現代貨幣理論
経済学 |
---|
理論 |
ミクロ経済学 マクロ経済学 数理経済学 |
実証 |
計量経済学 実験経済学 経済史 |
応用 |
公共 医療 環境 天然資源 農業 開発 国際 都市 空間 地域 地理 労働 教育 人口 人事 産業 法 文化 金融 行動 |
一覧 |
経済学者 学術雑誌 重要書籍 カテゴリ 索引 概要 |
経済 |
カテゴリ |
現代貨幣理論(げんだいかへいりろん、英語: Modern Monetary Theory, Modern Money Theory、略称:MMT[1])とは、ケインズ経済学・ポスト・ケインズ派経済学の流れを汲む理論の一つである[2][3][4][5]。
変動相場制で自国通貨を有している国家の政府は通貨発行で支出可能なため、税収や自国通貨建ての政府債務ではなく、インフレーションを尊重した供給制約に基づく財政規律が必要であるという主張をしている[6]。MMTはその名の通り現代の貨幣についての理論が支柱となっている。管理通貨制度に伴う政府の通貨発行権に焦点を当て、政府が法定通貨での納税義務を家計や企業に課すことによって、法定通貨に納税手段として基盤的な価値が付与されて流通するという表券主義が基軸である[7]。
さらに主権通貨国の財政政策について、完全雇用の達成・格差の是正・適正な物価上昇率の維持等、財政の均衡ではなく経済の均衡[* 1]を目的として実行すべきであると主張している。そしてインフレーションの抑制は、ビルト・イン・スタビライザーを中心に、政府の支出抑制および増税で対処できるとしている[8]。
MMTは新古典派経済学の枠組みで構築されている主流派経済学と対立しているため、政策的効果やリスクについては論争となっており、活発な議論がなされている[9]。
概要
[編集]MMTの特に大きな特徴は、貨幣の起源や制度に焦点を当て、管理通貨制度の下で政府が独自に法定通貨を発行している国家を前提としている点である。
政府に通貨発行権があれば、通貨発行で支出ができる。政府が通貨発行で支出できるのだから、政府が自国通貨財源の不足や枯渇に直面することはありえない。さらに財源のために徴税が必要という理屈も成立しない。MMTは税の役割を財源として捉えておらず、これは主流派経済学の見方に挑戦するものである[10][11][9]。MMTにおける税の役割は、法定通貨による納税義務を国民や企業に課すことで、法定通貨の基盤的な通用力と流動性を確保し、さらに経済や富の分配の調整弁としてインフレや格差を調整する手段である[12]。つまり税の役割は財源調達の手段ではなく、通貨の徴収と消却を通じたマクロ経済政策の一つである。
また自国通貨建てであれば、政府債務がどれだけ増加しても、政府は通貨発行で当該債務の償還が可能なため債務不履行(デフォルト)には陥らない。この構造によって政府債務の償還能力に対する市場の信認も磐石なため、政府債務の拡大が信用リスクの拡大や通貨の信認の失墜につながることもない。したがって、通貨発行で支出できる政府は、自国通貨建て財政収支の均衡や黒字を政策目標にしたり、支出の際の財源を問題にする必要がない。政府は税収や債務残高に制約されずに、通貨発行を使った財政拡大や減税が可能である。
一方、自国通貨建てである限り、政府支出が税収や債務残高に制約されないからといって、政府が財政規律なく財政政策をすることや無税国家が可能になるわけではない。政府が国民経済における財やサービスの供給能力を無視して、通貨発行権を使った野放図な積極財政を行えば、供給に対して需要が無秩序に拡大し、インフレが加速していく。財政規律の基準は国民経済の有効需要に対する供給能力である。政府が財政支出の拡大や減税が可能なのは、需要と供給のバランスが適切に保たれインフレ率が高まりすぎない範囲であるというのが、MMTの理屈である[13]。インフレ率が低い状況であるほど積極財政の余地は大きくなり、インフレ率が高まるほど積極財政の余地は狭まる。したがって、主権通貨国における適切な財政は、常に税収や政府債務の大きさではなく、足元の国民経済の状態で決まる。
MMTは、自国通貨を発行することができる政府について主に以下のように説明する。
- 徴税や国債の発行による財源を確保する必要なしに、支出することができる。
- 自国通貨建ての債務で債務不履行を強制されることはない。
- 経済の実物的な資源(労働、資本、資源)の利用が限界に達した場合に発生する、インフレ率の上昇が財政の制約である。
- 徴税で貨幣を経済から取り除くことで、ディマンドプルインフレーションの抑制が可能である(ただし、それを実行する政治的意思が常にあるとは限らない)。
- 国債の発行が民間部門の資金を締め出すことはない(クラウディングアウトは起こらない)。
上記の見解のうち、信用創造とインフレの動きにおいて主流派経済学と対立しているわけではない。例えば、連邦準備制度(FRB)第13代議長アラン・グリーンスパンは、「アメリカ合衆国はいかなる負債も支出することができる。なぜなら我々は常に通貨を発行することができるからだ。従って、デフォルトになる確率はゼロだ。」と述べている[14]。しかし、MMT論者は金利の影響力に関して主流派経済学の見方には同意しない[15][16][17][18][19]。
MMTの理論的バックグラウンドは次の5つにまとめられる[20]。
- 最近の貨幣史研究を踏まえつつ、貨幣を国家の創造物と捉える表券主義の立場を取る。
- 主流派のマクロ経済学が金融政策を重視する傾向にあるのに対し、MMTはケインジアンの原点にたちかえり、財政政策の有効性を再評価する。
- 財政政策の方針としては(1940年代にアバ・ラーナーが提唱した)機能的財政アプローチを引き継ぐ。
- インフレなき完全雇用を実現する政策手段として、「就労保証プログラム(JGP)」の導入を提唱する。
- 政策目標としては、雇用と物価の安定だけでなく、(ハイマン・ミンスキーの金融不安定化仮説を踏まえて)金融の安定化も重要だと考える。
また、MMTは以下のような事実解釈に基づいている[21]。
- 政府の支出は租税収入によって賄われているのではない。政府の支出に租税収入は必要でない。それどころか、政府が先に貨幣を創造しなければ、誰も租税を支払えない。
- 政府は貨幣を創造できるのだから、支出を行う際にそもそも借入などする必要がない。したがって、国債は財源調達ではなく金利調整手段である。
- 貯蓄が政府の赤字をファイナンスするのではない。政府の赤字が貯蓄を創造するのである。
- 政府は、自国通貨建てで売られているものなら何でも購入する「支出能力」がある。
- 銀行は、集めた預金、金庫の中の現金、あるいは中央銀行に保有している準備預金を元手に貸出を行っているのではない。それどころか、貸出が預金を創造するのである。
これまでの主流な経済理論では、「政府の財政赤字が累積して政府債務が増大していけば、通貨の信認が失墜することによる通貨暴落や、クラウディングアウトと国債の信用リスク増大による金利上昇が発生し、それに伴う高インフレを招く」という見解が主流だった。そのため「国債発行の増大や政府債務の拡大は望ましくなく、基本的に税収の範囲で支出を行うべきだ」という均衡財政が主張されてきた。他方、MMTではこれを「法定通貨の発行権がない家計の制約と法定通貨を発行している国家の財政制約を混同している」と批判し、「財政赤字・政府債務の拡大が自国通貨建てである限り、主流派経済学者が主張する信用リスクや通貨の信認の問題は発生せず、有効需要が増大した場合にインフレ圧力がかかるのみ」という論拠で「政府は足元の国民経済を健全にするための財政運営に専念すべきで、財政赤字や政府債務の増大をまったく懸念する必要はない」と主張している[22]。
MMT論者が主張する政府債務とインフレ率の関係については、MMTが登場する以前にも類似する主張は見られた。ジョン・F・ケネディ大統領の下で大統領経済諮問委員会委員を務めたジェームズ・トービンは回顧録の中で、ケネディに政府債務の大きさについて経済的な上限を問われた際に「唯一の制約はインフレである」と返答し、ケネディもそれに同意したと記している[23][24]。
理論
[編集]MMTでは不換貨幣を通貨単位として用いることによる過程と結果とを特に分析した理論となっている。ここでいう不換貨幣とは、例えば政府発行紙幣が挙げられる。すなわち、「貨幣的主権を持つ政府は貨幣の独占的な供給者であり、物理的な形であれ非物理的な形であれ任意の貨幣単位で貨幣の発行を行うことができる。そのため政府は将来の支払いに対して制限的な支払い能力を有しており、さらに非制限的に他部門に資金を提供する能力を持っている。そのため、政府の債務超過による破綻は起こりえない。換言すれば、政府は常に支払うことが可能なのである」とする[25]。
MMTは政府によって作られた不換貨幣が自国通貨として使われているような近代経済を扱う。国家が主権を有する貨幣システムにおいては、中央銀行は通貨を発行することができるが、貨幣発行のような水平的な取引は資産と負債とで相殺されるためネットの金融資産を増やすわけではない。政府のバランスシートにおいてあらゆる政府発行の貨幣性商品は資産として計上されない。政府自らは貨幣を所有しないのである。あらゆる政府発行の貨幣性商品は負債として計上される。政府支出によりこのような貨幣性商品は作られ、課税・国債発行によりこのような貨幣性商品は消えていく[25] 。
赤字支出に加えて、株価の上昇などによる評価効果もネットの金融資産を増加させうる。MMTではVertical moneyは政府支出を通じて還流の過程に入るとする。法定不換貨幣に課税することは「強制力を持つ民間の納税義務」という形で貨幣そのものに対する総需要を創出し、法定不換貨幣の流通を促す。加えて、罰金、各種料金、ライセンスも貨幣への需要を創出する。[26][27]。政府は政府自身の意志に基づいて(独自)通貨を発行することができるため、MMTは政府支出(政府の赤字支出もしくは黒字予算)に関連する課税水準は政府が政府活動の資金を集めるための手段ではなく、実際には政策手段であり、これに「公的な雇用提供プログラム(Job guarantee program)」など他の様々な政策をあわせることによりインフレーションを調整し、非自発的失業をなくすことができると主張する。
経済理論史におけるMMT:表券主義理論として
[編集]MMTに影響を与えた先行理論には、ゲオルク・フリードリヒ・クナップの表券主義、アルフレッド・ミッチェル=イネスの信用貨幣論、ラーナーの機能的財政論、ミンスキーの銀行システム論(金融不安定性論)[28]、ウェイン・ゴドリー (Wynne Godley) の部門バランス論 (Sectoral balances) などがあり、MMTはこうしたアプローチを統合した理論である[17]。
表券主義 (chartalism) は、貨幣の本質を国家による貨幣の制定と見なす学説であり、国家貨幣説とも呼ばれ[29]、クナップによって提唱された。クナップは『貨幣国定説』(1905年) で、貨幣はコモディティ(実物貨幣)というよりも法による創造物であると論じた[30][* 2]。クナップによれば、当時の金本位制とは、通貨単位の価値がその通貨が含むまたは交換される貴金属の量に依存する考え方であるとして、これを金属主義と呼んだ。これに対してクナップは、国家は純粋な紙幣を創造することができ、国家による貨幣が公共支出機関によって受け入れられているという限りにおいて、紙幣を法定通貨と認識することで商品と交換可能にすることができるとするとする表券主義を論じた[30]。経済における国家の役割に関するクナップの思想は、ケインズおよびケインジアンに影響を与えた[32][* 3]。L.ランダル・レイやマシュー・フォースター(Mathew Forstater)らMMTを主張する経済学者は、クナップの他に、アダム・スミス、ジャン=バティスト・セイ、J.S.ミル、カール・マルクス、ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズなど初期の古典派経済学における課税主導の紙としての通貨という表券主義的な観方をさらに一般化したとも主張する[32][34]。
レイ以外のMMTを主張する経済学者、ウォーレン・モズラー (Warren Mosler), ステファニー・ケルトン、ビル・ミッチェル[* 4]、MMTの数学的フレームワークを行ったパブリナ・R・チェネーバ (Pavlina R. Tcherneva) [* 5]らも信用創造(Money Creation)の仕組みの研究をすすめ、こうしてMMTによって表券主義思想が復興し、レイはこれを新表券主義 (Neo-Chartalism)と称した[36]。
MMTに大きな影響を与えた別の理論としては、アルフレッド・ミッチェル=イネスの信用貨幣論がある。ミッチェル=イネスは、貨幣は交換の媒介としてではなく、政府による課税を通じた繰延支払の基準 (standard of deferred payment) として存在しているとし、政府の資金は課税によって回収できる負債であると論じた[37][* 6]
このほか、MMTに影響を与えた経済学者としては、貨幣価値が金と密接に関連しているという考えを放棄すべきだとした上でインフレやデフレ対策を回避してきた責任は貨幣を発行したり課税する能力のある国家にあると主張したラーナー[38]、金融不安定性仮説を提唱して信用創造を表券主義的に理解したミンスキーなどがいる[28]。
MMTおよび表券主義的思想を支持ないしそれに近い研究をしている研究者には、銀行と金融システムの詳細なテクニカル分析を行ったスコット・フルワイラー[39]、ジョン・ケネス・ガルブレイスの息子ジェームズ・ケネス・ガルブレイス[* 7]、銀行貨幣と国家貨幣との違いを一覧表にしたバジル・ムーア[41]、スティーブン・ヘイル[42][43]、著書『フリーマネー』で表券主義のエッセンスを平易に説明したロジャー・マルコム・ミッチェルなどがいる[44]。
2019年2月には、ビル・ミッチェル、ランダル・レイ、マーティン・ワッツらによる初のMMTをベースとした経済学の教科書『マクロ経済学』が出版された[45][9]。
貨幣循環理論とMMT
[編集]ポスト・ケインズ派経済学において、ランダル・レイのように表券主義を称するMMT支持者は、表券主義が貨幣循環理論(Monetary circuit theory)に代わるまたはそれを補足する理論とする一方で、両理論とも内生的貨幣供給論(endogenous money)としての体勢をとっているとする。すなわち、貨幣は、金のように経済外部からではなく、財政支出や銀行融資などによって経済内部において創造されるとする。このような補足的な見方からは、循環理論が(民間と民間の)水平的な相互作用のモデルであるのに対して、表券主義は(政府から民間への、またはその逆の)垂直の相互作用を説明する理論とされる[46][47]。
ポスト・ケインズ派経済学
[編集]一般均衡を前提とし、第二次世界大戦後に主流となったケインジアンや、新古典派のミクロ経済学の理論を基礎にし、1980年代に登場して主流派経済学として認知されたニュー・ケインジアンとは異なり、ケインズの貨幣概念(信用貨幣論)に従い、不確実性を問題の中心に据えて経済を論じてきたポスト・ケインズ派経済学は、独特の理論的発展が進められてきた。
- 民間金融資産は、国債発行の制約とはならない。財政赤字はそれと同額の民間貯蓄を生み出す。
- 政府は、自国通貨発行権を有するので、自国通貨建て国債が返済不能になることは、理論上あり得ないし、歴史上も例がない。政府は、企業や家計とは異なる。
- 財政赤字の大きさ(対GDP比政府債務残高)などは、財政危機とは無関係である。
- 財政赤字の大小を判断するための基準は、インフレ率である。インフレが過剰になれば、財政赤字は縮小する必要がある。デフレであるということは、平成日本の財政赤字は少なすぎるということ。
- 税は、財源確保の手段ではない。税は、物価調整や所得再分配など、経済全体を調整するための手段である、
ポスト・ケインズ派経済学の中には、金融不安定性仮説を提唱したハイマン・ミンスキーやその弟子のL・ランダル・レイも含まれる。レイは、国定信用貨幣論を基礎に、ケインズのマクロ経済学とラーナーの機能的財政論を統合し、MMTを提唱した。
税の役割
[編集]MMTでは、自国通貨による課税が自国通貨の特権的な需要を生み出すという意味で「税が通貨を駆動する」と主張している[49]。一般的に税は政府支出の財源のためにあると信じられているが、通貨発行権を有する政府は財源のための租税を必要としない。それどころか論理は逆になり、納税者が税を支払うためには政府が財政政策で実体経済に通貨を供給し、納税者が当該通貨を稼がなければならない。政府が最初に支出し、税の支払いが後になるのが論理的な順序である[50]。したがって、税の役割は財源ではなく、政府が経済に供給した通貨の一部を回収して経済バランスを調整する手段であり、徴収した税はその時点で役割が終了していることになる。
ランダル・レイは税の役割として以下の4つを挙げている。
MMTは通貨発行による支出に焦点を当てているため、しばしば「無税国家が可能になるのではないか」という疑問をぶつけられる。しかし仮に無税国家を実現しようとした場合には、税による上記の機能が失われるため、MMTは無税国家を肯定していない。
国際経済と政府
[編集]MMT論者は国債の保有者が外国の主体か否かに関わらず、自国通貨建ての国債である限り、政府が財政破綻することはありえないと主張する。これは政府に自国通貨の発行権があるためである(ただし、国債保有者が国債を売って通貨売りを大規模に行うことで為替レートに影響を与える可能性はある)[51]。
MMT論者が財政リスクにおいて主流派経済学の見解に同意する点は、国債が外貨建てである場合である。政府には外貨の発行権がないため、外貨建て債務が過大になった場合は債務返済の財源である外貨が不足して、債務の持続性が損なわれる。もし外貨建ての国債が大きく増加して、債務の持続可能性に対する市場の信認が揺らぐことで、国債金利の上昇が進んだり自国通貨の為替レートが下落すれば、国債の返済負担が高まる。それがさらなる通貨安と国債金利の上昇を誘発し、国債の返済負担が悪循環のスパイラルで増加すると共に、輸入物価の高騰が原因のインフレーションが発生し経済が破壊される。その場合、政府は輸入抑制や輸出拡大の戦略にシフトして、経常収支の赤字縮小や黒字拡大を図る共に、自国通貨の需要を高めるために金利を引き上げて為替レートの下落を防ぎ、外貨獲得能力を高める必要が生じる。それでも債務返済の財源である外貨を十分に獲得できなければ、デフォルトに陥ることになる。
日本での議論
[編集]日本国内の政財界や学術界、大手メディアなどは、MMTの認知が日本で広がりを見せた現在でも、おおむね財政再建・財政健全化のためにプライマリーバランスを均衡させることや円建て国債の残高を削減することが必要であると主張している。また、MMTを紹介・批評する場合でもMMTに対して否定的な論調であることが多い[52][53][54][55][56][57][58][59]。
MMTは中長期的な財政赤字の拡大を容認し、政府の円建て債務がどれだけ増大しても信用リスクによる経済財政の悪化はありえず、財政支出(通貨発行)と徴税の調整による総需要管理を行えば問題がないとするものである。これは、財政赤字や政府債務残高の拡大を不健全と見なし、歳出抑制や増税等の緊縮財政政策を通じて、いわゆる「国の借金」を削減したり財政収支を均衡化あるいは黒字化することが必要であるとする、国内の通俗的な一般常識や政府方針と決定的に対立する[60][61][62]。また支出の拡大を伴う政策について、政府支出が税収に制約されるという前提での、増税や予算の付け替えなど財源論の議論や論難が無意味だったり不要であることを示すものである。
このように、MMTはこれまでの経済財政運営の考え方の軸であった、円建て政府債務の増大が将来の国家財政を圧迫するという通説や、均衡財政や財政黒字の状態をあるべき姿としている財政の常識を根本から覆し、全否定する内容である。そのため、MMTが経済論壇で大きな波紋を呼び、メディアや国会等で頻繁に取り上げられることで、MMT支持派と不支持派による批判合戦のような状況が展開されている[63]。
自民党の安藤裕 (政治家)前衆議院議員が中心となって立ち上げた自民党の議員連盟である「日本の未来を考える勉強会」が、中野剛志、藤井聡、三橋貴明、青木泰樹、森永康平等、MMTを支持、若しくは、MMTと考えの近い、有識者を講師とした勉強会を行っており、それを元にした内閣への政策提言や記者会見等を行っている[64][65]。
2019年(令和元年)7月16日にはステファニー・ケルトン、同年11月7日にはビル・ミッチェルが来日し、京都大学レジリエンス実践ユニットの主催するMMT国際シンポジウムで講演をした[66][67][68]。
2022年3月8日、参院予算委員会は、審議中の令和4年度予算案に関する中央公聴会を開き、その中で東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は、物価が大きく上昇しない限り財政赤字が拡大しても問題ないとする「現代貨幣理論」(MMT)を否定した[69]。森信茂樹は過度の財政拡張は「果てしなく無駄な支出」を招くと指摘。MMTが提唱する物価上昇を抑えるための増税や歳出削減も、政府が柔軟に実施することは難しく「実現性が低い」とした。
評価
[編集]肯定的評価
[編集]- アメリカ合衆国と日本で注目されているとされる[70][71]。
- 中野剛志は、MMT理論はポスト・ケインズ派の一つの到達点であると評価している[72]。
- MMTの肯定派は、通貨発行権を持つゆえに自国通貨建て債務の返済不能状態に陥るリスクがゼロの政府が自国通貨建て債務を拡大しても、MMTの否定派が主張する信用リスクに伴う金利急上昇や国債や通貨の暴落の引き金につながるリスクは極めて低い、と主張している[73][74][75]。
- ステファニー・ケルトンは「貨幣の発行者である政府が財政収支の辻褄を合わせる事を目標にすることは無意味あるいは害をもたらすものであり、適切な政府支出・財政赤字の水準は税収ではなくインフレ率や社会のリソース(供給能力)などの経済状態を材料にして決めるべき、つまり財政の均衡ではなく経済の均衡を目標にして決めるべき」と主張している[76]。
- 1970年代以降、先進諸国では政府債務の拡大を忌避する緊縮財政政策や新自由主義の政策が採られてきた。しかし、2000年代に入り先進諸国で金融政策中心による景気勃興政策が行き詰まり、さらにリーマン・ショックなどで民間負債拡大に傾倒した政策リスクが顕在化する中、政府が積極的に負債を負って財政拡大をする景気勃興政策の重要性を主張するMMTがピックアップされている。先進諸国で政府債務が過去最高を更新し続ける中で金利上昇も高インフレも発生しない現実において、政府債務の増大が金利上昇や高インフレを招くと説く主流派経済学の誤りとMMTの理論的正しさ及び有効性を証明していると主張されている[77]。
- 2018年アメリカ合衆国選挙で、MMTを主唱しているアレクサンドリア・オカシオ=コルテスが共和党候補のアンソニー・パパスを破り、史上最年少の女性下院議員となった。
- ステファニー・ケルトンやビル・ミッチェルは、GDP比の政府債務が世界最高水準にあるにも関わらず、財政破綻しない日本がまさにMMTの正しさを示す見本だと主張している[70][78][79]。
- 岡本英男は「MMTで日本でも赤字財政が通常の姿である現実を認めた上で、小さな政府、金本位制、均衡財政こそが善というパラダイムとの決別が必要だろう」と指摘している[80]。
否定的評価
[編集]- ドイツではほとんど報道されず、イギリスでも批判的に扱われているとされる[71]。
- MMT反対派には、「アメリカではインフレが起きた際に、それを止める目的でドルの金利上昇や利上げが起きた場合に基軸通貨ドルを借りている途上国を中心に世界経済に混乱をもたらすこと、日本では今後にこのまま財政赤字が拡大して、インフレ懸念による預金引き出しラッシュ(取り付け騒ぎ)が起きた場合と日本国債の日本人保有率や円建て国債率が低下して、外国人保有率・外貨建て債権率が上昇することで円の対外信用が下落したと判断した外国人債権者らによる円の売却ラッシュが起きた場合にはハイパーインフレーションが起きる」との声がある[81][82][83]。
- 物価水準の財政理論(FTPL)論者(クリストファー・シムズほか)はMMTとほぼ同じ仮定による議論で、短期理論であるMMTに存在しない物価理論を導入すると、それが統合政府の長期的予算制約式と一致することを証明した。これにより、ドーマー条件及び横断性条件を満たさない政府はデフォルトに陥る可能性があることを指摘した。
- ステファニー・ケルトンはバーニー・サンダース米上院議員のアドバイザーを務めたが、サンダース議員はMMTと明確に距離をとっている[71]。
- 早川英男は、MMTは会計論に終始し、価格や均衡の概念を欠くところに本質的な弱点があると主張している[84]。
- 塚崎公義は日本の財政赤字に関して日銀が紙幣を発行して国債を償還しさえすれば破綻しないとMMTに近い主張をするが、通貨量の増大にともない発生したインフレの場合、MMTの主張するような増税による緊縮財政政策では経済が混乱し、また対外債務のある国では海外の債権者の行動リスクが大きいので採用できないとしている[81]。また、米ドルは国際通貨であるため、その混乱による世界的な影響が大きいと批判している[81]。
- 小幡績は、MMTは財政均衡主義では行われないはずの際限なき財政拡大を招き、経済に対する公的セクターの拡大によって旧ソ連と同じような資源配分の不効率と浪費が発生し、経済が弱体化すると主張している[85]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ NAIBER,non-accelerating inflation buffer employment ratio.
- ^ 当時は、貨幣には耐久性と使用価値があるがゆえにコモディティの代理となり、物々交換から発展し、交換の仲介物となった、という見方が一般的だった[31]
- ^ クナップと表券主義についてジョン・メイナード・ケインズは『貨幣論』(1930)の冒頭で言及している[33]。
- ^ Bill Mitchell.オーストラリアニューカッスル大学「完全雇用と公平性」研究所のビル・ミッチェルは、モダン・マネタリー・セオリー(現代金融理論)と称した。
- ^ パブリナ・R・チェネーバはMMTの数学的フレームワークを行い、雇用保証 (Job Guarantee) プログラムに重点を置いている[35]。
- ^ 税金が課されるときには必ず各納税者は、貨幣・硬貨・証明書および財務省(treasury; 国庫)に関する文書、またはその名称が何であろうとも、これらの通貨の発行によって政府が契約した負債の一部の償還に対して責任を負う。納税者は自分の債権の一部を、硬貨や証明書あるいはその他の形態の公的資金から取得しなければならず、また、それらを法的債務の清算のために財務省に提示しなければならない。納税者は負債の一部を償還または精算しなければならない。...課税による政府債務の償還が貨幣制度、およびいかなる形態であっても政府の「金」の発行の基本法則である。 — Alfred Mitchell-Innes、The Credit Theory of Money, The Banking Law Journal,Vol. 31 (1914), Dec./Jan., p.161.
- ^ James K. Galbraithは表券主義を支持し、モズラーの著作の序文を執筆している[40]
出典
[編集]- ^ 『超入門MMT』株式会社エムディエムコーポレーション、2021年12月11日。
- ^ “「MMT」や「反緊縮論」が世界を動かしている背景 | 政策”. 東洋経済オンライン (2019年5月24日). 2019年11月18日閲覧。
- ^ (日本語) 藤井聡「MMTによる令和『新』経済論」(京都大学レジリエンス実践ユニット 第2回MMT国際シンポジウム) 2019年11月18日閲覧。
- ^ “連載MMT④ MMT理論を通じて見えてくる今後のマクロ経済政策”. アゴラ 言論プラットフォーム. 2019年11月18日閲覧。
- ^ “連載コラム「税の交差点」第64回:遅れてきたケインズ主義「現代貨幣理論(MMT)」は、米国で実験すべきだ | 研究活動”. 東京財団政策研究所. 2019年11月18日閲覧。
- ^ 藤井聡『MMTによる令和新経済論』晶文社2019年、pp.6-9、pp.156-167
- ^ “MMT: What Is Money And What Gives It Value? - YouTube”. www.youtube.com. 2020年8月23日閲覧。
- ^ Wray, L. Randall (2015) (英語). Modern Money Theory : A Primer on Macroeconomics for Sovereign Monetary Systems. Houndmills, Basingstoke, Hampshire New York, NY: Palgrave Macmillan. pp. 137–141, 199–206. ISBN 978-1-137-53990-8
- ^ a b c Bloomberg-Coy, Dmitrieva & Boesler-A Beginner's Guide to MMT-March 21, 2019 英語
- ^ Bloomberg-Stephanie Kelton-Paul Krugman Asked Me About Modern Monetary Theory-March 1, 2019 英語
- ^ Bloomberg-Stephanie Kelton-The Clock Runs Down on Mainstream Keynesianism-March 4, 2019 英語
- ^ “特別寄稿 中野剛志 消費増税も量的緩和も愚の骨頂!”. FACTA ONLINE. 2020年7月29日閲覧。
- ^ “【MMTシンポ-5】ステファニー・ケルトン教授記者会見(2019年7月16日、MMT国際シンポジウムより) - YouTube”. www.youtube.com. 2020年7月29日閲覧。
- ^ No Chance of Default, US Can Print Money: Greenspan CNBC-No Chance of Default, US Can Print Money: Greenspan-August 7, 2011 英語
- ^ Bell, Stephanie, (2000), "Do Taxes and Bonds Finance Government Spending?", Journal of Economic Issues, 34, issue 3, pp.603-620
- ^ Sharpe, Timothy P. (2013) "A Modern Money Perspective On Financial Crowding Out", Review of Political Economy, 25:4, 586-606
- ^ a b Fullwiler, Scott; Kelton, Stephanie; Wray, L. Randall (January 2012), “Modern Money Theory : A Response to Critics” (英語), Working Paper Series: Modern Monetary Theory - A Debate, Amherst, MA: Political Economy Research Institute, pp. 17–26 May 7, 2015閲覧。
- ^ Fullwiler, Scott T. (2016) "The Debt Ratio and Sustainable Macroeconomic Policy", World Economic Review 7:12-42
- ^ Marc Lavoie. “The monetary and fiscal nexus of neo-chartalism” (英語). 2019年8月5日閲覧。
- ^ 柴山 2019.
- ^ 鈴木 2019.
- ^ “やっぱりMMTは新たな経済理論の柱なのか(JBpress)”. Yahoo!ニュース. 2020年11月6日閲覧。
- ^ “Modern Monetary Theory (MMT) and the Deficit Myth - Orcas Issues: News & Views” (英語). orcasissues.com. 2020年11月9日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/stephaniekelton/status/1194303306526609414”. Twitter. 2020年11月9日閲覧。
- ^ a b Éric Tymoigne and L. Randall Wray, "Modern Money Theory 101: A Reply to Critics," Levy Economics Institute of Bard College, Working Paper No. 778 (November 2013). 英語
- ^ Mosler, Warren. "Soft Currency Economics", January 1994
- ^ Tcherneva Pavlina R. "Chartalism and the tax-driven approach to money", in A Handbook of Alternative Monetary Economics, edited by Philip Arestis & Malcolm C. Sawyer, Elgar Publishing (2007), ISBN 978-1-84376-915-6 英語
- ^ a b Minsky, Hyman: Stabilizing an Unstable Economy, McGraw-Hill, 2008, ISBN 978-0-07-159299-4 英語
- ^ 内藤 2007, pp. 66, 69.
- ^ a b Knapp, George Friedrich (1905) (英語), Staatilche Theorie des Geldes, Verlag von Duncker & Humblot
- ^ Karl Marx, Capital I, Chapter 1, two paragraphs starting "The utility of a thing makes it a use value." http://www.efm.bris.ac.uk/het/marx/cap1/chap01 accessed 18 May 2009. 英語
- ^ a b Wray, L. Randall (2000) (英語), The Neo-Chartalist Approach to Money, UMKC(ミズーリ大学カンザスシティ校) Center for Full Employment and Price Stability
- ^ Keynes, John Maynard: A Treatise on Money, 1930, pp. 4, 6
- ^ Forstater, Mathew (2004) (英語), Tax-Driven Money: Additional Evidence from the History of Thought, Economic History, and Economic Policy
- ^ Tcherneva, Pavlina R.. “Monopoly Money: The State as a Price Setter” (英語). www.modernmoneynetwork.org. 2017年3月27日閲覧。
- ^ The Economist, 31 December 2011, "Marginal revolutionaries" neo-chartalism, sometimes called "Modern Monetary Theory" 英語
- ^ Mitchell-Innes, Alfred (1914). “The Credit Theory of Money” (英語). The Banking Law Journal 31 .
- ^ 1947年の論文「国家による創造物としての貨幣」,Lerner, Abba P. (May 1947). “Money as a Creature of the State” (英語). The American Economic Review 37 (2).
- ^ Scott Fullwiler,“Author Page for Scott T. Fullwiler :: SSRN” (英語). Papers.ssrn.com. 2016年7月28日閲覧。
- ^ Mosler, Warren: Seven Deadly Innocent Frauds of Economic Policy, Valance Co., 2010, ISBN 978-0-692-00959-8; also available in .DOC
- ^ Moore, Basil J.: Horizontalists and Verticalists: The Macroeconomics of Credit Money, Cambridge University Press, 1988, ISBN 978-0-521-35079-2 英語
- ^ Steven Hail,アデレード大学所属。“Steven Hail's presentation on modern money and the "budget emergency"” (英語) (2014年8月31日). 2019年8月5日閲覧。
- ^ Wood, Patrick. “The case for offering every Australian a government-funded job” (英語). ABC News. 14 May 2019閲覧。 “University of Adelaide economics lecturer Steven Hail is an expert in MMT and regularly speaks on the topic.”
- ^ Mitchell, Rodger Malcolm: Free Money – Plan for Prosperity, PGM International, Inc., paperback 2005, ISBN 978-0-9658323-1-1 英語
- ^ William Mitchell, Randall Wray、Martin Watts,Macroeconomics,Red Globe Press,ISBN 978-1137610669.2019/2/7.
- ^ "Deficit Spending 101 – Part 3" Bill Mitchell, 2 March 2009
- ^ "In the spirit of debate...my reply" Bill Mitchell, 28 September 2009
- ^ 中野 2019b, pp. 328–329.
- ^ admin (2011年7月25日). “MMP BLOG #8: TAXES DRIVE MONEY” (英語). New Economic Perspectives. 2020年12月6日閲覧。
- ^ R, L. (2014年5月15日). “WHAT ARE TAXES FOR? THE MMT APPROACH” (英語). New Economic Perspectives. 2020年12月6日閲覧。
- ^ bill (2010年7月7日). “Modern monetary theory and inflation – Part 1” (英語). Bill Mitchell - Modern Monetary Theory. 2020年8月29日閲覧。
- ^ “経済再生・財政再建|自民党政策サイト”. www.jimin.jp. 2019年10月21日閲覧。
- ^ “財政試算悪化 成長頼みの甘さが露呈した : 社説”. 読売新聞オンライン (2019年8月1日). 2019年10月21日閲覧。
- ^ “(社説)財政の健全化 首相は無責任すぎる:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2019年10月21日閲覧。
- ^ “緩む財政規律、債務は膨張”. 日本経済新聞 電子版. 2019年10月21日閲覧。
- ^ “社説:消費税率が10%に 納得できる国の将来像を”. 毎日新聞. 2019年10月21日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “財政審 来年度予算案の編成に向け議論開始”. NHKニュース. 2019年10月21日閲覧。
- ^ “財政関係パンフレット・教材”. 財務省. 2019年10月21日閲覧。
- ^ “[参院選2019]消費税 支え合いの「割り勘」…吉川洋 立正大学長 : 参院選2019 : 参院選 : 選挙・世論調査”. 読売新聞オンライン (2019年7月10日). 2019年10月21日閲覧。
- ^ “動画、図解、予算のポイント等を見ながら日本の財政を考える”. 財務省. 2020年8月3日閲覧。
- ^ “【第4回】国債って何ですか?: 帰ってきた池上彰の「やさしい経済教室」: START! -基礎から学ぶ、マネー&ライフ- :朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2020年8月3日閲覧。
- ^ “伊藤隆敏研究室【復興コメント】”. www3.grips.ac.jp. 2020年8月3日閲覧。
- ^ “財政赤字OK? 異端の経済理論「MMT」 国会で議論:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2019年10月21日閲覧。
- ^ “活動内容”. 日本の未来を考える勉強会. 2019年10月21日閲覧。
- ^ “インターネットTV 超人大陸”. YouTube. 2019年10月21日閲覧。
- ^ “【MMTシンポ-5】ステファニー・ケルトン教授記者会見(2019年7月16日、MMT国際シンポジウムより)”. 2019年8月3日閲覧。
- ^ “【記者会見】MMT提唱者 ステファニー・ケルトン ニューヨーク州立大学教授[桜R1/7/17]”. 2019年8月3日閲覧。
- ^ “MMTのミッチェル教授が講演、「消費増税は信じ難い」「主流派経済学者は投獄」:データ・マックス NETIB-NEWS”. データ・マックス NETIB-NEWS. 2019年12月6日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2022年3月8日). “参院予算委が公聴会 財政赤字容認MMTの否定意見も”. 産経ニュース. 2022年12月20日閲覧。
- ^ a b “【検証エコノミー】「財政赤字の拡大OK」 “異端”理論MMTに注目 政府・日銀は否定的”. 産経新聞社 (2019年5月14日). 2019年8月3日閲覧。
- ^ a b c 加藤 2019, p. 21.
- ^ 中野 2016, pp. 113–114.
- ^ “世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第316回MMTという黒船の上陸(中編) (2019年4月16日)”. エキサイトニュース. 2019年10月20日閲覧。
- ^ “MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に関する政策論」です。”. 「新」経世済民新聞 (2019年4月17日). 2019年10月20日閲覧。
- ^ “世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第316回MMTという黒船の上陸(中編) (2019年4月16日)”. エキサイトニュース. 2019年10月20日閲覧。
- ^ (日本語) 【三橋貴明×ステファニー・ケルトン】概論、MMT(現代貨幣理論) 2019年10月20日閲覧。
- ^ PRIME, J. (2019年10月5日). “否定派多い経済理論「MMT」 肯定派の言い分は”. ZUU online. 2019年10月20日閲覧。
- ^ “新刊『奇跡の経済教室【戦略編】』で話題の中野剛志先生トーク&サイン会を7月15日(月・祝)に開催!”. 産経新聞社 (2019年7月11日). 2019年8月3日閲覧。
- ^ “MMT「賛同せず」 NYのパネル討論で黒田氏”. 産経新聞社 (2019年7月20日). 2019年8月3日閲覧。
- ^ “とことんMMT(現代貨幣理論):赤字財政を恐れてはならない 今こそ「MMT」による「完全雇用」政策を検討すべき=岡本英男”. 週刊エコノミスト Online. 2020年10月29日閲覧。
- ^ a b c 塚崎 20190401
- ^ 塚崎 20190510
- ^ 池田 20190503
- ^ “MMT(現代貨幣理論):その読解と批判 : 富士通総研”. www.fujitsu.com. 2021年2月24日閲覧。
- ^ https://www.newsweekjapan.jp/obata/2019/07/mmt-1.php
参考文献
[編集]- 書籍(和書)
- 島倉原 「MMTとはなにか」日本を救う反緊縮理論 角川新書 2019年12月10日 全296頁
- 井上智洋『MMT 現代貨幣理論とは何か』、講談社選書メチエ、2019年。
- 中野剛志『富国と強兵―地政経済学序説』東洋経済新報社、2016年12月9日。ISBN 978-4-4924-4438-2。
- 中野剛志『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』ベストセラーズ、2019年4月22日。ISBN 978-4-5841-3895-3。
- ステファニー・ケルトン:「財政赤字の神話:MMTと国民のための経済の誕生 」、早川書房、ISBN 978-4152099662(2020年10月6日)。
- L・ランダル・レイ:「MMT現代貨幣理論入門」、東洋経済新報社、ISBN 978-4492654880(2019年8月30日)。
- ジェラルド・A. エプシュタイン:「MMTは何が間違いなのか?: 進歩主義的なマクロ経済政策の可能性」、東洋経済新報社、ISBN 978-4492654927(2020年12月18日)。
- 藤井聡:「MMTによる令和「新」経済論: 現代貨幣理論の真実」、晶文社、ISBN 978-4794971586(2019年10月28日)。
- 三橋貴明:「知識0からわかるMMT入門」、経営科学出版、ISBN 978-4905319351(2019年1月)。
- 森永康平:「MMTが日本を救う」、宝島社、ISBN 978-4299005885(2020年6月10日)。
- 望月慎:「図解入門ビジネス 最新MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本」、秀和システム、ISBN 978-4798060439(2020年3月24日)。
- 中野明:「図解ポケット MMTのポイントがよくわかる本」、秀和システム、ISBN 978-4798061269(2020年3月13日)。
- 書籍(和書以外)
- Febrero, Eladio (2009), “Three difficulties with neo-chartalism” (英語), Journal of Post Keynesian Economics (M.E. Sharpe, Inc.) 31 (3): 523–541, doi:10.2753/PKE0160-3477310308
- Lerner, Abba P. (1947), “Money as a Creature of the State” (英語), American Economic Review
- William Mitchell, L. Randall Wray, Martin Watts (2019-02-25), “Macroeconomics” (英語), Red Globe Press (Macmillan Education), ISBN 978-1-1376-1066-9
- Mitchell, Bill (2009) (英語), The fundamental principles of modern monetary economics in "It’s Hard Being a Bear (Part Six)? Good Alternative Theory?" (PDF). Introduction to modern (as of 2009) Chartalism.
- Wray, L. Randall (2000) (英語), The Neo-Chartalist Approach to Money, UMKC Center for Full Employment and Price Stability
- Wray, L. Randall (2001) (英語), The Endogenous Money Approach, UMKC Center for Full Employment and Price Stability
- Wray, L. Randall (2010-12) (英語), Money, Levy Economics Institute of Bard College
- 雑誌
- 経済理論学会(編)「季刊 経済理論 第44巻第1号 特集 新自由主義と現代社会の危機」、経済理論学会、2007年4月20日、ISBN 978-4-921190-92-7。
- 内藤敦之「貨幣・ 信用・ 国家−ポスト・ ケインズ派の信用貨幣論と表券主義」
- 「表現者クライテリオン 2019年9月号」『表現者クライテリオン』、啓文社書房、2019年8月16日、ASIN B07TMRRBX8。
- 柴山桂太「国家が貨幣をつくる」
- 鈴木正徳「固定観念を払拭し、「本来あるべき政府の財政」を取り戻せ――翻訳者が読み解く『MMT 現代貨幣理論入門』」
- 週刊ダイヤモンド編集部(編)「週刊ダイヤモンド 2019年4月6日号」『週刊ダイヤモンド』、ダイヤモンド社、2019年4月1日、ASIN B07Q45BQ7K、2019年4月28日閲覧。
- 中野剛志「財政赤字容認の「現代貨幣理論」を“主流派”がムキになって叩く理由」
- 週刊エコノミスト 2019年6月25日号 毎日新聞出版 JAN 4910200340690
- 特集 とことんMMT
- 月刊文藝春秋 2019年7月号 文藝春秋社 ASIN B07SCHCWVY
- 米国発「消費増税無用論」の真贋 中野剛志
- ニューズウィーク日本版 2019年7月16日号 CCCメディアハウス JAN 4910252540796
- 日本人が知るべきMMT
- 週刊ダイヤモンド編集部(編)「週刊ダイヤモンド 2019年8月3日号」『週刊ダイヤモンド』、ダイヤモンド社、2019年7月29日、ASIN B07TLP9YL1、2019年9月21日閲覧。
- 加藤出「「MMTブーム」と参院選に見る残念な日本の借金付け回し体質」
- ウェブサイト
- 池田信夫 (2019年5月3日). “日本は「トンデモ経済理論」MMTの成功例か 「財政健全化」は経済政策の目的ではない”. JBpress. 株式会社日本ビジネスプレス. 2019年5月12日閲覧。
- 塚崎公義(久留米大学商学部教授) (2019年4月1日). “MMT(財政赤字は問題ない)は、やはり危険”. WEDGE Infinity. 株式会社ウェッジ. 2019年5月12日閲覧。
- 塚崎公義 (2019年5月10日). “財政赤字を容認する「MMT理論」は一理あるが、やはり危険な理由”. ダイヤモンド・オンライン. ダイヤモンド社. 2019年5月12日閲覧。
- 豊田太(経済部記者) (2019年4月26日). “ビジネス特集 お金がないなら刷ればいい!?”. NEWS WEB(公式ウェブサイト). NHK. 2019年4月28日閲覧。 ※ステファニー・ケルトンへのインタビュー。
- 中野剛志 (2019年3月26日). “アメリカで大論争の「現代貨幣理論」とは何か 「オカシオコルテス」がMMTを激オシする理由”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. 2019年4月28日閲覧。
- 中野剛志 (2019年4月26日). “異端の経済理論「MMT」を恐れてはいけない理由 すべての経済活動は「借金から始まっている」”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. 2019年4月2日閲覧。
- 藤井聡 (2019年4月17日). “MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に関する政策論」です。”. 株式会社経営科学出版. 2019年5月6日閲覧。
- 藤井聡 (2019年5月1日). “財務省が紹介した「有識者のMMT批判」の「間違い」を解説します。”. 株式会社経営科学出版. 2019年5月6日閲覧。
- 山田奈々(経済部記者) (2019年7月25日). “消費増税は逆効果?「MMT」提唱者に聞いてみた”. NEWS WEB(公式ウェブサイト). NHK. 2019年7月27日閲覧。 ※ステファニー・ケルトンへのインタビュー。
- 中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた - DIAMONDonline(2020年3月31日)
- 粂博之(2020年11月19日)”財政規律を「神話」と説く現代貨幣理論(MMT)の理屈” 粂博之の経済ノート 産経新聞
- 池上 彰(2021年03月24日). ”MMT(現代貨幣論)信奉者続出!? 「借金大国の日本を見習え」という理論 『今を生き抜くための池上式ファクト46』より #2 . ” 週刊文春出版部
- MMT(現代貨幣理論)が問いかけるもの 三宅民夫のマイあさ!マイ!Biz - NHK読むらじる(放送日:2021年08月30日)
- [WBS] 日本の財政赤字は問題ない?全米話題のMMTとは? - ワールドビジネスサテライト(2019年7月17日)
- その他
- Innes, A. Mitchell (1913), “What is Money?” (英語), The Banking Law Journal [リンク切れ]
関連項目
[編集]- ケインズ経済学
- ポスト・ケインズ派経済学
- 表券主義
- 管理通貨制度
- 基軸通貨
- 通貨安競争
- 為替操作国
- 信用創造
- 財政政策
- アバ・ラーナー
- ハイマン・ミンスキー
- ビル・ミッチェル
- L.ランダル・レイ
- ステファニー・ケルトン
- 課税
- 流動性
- 貨幣史
- 機能的財政
- 三部門収支バランス
- マクロ経済思想史
外部リンク
[編集]- MMT Wiki, the Modern Monetary Theory interactive encyclopaedia
- Bill Mitchell's blog (Chartalism is denoted as "Modern Monetary Theory", there)
- Warren Mosler's blog
- New Economic Perspectives website
- Macroeconomic Balance Sheet Visualizer, visualizing and understanding important concepts in macroeconomics
- Modern Monetary Theory: A Debate (Brett Fiebiger critiques and Scott Fullwiler, Stephanie Kelton, L. Randall Wray respond; Political Economy Research Institute, Amherst, MA)
- Credit Writedowns, news and opinion site, from the MMT perspective
- Knut Wicksell and origins of modern monetary theory-Lars Pålsson Syll
- Evolution of Selected Economic Schools, a simplified diagram
- Modern Monetary Network