肝蛭
肝蛭(カンテツ) Fasciola spp. | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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Fasciola hepatica の成虫
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Fasciola hepatica Linnaeus, 1758[1] F. gigantica Cobbold, 1856[1] F. sp | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
肝蛭(カンテツ)、巨大肝蛭、日本産肝蛭 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
common liver fluke, sheep liver fluke |
肝蛭(かんてつ、カンテツ、学名:Fasciola spp.)とは、蛭状吸虫科(カンテツ科)に属する吸虫である。ヒトにも寄生する寄生虫として知られる。ただし、厳密に「カンテツ」と言うと Fasciola hepatica を指す。しかし、巨大肝蛭 Fasciola gigantica や、日本産肝蛭 Fasciola sp. を含めて「肝蛭」と総称される場合が多い。本稿では特に限定しない場合は後者を採用する。
形態
[編集]成虫の体長は 2〜3 cm 程度で、幅 1 cm 程度である。
分布
[編集]ヨーロッパからオーストラリアに分布する。本州以南の日本列島においては中間宿主はヒメモノアラガイで、北海道ではコシダカモノアラガイである。終宿主はヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒトなどの哺乳類である。ヒトへの感染は、クレソンやセリに付着した、肝蛭のメタセルカリアの経口摂取[2][注釈 1]、または、ウシなどの哺乳類のレバーの生食によって発生する[3][4]。
生活環
[編集]終宿主より排出された虫卵は、水中でミラシジウムに発育する。ミラシジウムは、中間宿主の頭部、足部、外套膜などから侵入し、スポロシストとなる。スポロシストは中腸腺においてレジア、セルカリアへと発育する。セルカリアは中間宿主の呼吸孔から遊出し、水草などに付着して被嚢する。これをメタセルカリアと呼ぶ。メタセルカリアは終宿主に経口的に摂取され、空腸において脱嚢して腸粘膜に侵入して、腸を突き抜けて腹腔に至る。腹腔に出た幼若虫は、肝臓の表面に取り付き、さらに肝臓内に侵入する。肝臓実質内を迷走しながら発育し、総胆管に移行する。ただし、肝蛭の幼若虫は移行迷入性が強く、子宮、気管支などに移行する場合が有る。総胆管にまで移行できた成虫は、感染後70日前後で、総胆管において産卵を行う。産卵された虫卵は、消化管から糞便と共に排泄され、水中に入るというサイクルに入る。
「日本産肝蛭」は単為生殖を起こすことが確認されているが、DNA解析により、狭義の肝蛭と巨大肝蛭の偶発的な雑種由来と考えられている[5]。
肝蛭症
[編集]肝蛭が寄生した病態を、肝蛭症と呼ぶ。肝臓では肝硬変の原因になる場合も有る。また、他の場所へ迷入した場合には、それに対応した病態や症状が引き起こされる。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 水辺の野草などに付着したメタセルカリアの経口摂取により、 ウシなどの草食動物に、肝蛭の感染が成立する。
出典
[編集]- ^ a b 日本寄生虫学会用語委員会 「暫定新寄生虫和名表」 2008年5月22日
- ^ “寄生虫による食中毒にご注意ください”. 内閣府 食品安全委員会. 2023年12月1日閲覧。
- ^ “日本における人肝蛭症感染の現状”. 病原微生物検出情報 (国立感染症研究所) 14 (1993/5[159]). (5 1993) .
- ^ “肝蛭虫卵”. 国立感染症研究所. 2023年12月1日閲覧。
- ^ 板垣匡『日本産肝蛭(単為生殖型肝蛭)の起源・形成とアジアにおける分布・拡散』、岩獣会報(Iwate Vet.), Vol. 47 (№ 2), 47 - 56 (2021).
参考文献
[編集]- 石井敏雄 『獣医寄生虫学・寄生虫病学 (2) 蠕虫 他』 講談社サイエンティフィク 1998年 ISBN 4061537172