THE MILLENNIUM PARADE
『THE MILLENNIUM PARADE』 | ||||
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millennium parade の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル |
オルタナティブ・ロック[1] ジャズ[1] ヒップホップ[1] エレクトロニカ[1] | |||
時間 | ||||
レーベル | アリオラジャパン | |||
プロデュース | 常田大希 | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
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チャート最高順位 | ||||
2021年度 (Billboard JAPAN) | ||||
millennium parade アルバム 年表 | ||||
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『THE MILLENNIUM PARADE』収録のシングル | ||||
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ミュージックビデオ | ||||
「Fly with me」 - YouTube 「Philip」 - YouTube 「FAMILIA」 - YouTube 「lost and found」 - YouTube 「Plankton」 - YouTube |
『THE MILLENNIUM PARADE』(ザ ミレニアム パレード)は、常田大希のプロジェクト・millennium paradeの1stスタジオ・アルバム。2021年2月10日に、アリオラジャパンより発売された。
音楽性
[編集]本作は、「失われたものへの弔いと、新しい年を迎えた祝祭」の意味を込め、「手筒花火」をテーマにしたコンセプチュアルな作品となっている[1]。ロック、ジャズ、ヒップホップ、エレクトロニックミュージック、クラシックなどの多彩な要素を取り込んだ音楽性も本作の特色である[1][10]。アルバムには、5曲のインストゥルメンタルが収録されている。アルバムの前半は、常識にとらわれないアクロバティックな表現や、偏執的なトラックメイク、実力派プレイヤーの生演奏を織り交ぜたサウンドが特徴的な楽曲が多くを占めており、それは、フライング・ロータスの『You're Dead!』にも通じるサイケデリックなプレリュードを皮切りにアウトサイダー集団のパレードがSF世界と現実の間を縫うように進行していく「Fly with me」、複雑なビートで高揚させる「Bon Dance」、Friday Night Plansを迎えたクールなR&B「Trepanation」などさまざまである[11]。中でも「ミレニアム=千年後の未来」をテーマにした「2992」に関してロッキング・オンの小熊俊哉は、「レディオヘッド「The National Anthem」を彷彿させる獰猛なベースラインと、天を舞うようなオーケストラを融合させたこの曲は、野生とアカデミズムを巧みに使い分ける常田の真骨頂」と指摘している[11]。後半は、millennium paradeの構想盤『http:// 』(2016年) と、King Gnuの初期楽曲にランダムアクセスするインタールード「TOKYO CHAOTIC!!!」を挟んで、Srv.Vinci時代の楽曲を再構築した「Philip」、井口理をボーカルに迎えた「Fireworks and Flying Sparks」の2曲を経て「FAMILIA」へと続く。「Fireworks and Flying Sparks」と「FAMILIA」では、ここまでの英語詞ではなく、常田自身が作詞した日本語のリリックによって、パーソナルで混沌とした歌が届けられる。ボン・イヴェール的とも言える美しく歪んだエレクトロニックバラードで光と闇、愛と孤独を歌いあげ、アルバムは厳かなムードとともに幕を閉じる[11]。
リリースとプロモーション
[編集]アルバムは、通常版、初回生産限定盤、完全生産限定盤の全3形態で発売された。完全生産限定盤と初回限定盤には、これまで発表されたミュージックビデオに加え、2019年12月に東京・新木場STUDIO COASTで行われた『millennium parade Live 2019 @新木場STUDIO COAST』から、「Fly with me」、「Plankton」、「lost and found」、またKing Gnuの『Slumberland』のmillennium paradeバージョンのパフォーマンスを収録したBlu-rayディスクが収録されている[12]。さらに、完全生産限定盤は、12inchのスペシャルBOXに、初回限定盤、オリジナル小鬼フィギア3体、また『構想盤』としてDTMP時代にリリースされた楽曲を収録したカセットテープが収められている[13]。
アルバム発売に先駆け、2020年12月23日には、東京・東京国際フォーラム ホールAにて「millennium parade 3D LIVE 2020」と題したライブを開催した[12]。また、2021年の1月から7月にかけて全5回にわたって放送されたNHK総合の特番「2030 未来への分岐点」に、millennium paradeが主題歌「2992」と劇中音楽を提供しており、初回放送の前日1月8日には、NHK総合で常田に長期密着したドキュメンタリー番組「常田大希 破壊と構築」がオンエアされた[14]。3月5日には、「常田大希 破壊と構築」の89分拡大版(タイトルは、「Tokyo Chaotic 音楽家 常田大希」)がNHK BSプレミアムで放送された。また、1月20日に発売された雑誌「SWITCH」2月号では、常田の48ページにわたる特集が掲載された[15]。1月31日には常田が、フジテレビ系で放送された「ボクらの時代」に出演し、収録曲「FAMILIA」について語った[16]。2月12日には女性ファッション誌「GINZA」の表紙に登場。millennium paradeが26ページにわたって紹介され、millennium paradeのサウンドを担う常田俊太郎、ermhoi、長塚健斗のインタビューや新井和輝、勢喜遊、江﨑文武、石若駿、MELRAWによる座談会が掲載された[17]。
チャート成績
[編集]本アルバムは、初動3日間で30,830枚、初週42,643枚を売り上げて、2021年2月22日付の週間アルバム・セールス・チャートBillboard JAPAN Top Albums Salesで初登場3位を獲得した[18]。また本作は、ルックアップで9位を、ダウンロード数は4,487DLを売り上げて1位を記録し、総合チャートBillboard Japan Hot Albumsで初登場3位を記録した[5]。同週のオリコン週間アルバムチャートでも、第3位で初登場を果たした[6]。
認定とセールス
[編集]国/地域 | 認定 | 認定/売上数 |
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日本 (RIAJ) | 未公表 | 56,366(フィジカルCD) [19] |
* 認定のみに基づく売上数 |
評価と批評
[編集]- ライターのデンシノオトは、ミュージック・マガジンのレビューにて「最新のクロスオーヴァー的R&Bといっても通用するクオリティの高さ」を称賛すると同時に「Jポップ的」な性格も指摘し、「椎名林檎以降のJポップを思わせるフラットな和洋折衷」と述べた[2]。
- 同じくミュージック・マガジンの宗像明将は、そのクオリティの高さを評価しつつ、その場合「いかに洋楽からの”借用”感を取り除く」ことができるかが課題になるとし、本作について「日本のロックが抱えてきた呪縛がここでも脈打っている」と述べた[2]。
収録曲
[編集]全作曲: 常田大希。 | |||
# | タイトル | 作詞 | 時間 |
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1. | 「Hyakki Yagyo」(Instrumental) | ||
2. | 「Fly with me」 | ermhoi | |
3. | 「Bon Dance」 | ermhoi | |
4. | 「Trepanation」 | Friday Night Plans | |
5. | 「Deadbody」(Instrumental) | ||
6. | 「Plankton」 | ermhoi | |
7. | 「lost and found」 | ermhoi | |
8. | 「matsuri no ato」(Instrumental) | ||
9. | 「2992」 | ermhoi | |
10. | 「TOKYO CHAOTIC!!!」(Instrumental) | ||
11. | 「Philip」 | 中野裕太 | |
12. | 「Fireworks and Flying Sparks」 | 常田大希 | |
13. | 「The Coffin」(Instrumental) | ||
14. | 「FAMILIA」 | 常田大希 | |
合計時間: |
千年行進構想版
[編集]完全生産限定盤のみ (カセットテープ)
[編集]# | タイトル |
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1. | 「WWW」 |
2. | 「Onibi」 |
3. | 「Pret」 |
4. | 「Poter」 |
# | タイトル |
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1. | 「Angya」 |
2. | 「Ennui」 |
3. | 「Mannequin」 |
演奏
[編集]- 常田大希 (King Gnu):Vocals, All Other Instruments
- 常田俊太郎
- Violin (#1.4-9.11.13)
- Orchestral Programming (#1.4.8.9.11.13)
- 石若駿
- Drums (#1.2.8.9.11.12.13.14)
- Synth Bass (#11.14)
- 小倉しんこう:Chanting, Templa Sampling (#1.13)
- 森洸大
- Tekiya (#1.13)
- Vocal (#2)
- HIMI:Vocal (#2)
- ermhoi:Vocal (#2.3.6.7.9)
- 長塚健斗 (WONK):Vocal (#2)
- 真砂陽地:Trumpet (#2)
- MELRAW
- Guitar (#2.3)
- Sax (#2.12)
- 江﨑文武 (WONK)
- Synthesizer (#2.3.4.6.7.9.11.12)
- Rhodes (#2.4.6.9.11)
- Piano (#3.6.7.8.9.11.12)
- Organ (#3.11)
- Orchestral Programming (#4.11.14)
- 宮川純:Organ (#2.12)
- 新井和輝 (King Gnu)
- Bass (#2.6.7.9.12)
- Synth Bass (#14)
- 勢喜遊 (King Gnu)
- Drums (#2.3.7.8)
- Beats (#14)
- Emma[要曖昧さ回避]
- Chorus (#3)
- Voice (#13)
- 宮川愛:Voice (#3)
- Friday Night Plans:Vocal (#4)
- 村岡苑子:Cello (#5)
- 中野裕太:Rap (#11)
- 井口理 (King Gnu):Vocal (#12.14)
脚注
[編集]- ^ a b c d e f “『THE MILLENNIUM PARADE』- millennium parade”. Apple Music. 2021年2月1日閲覧。
- ^ a b c 「クロス・レヴュー」『ミュージック・マガジン』第53巻第6号、ミュージック・マガジン、2021年4月。
- ^ 「アルバム・レヴュー」『ミュージック・マガジン』第53巻第5号、ミュージック・マガジン、2021年3月。
- ^ 「クロス・レヴュー」[2]、「アルバム・レヴュー」[3]において5人の評者がつけた点数の平均値。
- ^ a b c “【ビルボード】SEKAI NO OWARI『SEKAI NO OWARI 2010-2019』が総合アルバム首位 ずとまよ/millennium paradeが続く”. Billboard Japan (2021年2月17日). 2021年2月1日閲覧。
- ^ a b “millennium paradeのランキング”. オリコンニュース. 2021年2月1日閲覧。
- ^ “Hot 100 Year End 2021”. Billboard Japan (2021年12月11日). 2021年12月11日閲覧。
- ^ “Streaming Songs Year End 2021”. Billboard Japan (2021年12月11日). 2021年12月11日閲覧。
- ^ “Download Songs Year End 2021”. Billboard Japan (2021年12月11日). 2021年12月11日閲覧。
- ^ “millennium parade、ずっと真夜中でいいのに。……自己プロデュース能力発揮された新譜5作をピックアップ”. Real Sound (2021年2月9日). 2021年2月1日閲覧。
- ^ a b c “millennium parade、孤高の音楽家が「百鬼夜行」を率いて奏でる規格外のサウンド。特大の打ち上げ花火にして、無限の可能性を感じさせる1stアルバム完成!”. rockin'on.com. 2021年2月1日閲覧。
- ^ a b “millennium paradeが初アルバムリリース、12月には国際フォーラムで有観客ライブ”. 音楽ナタリー (2020年11月25日). 2020年12月1日閲覧。
- ^ “millennium parade 2021年2月10日 1stアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』のリリース決定!”. King Gnu Official Site (2020年11月25日). 2020年12月1日閲覧。
- ^ “millennium paradeがNHK特番に新曲書き下ろし、常田の全貌に迫るドキュメンタリーも”. 音楽ナタリー (2020年12月3日). 2020年12月1日閲覧。
- ^ “表現者・常田大希に迫る「SWITCH」特集、脳のMRI写真から綾野剛との対談まで”. 音楽ナタリー (2021年1月12日). 2021年2月1日閲覧。
- ^ “常田大希、綾野剛、藤井道人「ボクらの時代」で映画「ヤクザと家族」を語る”. 音楽ナタリー (2021年1月26日). 2021年2月1日閲覧。
- ^ “「GINZA」の“いちばん気になる人”常田大希、創刊24年で初の男性単独表紙に”. 音楽ナタリー (2021年2月5日). 2021年2月1日閲覧。
- ^ “【ビルボード】SEKAI NO OWARI『SEKAI NO OWARI 2010-2019』が62,926枚でALセールス首位 ずとまよ/millennium paradeが続く”. Billboard Japan (2021年2月15日). 2021年2月1日閲覧。
- ^ “オリコン上半期ランキング2021 アルバム”. ORICON NEWS (2021年6月29日). 2021年6月29日閲覧。