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狂歌百物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『狂歌百物語』より「豆腐小僧

狂歌百物語』(きょうかひゃくものがたり)は、1853年嘉永6年)に刊行された日本狂歌絵本。妖怪をテーマとした狂歌に妖怪画の挿絵を添えて構成されたもので、編纂は天明老人、挿絵は竜閑斎(竜斎閑人正澄)による[1][2]

概要

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狂歌は天明時代に隆盛を極め、狂歌に彩色版の挿絵を添えた狂歌絵本が多数刊行された。妖怪もまた狂歌の題材として楽しまれており、狂歌師として名高い大田南畝を中心として、百物語怪談会の手法を真似、計百種類の妖怪について狂歌を詠むという催しが行われていたが、それを再び行うという意図のもとに狂歌を募集し、その中でも優秀な歌のみ編纂したものが本書である[3][4]

全96体の妖怪をテーマとした狂歌を、各妖怪ごとに分類・収集し、それぞれに彩色版の妖怪画を添えて収録しており、妖怪図鑑というべき性格も帯びている[5]。本書における妖怪は、狂歌の題材として滑稽な存在、諧謔な存在として扱われており、かつて怪談の主人公として恐怖・畏怖の対象であった妖怪が、江戸中期にかけては娯楽的なキャラクターへと変化していったことが見て取れる[2][4]

小泉八雲も本書を所有しており、この中から気に入った狂歌48首を英訳して『ゴブリン・ポエトリー』の題で発表している。この草稿には後に八雲自身による妖怪画を添え、『妖魔詩話』の題で複製出版された[2]

脚注

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  1. ^ 森末義彰他国書総目録』 第2巻、岩波書店、1964年、498頁。 NCID BN00399062 
  2. ^ a b c 京極他 2008, pp. 272–274
  3. ^ 京極夏彦他 著、兵庫県立歴史博物館京都国際マンガミュージアム 編『図説 妖怪画の系譜』河出書房新社〈ふくろうの本〉、2009年、62頁。ISBN 978-4-309-76125-1 
  4. ^ a b 湯本 2003, pp. 79–83
  5. ^ 京極他 2008, pp. 5–15.

参考文献

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