
2012年(平成24年) | 17,240 | [統計 22] |
2013年(平成25年) | 17,757 | [統計 23] |
2014年(平成26年) | 17,424 | [統計 24] |
2015年(平成27年) | 17,296 | [統計 25] |
2016年(平成28年) | 17,430 | [統計 26] |
2017年(平成29年) | 17,867 | [統計 27] |
2018年(平成30年) | 17,987 | [統計 28] |
2019年(令和元年) | 18,224 | [統計 29] |
2020年(令和 | 2年)13,446 | [統計 30] |
2021年(令和 | 3年)15,020 | [統計 31] |
2022年(令和 | 4年)16,442 | [統計 1] |
駅周辺
[編集]表玄関として機能しているのは南口。北口は神社が正面にあり、付近は細い路地が入り組んでいる。ちなみに、駅南口から龍谷大学瀬田キャンパス(瀬田学舎)へ延びる道路には「学園通り」という愛称があり[17]、その道路沿いにフォレオ大津一里山があるが、同商業施設は駅からやや離れた所にある。
北口
[編集]- 萱野神社
- 西浦神社
- 常楽寺 - ひかりこども園(大萱)に隣接。
- 萬福寺
- 織部遺跡
- 大津市瀬田北市民センター
- 大津市立瀬田北中学校
- 大津市立瀬田北小学校
- 大津市立瀬田北幼稚園
- ひかりこども園(大萱)
- 大将軍ひかりこども園
- 東レ瀬田工場
- 浜源醤油店[18] - 醤油醸造所
- 滋賀県道26号大津守山近江八幡線(浜街道)
南口
[編集]バス路線
[編集]駅南口にバスターミナルがあり、帝産湖南交通と近江鉄道バスの路線バスが乗り入れる[19]。
瀬田駅 | |||
---|---|---|---|
乗り場 | 運行事業者 | 系統または路線名・行先 | 備考 |
1 | 帝産湖南交通 | 301・311:大学病院 | |
2 | 近江鉄道バス |
| |
3 | 帝産湖南交通 |
| |
瀬田駅前龍谷大学直行乗場 | |||
龍大直行 | 帝産湖南交通 | 211:[直行]龍谷大学 | 平日朝の一部のみ(休校日は運休) |
- 注記
- 平日の朝に運行する211系統(帝産湖南交通)の一部便は、乗り場を「瀬田駅前龍谷大学直行乗場」[注釈 2]に変更するが、休校日ダイヤとなる日は同乗り場を発車するバスの運行が設定されない。
その他
[編集]- 乗車券には、熊本県の瀬田駅(JR九州豊肥本線)との混同を避けるため、「(東)瀬田」と表示される。
- 当駅はBリーグに所属する滋賀レイクスターズのメイン会場(本拠地)となる滋賀アリーナ(愛称・滋賀ダイハツアリーナ)の最寄り駅でもあるため[22]、駅南口には滋賀レイクスターズの選手らが写った壁面看板などの装飾が2022年12月に施された[23][24]。なお、この装飾の数は合計で17ヵ所である[23]。
隣の駅
[編集]脚注
[編集]記事本文
[編集]注釈
[編集]- ^ 客車を用いて運行した草津線直通列車は当駅だけ通過していたが、1989年3月11日のダイヤ改正で電車化されたため、現在はすべての草津線直通列車が停車する。
- ^ 当駅から直進し、瀬田駅口交差点で右折(国道1号:大津・京都方面)した所にある臨時乗り場。
出典
[編集]- ^ a b c 大津市 1999, p. 152.
- ^ a b c d e 川島 2009, p. 41.
- ^ 大津市 1999, p. 176.
- ^ “萱野神社”. 滋賀県神社庁. 2024年2月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月9日閲覧。
- ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '98年版』ジェー・アール・アール、1998年7月1日、186頁。ISBN 4-88283-119-8。
- ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '03年版』ジェー・アール・アール、2003年7月1日、189頁。ISBN 4-88283-124-4。
- ^ 「ICOCA」いよいよデビュー! ~ 平成15年11月1日(土)よりサービス開始いたします ~(インターネットアーカイブ) - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2003年8月30日
- ^ 琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線・大阪環状線の駅のホームで使用している「入線警告音」の音質を見直します
- ^ 「架線切れ、運転見合わせ 山科-米原間」『毎日新聞』2017年7月26日。オリジナルの2021年10月18日時点におけるアーカイブ。2024年9月28日閲覧。
- ^ “琵琶湖線(東海道線) 瀬田〜石山駅間で発生した架線切断事象について”. ニュースリリース. 西日本旅客鉄道 (2017年7月27日). 2021年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年9月28日閲覧。
- ^ a b “瀬田駅 駅情報:JRおでかけネット”. 西日本旅客鉄道. 2020年6月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月20日閲覧。
- ^ 川島 2009, p. 13.
- ^ 双葉社 2021, p. 12.
- ^ a b “瀬田駅|構内図:JRおでかけネット”. 西日本旅客鉄道. 2023年1月1日閲覧。
- ^ 双葉社 2021, p. 17.
- ^ 堤冬樹「滋賀県のJR駅ホームに張られた「謎のロープ」 なぜ、なんのために?判明した意外な理由」『京都新聞』2024年2月16日。オリジナルの2024年2月16日時点におけるアーカイブ。2024年2月16日閲覧。
- ^ “瀬田駅周辺情報”. 大松商事. 2024年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年9月27日閲覧。
- ^ リクオ: “美味しい卵かけご飯が作れるヤマダイ醤油【浜源醤油店】瀬田”. リビング滋賀. 地域特派員コラム. 滋賀リビング新聞社 (2019年12月27日). 2022年5月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月10日閲覧。
- ^ “瀬田駅 | 接続交通機関:JRおでかけネット”. 西日本旅客鉄道. 2022年4月8日閲覧。
- ^ a b “帝産バス時刻表(2023年5月8日ダイヤ 瀬田駅1番のりば・PDF)” (PDF). 帝産湖南交通. 2023年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月11日閲覧。
- ^ “主要駅における乗り場のご案内について(瀬田駅)”. 近江鉄道バス. 2023年6月11日閲覧。
- ^ “滋賀アリーナ(愛称・滋賀ダイハツアリーナ) アクセス”. ミズノ. 2023年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月23日閲覧。
- ^ a b “新アリーナ〝玄関口〟JR瀬田駅前をレイクスホームにドレスアップ”. 滋賀レイクス. 滋賀レイクスターズ (2022年12月1日). 2023年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月23日閲覧。
- ^ 「レイクスカラーの巨大看板ド〜ン JR瀬田駅に設置」『中日新聞』2022年12月3日。オリジナルの2024年7月26日時点におけるアーカイブ。2024年7月23日閲覧。
利用状況
[編集]- ^ a b c 令和4年滋賀県統計書 (PDF)
- ^ 第12章運輸・通信 138.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成4年度)、滋賀県ホームページ、2014年5月5日閲覧
- ^ 第12章運輸・通信 136.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成5年度)、滋賀県ホームページ、2014年5月5日閲覧
- ^ 第12章運輸・通信 135.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成6年度)、滋賀県ホームページ、2014年5月5日閲覧
- ^ 第12章運輸・通信 134.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成7年度)、滋賀県ホームページ、2014年5月5日閲覧
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- ^ 第12章運輸・通信 127.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成19年度)、滋賀県ホームページ、2014年5月5日閲覧
- ^ 第12章運輸・通信 129.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成20年度)、滋賀県ホームページ、2014年5月5日閲覧
- ^ 第12章運輸・通信 129.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成21年度)、滋賀県ホームページ、2014年5月5日閲覧
- ^ 第12章運輸・通信 129.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成22年度)、滋賀県ホームページ、2014年5月5日閲覧
- ^ 第12章運輸・通信 129.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成23年度)、滋賀県ホームページ、2014年5月5日閲覧
- ^ 第12章運輸・通信 128.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成24年度)、滋賀県ホームページ、2014年5月5日閲覧
- ^ 平成25年滋賀県統計書
- ^ 平成26年滋賀県統計書
- ^ 第12章運輸・通信 128.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成27年度)、滋賀県ホームページ、2017年3月14日閲覧
- ^ 第12章運輸・通信 128.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成28年度)、滋賀県ホームページ、2018年3月23日閲覧
- ^ 第12章運輸・通信 128.JR運輸状況、滋賀県統計書(平成29年度)、滋賀県ホームページ、2019年3月22日閲覧
- ^ 平成30年滋賀県統計書 (PDF)
- ^ 令和元年滋賀県統計書 (PDF)
- ^ 令和2年滋賀県統計書 (PDF)
- ^ 令和3年滋賀県統計書 (PDF)
参考文献
[編集]- 『図説 大津の歴史 下巻』大津市、1999年10月1日。
- 川島令三『【図説】日本の鉄道東海道ライン全線・全駅・全配線 第6巻 米原駅 - 大阪エリア』講談社、2009年8月20日。ISBN 978-4-06-270016-0。
- 『2021年 - 2022年版 都市鉄道完全ガイド 関西JR編』双葉社、2021年6月22日。ISBN 978-4-575-45881-7。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 瀬田駅|駅情報:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道