麻杏甘石湯
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麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)とは漢方薬の一種である。
味は少し甘みがあるものの渋みが強く飲みにくい。麻黄と杏仁が咳を鎮め、麻黄と石膏の働きにより体の熱を取り除き、止汗や利尿作用がある
構成生薬
[編集]用法
[編集]成人に1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。妊婦、授乳婦に対する安全性は確立されておらず、危険性より有効性が上回ると判断されるときのみ使用する。
適応症
[編集]気管支喘息、気管支炎、肺炎など
副作用
[編集]偽アルドステロン症、ミオパシー、不眠、動悸、頻脈、発汗過多、精神興奮、胃の不快感、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、排尿障害
併用注意
[編集]慎重投与
[編集](次の患者には慎重に投与すること)
- 病後の衰弱期、著しく体力の衰えている患者(副作用があらわれやすくなり、その症状が増強されるおそれがある。)
- 胃腸の虚弱な患者(食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、軟便、下痢等があらわれるおそれがある。)
- 食欲不振、悪心、嘔吐のある患者(これらの症状が悪化するおそれがある。)
- 発汗傾向の著しい患者(発汗過多、全身脱力感等があらわれるおそれがある。)
- 狭心症、心筋梗塞等の循環器系の障害のある患者、又はその既往歴のある患者(疾患及び症状が悪化するおそれがある。)
- 重症高血圧症の患者(疾患及び症状が悪化するおそれがある。)
- 高度の腎障害のある患者(疾患及び症状が悪化するおそれがある。)
- 排尿障害のある患者(疾患及び症状が悪化するおそれがある。)
- 甲状腺機能亢進症の患者(疾患及び症状が悪化するおそれがある。)
その他注意
[編集]小児等に対する安全性は使用実績が少ないため確立されていない。
出典
[編集]張仲景の傷寒論に「麻黄杏仁甘草石膏湯」という名称で対応する症状とレシピが記されている。「(桂枝湯で)発汗がみられたら桂枝湯をやめる。しかし脂汗が出て咳が苦しく、体表の熱は無くなった状態には、麻黄杏仁甘草石膏湯を与える」とある[1][2][3]。
その他
[編集]- 配合レシピは麻黄湯から桂枝を除き、石膏を追加したもので、桂枝の(漢方の概念としての)体表への作用から、石膏の体内部の熱を取る作用に変更されたことになる。石膏と相互作用により、麻黄の発汗作用が制汗に変化し、杏仁も鎮咳に加えて胸部の熱を取る効能が生じる。[3]
- 類聚方広義には、「ひどい咳がやまず、顔がむくみ、喉や口が乾燥し、胸痛がある場合に使用する」とある。また勿誤薬室方函口訣には、「麻黃湯(の病を起こしていた熱)が体内部に進んだ症状「汗出而喘」(脂汗とひどい咳)の薬。体表部にあった熱(大熱)が内部に潜入し胸部に迫ってひどい咳を起こしている状態で、これを麻黄石膏が解消する。」と説明している。[4][5][3]。
- ひどい咳(発症直後ではない)があり、口渇、脂汗、顔面浮腫、呼吸困難を伴うような症状が伴うことがある。また尿は少なく色は濃い(体内の熱のため)。消化器は丈夫で食欲がある。このような場合に有効とされ、今日の病名では、気管支炎、感冒(せき)、喘息性気管支炎、百日咳、肺炎、気管支炎喘息、小児喘息などが該当する。また胃腸を冷やす効果が強いため、胃腸の丈夫な人に使用し、服用して食欲減退が見られれば合わないため中止すべきである[3]。
脚注
[編集]- ^ 「發汗後,不可更行桂枝湯。汗出而喘,無大熱者,可與麻黃杏仁甘草石膏湯主之」
- ^ 傷寒論/辨太陽病脈證并治 - 中國哲學書電子化計劃
- ^ a b c d e 「漢方212方の使い方」- ISBN 4840743258
- ^ 類聚方広義 - 国立国会図書館デジタルコレクション
- ^ 勿誤藥室方函口訣 - 中國哲學書電子化計劃
- ^ 「今日から使える漢方薬のてびき」- ISBN 4061531492