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平野啓一郎「あり得たかもしれない人生」描く短編集
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「マチネの終わりに」や「ある男」で自己と他者、過去と現在の接点を精緻に描いてきた平野啓一郎。このほど刊行した短編集「富士山」(新潮社)には「あり得たかもしれないいくつもの人生の中で、どうしてこの人生だったのか」との問いが通底すると話す。
「息吹」と題した一編の主人公は、たまたま入ったマクドナルドで隣に座った2人組が大腸内視鏡検査について雑談しているのを聞く。そこで思い立って検査を受けたのが幸いし...