コンテンツにスキップ

酔古堂剣掃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

酔古堂剣掃』(すいこどうけんそう)は、中国朝末の陸紹珩は湘客)が古今の名言嘉句を抜粋し、収録編纂した編著である[1]。書名は本来の書名「剣掃」に、陸家の堂名「推古堂」を合わせたものである[1]

概要

[編集]

1624年(天明4年)陸紹珩は同郷の友人汝調鼎と南京に出て科挙を受けるも失敗、二人して旅に出て、名所旧跡を放浪した[1]。この旅の中で、かつて収集していた清言嘉句を整理してできたのが『剣掃』である[1]。収録された言葉には、原文が改変されたものも多い[1]

陸紹珩は山人派であり[1]、本書には自然や人生を幅広く観察して把握しようとする姿勢が見られる[1]。『菜根譚』と同様に、自然の描写と観察が豊富で優れている[要出典]

中国においてはほとんど流布しなかったが[1]日本では江戸時代後期には教養人の間に広く流布し[1]、1853年(嘉永6年)に出版されて以降、幕末から明治期にかけていくつかの版が出版された[1]。明治時代・大正時代にも何度か出版・訳注が行われたが[1]、1921年(大正10年)を最後に刊行されなくなった[1]

目次

[編集]

原本は十二巻で成り立っており[1]、各巻の主題は以下の通りである[1]。当時、道徳的題目による部立てが一般的である中で、奇抜な題目設定であった[1]

  • 第一巻:(せい)[1]…心を醒まさせる句を載せるとする。
  • 第二巻:(じょう)[1]…情味のある句を載せるとする。
  • 第三巻:(しょう)[1]…聳然(男らしい)句を載せるとする。
  • 第四巻:(れい)[1]…魂の句を載せるとする。
  • 第五巻:(そ)[1]…素朴な句を載せるとする。
  • 第六巻:(けい)[1]…景色の句を載せるとする。
  • 第七巻:(いん)[1]…韻律のある句を載せるとする。
  • 第八巻:(き)[1]…奇抜な句を載せるとする。
  • 第九巻:(き)[1]…煌びやか(ロマンチック)な句を載せるとする。
  • 第十巻:(ごう)[1]…豪邁な句を載せるとする。
  • 第十一巻:(ほう)[1]…締めくくり(法)のある句を載せるとする。
  • 第十二巻:(せん)…大丈夫(立派な男)の句を載せるとする。

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 合山究『酔古堂剣掃』明徳出版社〈中国古典新書〉、1978年9月、11-20頁。 

参考文献

[編集]