BackTrack
開発者 | Mati Aharoni, Devon Kearns, Offensive Security |
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OSの系統 | Linux (Debian)、(Ubuntu) |
開発状況 | 開発終了 |
ソースモデル | FLOSS |
最新安定版 | 5 R3 / 2012年4月13日 |
プラットフォーム | x86(IA-32)、x64、ARMアーキテクチャ |
カーネル種別 | モノリシックカーネル |
既定のUI | KDE、GNOME、Fluxbox |
ウェブサイト | https://www.backtrack-linux.org/ |
BackTrack Linux(バックトラックリナックス)は、ペネトレーションテスト目的に特化した1DVD型のLinuxディストリビューションの一つである。
歴史
[編集]BackTrack Linuxの歴史は、Whoppix(Whitehat knoppix)まで遡る。
Whoppix
[編集]KNOPPIX派生版
[編集]WhoppixはKNOPPIX派生1CD Linuxである。Red HatをもじったBlack Hat、さらにそれらをもじったWhite Hatを冠していることから判るように、WhoppixはWhiteサイドのセキュリティ関連、つまりはペネトレーションテスト目的の1CD Linuxであり、同分野の中ではかなり古い部類に入る。日本ではハッカージャパン[1]などのようにコンピュータ雑誌にも取り上げられており、この分野ではよく知られるものである。
SLAX派生版
[編集]2005年7月、Whoppixは3.0をリリースする際に、SLAXを母体としてWhaxという名前に変更されている。
Auditor Security Collection
[編集]他方、Auditor Security Collectionは、KNOPPIX派生の1CD Linuxであり、Auditor(監査人)から判るようにこちらもペネトレーションテスト目的のものである。Auditorというメニューの下に、セキュリティ関連のツールを階層的に設けることで、ペネトレーションテストツールを整理した形でユーザーに提供している。
BackTrack 誕生
[編集]こうした、いわゆる競合関係にある、1CD Linuxペネトレーションテスト目的のディストリビューション2つが融合する形で出来上がったものが、BackTrackである。初期は1CDであった。
BackTrack Linux 4 betaが登場する段階でCDサイズに収まらなくなったため、1DVD化されている。なお、BackTrack Linux 4 betaからはUbuntu 8.10を母体としている。
2013年3月、BackTrack Linuxから後継版のKali Linuxが派生した。
特徴
[編集]上述の通り、ペネトレーションテストを目的としたものである。特記すべき機能や特徴としては、以下のようなものが挙げられる。
- メニュー形式でのツール選択
- 前述のように、Auditor Security Collectionを先祖の一つとしており、その機能の一つであるセキュリティ関連ツールを分類してユーザーに提供する機能が、BackTrack Linuxにも設けられている。バージョンが上がるたびに、新しい技術への追従などの理由からメニュー構成を変えている。メニュー構成については以降の節で詳述する。
- ネットワークツールの収録
- Wireshark、Ettercap(LANベースの中間者攻撃ツール)、nmapなどが搭載されている
- 無線ネットワークへの対応
- Kismet、RFMONモードへの対応
メニュー形式でのツール選択
[編集]以下は、4.0 betaのメニュー構成である。
- Information Gathering - DNS Enumなどの情報収集ツール
- Archive
- DNS
- Route
- Searchenghine
- Network Mapping
- Identify Live Hosts - ネットワーク越しのホスト生存確認
- OS-Fingerprinting - OSを特定するためのツール
- Portscanning - ポートスキャン
- Service Fingerprinting - Webサーバの挙動からサーバの種類とバージョンを特定するhttprintなどの、サービス特定ツール
- VPN
- Vulnerability Identification
- Cisco
- Database
- Fuzzers
- SMB Analysis
- SNMP Analysis
- Web Analysis
- Saint Exploit
- Penetration
- Privilege Escalation - 権限昇格系のツール
- Password Attacks - パスワード解析ツール
- Sniffers
- Spoofing
- Maintaining Access
- Tunneling - トンネリング関連のツール
- Radio Network Analysis - 無線ネットワーク関連のツール
- VoIP
- Digital Forensics
- File Carving - ファイル救済ツール
- Forensic Analysis
- Image Aquiring
- Reverse Engineering
- Miscellaneous - その他のツール
リリース
[編集]日付 | リリース | 備考 |
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2006年3月26日 | BackTrack 1.0 Final | ベータ版でない初期のバージョンである。KNOPPIX派生であった。 |
2006年10月13日 | BackTrack2 Public Beta | |
2007年3月6日 | BackTrack 2 Stable release | |
2007年12月14日 | BackTrack 3 Beta | |
2008年6月19日 | BackTrack 3 Final | |
2009年2月11日 | BackTrack 4 Beta Release | このバージョンよりDVD化される。また、Debian派生となる。Kernel 2.6.28.1 |
2009年6月19日 | BackTrack 4 Pre Release | Kernel 2.6.29.3 |
2010年1月11日 | BackTrack 4 Final Release | Kernel 2.6.30.9 |
2010年8月5日 | BackTrack 4 R1 Release | Kernel 2.6.34 |
2010年11月22日 | BackTrack 4 R2 Release | USB 3.0をサポート。Kernel 2.6.35.8 |
2011年5月10日 | BackTrack 5 Release | Kernel 2.6.38 |
2011年8月18日 | BackTrack 5 R1 Release | Kernel 2.6.39.4 |
2012年3月1日 | BackTrack 5 R2 Release | Kernel 3.2.6 |
2012年8月13日 | BackTrack 5 R3 Release | |
2013年3月13日 | Kali 1.0 Release |
派生版
[編集]Debianテスト版の派生品一覧に掲載。
配布版 | 説明 |
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Kali Linux | BackTrackから派生した1DVDタイプの後継版。ペネトレーションテスト目的に特化していることが特徴。 |
脚注
[編集]- ^ ハッカージャパンの2004年11月号から2005年7月号にかけて、WhoppixやKnoppix-STDなど、同分野の特集記事が何度か設けられていた。また、2005年3月号にはWhoppix 2.6 SP-1が付録されている。
参考文献
[編集]- ハッカージャパン
- 2009年3月号 - 特集記事「総力特集 いちばんわかりすいハッキングツールの使い方」(BackTrack 3がツール群のベースとして特集されている)。