コンテンツにスキップ

memcached

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


memcached
開発元 Danga Interactive
最新版 1.6.21 - 2023年6月15日 (16か月前) (2023-06-15)[1] [±]
リポジトリ ウィキデータを編集
対応OS クロスプラットフォーム
種別 分散型メモリキャッシュシステム
ライセンス BSDライセンス
公式サイト memcached.org ウィキデータを編集
テンプレートを表示

memcached は、汎用の分散型メモリキャッシュシステムである。

概要

[編集]

もともと Danga Interactive によって LiveJournal サービスのために開発されたが、現在は多数のサイトで利用されている。memcached は、データとオブジェクトをメモリ内にキャッシュすることでデータベースから読み出しを行う回数を減少させ、データベースを用いた Web サイトを高速化するために良く用いられる。memcachedはパーミッシブ・ライセンスであるBSDライセンスに従い頒布されている[2]

memcached は適切に設定されたファイアウォールを用いるサーバ上で使用するか、そうでない場合はSASL認証のオプション付きでコンパイルしたものを使用できる(1.4.3以降)。既定では、memcached はポート 11211 番を使用する。また、libevent を使用している。

memcached の API は、複数のマシン上に分散された巨大なハッシュテーブルを提供する。テーブルがいっぱいの場合、以降のデータの新規挿入により古いデータはLeast Recently Used 順序で削除される。memcached を用いるアプリケーションは、背後にあるデータベースなどの低速な記憶装置へのアクセスの前に memcached のリクエストを挿入する。

memcached のシステムは、YouTube [3]LiveJournalWikipediaSourceForgeFacebookDiggFotologなどの大規模な有名サイトで使用されている[4]

サンプルコード

[編集]

データベースやオブジェクト生成のクエリーを memcached を使うよう変更することは簡単である。 単純なデータベースのクエリーを用いた場合、サンプルコードは下記のようになる。(以下の例は全て擬似コードである。memcached の処理やプログラミング言語は、使用する API により異なる。)

function get_foo (int userid) {
    result = db_select("SELECT * FROM users WHERE userid = ?", userid);
    return result;
}

memcached を用いるよう変更すると、同じコードは下記のようになる。

function get_foo (int userid) {
    result = memcached_fetch("userrow:" + userid);
    if (!result) {
        result = db_select("SELECT * FROM users WHERE userid = ?", userid);
        memcached_add("userrow:" + userid, result);
    }
    return result;
}

サーバは、まず memcached に対して一意のキー "userrow:userid" が存在するかどうかの確認を行う。 存在しないという結果であれば、通常のようにデータベースに select を要求し、memcached の add API を呼び出しキーを追加する。

しかし get_foo 関数のみが変更され、DBに対して更新が実行される部分が変更されなければ get_foo は誤ったデータを取り出すことになる。従って add の呼び出しに加えて更新の処理も必要になる。そのためには memcached の set 関数を使う。

function update_foo(int userid, string dbUpdateString) {
    result = db_execute(dbUpdateString);
    if (result) {
        data = createUserDataFromDBString(dbUpdateString);
        memcached_set("userrow:" + userid, data);
    }
}

この処理はデータベースのクエリーが成功すると仮定して現在のキャッシュのデータをデータベースの新しいデータと合致するよう更新する。異なるアプローチとして、memcached のキャッシュを delete 関数で無効にし、以降のデータの取り出しがキャッシュミスとなるようにする方法もある。

脚注

[編集]
  1. ^ ReleaseNotes1621”. GitHub. 2023年7月28日閲覧。
  2. ^ Licence of memcached”. 2008年4月13日閲覧。
  3. ^ Cuong Do Cuong (Engineering manager at YouTube/Google) (23 June 2007). Seattle Conference on Scalability: YouTube Scalability (Online Video - 26th minute). Seattle: Google Tech Talks.
  4. ^ Who's using memcached?[リンク切れ]

外部リンク

[編集]