衛星政党
衛星政党(えいせいせいとう、英語: bloc party / satellite party)とは、ヘゲモニー政党制を採用している国家において、常に政権を独占する政党(ヘゲモニー政党)以外で存在が合法化されている小政党のことである。
狭義の定義
[編集]ヘゲモニー政党による支配体制を支持し、特定の職種等一定限度の狭い利益を代表するが、ヘゲモニー政党に代わって政権を担おうとしない政党のことを指す。
狭義の例
[編集]現在の例
[編集]支配政党は朝鮮労働党。
ウズベキスタン共産党が改組したウズベキスタン人民民主党を中心として、議会に議席を有するいずれの政党も政権を支持している。
支配政党はトルクメニスタン民主党。
- 農業党
- 産業・企業家党
2012年の憲法改正でバアス党を指導政党とする規定は削除されたが、議会に議席を有するバアス党以外の政党はかつての衛星政党のみである。
過去の例
[編集]中華民国政府が「党禁」を維持していた1987年まで(支配政党は中国国民党)
衛星政党が消滅する1988年まで(支配政党はベトナム共産党)
- ベトナム民主党(Đảng Dân chủ Việt Nam)
- ベトナム社会党(Đảng Xã hội Việt Nam)
1949年の建国から1989年の民主化まで(支配政党はドイツ社会主義統一党)
1948年から1990年までのチェコスロバキア共産党政権時代
- チェコスロバキア人民党
- チェコスロバキア社会党
- スロバキア自由党(sk:Strana slobody)
- スロバキア復興党(sk:Strana slovenskej obrody)
ポーランド人民共和国時代(支配政党はポーランド統一労働者党)
- 統一農民党(Zjednoczone Stronnictwo Ludowe、のちのポーランド農民党)
- 民主党(Stronnictwo Demokratyczne)
ブルガリア人民共和国時代(支配政党はブルガリア共産党)
選挙敗北で野党に転落した2000年まで(支配政党は中道包括政党の制度的革命党)
1973年のスハルト政権による「政党・ゴルカル法」による政党の統合から、同政権が崩壊する1998年まで(支配勢力は「職能団体」であるゴルカル)
広義の定義
[編集]ヘゲモニー政党制を採用していない国家でも、狭義の定義から転じて「特定の大政党と共同歩調を取ることで一定限度の狭い利益を代表する政党」を指す用語として使われている。該当する政党を揶揄する意味合いを持つ為[1]、マスメディアがこの用語を用いることは基本的に無いが、2020年の韓国における事例では新しい選挙制度の無効化を狙って設立された新政党に対し同国メディアが「衛星政党」と呼称して非難する場面が見られた。
広義の例
[編集]日本
[編集]翼賛体制(支配政党は大政翼賛会)
ロシア
[編集]大韓民国
[編集]二大政党である未来統合党と共に民主党が、2020年4月実施の第21代総選挙から導入される準連動比例代表制の抜け穴を狙って、比例での議席数を確保するために立党した[2][3]。
なお、同時期に共に民主党の元関係者が開かれた民主党を結党しているが、こちらは共に民主党が結党の過程に関連しておらず、同党自身も共に民主党の衛星政党であることを否定している。だが、一部には衛星政党と見る向きもある[4]。
国民の力(未来統合党)
共に民主党
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ “安倍改造内閣「支持」の背景は? 政治学者・中野晃一教授はどうみる?”. THE PAGE (ワードリーフ): p. 7. (2014年9月10日) 2016年6月2日閲覧。
- ^ “韓国総選挙の候補者出そろう...平均年齢55歳、男性が80.9%”. NEW STANCE. (2020年3月28日) 2020年3月9日閲覧。
- ^ “巨大二党の「衛星政党」の横暴で、少数政党の居場所むしろ狭まる”. ハンギョレ. (2020年3月26日) 2020年3月29日閲覧。
- ^ “崔康旭議員がFBに投稿した「秋美愛声明」、長官補佐陣から流出”. 朝鮮日報. (2020年7月10日) 2020年7月12日閲覧。